共通テスト地理といえば、文系のみならず理系であっても多くの人が受験する科目であり、共通テスト高得点を目指す人であれば押さえておきたいポイントの一つだ。
そんな共通テスト地理の中で、多くの人が苦手になりがちな分野がある。
それが、地誌だ。
地誌はほかの地理の問題と比べて何を問われているかがわかりづらかったり、参考書をしっかり見ておいたはずなのに初めて聞くような知識が問われたりと、苦手になるようなポイントが多い。
地理をある程度勉強している人でも、「地誌は勉強法がよくわからないから・・・」と敬遠してしまい、なかなか成績が伸び悩んでいる人もいるのではないだろうか?
しかし、逆に考えてみてほしい。
その分野を苦手な人が多いということは、その分野を攻略することで周りの人と大きく差がつけられるということでもあるのだ。
今回はそんな共通テスト地理の地誌について、共通テスト9割獲得するための勉強法を現役東大生が解説していく。
共通テスト地理の勉強法をしっかり押さえて、共通テストで高得点を目指そう。
共通テスト地誌の傾向
ここでは、まず共通テストの地理における地誌の傾向を解説していこうと思う。
この賞をしっかり読んで敵をよく知ろう!
そもそも、地誌とは?
まず、地誌とはなんだろう?
地理において、多くの参考書や教科書は、「地域」ではなく、「系統」によって分けた書かれ方をしている。
例えば、「工業」や「農業」のような分け方で書かれている場合は、書いてある内容は一つの地域ではなく、さまざまな地域にまたがって一つの内容が書かれている。
これは「系統地理」という分け方で、この名前はもしかしたら聞いたことがあるかもしれない。
このように、やっていることの種類によって分けられている地理の内容を、今度はそれぞれの地域に分けたものが「地誌」である、という考え方がある。
暗記しようとしない
地理は比較的暗記が少なくて済む科目と言われている。
その分高得点を安定して取ることが難しい科目のうちの一つである。
逆をいうと、暗記だけに頼っていては9割のような高得点を取ることは難しいということだ。
その典型が地誌である。
よく、地理が苦手な人の話を聞くと、「初めて見た地誌の問題が出題された。」「二つの地域についての知らない知識聞かれて答えられなかった。」などという声が多い。
しかし、これらは知識力を問う問題なのだろうか?
このような初見の地誌の問題は実は地理が得意な人にとっても始めて見る問題であることが多い。
よって、系統地理などの今まで学習した知識を使って、推測することが要求されている問題なのである。
このように、近年の共通テストでは、このように初めて見る問題が出題されやすい傾向にある。
よって、全ての地域のすべてのデータをただ闇雲に暗記するのではなく、推理力を鍛えていく必要があるのだ。
ただし、地誌では宗教や生活文化について触れられることが多く、これらについては系統地理の知識だけを学んでいても太刀打ちできない。
地誌ならではの知識も必要なので、ある程度の暗記も必要であるということは押さえておきたい。
世界地誌と比較地誌
ここまで地誌そのものについてみてきた。
ところで、共通テスト地誌と一口に言っても、その内容は大きく二つに分けられる。
世界地誌と比較地誌だ。
世界地誌は各地域の特徴について問われる問題で、生活文化やその地域の地形的特徴について問われる。
これに対して比較地誌は、一つの地域だけでなく、複数地域を比較した問題が多くなっており、ここ数年ほど共通テストで出題されている問題形式だ。
少し前の問題になるが、例えば2017年度のセンター試験では、インドと南アフリカ共和国を比較する問題が出題された。
ただし、先ほどから述べているように比較地誌について新しく知識を導入する必要性は全くない。
もちろん二つの地域の知識は利用していく。
それだけではなく、2つの地域を比べているわけなので、何か比べるテーマがあるはずである。
そのテーマに関連するような系統(地形や気候など)から答えを推測するのである。
よって、比較地誌の対策として新しい勉強を何かしなければいけないというわけではなくむしろ、従来通りの勉強をより徹底することが効果的なのである。
共通テスト地誌の勉強法
共通テスト地誌について、その特徴や出題傾向を見てきた。
共通テスト地誌はほとんどが系統地理でも問われている問題であり、変に身構えずに問題を解いていくことこそが重要だ。
しかし、事前の準備は地誌にとって必須だ。
なぜなら、地誌でしかとわれない知識、および出題形式というものがあるからだ。
ここでは、共通テスト地誌について、具体的にどのような方法で勉強を行っていけばいいかを解説していく。
ここで解説する勉強法を使って、さらなる成績アップにつなげてほしい。
基本的に系統地理をやってから
先ほどから述べていることだが、共通テストの地誌では、知識が問われる問題というよりも、知っている知識を総動員して答えを推測することが要求されている。
よって、系統地理の知識面をまずは完璧にすることが大切になってくる。
特に、大地形と気候区分は最重要である。
この2つの系統から農産物、発電方法など様々なことを予測することができる。
中学での地理は大まかに日本の地域ごとの地理、つまり日本の地誌がメインになるので、どうしても先に地域ごとで覚えたがる人が多い。
しかし、地誌は暗記ではなく推測で解くというセオリーを大切にするのであれば、系統地理を先にマスターしておくことは必須なのだ。
白地図を使うことでさらなる理解に!
地誌の学習で特に気を付けたいのが必ず白地図による復習を行うところだ。
なぜならば、地理の学習では用語や数字などの文字情報の暗記よりも、どのあたりまでがどの気候区分なのか、どういう地形なのかという図の暗記が重要だからである。
文字情報の暗記であれば、繰り返し頭の中で唱えたり、問題を通して学習したりすることも有効である。
しかし、図の暗記はこれだけでは不十分になる。
そこで、白地図を用いて自分で学習したテーマをまとめるということが大切なのだ。
これは地誌だけではなく、系統地理を学習するときも有効な学習方法なので是非活用してほしい。
また、白地図は過去問演習の復習にも非常に効果的である。
自分の解いた問題を復習していくときにも白地図を使いながら、自分が間違えてしまったポイント、また自分が重要だと感じたところを整理することで復習の効率がかなり上がる。
地誌の勉強においては特に、世界地図の白地図ではなく国・地域の白地図を使うことでよりまとめやすくなるだろう。
(系統地理の場合は逆に世界地図を使うと良い。)
例えば「季節風の影響を受けやすい地域」について、夏・冬で季節風の影響をどのように受けるかを白地図にまとめてみることで、格段にその分野について理解できるようになる。
これは、共通テスト比較地誌で高得点を目指すだけでなく、二次試験でも使うことのできる勉強法なので、ぜひ覚えておきたい。
基本は過去問演習
さて、とはいっても基本は他の共通テスト地理の問題と同じく、過去問演習を行っていく。
地理の過去問演習については、当サイトの別記事で詳しく解説しているので、そちらを参照してほしい。
東大生直伝!9割を目指す共通テスト地理過去問勉強法を徹底解説
過去問演習は地誌だけでなく地理全体として必須の勉強法なので、上の記事を参考にしっかり取り組もう。
このページでは、過去問演習の中でも地誌において気をつけてほしいポイントを解説する。
復習時は解答プロセスを大切に
地誌の演習において最も大切なのが、解答プロセスである。
地誌は暗記ではなく推測だというのはもう既に口が裂けるほど述べていることがだが、これは復習時に解答プロセスまで検証しないと意味がないということである。
よくありがちな間違った勉強法としては、答えの暗記である。
もともとその知識を知っている前提で出されていないわけなので、答えを暗記することよりも、どのような知識を使ってどのようにその解答に辿り着いたのかを覚える必要があるのだ。
そこで、大元の知識が欠如していた場合にその知識を暗記することが大切なのである。
また、中には答えの正誤だけ確認して解答プロセスが正しかったかどうかの確認をしない人もいる。
このようにしてしまうと、単にヤマカンで当てた問題や健闘はずれな推測がたまたま当たった問題などの復習もできなくなってしまう。
いくら答えが正しくても、解答プロセスが間違っていた場合は、間違っている問題と同様の復習が必要になる。
すべての解答プロセスをチェックするのは時間がかかるので、あくまでも自分が怪しいと思っている問題を中心に解答プロセスを確認しよう。
センター試験の過去問も活用しよう。
共通テストの過去問は追試験や試行調査を合わせてもせいぜい8回分程度しかない。
そこで過去問演習をするに当たって問題数に困ってしまうこともある。
中には、予備校の予想問題集などを使う人もいるが、それよりも前にセンター試験の過去問も使ってほしい。
共通テストとセンター試験とでは問題の形式や難易度が少々ことなるものの、本質的な問題の方向性は全く変わらない。
そして、センター試験の過去問は良問が揃っているので、大変参考になる。
是非、センター試験の過去問は活用してほしい。
使う年度には注意
これは、地理特有の問題であるが、あまり古すぎる過去問は逆に使い物にならない。
というのも古すぎると現在のデータと違うものが出題されるからだ。
よって、どこまでセンターの過去問を遡るかというのも注意しなくてはならない。
目安として、過去5年分ほどまでは比較的最近のデータと同じものが出題されやすい。
それだけでは足りないよという人は、遡ったとしても、10年前までにしてほしい。
これ以上昔になると、正直予備校の問題を解いていた方が遥かにためになるので、あまり遡りすぎないよう注意してほしい。
おすすめ参考書
さて、以上のように過去問演習についてみてきたが、地誌がどうしても苦手で、重点的に対策をしたい、ということもあるだろう。
また、ある程度は地誌特有の知識が必要になってくる場面も出てくるのは事実である。
そんな人のために、おすすめできる参考書をまとめておいた。
過去問演習だけでは物足りない人、そもそも地誌の知識が不足していそうな人は、ここで紹介する参考書を使ってさらなる成績アップを目指してほしい。
「村瀬の地理Bをはじめからていねいに 地誌編」は、東進の人気講師によって書かれた参考書で、高い評価を得ている。
カラーの地図・資料に加えてわかりやすいレイアウトが採用されており、地誌用の参考書で迷ったらまず考えてほしい一冊だ。
まず一回読んでみて、それから必要に応じて自分の苦手範囲を復習していくとよい。
次に、「地図と地名による地理攻略」は、名門河合塾から出ている参考書だ。
これは地図帳に受験で使える重要情報などが掲載された、いわば「受験特化型地図帳」で、特に地図を使った問題が苦手な人にぜひおすすめしておきたい一冊だ。
白地図を使った復習と並行してこの本を使うことによって、より地図上での地理的知識の理解が深まる。
ただし注意しておきたいのが、残念なことに改訂が2007年とやや古く、最新の情報とはいいがたい。
一般的な地図帳と併用して、適宜情報を確認しながら使用していくのがよいだろう。
その他にも地誌の参考書はあるが、地誌はあくまでも参考書学習をするというよりも、問題演習を積んで、正しい解答プロセスをマスターする方が早道である。
よって、ここでは最小限の紹介ということで、以上2冊にとどめておく。
是非、参考にして使ってほしい。
まとめ
以上が、現役東大生が共通テスト地誌について、9割を獲得するためにその傾向や勉強方法について解説した。
この記事で押さえておいてほしいのは、地誌は暗記ではなく推測であるということである。
よって、勉強するときも知識を補充するのではなく、推測のやり方、解答へ至るプロセスが正しいものかどうかを検証することが非常に大切になる。
その上で大元の知識が不足していればそれを補っていく必要があるのだ。
共通テスト地誌は苦手になりやすい分野だが、その分得意分野にすることでほかの受験生と差をつけられる分野でもある。
今回紹介した勉強法・参考書を活用して、共通テストで高得点を目指そう!