2017年の1月14日、15日は大学受験の多くの受験生が受けるセンター試験が実施された。
まずは、受験した受験生たちはお疲れ様でした。
しかし、まだ安心してはいられない。
ほとんどの受験生はまだセンター試験だけでは受験が終わらない。
センター試験受験後その点数をもとに二次試験に出願する受験生がほとんどだ。
そのためには、各予備校が発表している解答速報をもとに、自分の点数を自己採点して、その点数をもとに二次試験受験校を決定していかなければならない。
また、センター試験の内容を復習して二次試験に臨んだり、高校1、2年生でもこの日に今年のセンター試験をといて復習したいと言う人も多い。
そこで、今回は、東進、駿台、河合が発表した解答速報の比較とその評価、現役東大生の視点から見た僕独自のセンター試験の分析をここで解説していく。
受験生はこれを読んで、しっかりと2017年度のセンター試験を復習して安心して二次試験に臨めるようにしよう。
また、高校1、2年生の人は自分の受験期にしっかりセンター試験で力を発揮できるように復習するようにしよう。
各予備校の解答速報
各予備校の解答速報は以下の通りである。
この3社は毎年21時になるとその日に行われたセンター試験の解答速報をいっせいにアップロードする。
この3社の解答には大きな違いはなく基本的にこの解答で自己採点していけば、ほぼ正確な点数が出る。
センター試験が終わったらしっかりとこの3社の解答速報を確認して自己採点してほしい。
受験生の場合、センター試験の自分の結果は実は自分の受験が終わらないと正確にはわからない。
よって、自己採点をもとにして二次試験の出願大学を決めなくてはならないのだ。
また、高校1、2年生もしっかりと自己採点して、自分が今どれくらいの実力なのか認知しておこう。
地理歴史
まず初めに、1日目の一番初めに行われる社会科目のうち地理歴史のセンター試験の解答速報を分析する。
ここでは、特に受験者が多いB科目に絞って説明していく。
世界史B
世界史Bに関しては、3社とも難易度は昨年並みとなっている。
予備校3社の見解は以下のようになっている。
難易度 昨年並み
形式・内容ともに大きな変化はなく、平均点を下げる要因となる文化史の出題は減ったが、その一方で受験生を戸惑わせる地図問題やグラフを使った問題が出題されたため、難易度に変化はないと考えられる。【出典】河合塾解答速報
地域網羅性が高まり、地図の読み取り問題が増加、グラフも継続。難易は昨年並
【出典】駿台解答速報
全体としては、地域・時代ともに幅広い基礎力が問われる標準的な問題となっており、平均点も昨年並みと予想される。
【出典】東進解答速報
今年は、文化史の出題が減ったが、グラフを読み取る問題や現代史、社会経済史の内容が増加したようだ。
文化史は、毎年10〜20点分ほど出題され、受験生がおろそかにしがちなテーマなため出題が増えると点数が下がる傾向にある。
現代史や社会経済史は、世界史の最後の方の分野であるため、学習が遅れている人は点数を落としてしまいがちだ。
点数を下げる分野が一方では減り、もう一方では増えたので難易度はそう変わらないのだ。
やはり、世界史などの社会の科目は満遍なく勉強しておくことが重要だ。
世界史のセンター対策は以下の記事を参照して欲しい。
日本史B
日本史Bは世界史とは異なり、予備校3社ともやや難化したと述べている。
予備校の見解を以下に3つ示す。
難易度 やや難化
政治史からの出題が増え、受験生が苦手とする文化史が減少したが、一部に難易度が高い設問もあった。【出典】河合塾解答速報
統計資料を用いた出題が復活し、諸資料の読解力が要求された。昨年よりやや難化
【出典】駿台解答速報
現代的関心を反映した問題文が目立つが、形式・分野・配点などは昨年度と同様
【出典】東進解答速報
難易度が高くなったというのは、おそらく河合塾が注目した、年代別に配列させる問題が増加したからということと、史料問題など、資料を見させられて考察させる問題が多かったことがあげられる。
分野的な変化を見ると文化史が減少し、その代わりに経済史が増加した。
しかし、だからと言って全く歯が立たないかという世界史でも述べたがしっかりと満遍なく勉強した受験生にとっては高得点は容易であっただろう。
繰り返しになるが、しっかりと満遍なく全ての分野を勉強した上で、河合も述べているよう過去問演習をしっかりやっておこう。
日本史のセンター対策については、以下の記事を参照して欲しい。
地理B
今年に地理Bは予備校3社とも口を揃えて易化したといっている。
以下が3社の見解だ。
難易度 やや易化
昨年よりも各大問とも判断に迷う問題が少なかった。【出典】河合塾解答速報
昨年に続き「比較地誌」が出題。図表読解力重視の傾向は継続。昨年より易化
【出典】駿台解答速報
分量・形式とも前年並みだが、連続して難易度の高かった過去2年に比べてやや易化。
【出典】東進解答速報
僕としても、昨年の問題と比べると少し難易度の高い問題は減ったと思う。
今年の中で最も難易度が高いものはスパインとドイツの比較地誌のだ。
特に地誌は学習が統計地理の学習が進んでいないとおろそかにしがちだが、大問として1個丸々出題されたり、昨年度からだが、2つの地域を比較する比較地誌が出題されることが多い。
なのでしっかりと統計地理同様に地誌の勉強も行ってからセンター試験に望むのが良い。
他の大問は割と解きやすい問題が多かった印象だ。
センター地理の対策法は以下の記事を合わせて見ておこう。
公民
ここでは、一日目の社会科目のうち公民について述べいる。
ここでは、倫理、政治経済のみの分析を行う。
倫理,政治・経済
倫理、政治経済は、東進が昨年並み、河合、駿台はやや易化したと述べている。
3社はそれぞれ以下のように述べている。
難易度 やや易化
倫理分野ではやや難しい事柄が出題されたのに対し、政治・経済分野では比較的取り組みやすい設問が並んだ。全体の難易度は昨年と比べやや易化。【出典】河合塾解答速報
倫理では正確な思想理解、政経では基礎事項が求められ、難易は昨年に比べやや易化
【出典】駿台解答速報
本年度も「倫理」と「政治・経済」の全分野から網羅されるように設問が選択されている。したがって、倫理分野、政治・経済分野ともに十分な準備をしておかないと高得点は取れないであろう。難易度は昨年並みと思われる。
【出典】東進解答速報
倫理、政治・経済のセンター試験の問題は政治・経済と倫理のセンター試験の問題からそのまま同じ問題を使われる。
分量も半分ずつで、しっかりと倫理と政治・経済両方の分野を網羅している。
また、教科書だけの知識で解ける問題と資料などを見させられてそこから考えなければならない問題と両方出題される。
今回はそのような少し論理的思考力が要求される問題が減ったので河合と駿台がやや易化といったのだろう。
いずれにせよ、東進も述べているが、倫理、政治・経済の両方の分野を抜き目なく勉強していった受験生でないと高得点は難しかっただろう。
理系の人に選ばれがちであるが、理系の人でもしっかりと勉強して臨むべき科目だ。
国語
国語は昨年と比べて難化したようだ。
以下が河合、駿台、東進のそれぞれの国語についての見解だ。
現代文の難易度が上がり、国語全体としては昨年より難化。
【出典】河合塾解答速報
古文で和歌が復活し、漢文で日本漢文が出題。オーソドックスな出題で昨年より難化
【出典】駿台解答速報
国語全体としては、難化
【出典】東進解答速報
このように、3社とも難易度が難化したと言っている。
その主な原因として考えられるのが現代文の評論だ。
今回の評論文は昨年度に比べてかなり硬い科学についての評論文で硬い文章を読み慣れていない受験生からしたら、かなり理解が難しい問題だ。
分量も昨年度に比べて700字以上増えていたので読むのに時間がかかった生徒が多いようだ。
しかし、基本的にはしっかりと本文中から根拠を探して自分でその根拠に合う選択肢を選べば問題なく評論文は突破することができる。
内容が硬いからといって焦らずに、冷静に問題でもとめられた根拠を本文中から忠実に探していくることが重要だ。
小説については、難易度は平年並みで評論文と比べてそこまで難化した印象はない。(東進は小説はやや難化したと述べている。)
こちらに関しても評論文同様にしっかりと本文中から根拠を探せれば問題なく解けただろう。
センター現代文の解き方については以下の記事でしっかりと復習しておこう。
古文、漢文については、少し難しそうに見える文章だったかもしれない。
東進は二つともやや難としているが、河合は古文漢文は比較的読みやすい内容だったと述べている。
古文では確かに和歌が出題されたり、漢文は本試験では初めての日本漢文が出題されていたが、しっかり古文漢文を勉強した生徒にとってはそこまで難化した印象はなかったのではないだろうか?
古文、漢文はしっかりと勉強することによってより短時間でより高得点を目指すことができる。
以下の記事を参考に復習しておこう。
センター古文で満点がとれる「マドンナ」4冊のメリットと活用法
英語
ここでは、外国語のうち英語の筆記とリスニングの両方について分けて分析していく。
英語(筆記)
英語の筆記試験に関しては、東進は変化なし、駿台、河合は少し易化と述べている。
以下が河合、駿台、東進のそれぞれの英語の筆記試験についての見解だ。
第2問がやや易化し、第5問がやや難化した。全体としては難易度はやや易であった。
【出典】河合塾解答速報
物語の出題は継続。英文の内容を大づかみする力が求められた。昨年よりやや易化
【出典】駿台解答速報
出題形式、出題傾向とも昨年同じ
【出典】東進解答速報
今年の英語の筆記試験は発音はいつも通りで第二問の文法が少し簡単だったようだ。
このような発音や文法などの基礎事項で点数を落とさないようにすることが非常に重要となってくる。
ここでつまずいてしまった人は以下の記事でしっかり勉強しておこう。
また、今回特筆すべき点としては、第5問の小説文が少し難しかったという点である。
2015年度まで2つの電子メールやブログを読む問題であったが、2016年度から小説文が出題されるようになった。
小説文は普段の長文であまり勉強しないので難しく感じでしまう生徒も多いだろう。
特に今回は、主人公が夢の中で猫になってしまうということを把握しづらい文章でこれが把握できなければ小説文を全く理解することができない。
普段から小説文に慣れておくことが必要だ。
センター試験の筆記英語であれば9年前には同じように小説文が出題されていたのでその過去問を参考にして対策していくと良い。
以下の記事も参考に復習していこう。
東大生が解説!センター英語長文を得点源にする読み方4つのステップ
英語(リスニング)
英語のリスニングに関しては、難易度は河合が昨年並み、東進が難化、駿台は難易度については何もコメントをしていない。
以下が河合、駿台、東進のそれぞれの英語のリスニングについての見解だ。
出題傾向に大きな変化はないが、聞いた言葉を他の言葉に言い換える力がより問われるようになった。
【出典】河合塾解答速報
昨年同様、全体を把握する総合的聴解力と情報処理能力が問われた
【出典】駿台解答速報
3Bのように多くの情報を聞き取って判断しなければならない問題や、正解の選択肢が直接的な表現でないために選びにくい問題が散見され、英語を聞き取ったうえで考えなければならない難しさがあった。
【出典】東進解答速報
スクリプトを見る限り、僕視点では、いたって普通のセンター試験のリスニングだった。
確かに昨年に比べたら東進の言うようにより多くの情報を聞き取らなければならない問題はあった。
しかし、センター試験のリスニングはリスニングができる人からしたらかなりレベルが低く、情報が多くなったからといってしっかり対策している人にとっては、あまり難しく感じなかったのではないだろうか?
いずれにせよ50点満点というセンターのリスニングの配点は決して小さいとは言えない。
センターリスニングはしっかりと訓練を積んでおくことが大切である。
以下の記事を参考にしながら、復習していってほしい。
理科基礎
ここからは二日目の最初に行われる、主に文系受験者が受験する理科基礎について予備校の解答速報を分析していく。
地学基礎については、受験者が少ないため割愛させていただいて、ここではその他の3科目について順に説明していく。
物理基礎
物理基礎は、河合と東進が昨年並み、駿台がやや難化したと述べている。
それぞれの見解は以下のようだ。
難易度 昨年並み
数値計算・文字計算の問題が増え、一つの公式だけを使う問題が減った。さらに、受験生にとっては不慣れな基本単位の問題や回路の短絡に関する問題が出題された。【出典】河合塾解答速報
現行課程になってはじめて組立単位や回路の短絡が出題された。昨年よりやや難化
【出典】駿台解答速報
難易度はほぼ昨年並みであると予想される。
【出典】東進解答速報
駿台がやや難化といったのはおそらく、引用にもある通り、基本単位や閉回路が2つある回路問題が出題されたからであろう。
しかし、これらはしっかりと物理基礎を本質から学習してただ公式を暗記するだけに終始しなかった文系の人たちであればしっかりとこれらの問題にも対応できた。
こういう意味で難易度的には僕自身はさほど去年と変化せず平年並みのものであったと思われる。
物理基礎に限らず、理科基礎ではの受験者はほとんど文系でみんな他の科目とのバランスがあるので、いかに短時間で高得点を取るかということが大切だ。
公式暗記だけでもかなり点数が取ることができるので、時間がない文系の人たちはあまり物理学的意味を考えずに公式暗記に最悪走るという選択肢もありだ。
余裕があれば、上記のような問題にも対応できるよう、しっかりと物理学的な意味を一つ一つの公式、現象に考えて学習していけると良いだろう。
化学基礎
化学基礎は、河合と東進が昨年並み、駿台が物理とは逆にやや易化したと述べている。
予備校3社それぞれの見解を見てみよう。
難易度 昨年並み
基本的な問題に加えて、やや難しい実験考察問題もあり、全体としての難易度は、難化した昨年とほとんど変わらない。【出典】河合塾解答速報
基礎的な知識・理解を問う問題と思考力を要する問題が出題。昨年よりやや易化
【出典】駿台解答速報
文字式の計算や反応式が与えられていない計算、グラフから読み取る計算など、計算問題にやや解答しにくいものがあったものの、全体としての難易度はほぼ昨年並みであった。
【出典】東進解答速報
化学基礎では、基本事項だけで解ける問題と少し考えなければならない実験の考察をさせられる問題が存在する。
また、正誤判定問題も細かい知識が必要なので、浅く勉強していた受験生には難しかったと思う。
化学基礎だからといって舐めてはいけないのだ。
難易度に関しては、もともと化学基礎が少し難しめなので昨年並みであろうと僕は推測している。
物理基礎同様、他の科目に時間を多く割かなければならない文系受験者がほとんどだ。
短時間でどこまで勉強してどこまで点数を取るかというところが大きなポイントとなってくる。
生物基礎
生物基礎の難易度に関しては3社とも易化したと述べている。
以下が予備校3社の見解である。
難易度 やや易化
教科書に記載されている基本的な知識を問う問題がほとんどであった。また、文章選択問題の割合がやや低下し、1マークあたりの選択肢数も減少した。1問出題された計算問題は、細胞周期に関する標準的な計算問題であり、昨年の腎臓の濃縮率に関する計算問題に比べて正答率は高いだろう。【出典】河合塾解答速報
昨年同様、知識問題や初見の図から考察する問題が出題。昨年より易化
【出典】駿台解答速報
また、昨年まで出題された、「当てはまる選択肢を過不足なく含むものを選ばせる設問」がなくなり、「実験を考察させる設問」・「細かい知識を必要とする設問」も減少したため、全体的に易化した。
【出典】東進解答速報
生物基礎については、理科の生物とは逆に易化したと予備校3社一致して発表した。
3社ともこれについて、文章選択問題、考察問題など細い知識や考えて解く問題が減少して、教科書の基本事項だけで解ける問題が多かったからだとしている。
また、生物の詳細な分析を駿台は行っていなかったが、生物基礎に関しては行っている。
それは、受験者数が理科の中の生物は少ないが、理科基礎の生物基礎は逆に理科基礎の中では一番選択者が多い。
これは、文系受験者がほとんどである理科基礎で、他の科目に時間がかかるため、より短時間でより高得点を取れるものを選ぶからだ。
特に今年は生物基礎がこの難易度変化を見るとよりコストパフォーマンスが一番良かったのではないだろうか?
数学①
数学Ⅰ・A
数学Ⅰ・Aでは、難易度については東進が昨年並み、河合と駿台が易化したと述べた。
以下が河合、駿台、東進のそれぞれの数学Ⅰ・Aについての見解だ。
選択問題はやや難化しているが、必答問題が易しくなったので全体としてはやや易化した。
【出典】河合塾解答速報
昨年と同様の問題構成。確率で適当な事象を選ぶ設問があった。昨年よりやや易化
【出典】駿台解答速報
大問数は変化なく、分量も大きく変わっていないものと思われる
【出典】東進解答速報
3つの予備校はそれぞれ見解に微妙な違いが見られるにせよ、3社ともに口を揃えていうのが第2問の「データと分析」の分野の問題が簡単で、選択問題の「場合の数と確率」が難しいということだ。
「データと分析は」箱ひげ図から読み取る問題が簡単になっていたことが問題全体が易化した大きな原因であろう。
ここの分野はしっかり勉強すればすぐに点数に結びつきやすいので、しっかりと得点してほしいところだ。
逆に選択問題の「場合の数と確率」では事象の種類が直接聞かれたり、条件付き確率が多かったりと受験生が混乱しやすい問題が多かったと言える。
しっかりと確率の勉強を理論からしていないと、解くのにかなり苦労したであろう。
基本的に選択問題で確率はあまり選ばない方が良い。
しっかりと勉強すれば道筋が見える「整数の性質」や「図形の性質」と異なり、確率の場合一個事象を数え忘れてしまえば答えば全く違うものになってしまう。
小さなミスで大幅な減点が考えられるセンター数学の確率は、選択問題として選ぶのはあまり賢い判断と言えない。
間違えたところ、選択問題で選んでいないところは、受験生は二次試験、高校1、2年生は次のセンターに向けてしっかりと復習しておこう。
数学②
数学Ⅱ・B
この数学Ⅱ・Bに関しては、河合、駿台、東進3社ともに易化と判断したようだ。
以下が河合、駿台、東進のそれぞれの数学Ⅱ・Bについての見解だ。
難易度 やや易化
昨年と比べ計算量が減少した。誘導が丁寧であり取り組みやすい。【出典】河合塾解答速報
複数の大問で、異なる分野の知識を用いる力が試された。昨年よりやや易化
【出典】駿台解答速報
第1問は、昨年に続き、三角関数と指数・対数関数の問題の組合せ。第4問は、2年ぶりに平面ベクトルが出題された。
【出典】東進解答速報
ここまで予備校3社がこぞって易化したというのは、各問題の誘導が丁寧でわかりやすかったからだろう。
しっかりと誘導に乗れていればどの問題もすんなり最後まで解くことができる。
また、全体的にも計算量が少なくなったと河合は述べている。
確かに全体的に計算量は少なかったとは言え、第4問の「ベクトル」の問題では毎年計算がかなり煩雑になり時間がかかることで有名だ。
そこで、あまりメジャーではないがここで第5問の「確率分布と統計的な推」へ逃げるというのも一つの手である。
この「確率分布と統計的推測」という分野は「ベクトル」に比べてかなり計算量が減るので解答時間の短縮になる。
このようにすると見直しの時間も増えるため、数学Ⅱ・Bで時間が足りなくなってしまう人は是非「確率分布と統計的推測」を選ぶことも考えてほしい。
詳しくは以下の記事を参照してほしい。
理科
ここでは、センター試験の最後の科目、理科の専門科目(基礎がついていないもの)について、物理、化学、生物の3科目の予備校の解答速報の分析を行う。
地学については受験者が少ないため、割愛する。
物理
物理に関しては、東進が易化、河合と駿台は昨年並みと述べている。
僕自身もいつも通りの難易度の出題であったと感じだ。
それぞれの予備校の見解は以下のようになっている。
難易度 昨年並み
誘導が少なく、自分で手順を組み立てる必要がある問題もあったが、ほとんどは素直で解答しやすい問題であった。【出典】河合塾解答速報
熱力学が必答となり、選択問題は、波動、原子となった。難易は昨年並
【出典】駿台解答速報
基本的な内容からの出題も多く、日ごろの演習量で差がついた可能性が高い。難易度はやや易と言えるだろう。
【出典】東進解答速報
基本的にセンターの物理は普段から二次試験に向けて対策している受験生からしたらかなり簡単な問題となり、満点も続出するようになる。
しっかり勉強をしていれば、点数が取れたのではないだろうか?
そうはいっても、センター試験では、二次試験よりも定性的なことを問う問題が多いので、普段の演習でただ計算するだけでなく、自分でしている計算や導出された物理量の意味を考えながら演習したり、過去問、予想問題集でこの手の問題には慣れておく必要がある。
今年の第4問力学はセンター試験のわりには少し複雑な設定であり、難しかったように思えるがしっかりと勉強していれば対応できた問題だ。
「原子」の分野に関しては、選択問題となっており、学習していなくても何の問題もないが、定性的な問題が多く計算がその分他の分野に比べて少ない。
しっかりと勉強して選択していれば時間短縮にもなる。
また、二次試験でも出題される可能性は大いにあるので、しっかり勉強しておこう。
物理の勉強は以下の記事を参考にしてほしい。
化学
化学についても物理同様、東進がやや易化、河合と駿台が昨年並みということであった。
ほぼ毎年同様の標準の問題と考えていただいて構わない。
それぞれの予備校の化学に関する見解は以下の通りだ。
難易度 昨年並み
昨年と比較して応用力を要する問題は減少したが、目新しい問題が出題され、また、時間を要する計算問題が増えたので、難度は昨年とほぼ同じである。
【出典】河合塾解答速報
問題が長文化し、読解力を必要とする問題が多く出題された。難易は昨年並
【出典】駿台解答速報
計算問題および計算を含む問題が多く時間的な余裕はあまりなかったと思われるが、標準的な内容の問題が多く、難易度は昨年同様か、やや易化した。ただ、問題量が多いため、手際よく素早く解く必要があった。選択問題による有利不利はなかった。
【出典】東進解答速報
化学についても物理同様に、二次試験の対策をしている人からすると簡単に見えただろう。
しかし、センター試験独特の出題傾向には、慣れておく必要があるので過去問演習や予想問題集での演習をしっかりやっておくことが大切となる。
また、2015年度以降新課程になって、「高分子化合物」が化学の学習範囲の中に入ってから、センター試験でも「高分子化合物」は選択問題のいずれか一つと必答問題として出題されるようになっている。
二次試験にも出題される可能性が多いにあるので、できなかった人は復習が必要だ。
化学の勉強法は以下の記事を参考にしよう。
生物
生物に関しては、河合と駿台が昨年並み、東進が難化したと述べている。
それぞれの見解はこうだ。
難易度 昨年並み
考察問題における実験条件の設定などが昨年の問題に比べてやや複雑なものが多かったが、選択肢数の少ない小問が多かった。【出典】河合塾解答速報
分化に関する3つの実験結果から考察を導く問題など、思考力を要する問題が出題
【出典】駿台解答速報
時間がかかる実験考察問題が増加し、文章選択問題も増加したため、昨年より難化した。
【出典】東進解答速報
解答速報ページを見ていただくとわかるのであるが、駿台は分析がやや少ない。
このように、受験者が少ない科目は予備校側が解説をしない可能性がある。
特に地学が顕著であるが、そういった選択科目で選択者の少ないものは入試情報も少なくなるので、選ぶ場合はそのことも注意が必要だ。
東進が難化したというのは、文章選択問題、や実験考察問題という、解答に時間がかかる問題が去年に比べて増加したからだとしている。
河合も難易度には反映していないが、そのような問題が増加したことに関しては同意している。
このように、生物は文章量がそもそも多いので、過去問によく慣れて時間が足りないということがないようにしておくことが大事だ。
センター後にすべきこと
ここでは、2017年度のセンター試験を受験した後にどのようなことをすれば良いのかについて、高校1、2年、受験生に分けて説明する。
しっかりとここに書いてあることを実践して、受験生は悔いのないよう残りの受験期を過ごし、高校1、2年生は自分のセンター試験本番でベストを尽くせるようにしよう。
受験生の場合
センター試験が終わったらまずは上記でも述べたように自己採点をしよう。
自己採点の結果をもとに二次試験の出願大学を決めていくわけである。
自己採点が終わったら必ず、センターリサーチに自分の点数を提出しよう。
これは、河合、駿台、東進の3つの予備校が行っているシステムで、全国の受験生のセンター試験の結果とその志望校を調査することによって、今年の合格ラインをセンター試験の点数をもとに決めたり、自分の合否を模試と同じようにA~Eで判定をつけてくれるものだ。
出願する大学を決める際に非常に参考になるので、必ず提出しよう。
それぞれの3社のセンターリサーチのシステムを以下に示す。
また、出願する大学が決まったら、そこでの受験科目で間違えたものはしっかりと復習するようにしよう。
そして、二次試験で同じミスを繰り返さないようにしよう。
また、二次試験を控えている人は以下の記事を参考にしてほしい。
センター後から東大二次試験までに気を付けるべき3つのポイント
高校1、2年生の場合
高校1、2年生の場合でも、問題をとくだけで終わらずに、しっかりと自己採点しよう。
そうすることによって今の自分の立ち位置を客観的な数値で見ることができる。
また、来年までに何点伸ばさなければならないのか具体的に見えてくるのだ。
そして、自己採点が終わったらしっかりと間違えた問題を復習することが大事だ。
今後模試でお同じおような問題に出会ったら二度と間違えないくらいの勢いで復習していこう。
そうすれば、必ず来年、もしくは再来年に目標点を達成することができる。
まとめ
以上が、2017年度センター試験の各予備校の解答速報の比較と、現役東大生の僕から見た今年のセンター試験の分析だ。
これを見た受験生は、ほとんどがまだ受験が残っている人だ。
しっかりとセンター試験の復習をして、最後まで全力で受験をやりきって、第一志望校に合格できるように頑張ろう。
また、高校1、2年生の人たちはしっかり自己採点をして、復習して来年再来年以降のセンター試験で満足のいくような結果が出せるように、頑張ろう。