英語の問題の中で、一番重要になる力はなんだろう?
単語力は確かに重要だ。
どんな問題を解くにも、単語力がなければ答えにたどり着くのは難しいだろう。
文法力も高得点を目指すには欠かせない力で、その効果は文法問題だけにとどまらず様々な英語の問題に役に立つだろう。
しかし、英語の問題を本当に理解しながら解いていくには、別の力が必要になる。
それは、読解力だ。
「それは二次試験からでしょう?」と思うかもしれない。
しかし、センター試験も実は「早く、意味をつかむ」という力が試されている設問が多く、そしてそれらの問題を解くために必要な力が読解力だ。
では、読解力を上げるにはどんな参考書を使えばよいか?
今回は、そんな読解力を上げることができる、古くから愛用者が多い「ビジュアル英文解釈」の特徴、使い方を解説していく。
読解力を上げたい受験生は、この記事を読んで読解力アップのための参考にしてほしい。
ビジュアル英文解釈について
ビジュアル英文解釈は駿台文庫から出ている英語の参考書で、著者も駿台の名物講師・伊藤和夫だ。
駿台の名物教師が書いた英文解釈の有名参考書として、長年英文解釈の参考書の一番手だった。
そんなビジュアル英文解釈だが、いったいどんなところが人気の理由となったのだろう?
ここではそんなビジュアル英文解釈の特徴を見ていこう。
文法事項によるテーマ別に分かれて掲載
ビジュアル英文解釈は、難易度別にパート1・パート2に分かれており、また各パートの中でもテーマ別に英文が掲載されている。
英文を読むうえで重要な文法事項を学びつつ、実際に英文の中でその文法事項に慣れていくことが可能というわけだ。
また他の英文参考書と異なる特徴としては、テーマがあまり多くないというのがあげられる。
英語の参考書を使っていて、100以上の文法項目が並び、これをすべて覚えなければならないのか・・・・とうんざりした経験はないだろうか?
ビジュアル英文解釈はそんな複雑な構造ではなく、テーマを簡単にすることでより柔軟に英文を学習できるようにしている。
難易度はセンター~東大と幅広く
ビジュアル英文解釈の難易度は大体センター対策~東大対策とかなり幅広くなっている。
また同じ参考書とは言ってもパート1とパート2で難易度が異なり、大まかにいうと
- パート1がセンター・私立中堅
- パート2が国公立・私立難関程度
となっている。
自分にあった範囲のものを使うとよいだろう。
とはいえ始めから志望校レベルのものを使っても効果は薄く、ほかの英文系参考書で、基礎レベルのものを一冊終わらせてから始めるのがちょうどいい。
また、特に東大志望の人は、
- 単語レベルが東大二次にぴったり
- 東大英語入試に必要な早く正確に読む力がつけられる
というメリットがあるので、ぜひ使用を検討してみてほしい。
独学でも勉強しやすい講義形式
ビジュアル英文解釈の解説部分は、講義形式で生徒と先生のやり取り、というふうになっている。
まさに自分が「どうしてそうなんだろう?」と思っているようなところを生徒のセリフとして質問・解説がされるため、ほかの人に解説してもらう必要が少ない。
そのため、独学でも学びやすい形式になっているのだ。
また、解説部分ではないが先生と生徒の雑談が掲載されているコーナーでは、勉強の息抜きになるだけではなく意外と重要なポイントについて触れられていることが多い。
このようなところも、独学に適した参考書であることを物語っているといえる。
ビジュアル英文解釈のデメリット
いくらビジュアル英文解釈が良質な参考書であるといっても、かなり古めの参考書であることは否めない。
それゆえに、一定のデメリットがある。
例えば、CDがついていないということ。
これは昨今音読を重視する人が多い中では致命的といえるかもしれない。
シャドウイングができないため、別の勉強法を考える必要がある。
また、構造SVOCM、修飾被修飾が図示されていない点も、受験生にとってわかりづらいと思われるところだ。
他にもデザイン面で、
- 表紙がハードカバーでめくりにくい
- レイアウトが単調、色がない
という問題点があり、勉強するときにやや気になってしまう部分だ。
とはいえ、ビジュアル英文解釈はそんなデメリットを補って余りあるほどの上質な参考書であることに変わりはない。
次の項目では、そんなビジュアル英文解釈の使い方について解説していく。
ビジュアル英文解釈の使い方
ここまで、ビジュアル英文解釈の構造についてみてきた。
独学しやすく、また多様な難易度がそろっている参考書というのがわかってもらえたと思う。
そんなビジュアル英文解釈だが、使用する方法を間違ってしまっては元も子もない。
ここからはそんなビジュアル英文解釈の使用法を解説していく。
正しい使い方でビジュアル英文解釈を使い、より効率的に読解力を身に着けよう。
まずは文法解説を読む
ビジュアル英文解釈は、各章の前に文法解説が掲載されている。
ほかの参考書なら、ここは読まずに一度文章を読んでみる、と言いたいところだが、ビジュアル英文解釈の場合はそうではない。
ビジュアル英文解釈の構造として
- 文法ポイントをチェック
- 実際に文章でそのポイントを実感
- 解説で再度確認
という流れになっている。
このように、ビジュアル英文解釈ならではの学習法にすることでより効率的に学習できるわけだ。
文章を独力で流し読み
さて、文法ポイントを確認したら、次は、文章に取り掛かる番だ。
辞書などは見ず、自分の力だけで文章を読んでみよう。
このとき重要なのは、文章の細かいところに気を配るというよりもむしろ、文章の大きい意味、大意に気を配ることである。
受験問題を解くにあたって、重要なポイントとしては時間の問題がある。
問題には常に試験時間が付きまとう。
どんなに英語を読む力があっても、時間内に解き終わらなければ意味がない。
そのため求められる力の一つには「早く、英文の大意をつかむ」というものがある。
このように考えると、英文の大意をつかむ練習というのは非常に重要なのだ。
まずは独力で、このような力を身に着けよう。
全文和訳
自分で流し読みを行った後は、全文和訳をやっていきたい。
全文和訳というと非常に面倒くさそうに感じるかもしれないが、ここが読解力をつけるために一番重要なポイントである。
逆に考えれば、ほかの人がやらないことをすることによってほかの人と差をつけられるわけだ。
ここでも重要なのは、文法事項にこだわるというよりもむしろ、文章の流れを意識して、文として成立する和訳を心がけることだ。
ただ、もちろん和訳なので、基本的には逐語訳を心がけてやってみてほしい。
全文和訳の効果は絶大だ。
しかしその分、やってみるまでのハードルは高いかもしれない。
全文和訳をやって、ほかの受験生と差をつけよう。
辞書で単語を調べる
自分で和訳が終わったら、辞書で単語を調べよう。
単語レベルの目安として、英文の下に覚えるべき単語・表現がある。
最低限その欄に載っている単語・表現を覚えることを目安にしたい。
また、お勧めしたいのが単語帳と併用することだ。
単語帳を辞書のような形で使ってみることで、「この部分に掲載されていた単語か!」のように思い出すきっかけを増やすことができる。
単語帳と併用することで、勉強効率はよりアップすることが可能になるのだ。
解説を熟読
ここまで終わったら、英文の文法解説を読んでみよう。
自分の英文解釈と、文法解説の解釈を比較してみることによって、自分の解釈に足りない部分を確認することができる。
また、英文大意と自分の和訳を照らし合わせ、自分の和訳も確認してほしい。
和訳は形として残っているはずだから、より「解説とはここが違う!」というところが見えてくるはずだ。
自分の足りないところを補うために、英文和訳を積極的に使っていこう。
まとめ
以上がビジュアル英文解釈の特徴とその使い方についての具体的なステップだ。
ビジュアル英文解釈は、英文参考書の傑作だ。
確かに古く、時にはほかの参考書と併用する必要もあるかもしれない。
しかし、それだけで使うのをやめてしまうにはあまりにももったいない点が多くある。
この記事に書いたビジュアル英文解釈の使用法を参考にビジュアル英文解釈を使用して、ぜひ読解力を身に着け、英語の成績アップにつなげてほしい。
また、他にも参考書を紹介している記事はたくさんあるので合わせて見ておいて欲しい。