東大の二次試験は二日間にわけて行われる。

一日目が終わり、二日目の午前に文系ならば社会科の試験が行われるわけだ。

社会科の試験は選択した二題を時間内にどちらも解いていくこととなる。

この記事では、そんな社会科から、地理について各大問の解説を行う。

また、受験生が必ず見るものとして、問題だけではなく各予備校の解答があげられる。

それぞれの予備校の解答は確かに参考になるものだが、時折あまりふさわしくないものもみられる。

そんな予備校の解答速報もこの記事で合わせてコメントして行きたい。

今年度の東大入試をしっかり見直そう。

総評

今年の東大地理は、やや難化したといえる。

選択問題では島を形から判別する問題が難しく、受験生は躓いたかもしれない。

一方で、日本の工業の話や仮想水の話など、問われている知識自体はセンターレベルといっても差し支えないものもあり、そのレベルの問題をいかに確実に正解していくかがカギだったといえる。

東大地理対策を行うなら、問題演習ばかりを行うのではなく、知識の確認をしっかり行うことが、遠回りなようにみえて一番の近道になるのだ。

第一問(島と海 難易度:やや難)

第一問は島と海についての問題で、設問Aが日本および太平洋島嶼部についての問題、設問Bが世界の島々の中でも大きいもの上位3つについての問題だった。

設問Aは(1)、(2)において複数の知識を組み合わせる問題が出題され、ここに時間がかかった受験生も多いだろう。

一方、(3)、(4)についてはある程度教科書を読んでいれば知識として備わっているはずの問題であり、正解しておきたい問題だ。

(5)は少し難しいかもしれないが、低気圧など日本の気候について勉強しておけば解答は難しくなく、こちらもとっておきたい問題だ。

設問Bはまず大前提として地図上で島をとらえられているか、が試された問題であり、地図を使って日ごろから学習していないとかなり難しい問題だった。

特に(3)については難問で、マダガスカルの地形についてある程度の知識が必要になる問題だった。

全体的な難易度としては、設問Bでの島を答える問題で躓く人が多いと予想でき、やや難であったといえる。

第二問(水資源と環境問題 難易度:標準)

第二問は水資源と環境問題についての問題で、設問Aが主に水資源、設問Bが主に環境問題についての問題だった。

設問Aは表を使った選択問題から始まり、ここは最低限答えておきたいところだ。

また(2)もエジプトの地理を考えれば解ける問題であり、ここまでは最低限回答したい。

(3)は難問だった。

エチオピアの水資源について、地形も絡めて考える必要があり、ここで時間を取られてしまったかもしれない。

反面(4)では近年教科書でも取り上げられている仮想水(ヴァーチャルウォーター)についての問題であり、教科書を読みこめば正解できた。

設問Bは近年問題になっているPM2.5についての問題で、現代社会についての知識が問われた問題といえる。

(1)については中国は分かったと思うがインドは少し難しかったかもしれない。

ただしインドがわからなかった場合でも(2)については解答しておきたいところだ。

(3)については発想の転換が必要だったかもしれないが、こういう問題の時こそ落ち着いて考えたい。

全体的な難易度としては、選択問題は簡単な分記述式には難問もあり、トータルで見れば標準レベルといえる。

第三問(ヨーロッパと日本の産業・社会の変化 難易度:標準)

第三問は、ヨーロッパと日本の産業・社会の変化についての問題だった。

設問Aでは人口を用いてヨーロッパと日本を比較した問題、設問Bでは日本の都道府県別にみた工業に関する問題がそれぞれ出題された。

(1)の回答にはそのあとの問題文もある程度のヒントになったと思う。

特にブルガリアの人口構造の推移は特殊なので押さえておきたいところだ。

そのあとの記述式の問題については各国についての知識が必要であり、ある程度差がついた問題であろう。

設問Bでは都道府県別の工業の問題が出題された。

私たちの日常生活にも深くかかわっている部分であり、選択問題については押さえておきたい。

記述式の問題も、まったく手が出ない問題ではなかったと思うので、最低限部分点は確保しておいてほしい。

全体的な難易度としては、設問Aは難しかったが設問Bが比較的易しく、標準といったところだ。

各予備校の解答速報について

ここまで、東大地理の各大問についてみてきた。

問題のほかに、受験生がチェックするものとして、各予備校の解答速報がある。

しかし、解答速報には時に、あまり正確ではないものも存在する。

ここでは、そんな解答速報について河合・駿台・東進の3つを比較してみてみたい。

第一問

第一問の設問Aは太平洋島嶼部についての問題だった。

(2)について、東進・河合ではサンゴ礁であることを理由としていたが、駿台のように石灰岩質土壌と表記すればより理解が深いことを示せる。

そのほかの問題については大きな差は見られないが、(5)で東進は「小笠原高気圧」という単語が入っておらず、設問でわざわざ小笠原諸島の名前が出ているだけに入れておきたい単語だ。

設問Bは三つの島の形を問う問題だった。

(2)ではやはり「フィヨルド」という単語はほぼ必須といってもよく、河合の解答には疑問符が残る。

(3)は大問別解説でも述べた通りかなりの難問で、予備校ごとに解答もさまざまだ。

意見が分かれるところではあるが、問題文が「産業」となっていることを考えれば、東進の解答のように工業のみに終始してしまうのは避けたく、複数の産業に触れておきたいところだ。

難易度の評価は標準~やや難というところだ。

やはり、設問B(1)を解けるかが差をつけられるポイントであるというのは共通の認識である。

第二問

設問Aは水資源に関する問題であった。

(3)は書き方の違いにもとれるが、「青ナイル」という単語を使っている分東進の解答がすっきりしている印象を受ける。

(4)については単語が指定してあったこともあり差は小さく、設問Aは解答に大きな差はなかったといえる。

設問Bについても同様で、差は少なかったが(3)については東進の書き方のほうがより詳しい。

難易度は標準~やや易だ。

第三問

設問Aは人口構造についての問題であった。

(2)についてはやや表記に差があったが、「人口構造の変化によって」という問題文を考えれば、東進のように老年人口と生産年齢人口の両方を押さえておきたい。

(3)については対照的に、失業率だけでなくEU加盟にも触れている河合・駿台の解答がより丁寧といえる。

(4)については、二つのキーワードを含めて論述する問題だったが、女性の社会進出の原因を労働環境にもとめた駿台がより詳しいといえる。

設問Bは都道府県別の工業についての問題で、設問ごとに解答の差はあまり大きくなかった。

しかし、世界金融危機について触れている東進・駿台のほうが河合と比べるとやや詳しく感じられる。

難易度はいずれも標準であった。

まとめ

東大地理について、試験問題の解説及び各予備校の解答速報についてコメントを行った。

東大の地理は難解なように見えて、実際のところ問われている知識はセンターレベルのものである。

大事なのは、どの知識をどのように結びつけるかだ。

基礎的な知識をおろそかにせず勉強していってほしい。