共通テスト地理、それは文系科目でありながら、理系も大部分が受験するという珍しい教科だ。
しかし、それ故に理系にとっては苦手科目になりやすい教科でもある。
また文系でも、どう勉強すればいいか・どう問題を解いていけばいいかわからなくなり、気が付けば苦手科目に・・・・ということも往々にしてある。
そんな時に頼りになるのは、共通テストのほかの科目と同様、過去問だ。
共通テストは同じ傾向で出題されることが多いから、どの科目であっても過去問をやってみることが重要なポイントになる。
この記事では、そんな共通テスト過去問の使い方、またいつごろから始めればいいのか?というような受験生の疑問にも答えていく。
この記事を読んで、共通テスト地理の過去問を使いこなし、成績アップにつなげよう。
共通テスト過去問の傾向
さて、共通テスト過去問について解説していくわけだが、いきなり過去問の解き方などを話しても意味がない。
過去問を演習する意味として、出題形式が似ていることが挙げられる、というのは先ほど書いた通りだ。
そうならば、その出題形式についてより理解を深めることが、共通テスト試験そのものの理解を深めることにもつながり、勉強効率アップにもつながっていくだろう。
ここからは、そんな共通テスト過去問の出題形式について解説していく。
共通テスト地理の問題形式
共通テスト地理の問題形式は以下のようになっている。
大問 | 内容 | 配点 |
1 | 世界の自然環境と自然災害 | 20 |
2 | 資源と産業 | 20 |
3 | 都市・村落と生活文化 | 20 |
4 | 地誌 | 20 |
5 | 地域調査 | 20 |
場合によっては、問題形式が変化することも考えられるが、過去2回分の共通テストやそれ以前のセンター試験の入試ですら、この形式(正確には地誌の問題が一つ減った。)である。
よって、今後も同じような問題形式が続くと思われる。
注意したいのは、地誌や地域調査で扱われる地域は毎年バラバラであるということである。
時には、初めて見る地域について、議論させられるということも少ないくない。
このような問題は、系統地理で培った、基本的な知識を総動員して、解答を推測していく必要がある。
つまり、共通テスト地理の対策としては、まず第1問、第2問、第3問といったような系統地理の対策から始め、これらがしっかりと得点できるようになってから、第4問、第5問のような地誌の対策をしていくのがよいだろう。
第1問、第2問、第3問対策
この、1~3問目までの問題は系統地理の項目にあたる。
これらの問題の対策としては、まずは基礎知識を固めるということだ。
特に、第1問では、大地形と気候という高校地理の中での最大のテーマが問われている問題である。
そして、この大地形や気候の知識なくしては、他の問題を解くことは決してできない。
まずは大地形と気候の知識を中心のその他の産業や人口・都市などの別の分野の知識を補っていくと良い。
そして、産業や人口などのその他の分野の知識を学ぶときは、必ず大地形と気候の知識とリンクさせながら覚えていくことが大切だ。
「ここの地域ではこう言った地形でこういった気候なのでこういう産業が発展した。」や「こういう地形でこういう気候なので、都市がこのような形になっている。」と言った具合である。
さらに、共通テストになり資料やデータの読み取り問題が増えた。
よって、日頃から資料集などで資料やデータを見て、これらを頭に入れておくことも重要だろう。
これも単に順位などの数字だけを覚えるのではなく、地形や気候などの知識と結びつけて覚えておくと良いだろう。
また、これらの知識を白地図にまとめておくと図で覚えることができるので頭に入りやすい。
また、これら系統地理の問題は主に地形問題と地形図問題の二つのジャンルに分類することができる。
今回この二つのジャンルについて詳しく解説しておく。
地形問題は意外と地図が重要!
地形問題では、プレートや緯度など地理の基本的な知識が問われる。
知識問題だからと言って、ただ単語の意味を暗記するだけではいけないのが共通テスト地理の難しいところだ。
例えばプレートの問題では、そのプレートが地図上のどの位置にあるのか?というようなことも確認しながら勉強を進める必要がある。
過去問以外にも自分の地図帳を買って、いろいろ書き込みながら勉強するといいだろう(これについては後でまた説明する)。
このように安易な暗記では太刀打ちできない問題があるところは、共通テスト地理の特徴と言える。
地形図問題は慣れが重要!
続いて地形図問題では、実際に写真が使われているなど、多くのパターンの問題がある。
地形図問題は独特の問題が多いから、慣れるまでには時間が必要だろう。
しかし、地形図問題は特別な知識をほとんど利用しない問題でもある。
そのため、問題演習でいかに問題の形式になれることができるか、がカギとなる。
第4問、第5問などの地誌問題は分野を狙い撃ち!
基本的に地誌の問題は出題がランダムである。
よって、どこが出題されるかわからず、さらに見たこともないような地域の分析をさせられることもある。
このような地誌のポイントとしては、決して暗記で対策してはいけないということだ。
そもそも、知識があるかどうかを見るために問題作成者は出題をしていないので、それを知識でカバーするのはかなり労力がかかる。
その代わり、今まで系統地理で習ってきた大地形や気候をはじめとする知識を総動員して、答えを推測していくことが求められるのだ。
よって、一番の対策法としては、共通テストの過去問を直接解くということだ。
共通テストの過去問を解いて、どのように推測していけば良いのかの解答のプロセスを学習してくことで、効率よく地誌の対策をしていくことができるのだ。
もちろん、地誌にも最低限覚えておかなければいけない知識ややっておいた方が良い地域も存在するので、教科書や参考書による学習も忘れてはいけない。
また、共通テスト地誌については、直近に出題された地域は出題される可能性が低い、というのは覚えておいてほしい。
そのほかのポイントについては、当サイトに地誌についての記事があるのでそちらを参照してほしい。
共通テスト過去問におすすめの参考書
ここまで、共通テスト試験過去問についてその問題傾向を簡単に解説してきた。
傾向が分かったところで、次はそれについてどのように対策していくかを考えていこう。
とはいっても単に過去問を解いていくだけでは効率が悪い。
過去問の問題傾向を解説しているときにも、いろいろな参考書を使おう、というのを書いたはずだ。
ここでは、共通テスト地理の過去問をやるときに合わせて使いたいオススメの参考書を紹介していきたい。
また、それらの参考書をどのように使えばいいかについても解説していく。
ここで紹介する参考書を使って、より効率のいい勉強を目指そう。
地理の勉強をするなら必須!?「新詳高等地図」
まず、必ず一人一冊は持っていてほしいのが、地図帳だ。
高校で地理をやっている人ならおそらく学校で配られているとは思うが、もし手元になければ必ず持っていてほしい。
一番オーソドックスなのが「新詳高等地図」(帝国書院)だと思うので、悩んだらこれを使うといい。
ただ、地図を高校でもらったり、買ったりしたはいいものの、実際にはどうやって使ったらいいんだろう?と思っている人も少なくないだろう。
結論から言うと、地図は「自分用の暗記ノート」として使おう。
地理を勉強するときに、しばしば「この地域のこの特徴を忘れていた・・・・」と思うことがある。
他の教科、例えば世界史ならその内容を時代ごとにまとめておけば自分の弱点をまとめた暗記ノートになるかもしれない。
しかし地理は、そうはいかない。
例えば「この町は工業が盛ん」というふうに覚えていたとしても、その町が地図上でどこに位置するのか覚えていなければ意味がないし、国はどこか、その周辺には何があるか、も覚えておきたいポイントだ。
ではどうすればいいのだろう?地図と地名をリンクさせるには、地図にそれを書き込んでしまうのが一番、というわけだ。
問題を解いていくうえで間違ってしまったら、地図にそれを書き込んでしまおう。
その方法については、共通テスト試験の復習の項目で詳しく見ていく。
丁寧な解説でしっかり理解したい!村瀬のゼロからわかる地理B
次に説明するのが、地理の参考書としては名著の「村瀬のゼロからわかる地理B」だ。
一番地理の勉強で辛いところは、どうしてそのようになるのかわからずダメだとわかっていても丸暗記をしなければいけないというところである。
単なる暗記はダメだとわかっているが、どうしても教科書などは説明が堅くわかりにくい場所がでてきてします。
特に、納得しないと次に進めないタイプの人にはこういった部分は苦痛になってしまうだろう。
そう言った人におすすめしたいのが、この「村瀬のゼロからわかる地理B」だ。
この参考書は教科書に書いてあるわかりにくい説明もかなり丁寧に解説してくれている。
さらに、定期テスト対策から、共通テスト対策はもちろん、難関大学の対策にも使えるという万能な参考書なのだ。
難点としては、丁寧にすぎて、かつ図やイラストなども多く挟まれているのでかなり分厚くなっている。
よって、ささっと地理を学習して7割程度取れるくらいで良いという人には重すぎるかもしれない。
しかし、共通テストで高得点を取りたい、二次試験にも地理が控えているなど地理を極めてなければいけない人にとっては必読の参考書である。
暗記をしっかりしたい人に!「共通テスト試験 地理Bの点数が面白いほどとれる本」
さて、次に紹介するのは暗記事項があまり覚えられない・・・・という人のためにおすすめしたい参考書だ。
「共通テスト 地理Bの点数が面白いほどとれる本」は、共通テストに必要な暗記事項を一通り抑えておける参考書だ。
基礎知識があいまいな人は一回これを読んでもいいし、ある程度身についている人はこの本を復習に使ってもいいだろう。
共通テスト地理は暗記だけではないものの、勿論ただ単に問題演習を闇雲にするだけでも効果は得られない。
基礎知識と問題演習のちょうどいいバランスを自分で見つけ出そう。
共通テスト過去問の演習方法
さて、いよいよ共通テスト過去問の演習方法だ。
ここまで共通テスト地理についての傾向や参考書を見てきたが、実際に共通テスト過去問をやるときにも、効率のいいやり方がある。
効率のいい勉強法で勉強を行い、成績アップにつながるような勉強をしていこう。
共通テスト過去問はいつ頃からやるか?
共通テストは、二次試験の勉強もしながら対策していかないといけないから、始めるのが早ければいいかと言われるとそうでもない。
具体的には、12月上旬~年末までに5年~10年ほど、年明け~本番までに10年~15年ほどをこなし、合計15~25年分は演習を行うべきだ。
共通テストは慣れの部分もかなり多いため、問題演習の重要度はかなり高い。
あらかじめ予定を立てておいて、本番に間に合わないことのないようにしよう。
また、これらの開始時期はあくまでも目安である。
地理にがきらずある科目が苦手な人や心配な人は早めの対策を心がけると良いだろう。
また、二次試験で地理がある人は、もう少し早い段階で共通テストの点数がある程度取れていないといけない。
そのような人たちは、一度夏休みに対策して8月中に8割取れることを確認しておくと良いだろう。
まずは解いてみよう
共通テスト過去問のやり方、とはいってもまずは解いてみるしかない。
ただしこの時注意してほしいのは、時間を気にすることを忘れない、ということだ。
共通テストは時間との戦いだ。
どんなに知識があっても、時間内に解き終わることができなければ意味がない。
時間を意識して、必ず時間内に終わるように意識しながら問題を解いていこう。
解答を見るときは、「なぜ間違ったのか?」をチェック
問題を解いたら、次は答え合わせだ。
このときに重要なのは、単に間違っていた・あっていたを確認するだけではなく、間違った問題に対して「何がわからなくて間違えたのか?」また、あっている問題についても「自分が考えていた理由が解答の理由か?」をチェックすることだ。
共通テストは選択式問題だ。そのため、時になぜそれが正解なのかわからないまま正解してしまう場合がある。
本番ならそれでもいいが、せっかく過去問を演習しているのにそれで終わらせてしまっては何の意味もない。
だから、問題を解いていくにあたって、自分の解答の理由、「なぜこの解答を選ぶのか?」というのをしっかり考えておくのが大事だ。
間違えたところは、地図への書き込み・暗記ノートで対応!
さて、過去問を解いて、解答も見たら、次は復習のための準備をしよう。
まず、地図や地名に関することは、実際に地図帳に書き込んでおくといいだろう。
例えば、「イタリア北部では工業が盛ん」ということを忘れていた場合は、イタリアで工業が盛んな都市、ミラノ・トリノ・ジェノバについて蛍光ペンを引いて確認しつつ、その部分に付箋で「工業」と書いておくと思い出しやすい。
地図に書き込めないようなポイントは、別に暗記ノートを作り、それに書いておくとわかりやすい。
いずれにせよ、後で見返してみたときに自分が「なぜ」間違えたのかがわかるようにしておこう。
地図帳・暗記ノートはこまめに確認で間違いゼロに近づく!
ここまで、過去問演習を行い、自分が間違えた理由を見つけることで、自分がどんなところをわかっていないか、ということに気づけた。
次は、自分がわかっていないところをなくすための勉強をしよう。
ここまでの勉強で作った地図帳・暗記ノートは、各演習の度に一度は見ておきたい。
そうすることで、同じポイントで躓くことがなくなり、より効率的な勉強へとつながる。
自分の弱点を少しでも減らすような勉強を心がけよう。
まとめ
以上、共通テスト地理の過去問の傾向やオススメ参考書、実際に演習するときの方法について解説した。
共通テスト地理は、単なる暗記だけでなく、地図も使った整理と対策が必要となる教科だ。
大変に思えるかもしれないが、その分他の受験生と差をつけることも可能な教科なので、ぜひ勉強してほしい。
この記事で紹介した勉強法を使って、成績アップを目指そう!
また、共通テストは総合点で勝負する。
他の科目の共通テストの勉強法は以下のページを確認して欲しい。