東大受験はいつから勉強を始めれば良いのだろうか?
この答えは、正直いうと早ければ早いほど合格率が上がる。
中には中学生や少数ではあるが小学生のうちから東大を目指して勉強を頑張る人もいる。
これを聞くと、人によってはもう高校1年生や2年生になってしまい、それでも合格は不可能なのかと思ってしまうだろう。
しかし、実際は高校1年生や2年生から始めても東大に合格するケースは珍しくない。
逆に中学生から始めても、途中でモチベーションを維持することが難しくなってしまい、途中で中弛みをしてしまい残念な結果に終わる人もいる。
そこで今回はだいたいいつ頃から東大に向けた受験勉強を始めると合格する見込みがどの程度になるのかということ、さらに始めた時期別の勉強内容を解説していく。
勉強をする際に気をつけるべきポイントなども解説していくので、是非参考にして見てほしい。
始めるの定義
受験勉強を始めると言っても、人によってかなり定義が曖昧であるということはまず押さえておかなえればいけない。
人によっては、高校3年生から東大に向けて本格的に受験勉強を始めても間に合う人がごく稀にいる。
しかし、その場合は大抵
- 元々の地頭が良い。
- 受験を何度も経験しテスト慣れしている。
- 開成や灘などをはじめとする超進学校に通っており環境が味方してくれる。
- 学校の干渉が少ない。
などの、数々の要因によって、勉強開始時点で他の人よりもかなり有利にいる場合がある。
その場合は、実際地方の普通の中学からコツコツ勉強を進めている人と現状そこまで変わらない能力を有している可能性がある。
また、人によっては帰国子女で元々かなり英語ができるなどで勉強時間が大幅に短縮できる人もいる。
実際に東大には3%程度帰国子女がいると言われており、英語の勉強時間がなくなることを考えるとそれだけでかなり勉強時間が減る。
(筆者も帰国子女なので英語はほとんど勉強していない。)
逆に、例え中学から東大を目指すぞと自分で宣言したとしても、部活動や学校の干渉などによって十分受験勉強の時間が確保できなければ合格は難しくなる。
よって、ここでは東大生講師である筆者が個別に教えてきた生徒の中で比較的理想のペースで勉強を進めた場合の合格率について解説していく。
東大受験、いつから始めると合格率はどうなる?
それでは、いよいよ東大受験に向けた勉強をいつ開始するとそれぞれどれくらいの合格率になるのかについて解説していく。
小学生・中学生から:80%以上
小学生、中学生から東大を目指して勉強した場合は、合格率は80%以上となる。
つまり、ほとんどの場合かなり高確率で余裕を持った受験ができる。
ただ、中学生以前から東大に向けた受験勉強を始める場合はほとんどが中高一貫校に通っていることが多い。
公立の中学に通っている場合は途中で高校受験が入る。
東大に向けた受験勉強をしたくても、まずは高校受験の勉強という人がほとんどだ。
よって、中学から東大への受験勉強をする場合は中高一貫校に入っておいた方が断然有利だ。
勉強の深度も早く、大学受験に必要のない中学の勉強などもさらっと流すことができる。
また、人によっては部活や楽器などの習い事としばらくは両立させてスタートする人が多く、勉強だけ中学からやっている人は少ない。
高校1年生や2年生になると段々と受験勉強の割合を増やしていくのだ。
中学での勉強の貯金を作ったまま一気に高校1・2年生から勉強時間を上げることができるので、かなり有利に進められる。
高校1・2年生:40%~70%
高校生になってから、受験勉強を始めたとしても合格率50%以上を目指すことは難しくない。
人によってはさらに有利に勉強を進めることができる。
ただ、高校2年生と言っても夏以降に始めると50%以下に下回ってしまう場合があるので、高校1・2年生と一括りにしても、開始時期によって合格率は大きく変化する。
目安としては、高校2年生の頭からちょうど勉強を始めて50%となり、開始時期が前後すると合格率も上下する。
よって、公立高校でどうしても高校受験をしなければいけない人は、高校1年生に入ってからできるだけ早く始めると良いだろう。
ただ、中には高校2年生の夏以降から始めても合格する人がいる。
これらの人の特徴としては、
- 学校の干渉が少ないなど多くの勉強時間を確保できる。
- すでに数学または英語どちらかの基礎的な内容がある程度身についている。
- 勉強の優先順位を間違えない。
- 指示通りに勉強するのはもちろん、自分でも合格するための戦略を常に考えている。
などの特徴がある。
筆者が教えた生徒には、体が壊れる直前までかなりの勉強量を確保し合格した人もいる。
(体が完全に壊れ切っては、返って一定の期間勉強できなくなるので、合格の可能性が低くなる。体調管理を犠牲にしてまで勉強をしろというわけではない。)
ただ、かなりハードになるので、実際には高校2年生の夏までには本格的に勉強を始められるようにしたい。
ちなみに、部活動は高校2年生の夏で辞めるのが東大受験では当然である。
これも相当なポテンシャルを持った人は高校3年生まで部活動を続け合格するというケースも存在するにはするが、多くの場合は失敗するので、部活動は高校2年生の夏まで引退しておくことをおすすめする。
高校3年生以降:10%以下
厳しい現実ではあるが、高校3年生の頭から始めると体感としては、10%以下まで合格率が下がるイメージだ。
まず、東大の二次試験の倍率は平均すると3倍なので、3人に1人が合格するということである。
すなわち、合格率は平均して30%なのだ。
そして、合格者の枠は当然高校3年生以前から勉強を開始している人たちによって独占されるので、平均的な合格率である30%を下回るのだ。
こちらの記事には、具体的にいつから東大受験の対策をはじめたのか、合格者に向けたアンケートがある。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000069338.html
これによると高校3年生以降から始めて現役合格した人の割合は10%なのでこの数字はほぼ間違いないだろう。
後に詳しく解説するが、まず高校3年生の時点で対策を始める人は、10人に1人しか座れない極めて厳しい椅子取りゲームに参加しなければいけないということをまずは自覚してほしい。
浪人する場合は+1年換算できない!
最後に注意したいのは、浪人した場合についてである。
つまり、高校3年生時に東大受験を始めて、浪人して合格する確率は、高校2年生のときから始めて現役で合格する確率と等しくはならないということだ。
これにはいくつか原因がある。
まず第一に、現役時のときに即時点数につながる社会や理科などの科目の勉強をしてしまい、浪人開始時にすら英数の基礎ができていない人が多いからだ。
英数については基礎が仕上がってから、本格的な過去問対策を十分こなすために1年は必要だ。
つまり、浪人開始時に英数の基礎が仕上がっていないと、英数の過去問対策が間に合わず合格可能性が低くなるということだ。
もう一つは、高校の卒業により規則正しい生活を送ることができなくなる人が多いからだ。
浪人生になると、たとえ予備校に入ったとしても高校ほど授業への参加を求められないため、拘束力が弱まる。
よって、自由な時間が結果的に増えるわけだが、その自由な時間を誰しもフル活用できるとは限らない。
もちろん全員がそうとは言はないが、半数近くが浪人時の勉強時間を効率良く使えていないのだ。
浪人する際は、そのまま純粋に勉強時間が+1年になるわけではなく、むしろ+半年程度と見積もった方が良い。
浪人する際には、後半年このままの勢いで勉強を続けて、半年後に合格点を越えることができるかどうかということを真剣に考えた方が良いだろう。
理想の勉強のペースと注意点
先ほど、東大の受験勉強をいつから開始するのかによって3つに分けて見た。
この3つのグループごとに東大受験の理想的な勉強のペースと受験勉強をする上での注意点を解説する。
小学生・中学生からの場合
小学生、中学生から東大に向けた受験勉強の理想的なペースは以下のようになっている。
- 中学生まで:とにかく英数に絞って、先取り学習。他教科は学校についていく程度で良い。
- 高校1年生:高校1年生の終わり頃までに英数の基礎を固める。
- 高校2年生:高校2年生は英数は実践系の問題集をやり秋頃までに過去問演習に入る。それと同時に理科や社会の勉強を始める。
- 高校3年生:英数の過去問演習継続、理科や社会も過去問演習へ。そのほかの科目の勉強もそろそろ始め、東大模試でA判定を目指す。
このような流れで勉強しておくと良いだろう。
中学から、高校1年生までの勉強の間に幅があると思うが、これはその人が中学生の間にどの程度勉強できるかに依存し、早く進められるのであれば早い方がよい。
ただ、中には部活動や習い事と両立させながら進めたいという人もいる。
実際には、高校1年生の終わりまでに、英数の基礎が終わっていれば良い。
具体的に述べると
- 数学:青チャートの例題、練習問題が全てマスターできている。
- 英語:共通テスト8割以上、旧センターレベルの文法が網羅できている。
状態になっていることが、最低条件だ。
その後はかなり余裕のあるペースなので、早急に実践系の問題演習を終わらせて過去問に行くと良い。
また、注意点としてはとにかくモチベーションをいかに維持するのか工夫することである。
早期から東大を目指して脱落する一番の原因は中弛みによりモチベーションが維持できないことだ。
例えば、中学1年生からと東大を目指すも、中高一貫校で高校受験もなく、中学〜高校2年生まで部活動に打ち込みすぎてしまうということだ。
このようなタイプの人は理論的には高校2年生までに立ち直れば合格の可能性はまだまだある。
しかし、もともとノロノロと勉強する癖を数年間続けてしまっているため、なかなか復活することができない。
そして、気づいたときには時既に遅しとなってしまう。
高校受験のない、中学から高校2年生の5年間の間どのようにモチベーションを上げていくのかということを考えながら勉強に取り組んでほしい。
また、もう一つの注意点としては英数の先取り学習のペースについてである。
中学生というのはちょうど思春期もあり、脳が発達する途中段階にある。
よって、その発達のスピードに比べて早すぎるペースで勉強をしてしまい、結局しっかりと理解できていないまま進めてしまう人が多い。
そこで、英数の先取り学習をする際は、理解していないのに次に行くことがないように注意してほしい。
理解なしの先取り学習は結局時間の無駄になる。
中学生から始める分時間にはむしろ余裕があるので、ゆっくりと丁寧に理解しながら学習を前に進めていくと良いだろう。
高校1・2年生からの場合
高校1・2年生から東大受験の勉強を始める場合は、以下のようなペースで進められると理想的である。
- 高校1・2年生:とにかく英数に絞って、先取り学習。他教科は学校についていく程度で良い。高校2年生の終わり頃までに英数の基礎を固める。
- 高校3年生夏まで:英数の過去問対策を始める。理科や社会の勉強を本格化させる。
- 高校3年生夏以降:英数の過去問演習継続、理科や社会も過去問演習へ。そのほかの科目の勉強もそろそろ始める。
高校1・2年生から勉強を始める人たちは、中学から対策をしている人たちに比べると明らかに勉強に遅れをとっている。
よって、部活動や文化祭などの課外活動はあまり力を入れすぎずあくまでも勉強中心の高校生活を送ることが重要だ。
そして、学校の干渉がないかどうかもかなり影響する。
内職にかなり寛容な学校であれば、学校の授業時間中に黙々と勉強ができるので、かなり順調に勉強を進めることができるだろう。
課外活動や内職にも厳しい学校であれば、勉強時間の確保が一番のボトルネックとなる。
注意すべき点としては、学習した内容を人に教えられるよう言語化しながら勉強していくということだ。
中学から勉強を始める人は、中学入試を経験しているので、理解した内容を言語化して説明する能力に長けている。
それに対して、高校受験しか経験していない人たちはあまり言語化する能力が備わっていないあ場合が多い。
具体的には、数学の勉強の際にしっかりと日頃から記述答案を作成する癖をつけたり、英文法の勉強などでなぜその答えになるのか説明できるようにしたりすることが重要だ。
このようにペースも維持しつつ丁寧に勉強していくことが大切なのである。
また、勉強の優先順位を間違えず、正しいやり方で勉強をするということも非常に大切だ。
高校生というのは知的好奇心がどうしも旺盛になりがちで、好きな勉強をしてしまいがちになってしまう。
例えば、英数のどちらか一方に勉強量が偏ってしまったり、そのほかに好きな社会や理科の科目に集中してしまうということだ。
また、数学も面倒だからと記述を省いてしまったり、英語も文法の勉強になかなか手をつけなかったりするど間違ったやり方で勉強を進めてしまうケースがある。
本来であれば、自分で勉強法を考えて成功や失敗を繰り返しながら自身で勉強法をアップデートしていくのが理想的だ。
しかし、高校1・2年生からでは正しいルートで勉強し続けなければ時間がなくなり失敗してしまう。
よって、優先的に正しいやり方で勉強を進めるということが合格の絶対条件になってくるのだ。
高校3年生からの場合
高校3年生から東大に向けて勉強する人は、万が一今年度の受験がダメだった場合、合格したところにいくのか、それとも浪人するのかによって、大きく方針が異なる。
どおしても現役で受験を終わらせたい、終わらせなければいけない場合は、英数どちらか得意な科目と、理科もしくは社会の勉強を中心に勉強をしていくと良いだろう。
例えば、英語と数学のうち英語の方が得意であれば、英語と理科もしくは社会を中心に勉強する。
もちろん数学も0点では危ないので、最低限秋ごろまでに青チャートを終わらせるくらいはしておいた方が良い。
しかし、英数に比べて、理科や社会の方が直前で得点が伸びやすいのだ。
英語と数学どちらかを選ぶ際には、よっぽど数学が得意でなければ英語を選ぼう。
英語の方が数学に比べるとまだ勉強時間が少なくて済み、得点率も高いので得点源になれば総合点を大きく伸ばすことができる。
また、どれだけ東大の対策をするのかということも重要になってくる。
例えば、合格する大学のランクがどれだけ低くなってもできる限り東大に合格することだけを頑張りたいと思う人は、基本的に東大の対策をしていれば良い。
しかし、最終的に合格する大学が低くなるくらいなら、どこかで東大対策をやめて志望校を下げて、できるだけランクの高い大学に行きたいと思う場合は事情が違う。
東大対策がうまく進んでいない人ほど、東大を目指して勉強していれば、早慶くらいは引っかかるだろうと考えている人が多い。
しかしこれはとても甘い考えだ。
確かに、高校1・2年生から勉強を始め順調に勉強している人は、仮に東大にギリギリ落ちたとしても、早慶は対策せずとも合格するだろう。
ただ、そもそも東大対策が遅れて、合格率が低い状態の人はやはり早慶などの滑り止め対策をしっかりやっておかないとこちらも共倒れになる可能性がある。
また、英語など科目によっては試験の方向性が全く異なるので、東大対策をしたところで併願校対策に全く効果を発揮しない。
よって、東大がダメでも早慶などの難関大学にはどうしても受かりたいと考えている人は、夏以降どこかで早めに東大対策に見切りをつけて、早慶の対策をしっかりとやるようにしよう。
浪人覚悟で高校3年生から対策する場合は、基本的に英数中心に対策していこう。
確かに、理科や社会をはじめとした他科目のことも気になってしまうと思うが、仮に浪人したときに英数の基礎が終わっていなければ、合格率はかなり低くなってしまう。
イメージとしては、秋ごろまでに英数に絞り基礎を仕上げて、秋以降に他科目の勉強も少しずつ始めていこう。
また、浪人覚悟で東大受験の対策を始める人は、決して「もう1年あるから」と思わないことだ。
そもそも東大受験は、高校1・2年生までには勉強を始めるのがスタンダードな世界なのだ。
これで平均して多く見積もって50%の合格率になるわけだ。
つまり、浪人したとしても2人に1人以上は落ちる。
この事実を聞いて、余裕を感じる人はいないだろう。
以上まとめると以下のようになる。
<現役のみ>
- 高校3年生夏まで:英数の基礎(得意な方に比重をおく)と理科の基礎を猛勉強
- 高校3年生夏以降:基礎の仕上がった科目からすぐさま過去問演習へ
- 高校3年生秋以降:ここから東大対策を続けるか、併願校の対策にシフトするか決める。
<浪人前提>
- 高校3年生秋まで:とにかく英数に絞って基礎固め
- 高校3年生秋以降:徐々に理科や社会などの他科目の勉強を始める。
- 高校3年生共通テスト後:ここから過去問演習を始める。
まとめ
以上、いつ頃から東大に向けた受験勉強を始めると合格する見込みがどの程度になるのかということ、さらに始めた時期別の勉強内容を解説した。
それぞれの時期とその合格率をまとめると以下のようになる。
- 小学生・中学生から:80%以上
- 高校1・2年生:40%~70%
- 高校3年生以降:10%以下
まず東大受験の対策は早くに始めるに越したことがない。
その上で、小・中から始める人は中弛みしないようモチベーションを維持することを第一に考えよう。
また、少なくとも高校2年生になったころまでに東大対策を始めると、比較的合格率が高くなる。
是非、早めの対策を心がけてほしい。