センター英語において一つの関門となり得るリスニング。
リスニングは得意で模試では毎回40点代から満点を維持しているという受験生もいれば、どうしても苦手で点数は安定せず、勉強法がいまいちわからないという受験生も少なくないだろう。
文法問題や長文読解問題の対策に追われて盲点となり、手を抜きがちなのがリスニング問題である。
センター試験のリスニングは30分50点満点で、筆記試験とは独立して実施される。
各大学の点数配分によってはリスニングの点数は重い比率で加算されることもあり、英語で高得点を取るためにはリスニングの50点分を着実に獲得しなければいけない。
また、難関大学を志望する場合は40点代から満点を狙いたいところである。
そこで今回はリスニング問題40点代以上を安定させるレベルに実力を持ち上げるコツを5つ徹底解説する。
是非これらを実践して高い「リスニング力」を定着させて欲しい。
「リスニング力」は聞く力だけではない
単にリスニングと言っても実際に問題を解くときに必要なのは聞く力だけではない。
語彙力が足りないと、聞き取らなければいけないフレーズを聞き取れずに正しい解答にたどり着けない。
文法構造がわかっていないと会話や文章を正確に読み取れない。
また、問題文と解答の選択肢を照らし合わせて吟味する作業は長文読解ともいくらか共通している。
そのため、リスニングで満点を取るコツを考える際には他分野の問題の対策も強化する必要がある。
苦手なリスニングを重点的に克服したい場合も、他分野のウエイトを保ちつつリスニング対策を同時並行で行うのが良い。
基本は「シャドーイング」
センターリスニングでかなり使えるコツがこの「シャード―イング」だ。
英語の速読英単語などの英語のCDがついている教材を利用すると良い。
リスニングに特化した教材ではなくとも、長文読解の問題集でCDが付属で付いているものでも十分適した教材となる。
具体的な勉強法としてはまずは英語を聞きながら長文を目で追い、文章の内容と発音を確認する。
聞くという作業を内容把握と同時並行で行うことでセンター英語の読解問題の対策にもなり、単語の発音を音声とともに確認することで発音・アクセント問題の対策にもなる。
また、聞きながら一息入れている箇所や語の区切り目に印を入れると文構造をつかみやすい。
文章の内容が大体把握できたら、次はCDの音声に続いて自分で発音、シャドーイングをする。
センター試験にはスピーキングの試験は無いものの、実際に発音することで発音・アクセントの知識を定着させることができる。
ただ英語を聞き流すのとシャドーイングするのでは一度に鍛えられる英語力が異なり、自分で発音した方が派生的な効果があり効率が良い。
一番重要なのは、この一連の作業を毎日10分ずつでも怠らずに続けることである。
逆に毎日1時間もシャドーイングをするのは非効果的で、集中力が持続するのは一般的に20分以内と言われている。
そのため、朝の起床後でも夜寝る前でも、自分の生活リズムに合った時間帯で20分以内の短い時間に毎日シャドーイングをするのが理想的である。
聞きながら書く「ディクテーション」
さらにセンターリスニングのプラスアルファとして、国公立の二次試験などで書き取り問題が出題される場合、ディクテーション、つまり聞いた英語を書き取る練習が必要である。
この練習はセンターリスニングのコツをつかむうえでも非常に有効だ。
普通の再生スピードで英語を書き取るのは難しいと思ったら、最初のうちは再生スピードを低速にしたり、何度も繰り返し聞いたりするなどの工夫をすると良い。
本番の試験に沿った形で勉強するとすれば、最初の文章黙読やシャドーイングは後回しにして、まず音声を何回か繰り返しながらディクテーションをした後に、発音の確認やシャドーイングをするという方法もある。
そうすることで、初めて聞く英語文の音声に慣れることができ、本番で音声が頭に入って来やすい。
大学によっては、英語文を聞いて文章に関する質問を答える問題もあり、文章を聞きながら重要な個所のメモを取り、解答を導き出すという作業を同時に行わなければいけない。
そこで必要になるのが聞きながら書く、ディクテーションの練習である。
文字で読むと決して難しくない単語でも、ディクテーションで初めての音声で聞くと以外にも書き取れない単語が出てくるかもしれない。
また、英語独特の単語と単語の音声の繋げ方が正確に聞き取れない場合も多い。
出題者はその盲点を突いてくるのである。
ディクテーション対策は国公立の二次試験で書き取り問題が出題される場合だけの対策ではない。
センター試験で書き取り問題は出題されないにしても、英語の音声を聞き取りながらメモを取る作業は必ず必要であるから、リスニング対策で余裕が出てきたらディクテーションも実践すると更なるリスニング力の向上が見込める。
過去問の活用法
リスニング力の基礎が身に付いたら次はいよいよ過去問に手を付けて本番に向けた本格的な対策を始める。
前述のリスニング基礎力トレーニングを高校1年から継続して続けていれば、高校3年になる頃にはセンターレベルのリスニング問題に十分対応できるリスニング力が身についているはずである。
この場合には定期的に受けるマーク模試などでセンターリスニングの使用は大方つかめているため、過去問対策は秋から直前期でも間に合うと考えられる。
一度夏休み頃に過去問を解いて本番のイメージを具体化するのも良い。
一方で、リスニング対策に少し出遅れると、高校3年になって英語の他の分野にも追われながらリスニング対策をしなければいけないこともあるかもしれない。
その場合も慌てず、他の勉強とのバランスを取りながらリスニング対策をし、必ず対策を怠ってはならない。
冒頭で述べた通り、点数配分によってはリスニング問題が重い比率で加算されるため、安定して高得点を取れるようにしておきたい
さて、具体的にどのように過去問を利用すればいいのか。
まずは本番の形式に沿って過去問を一通り解く。
過去問の年度は最近のものからでも、数年前のものからでも構わないが、最新の傾向を知るためにまずは昨年のものを筆記試験と共に解いてみると良い。
答え合わせをしたら間違えた問題を見直してなぜ間違えたかを明らかにすることはもちろん、間違えていない問題も回答がたまたま合っていただけで実際は聞き間違いをしていた可能性もあるため、一度解答を確認することを薦める。
そこで間違えて聞き取っていたり、聞き取れなかったりした単語・熟語は次出てきたら間違えることの無いように、必ず確認しよう。
ステップ1から3のリスニング対策を基盤とし、解答のキーとなる部分を聞き取る作業を過去問で練習する。
もし過去問の問題量で足りないと感じたら、センター対策用のリスニング問題集を別で買うのも良い。
解答のポイント
センター試験のリスニングの問題構成は大問4題、短い英文が示すものを選ぶ、短い英会話に続く英文を選ぶなどの問題があるが、おそらく関門となるのは最後の大問の、長めの英文を聞いて選択肢を選ぶ問題であろう。
問題も終盤に差し掛かっていることから集中力との戦いでもある。
ここでいかに集中力を切らさずに英語を聞き取れるかは、日々のリスニング対策をどれだけ集中して行っているかにかかっている。
日頃から当たり前のように英文を聞いてトレーニングしているのとリスニング無対策では、聞き取れる英語の量と質に格段の差が出るため、毎日のリスニング対策は点数に差をつける最大の武器なのである。
そして解くときに気を付けるべきポイントがいくつかある。
まずは英文・英会話が流れる前の問題概要説明の時間を使って、設問を前もって読み、いざ英語を聞き取るときにどのようはフレーズが解答のキーになるかを把握すること。
例えば解答の選択肢に時間が並んでいる、場所の名前が並んでいるというだけで、重点的に注意して聞き取るべき部分に見当をつけることができる。
問題の終盤になってくると一度に解く設問が増えてくるため、設問と選択肢に事前に目を通す時間が短くなってくるかもしれないが、限られた時間ですばやくポイントを把握すると、英語を聞く時の必要な情報・不要な情報の取捨選択がかなり楽にできる。
また、2回英文が流れるうちの最初の一回の放送でできるだけ解答の選択を済ませ、2回目の放送は解答の確認程度にすること。
二回目の放送の解答時間に次の問題の設問と選択肢に目を通すのが理想的な流れである。
問題の最初の方は短い英文や英会話の聞き取りであるから聞きながらメモを取るのは少量で済むかもしれないが、長めの英文を一度に聞き取るとなると、すべてを的確にメモを取るのは難しくなる。
この時に事前に設問・選択肢を読んで必要な情報に見当をつける作業が大事になってくるのである。
解答に必要な情報だけを効率的にメモを取ることで、選択肢を吟味する際に余計な情報に惑わされずに済む。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回は満点を取るセンター英語リスニングの必勝のコツとして、リスニング対策のウエイトの保ち方、シャドーイングのトレーニング、ディクテーションのトレーニング、過去問の活用法、解答のポイントの5つを解説した。
もちろん効果的なリスニング対策法はこれだけではなく、人によって合うか合わないかを一番に考慮するべきである。
事前対策から本番注意するところまで、この解説を参考にしつつ自分に合ったリスニング対策と解法を見つけて、是非センターリスニング問題満点を目指してほしい。