大学受験.netは東大・医学部などの専門オンライン塾 赤門アカデミーが運営するメディアです。→赤門アカデミー公式

共通テスト対策、いつから始める? 志望校によって適切な時期は変わる!

大学受験においてそうそう避けては通れない、共通テストという大きな壁。

地方国立大志望も、早稲田・慶應をはじめとする難関私立大学を志望する者も、東大・京大などのトップクラスの国立大学を志望する者も、みな等しく同じ日に同じ問題を解かなければならないというとんでもイベントである。

 

かといって全ての受験生が同じやり方で共通テストの対策をするべきなのかというと、決してそうではない。

最終的に出願する大学に応じて、共通テストの受験必須科目・点数圧縮・配点比率・目標点数などが大きく違ってくるからだ。

例えば早稲田や慶應は、共通テスト利用入試だと共通テストの点数のみで合否が判定される。

しかし東工大では、共通テストによる第一次選抜、いわゆる「足切り」があるものの、それさえクリアしてしまえば後は二次試験の得点だけで勝負することになる。

つまりこういった入試の形式の違いに応じて、共通テストの重要度・要求されるレベルも当然変わってくる。

極論を言ってしまえば、早稲田や慶應は共通テストばかりみっちり対策しておけば合格できるわけだし(ただし一般入試に比べて相当に狭き門ではある)、一方で東工大を受験するなら、共通テスト対策はほどほどにして二次試験の対策に時間を割いた方が良いだろう。

 

そして受験生はこれらを正確に見極めて、本番までの限りある時間のうちどれくらいを共通テストの対策に充てるか、いつ頃から共通テスト対策に集中するかを決めなければならないのだ。

とはいえそのへんを自分で責任持って決めるように言われても、そもそも大学受験の経験がないんだからわからないとしか言いようがないだろう。

そこで本記事では、志望する大学のレベル・カテゴリー別に、共通テストの対策をいつ頃から・どの程度しっかりやればよいのか、詳しくアドバイスしていこうと思う。

 

この解説は、逆にまだ志望校を決め切れていない人にとっても一つの指南となるかもしれない。

志望校を共通テストの採用形式によって選り好みするのも、場合によっては正解だったりするだろう。

読者のみなさんには是非とも、この記事を参考にして共通テスト対策を賢く効率的に進め、無駄なく合格を勝ち取って欲しい。

目次

①地方国公立大学志望の場合

一概には言えないが、各都道府県に1つは存在するタイプの地方国公立大学は、入学試験で共通テストの比重を大きくする傾向がある。

特に地方国公立大学の医学部を受験する場合、共通テストの配点が高い上にハイレベルな争いをしなければならないので、必然的に共通テスト対策を念入りにやらなければならなくなる。

一方で二次試験は難易度・ボリューム的にさほど重いものではないことが多く、ほとんどの場合スタンダードな形式・内容のものが出題される。

共通テストに向けてばっちり対策すれば、二次試験にもある程度は太刀打ちできるようになる。

そこで地方国公立大学志望の受験生は、夏休みが終わったあたりから共通テストの形式に絞って演習を重ねるべきである。

二次試験の対策は、最低限共通テストが終わってから二次試験までにみっちりやりこなせばなんとかなる。

もちろん時間に余裕があるのであれば、二次試験を見据えた問題演習を秋頃からやるのも良いが、過去問を使って本格的に対策するのは共通テスト本番の後でいいだろう。

地方国公立大学の特に医学部などは、下手すれば東大や京大といった難関大学よりも共通テストの点数が必要になってきたりする。

だからこそ最優先で共通テストを片付けるのが、合格への最短ルートなのだ。

もっとも、共通テスト対策を高校2年生までに進めておいてしまうと後々大変楽になる。

よって、この記事を読んでいる高校1年生・2年生はなるべく早く高校範囲の勉強を一通りやり切り、共通テストを見据えた問題演習を始めるのが最良である。

②私立大学志望の場合

私立大学、特に早稲田・慶應上智、MARCHなどを志望する受験生はさらに二種類の傾向に分類される。

一方は私立大学専願などで、一般入試のみを受験する場合。

もう一方は国公立大学を併願するなどで、共通テスト利用入試を受験する場合である。

私立大学の一般入試では共通テストは全く無視されるか、例えば文系学部なら数学だけなどごく限定的な指定をされることがほとんどである。

そのため、私立大学の一般入試のみを受験する場合は、最初から最後まで大学ごとの一般試験対策のみをすれば良いということになる。

しかも早稲田・慶應ともなるとしっかり過去問研究をする必要が出てくるので、早めに志望校の形式・内容に絞った演習に取り組むべきである。

それとは正反対に、私立大学の共通テスト利用入試は、個別試験は課されず共通テストのみで合否の判定が下されることが多い。

しかも合格水準はかなり高く、東大に合格した人でも実は早稲田の共通テスト利用入試には落ちた、なんてことはざらにある。

だから私立大学を共通テスト利用入試で受験する場合は、なりふり構わず共通テスト対策に時間を割いていくべきなのだ。

とは言っても、共通テスト利用入試だけ受験してどうにかしようなんて考える受験生はまずおらず、ほとんどが国公立大学や私立大学の一般入試を併願することになる。

難関国公立が第一志望で、私立を滑り止めとして併願する人が、私立の入試を直接受けに行かなくて良いように、共通テスト利用に出願するケースがほとんどである。

共通テスト当日にうまくいけばラッキーくらいな気持ちで出願している人が多いので、共通テスト利用一本に絞るのは非常に危険である。

よって、共通テスト対策の比重はある程度は必然的に大きくするべきだが、それでも併願する大学の難易度などと相談して、時間配分を決めなければならないと言える。

③東大、京大以外の旧帝大などの難関国公立の場合(共通テスト : 二次試験 = 1 : 1 ~ 1 : 2)

次に解説するのが、東大、京大以外の旧帝大などの難関国公立についてだ。

ここで取り上げるのは、共通テストと二次試験の配点の比率が1 : 1 ~ 1 : 2になっている大学である。

ここからが、共通テストと二次試験の勉強の比率をどのようにするか悩ましいところになる。

というのもこのクラスの大学は二次試験がかなり難しいものになっているので、普段の勉強は二次試験に重きをおかざるを得なくなる。

しかし、配点の比率が1 : 1 ~ 1 : 2では共通テストの点数がかなり合否に与える影響が大きくなる

これは、1 : 2に大学でも同じことが言える。

二次試験は通常難しいので、得点率がおよそ6割程度になる。

しかし、共通テストは対策次第では8割以上得点することが可能である。

つまり配点の比率が1 : 2程度であれば、自分の共通テストと二次試験の得点率はほぼ同じになってしまうのだ

よって共通テストの勉強も少しずつしておかなければいけない。

ここでおすすめするのは、高校3年生までの夏休みまでに志望校の合格に必要な共通テストの点数を一旦確保しておくことだ

そのためには、二次試験の勉強を中心にしつつも高校3年生の初めから少しずつ共通テストの勉強もしておく必要がある。

そして、マーク模試などを受けてみて、点数が足りなさそうであれば夏までは共通テストのウェイトを増やして勉強していこう。

このようにして8月までに志望校に必要な共通テストの点数が取れていると、9月以降は二次試験の勉強に専念することができる。

そして、11月から再度共通テストの勉強を少しずつ始め、12月からは共通テスト中心の勉強に切り替えるのだ。

もちろん二次試験の勉強がそもそも高校3年生の頭からしっかりと進められていないといけないが、このようにしておくとどちらかを極端に失敗するリスクを極力減らすことができる

④東大・京大・東工大・一橋などの難関国公立の場合(共通テスト : 二次試験 = 1 : 3以上 )

最後にお話しするのが、東大や京大、東工大、一橋大学といった日本でも超一流の難関国公立大学の場合である。

このような大学は共通テストと二次試験 の配点比率が、1 : 3以上であることが多い。

また、京大などは二次試験では扱わない一部の科目のみを得点として使ったり、東工大のように足切り以外では合否に全く使わない大学もある。

難易度が高いだけに当然といえば当然だが、このような大学をを志望する場合、最も共通テスト対策と二次試験対策へのリソース配分が難しくなってくる。

二次試験は大変骨のある難問揃いで、特化した対策をおろそかにしているとまず合格は見込めない。

そのくせ共通テストを用いた第一次選抜、いわゆる「足切り」の基準もそれなりに高いため、共通テスト対策を軽視していると思わぬ形で足元をすくわれ、二次試験を受験さえできないなんてことになりかねない。

東大・京大・旧帝大などを志望する場合、そのジレンマにどのあたりで折り合いをつけるかというのが大きな問題となる。

それに対する考え方としては、「いかに共通テスト対策を効率よく必要最低限で済ませ、二次試験対策に時間を回せるか」という方針が適切だ。

単純な言い方をすると、二次試験対策はいくらやっても足りない、いくらやってもやりすぎるということはない。

一方共通テストは、東大・京大・旧帝大などに合格するほどの力がある受験生なら、ほどほどの対策で必要最低限の点数を確保することができるからだ。

具体的にだいたい11月から遅くとも12月頭までには、共通テストに特化した対策を始めた方が良いだろう。

これを基準として、自分自身の共通テスト形式に対する得意不得意によって調整することをオススメする。

例えば、二次試験型の数学の問題は得意だが共通テスト型の数学は苦手だという人をよく見かけるが、そういった場合は9月あたりから少しずつ共通テスト型の問題集の演習を始めておくと良いだろう。

理系の学生の古典や社会、文系の理科などは12月から始めても問題ないが、よほど心配であれば、夏休みのうちに他のメインの科目の休憩として勉強しておくのも良い。

そして、11月までには各大手予備校の大学別模試が行われるので、それを受験して後日解き直し・復習したところで二次試験対策に一区切りをつけ、共通テスト対策に移行していくのが良い。

とはいえ共通テストの成績は受験者の実力を想像以上にしっかり反映するし、共通テストで高得点をマークした受験生の方が二次試験でも成功しやすいのは確かだ。

そういった観点から見れば、共通テストの結果で自信をつけるためにもしっかり対策をするに越したことはない。

筆者が思うに一番大切なのは「切り替え」だ。

つまり二次試験の対策をするときは二次試験へ、共通テストの対策をするときは共通テストへ適切に対応した教材を使い、それぞれにおいて集中して実力をつけるのが効率的なやり方である。

まとめ

ここまで志望する大学に応じて3つの場合に分け、共通テスト対策におけるオススメの方針を述べてきた。

しかし世間にはこの3つの枠に入りきらないような大学もたくさんある。

例えば前述したように東工大は足切りの点数が他の難関国公立大学に比べて極端に低く設定しているので、共通テスト対策は最小限で良いだろう。

このように、本記事で述べてきたことはあくまでも参考程度にして、各自が自分の志望校に合った勉強計画をきっちり立てるようにして欲しい。

もちろんその際には、初めに志望校の入試の形式について、正しい情報を仕入れておくことが不可欠だ。

優秀な受験生は勉強自体のみならず、勉強の計画も賢く立ててそれをしっかり遂行できるものだ。本記事を読んでくれたみなさんにも、是非とも先を見据えた勉強方針を立てるよう心掛けて欲しい。

目次