例年この8月の第1週、第2週あたりに実施されるのが、東大模試の中でも最も有名な模試のうちの一つである東大オープンこと「東大入試オープン模試」だ。
年に2回実施され、第一回は8月上旬、第二回は11月となっている。
しかし、この模試は答案が返却されるのが1ヶ月半から2ヶ月程度かかってしまう。
みなさんも模試が返却されたころには自分が受験していた時の記憶が全く残っていないという経験があるだろう。
ある程度一般的な記述模試であればまだしも、これは東大模試である。
できれば、しっかりと自分の答案を確認しつつすぐに復習したいという人もいるだろう。
そこで、東大オープンを効率的に活かすための復習方法を現役東大生が徹底解説する。
東大オープンとは
まず、東大オープンがそもそもわかっていない人のために東大オープンがどのようなものかを説明しておく。
実際に受験した人や、そんなこともうわかっているという人はこの部分は読み飛ばしてくれて大丈夫だ。
東大オープンとは河合塾が実施している最も有名な東大模試のうちの一つで通常8月上旬、11月上旬の年2回行われる。
科目も試験の問題形式、試験時間全て東大の実際の入試と同じだ。
つまり2日間かけて行われ、1日目には国語と数学、2日目には理系は理科と英語、文系は社会と英語を受験する。
もちろん英語にはリスニングもあり、本番と同じく試験開始45分後に始まる。
問題も東大の入試問題と似ている部分もあり、難易度も東大入試から考えると標準的である。
ただ、英語や物理が少し難化しやすいことと、たまに東大入試の問題に似ていないもの、東大は出題しないであろうものも混じっている。
あくまでも似ているというだで、全く同じではないのだ。
東大オープンで大切なのは成績よりも復習
どの先生や先輩方もおっしゃることなので受験生には耳にタコができるほどきいているかもしれないが、当然東大オープンでも復習は大切である。
どれだけ自分が取れたのかというのは、自分の今の立ち位置を把握するのに役立ちはするもののそれだけで何も成長はしない。
自分ができていない問題を復習して解けるようにすることによって成長していくのだ。
しかし、東大オープンの答案が返却されるのは先ほど申し上げた通り1ヶ月半から2ヶ月後のことである。
そんな後になってから答案をもらったところで、当時自分がどのように解いていたかという記憶がはっきり残っているという人は少ないだろう。
よって、しっかりと復習することができない。
さらに、仮にそれでも復習をやろうとしても問題をもう一度読み直さなければいけなかったり、もう一度自分で解き直してみたりと時間がかかってしまう。
答案が返却されてから復習するのはあまりに非効率的であり、モチベーションも上がりにくいのだ。
しかし、ここでもし東大オープンを受けた翌日に答案が返却されて復習ができるとしたらどうだろうか?
問題を解いた時の状況や自分がどのような答案を書いたのか、もしくは書いたつもりだったのかより正確に記憶できているため復習するのに時間がかからないだろう。
問題を読み直し思い出す時間も必要ではなくなってくる。
さらに、受験したばかりなのである程度モチベーションを保って復習することもできるだろう。
よって、今回はこの東大オープンを受験した翌日くらいに素早く復習してしまう方法を紹介する。
東大オープンの受験の仕方
翌日に復習するためには、自分の答案が翌日に手元にないといけない。
しかし、実際は答案が自分の手元に返ってくるのは、1ヶ月半から2ヶ月後である。
よって、しっかりと受験している際に解答を自分である程度メモっておくことが大切なのだ。
ただ、全てをメモるのは非常に大変である。
それに実際の試験では問題の答えをメモっている暇などないので、試験の成績に影響を与えない程度にとどめておく必要がある。
ここでは、各科目どのように受験し、その際にどのように解答を写していくのかについて解説する。
国語
国語に関しては、ほとんどすべて記述問題である。
そして、記述問題に関してはしっかりとした根拠を持って答えを書くことができていれば、ある程度は自然に覚えることができる。
逆にいうと覚えていないということは根拠もなく当てずっぽうで書いているということになる。
よって、記述の部分はメモを取る必要はない。
記憶に残っている部分を家に帰ったら書いてみて、記憶に残っていないところは全部不正解という扱いにしてしまえば問題ないだろう。
国語終了後はお昼休憩を含めた長い休み時間があるので、心配であればそこである程度メモっておくと良いだろう。
ただし、数学も控えているので、時間をかけすぎず休憩はしっかりとってほしい。
漢字だけはメモを取る時間もそこまで必要ないので試験時間中に移しておくと良いだろう。
数学
こちらも記述を丸ごと写すのはかなり時間もかかり、ナンセンスである。
よって、自分の導出した答えだけメモっておけば良い。
その答えに至る道筋は、論理的なものであればしっかりと記憶に残っている。
こちらも家に帰ったらメモした答えをもとに、記述を再現すると良い。
理科
理科に関しては、大きな論述はなく、あくまでも多くの問題を解いていき答えを計算して導出する。
こちらも数学と同じく答えだけを問題用紙にメモっておこう。
こちらは数学に比べて問題数も多いので、しっかりメモっておかないと自分がどのように答えたのか忘れてしまう。
記述の部分は数学と比べて少ないだろうが、こちらも論理的であればしっかりと覚えているものなのでメモる必要はない。
社会
世界史の第一問のような大論述をそのままメモを取ることは不可能だ。
よって、これもメモを取る必要性はない。
根拠のある答案を書くことができていれば自然と覚えているものである。
ただ、文章が大論述は長いので、ある程度論述の枠組みを図などを用いて書いておくとあとで思い出しやすいだろう。
また、小問集合など、数単語程度で答えられるような問題は、後で思い出せなくもないが、余裕があればメモって置けると良いだろう。
英語
英語は、選択問題と記述問題に大きく分かれる。
選択問題に関しては、メモるのにそこまで時間がかからない。
共通テスト模試などのマークもしで散々慣れているだろうから、選択問題は基本全てマークした記号をメモっておくと良いだろう。
記述に関してだが、要約と和訳、小説の記述は先ほどと同様である。
ある程度根拠を持って書くことができていれば1日で忘れることはないので、メモを取る必要はない。
英作文、和文英訳に関しては、自分の言語ではないということもあり記憶するのが難しいという人もいるだろう。
さらに、内容よりも表面的に英語そのものが書くことができているかどうかも重要な採点要素になるので、一語一句覚えるのは相当難しい。
ここはある程度割り切って忘れたら忘れたで仕方がない。
どのみちネイティブチェックでもしない限り自分でも正確な採点はできないので、こちらは答案が返却されるまで待つしかないだろう。
ただ、たまに内容が難しいものが要求されてしまい、条件に合わないものを書いてしまう人がいる。
自分の答案の内容くらいは覚えているので、模範解答を見ながら、内容が適切だったかは翌日でも復習することができるだろう。
家に帰ってきたら
家に帰ってきたら、真っ先に再現答案を作ると良い。
先ほど、メモを取ることができないと述べた記述の部分を自分で思い出しながら作っていくのだ。
これは、あくまでも再現答案でその場で新たに発見したことはもちろん答案には盛り込んではいけない。
できるだけ、試験の場で書いた答案を再現するように心がけよう。
先ほども述べたように、英語の英作文と和文英訳だけはどうしても正しく再現することは不可能だ。
こちらに関しては、同じ内容であとで自分でリライトしてみると良いだろう。
試験の場よりは上手に書けるかもしれないが、どのみち答案は帰ってくるのでその時に実際にこれらを比べて見直せば良い。
復習については、試験当日にはしないことをオススメする。
特に1日目はまだ2日目の理科、社会、英語を控えているので、再現答案だけ作ったら、できるだけ早く休憩して、軽く次の日の教科の勉強をして寝ると良いだろう。
2日目も相当疲れているだろう。
東大の試験は長丁場で難問を長時間で大量に処理していくので、自分が思っている以上に疲れる。
2日目も再現答案を作ったら、復習を直ちに始めるのではなく、次に日から始める意識で早めに休むと良いだろう。
翌日から復習
翌日から復習を始めよう。
基本的に過去問を解いた時の復習方法と変わらない。
自分が作った再現答案をまずは自分で採点してみるところから始めよう。
模範解答と解説は模試が終わったら配られるのでそれを参考にすればある程度は採点することができる。
そして、間違えているところ、解けていないところを徹底的に復習するのだ。
今まで解いた中で関連のありそうな過去問があればこちらも合わせて解いておくと良い。
そして、採点し、個々の問題の復習が終わったら、もう一度試験と同じ時間で一気に解き直してみると良いだろう。
この際できるだけ満点を目指すことが大切である。
逆にいうと解き直しのときに満点が取れるようになるくらい厳しく復習しておくことが大切なのである。
少し厳しいかもしれないが、東大にはこういう地味な作業をいかに完璧に日々こなしていけるかによって合否が大きく分かれる。
この復習がとても大切なので、絶対に怠ることのないようにしてほしい。
答案が返ってきたら
翌日から復習を始めれば、それで終わりというわけではない。
せっかく答案が返ってくるので、それをチェックしないのは勿体無い。
しかし、答案の全てをチェックしてもう一度復習をし直す必要はない。
必要なことは、自分が模試の直後に作った再現答案と返却された答案を見比べることだ。
ここで、明らかに間違っていたのに、再現答案で正しく書けてしまっており見落としてしまった部分の復習である。
また、英作文や和文英訳は自分の書いた答案を正確に再現しにくいので、ここでチェックし復習しよう。
ただ、どの模試もそうであるが、英作文や和文英訳は採点者によっては採点がまともでなかったり、なぜ引かれているのかわからなかったりする。
学校のネイティブの先生など英語のライティングに精通した先生にしっかりとチェックをしてもらった方が良いだろう。
判定や成績について
判定や成績についてどうしても受験生であれば気になってしまうところである。
しかし、この判定や成績は2ヶ月以上前の物であるので、現在の自分の立ち位置を全く表していないということを忘れないでほしい。
受験生の中にはA判定がとれたからと喜んで、その後の勉強が緩んでしまったり、D判定だったからと落ち込んで勉強が手につかなくなってしまったりする人がいる。
しかし、あくまでも2ヶ月前の自分の成績を表しているに過ぎない。
2ヶ月もあれば各教科過去問を8年分程度回すことができ、やり方によっては自分の実力をだいぶ伸ばすことができる。
また、逆にこの間気が緩んでしまいサボってしまうと、その時の成績が良くても現在は周りと差がつけられていて、その成績よりも低い位置にいるということも十分考えることができる。
あくまでも2ヶ月前の自分の成績に左右されないように気をつける必要があるのだ。
まとめ
今回は、東大オープンの受験の仕方とその後の復習方法を徹底的に解説をした。
東大オープンに限らず模試において大切なのは成績や判定よりも復習である。
自分ができていないところを炙り出して、できるようにしていけば、どんどん成長していく。
これを効率的にに行うには再現答案の作成と翌日からの復習が不可欠である。
そして、答案が返却されてからの適切な復習も忘れないようにしよう。
成績や判定が良かった人も悪かった人もあくまでも2ヶ月前の自分であるということを忘れず、一喜一憂せず頑張ってほしい。