受験生が避けては通れない道、それが共通テストだ。
中でも国語・英語・数学は文系理系関係なく、どんな大学を受けるときでも必須の教科で、対策は必至となる。
しかしそんな必須項目である教科の一つ、共通テストで、多くの人が苦手になってしまう教科が、漢文だ。
漢文は受験生にとって苦手意識を持たれやすい教科で、英語ほど時間をかけて勉強することができないにも関わらず、日本語でない文章を読んで答えなければならない。
特に学校の授業で漢文についていけず、苦手になってしまったという人にとっては、共通テスト漢文はかなり難しく感じるだろう。
しかし、あえて言いたい。
共通テスト漢文ほど、楽に高得点を目指せる教科はない、と。
共通テストで高得点を狙うなら、共通テストはまさにおさえておくべき教科なのだ。
この記事では、そんな共通テストについて、実際の共通テスト過去問を見ながら、どのように勉強していくか、実際に共通テスト過去問を解くときにはどのようなことに気をつければいいかを現役東大生である筆者が実際に使っていた方法を交えて、2017年度の問題を基に解説する。
この記事に書かれた方法により、共通テスト漢文をしっかり対策して、共通テスト高得点を目指そう。
また、今年の2017年度センター試験の総評は以下の記事に科目ごとに載っているので合わせて見ておいて欲しい。
さらに、漢文は国語という科目の一つ科目で行う。
なので、現代文、古文の勉強法も合わせて見ておこう。
<解説動画>
共通テスト過去問の傾向
解説に入る前に、共通テスト対策をするならただ闇雲に漢文の勉強をしていても効率が悪い。
実際、書店に行くと多くの漢文用参考書が売られているが、その中には二次試験対策の参考書も多くあり、共通テストだけで漢文を受験するという受験生にとってはその参考書で勉強しても無駄になってしまう。
受験生は時間がない。
効率の悪い勉強をしていては、他の科目の勉強をする時間が無くなってしまう。
では、どのように勉強すればよいのか?
それには、実際の過去問を見て、そこから読み取れる傾向を基に勉強するというやり方が最も適切だ。
ということでまずは、共通テスト過去問を実際に見てみて、そこから読み取れる傾向を解説していこう。
共通テスト過去問第1問に必要なのは漢文の基礎中の基礎
さて、2022年度共通テストの過去問を見てみよう。
2022年度の共通テストでは、漢詩とそれに対する序文がその前に出題された。
漢詩が出てくると難しそうに感じるかもしれないが、難易度は変わらず、本質的に問われていることに大差はない。
第一問では、次のような問題が出題された。
問1 波線部(ア)「復」・(イ)「審」・(ウ)「得」のここでの意味として最も適当なものを、次の各群の① ~ ⑤のうちから、それぞれ一つずつ選べ。
このような語の意味問題で出題される漢字は、漢文の問題を一通り解いておけばどこかで目にしたことがあるような漢字ばかりだ。
このような漢字の意味を適切に理解することは、文章を正しく理解するには必須の事項である。
この第一問以外にも、そのほかの様々な問題で解答を導く手がかりになるため、必ず押さえておくべきポイントだ。
また、このような漢字の意味問題は、過去問による対策だけでなく参考書を使った勉強が有効だ。
「漢文 ヤマのヤマ」などの定番参考書を使ってもいいし、学校で配られた参考書でも十分な対策になるだろう。
ちなみに筆者が使っていたのは「必携新明説漢文」であり、こちらも定番の参考書なので比較して自分に合ったほうを使ってもよい。
とにかく問1は漢文の基礎中の基礎が問われる設問なので、この範囲の勉強をしっかりしておくことで他の設問も解きやすくなる。
第二問などでは、句法、句形の知識がダイレクトに反映される。
第二問では、次のような問題が出題された。
間2 傍線部A「客有呼之入匣奉帰余園者」について、返り点の付け方と書き下し文との組合せとして最も適当なもの
を、次の① ~ ⑤のうちから一つ選べ。
これは、下線部の返り点の付け方と書き下し文を問う問題であり、漢文の句法、句形をしっかりと暗記できていれば問題なく解くことができる。
さらに第五問では次のような問題なっている。
問5 傍線部C「奈春何」の読み方として最も適当なものを、次の① ~ ⑤のうちから一つ選べ。
こちらはもっと簡単で、「奈A何」の句法を知っていれば直ちに答えが決まる。
このように、句法を知っていれば一発で答えることができる問題が多数出題する。
こちらも先ほど紹介した、「漢文 ヤマのヤマ」などの定番参考書を使ってしっかりと勉強しておいてほしい。
このような句法問題で点数を落とすのも極めて勿体無い。
漢詩の知識問題
さらに、漢詩に関する知識問題も出題されている。
今回の場合、漢詩の形式と押韻を直接聞く問題が第四問に出題されている。
これも漢詩の知識を知っていればかなり簡単な問題なので、絶対に落としたくはない。
共通テストはセンター試験に比べて漢詩の出題が多くなったので、漢詩の知識は必須になる。
さらに、今までのセンター試験でも文学史に関する出題が古文、漢文でたまにあるので、文学史も忘れずにやっておこう。
残りは文章をしっかり読む力が問われる
第1問、第2問、第4問、第5問では文章を読む以前の漢文の基礎知識が問われる問題が出題された。
それに対してこれ以外の問題は、漢文の知識を用いて文章をどう読むかが問われる問題が出てくる。
例えば、2022年度の共通テストでは以下のような文章の解釈に関する問題が出題されている。
問3 傍線部B「荀近我、我当図之」の解釈として最も適当なものを、次の① ~ ⑤のうちから一つ選べ。
という問題があった。
この問題は書き下しの知識、本文の話の流れの両方をヒントに解かなければならないため知識を総動員して解く必要がある。
また、第6問、第7問では、序文と漢詩を関連させた問題が出題された。
漢文に限らず、現代文、古文でも、共通テストになり複数の文章を関連させて答えさせる問題が増えた。
しかし、解答の根拠を拾う場所が増えただけで、今までの問題とさほど変わらない。
こちらは序文と漢詩の内容がしっかりと理解できていれば問題なく答えることができる。
後ほど説明するが、序文のストーリーと漢詩の内容に矛盾がないような選択肢を選んでいくことが大切である。
共通テスト問題を解くときの戦略
ここまで、2017年度までのセンター試験の傾向を書いてきた。
共通テストの過去問を実際に解いていくときにどのようなことに注意するかを解説する前に、実際の共通テスト漢文にも使える戦略を簡単に紹介しておこう。
共通テストの過去問は、以前に本番の共通テストとして実際に出題されたものだ。
本番と同じ戦略で、同じ気持ちで取り組むことによって本番同様の緊張感が得られ、本番でもリラックスすることができる。
ここでは、そんな共通テスト過去問を解くときの戦略を紹介していく。
この方法を実践することで、より有効な過去問演習を行い、さらには共通テスト本番でも高得点を狙える共通テスト漢文の解き方を身につけよう。
共通テスト漢文は目標10分、最大でも20分で解き切る
共通テストの国語は、現代文の評論と小説、古典の古文と漢文を80分で解くことになる。
80分という時間を均等に割れば、大問一つあたりの時間は20分となるわけだが、漢文にそれだけの時間を割くことはできないだろう。
共通テストはマークシート式だからマークミスを確認する時間は当然取りたい。
さらに、共通テスト国語においては古典より現代文のほうに時間がかかると言われているのだ。
そのため、漢文はできれば10分、どんなに長くても20分で解き終わりたい。
漢文を早めに解くことで余った時間を他の大問やマークミスがないか確認する時間にあてよう。
まずは文章を概観
時間がないとはいえ共通テスト漢文の文章は第3問~第6問のために必ず一度は、ざっくり読んでおきたい。
第1問と第2問については先に解いてみてもいいが、文章中にヒントがあることも多いのでわからなかったら本文に進もう。
本文を読みながら問題を解く人も多いが、後のほうに設問のヒントとなる内容が書いてあることも多く、一度文章を読んでから設問に移ったほうが早く解き終わることも少なくない。
人によって向き不向きがあると思うので、自分で試しながらスタイルを確立させてほしい。
また漢文で重要なのはだれがどの人に対して語っているのか、という人物関係の把握だ。
これを把握しやすくするテクニックとして、人物名が出てきたらその人物名を四角や丸などで囲ってマーキングしておくという方法がある。
これは文章を読みやすくする以外に、設問を解くときにもう一度文章を見直すときの労力を省くというメリットがある。
共通テスト漢文を解くときのテクニックとしてぜひ押さえておきたい。
設問を解くときは消去法で
文章を読んだらいよいよ設問を解くわけだが、文章はちゃんと読めていてもパっと見て、どれが正解かわからないことがあるかもしれない。
共通テスト試験は大学入試に使うための、学力を判定するものなので、時にはすぐにわからないひっかけのような問題もあるだろう。
そのため設問を解くときは基本的に消去法を使うとよい。
解答の選択肢に対して、「この部分が誤っているな」と思われるところに線を引き、その番号を消していこう。
一度文章を読んでいれば、大抵の設問が多くとも2つまたは3つに絞れるはずだ。ある程度絞ったら、そこからは大きな意味として間違っているところはないか、をとらえればいい。
純粋に選択肢を絞り込まずに解いていくよりも論理的に解答することが可能だ。
特に本文を読んで、その内容に合っている選択肢を選ぶ問題では正解率アップにつなげることが可能だ。
物語のストーリーとして矛盾のない選択肢を選ぶ!
最後に紹介するのが、出題された文章のストーリーとして矛盾のない選択肢を選ぶということである。
よくあまり漢文を勉強していない人でもある程度高得点が取れてしまうことがある。
これは、ストーリーに矛盾しない選択肢を選んでいるからなのである。
漢文の文章は簡単な物語のストーリーになっていることが多く、あまり漢文を勉強していなくとも、ある程度想像でそのストーリーを予測することができる。
正しいストーリーを予測することができれば、それに矛盾しない選択肢を選び続けると高得点が自然に取れてしまうのだ。
もちろん、これだけでは漢文の知識に関する問題が解くことができなかったり、いつも正しくストーリーを予測できるわけではないので、安定して高得点をとることができなかったりする。
よって、漢文の最低限の勉強をやっておくことは非常に大切だ。
しかし、問題を解く時に一つの指標として、矛盾を作らないよう解答を選ぶことを意識しておけば、かなり簡単に問題をとくことができるようになるのだ。
以上のように、共通テストを解くときには戦略やテクニックとして様々なものが考えられる。
ただ単に解くだけでなく、これらのことを意識しながら解くことで、より身につく学習につながるのだ。
共通テストの過去問演習方法
共通テスト解答の戦術について解説したところで、いよいよどのように共通テスト過去問を演習していくかについて解説していく。
過去問演習も解くだけではなく、しっかり復習することで効率のよい過去問演習につながる。
この方法を使って、成績アップにつながる過去問演習を目指そう。
まずは解いてみる
先ほど、共通テストの国語の時間配分について書いた。
その時にも書いたように、共通テスト国語は時間を均等に配分するのではなく、見直しも含めて総合的に時間を測って演習する必要がある。
そのため、共通テスト漢文は漢文だけで演習するのではなく、必ず国語のテスト一年分をまとめて演習しよう。
実際の雰囲気もつかめるうえ、また時間配分として自分はどれくらいの時間を割けばいいのかがはっきりしてくる。
共通テスト国語は時間との勝負だ。
演習するときは必ず時間に気を使いながら行おう。
解いたら解説を読んで自分に足りていないところを確認
問題演習が終わったら、次は解答・解説を読もう。
自分が間違えていたところについて、何が間違いの原因かを考え、知識が足りないのか読解不足だったのかをしっかり確認しておこう。
このとき、知識が足りなかった場合におすすめなのが、自分だけの復習ノートを作ってそこに自分の足りなかったところをメモしておくことだ。
こうすることで、自分に足りなかったところを簡単に復習できるようになる。
ただ単に問題を解くよりも身につく学習が可能になるわけだ。
模試などの前にはノートで確認
こうして作られたノートは、自分が実際に問題演習をして作られただけあり、かなり暗記しやすく、また自分が一度間違えた問題でもあるので復習することで成績アップにつながる。
模試などの前に確認しておくことで、同じところを間違えないようにして自分の弱点をなくそう。
過去問は何年分、いつごろからやるべきか?
最後に、共通テスト演習はどれくらいの量を、どの時期からやるかについて解説しておく。
共通テストは1月中旬にある。
これにしっかりと対策して挑むには、どんなに遅くとも12月上旬から問題演習をしておく必要がある。
また過去問の年数についてだが、共通テストの過去問自体はまだそこまでない。
事前に出された試行調査や本試験の過去問、追試験の過去問を合わせても、2年分(8回程度)しか存在しないのだ。
これでは、回数が圧倒的に足りない。
そこで利用したいのが、センター試験の過去問である。
問題形式は多少違うものの、難易度や問題の本質は大きく変わらない。
難易度を求めるのであればセンター試験の追試験を過去問演習で使うと良い。
さらに、現代文とは違い、予備校が出している予想問題集やパックの問題も有効的に使うことができるので、さまざまなものを活用して、うまく演習を進めてほしい。
(現代文では、予想問題集やパックの出来がいまいちなので、これらの問題集よりもセンター試験の過去問を使うことをお薦めしている。)
目安としては、2~3日に1回、12月中に5~10回を目安にして取り組み、年が明けてからは一日1回取り組んで、計15回~25回の過去問演習に取り組めるだろう。
まとめ
今回は受験生が特に苦手にしやすい共通テスト漢文について、その分析と戦略、過去問の演習方法について解説した。
共通テスト漢文はやり方のコツさえつかめれば、高得点が狙える科目であり、受験生は押さえておきたい科目だ。
この記事に書いた方法を実践して、共通テストで高得点につなげよう!