大学受験の英語の学習において、リスニングという分野は非常に大切である。
事実、センター試験では毎年のように出題され、英検やTOEICなどでも毎回しっかり出題されている。
しかし、英語のリスニングを苦手とする人は非常に多い。
このような人たちは、リスニングがどうしたらできるのかという勉強法自体をわかってないのだ。
ここでは、リスニングを苦手とする人たちがどうして、苦手なのかという理由を分析したうえで、その人たちがリスニングを得意分野にできるような勉強法を2つ紹介する。
リスニングが苦手という自覚のある人は、この記事の勉強法を実践し、得意分野にしてしまおう。
多くの受験生がリスニングを苦手にする理由
大学受験生の多くは非常にリスニング弱者が多い。
まずは、日本人の英語の学習プロセスを分析することで、その理由を検討してみよう。
母国語の学習は「音」→「文字」
赤ちゃんのときに、日本人が日本語を、アメリカ人が英語を、学ぶときは最初、赤ちゃんが親の発音を模倣するところから始まる。
つまり、赤ちゃんが言語を覚え始めるときは、最初は言語を「音」の情報として認識するところから始まる。
そして、成長していくにつれて、幼稚園などの段階でひらがなやアルファベットといった「文字」を覚えていく。
その際にどのひらがながどんな音に対応するのか、どのアルファベットがどんな発音を表すのか、といった「音」から「文字」へ移行するプロセスでのマッチングが必要になってくる。
つまり、母国語の学習においては、最初は「音」から学習がはじまり、新しく「文字」という概念を導入する際に「音」と「文字」のマッチングをするのである。
日本人の英語の学習は「文字」から
では、今度は日本人が英語を学ぶプロセスを考えてほしい。
みなさんは、最初からアルファベットを覚えさせられ、単語のつづりを覚えさせられ、文の作り方を覚えさせられ、といった「文字」の学習からスタートしただろう。
もちろん多少の会話などの「音」についての学習をしたかもしれない。
しかし、英語の「音」についての情報を自由に扱えるようになるためには、それに四六時中触れる機会が必要だ。
そんな機会は日本では非常に少ない。よって、どうしても日本の英語学習では「文字」の学習から始まり「文字」の学習中心になってしまうのだ。
リスニングが苦手な日本人が欠けているもの
「文字」中心の学習にはなってしまうが、リスニングは明らかに英語の「音」についての学習である。
我々が母国語の「文字」を覚える際は必ずその「文字」がどんな「音」を表すのかというマッチングというプロセスを絶対に怠らなかった。
では、逆に「文字」から覚えた場合、このマッチングプロセスなしに「音」を自由自在に扱えるだろうか?
答えはNoだろう。
そして、リスニングが苦手な人はこのようなプロセスをしっかりと行っているだろうか?
リスニングが苦手な人が欠かしているものは、
「文字」→「音」におけるマッチングプロセス
である。
このプロセスを欠いてしまう人が多いため、日本人の多くが、リスニングを苦手としてしまっているのだ。
リスニング弱者克服のための2つの勉強法
以上より、リスニングを苦手としている人が、「文字」→「音」へのマッチングを怠ってしまっている人が多いことがわかっただろう。
ここでは、そのマッチングプロセスをしっかり行えるような勉強法を2つ紹介する。
単語帳のCDを使おう!
単語帳などで、例文が載っておりCDがついているものが最近多くなっている。
しかし、そのせっかくついているCDを全く活用しない人が多い。ぜひ積極的に単語帳のCDを聴いてみよう。
このCDは新しい単語を覚える際の発音や、例文の発音といった、貴重な情報が載っている。このCDによって、単語のレベルから
「文字」→「音」への移行のマッチング
を行うことができる。
これを使わないのは非常に勿体ない。
また、単語の情報を「文字」だけでなく、「音」という二つの情報で覚えられるので、単純に考えても定着率は2倍になる。
単語帳のCDは、単語自体の発音と例文の発音を身に付けるために、是非活用しよう。
長文読解の問題集についているCD
長文読解の問題集にもCDがついているものが最近多い。しかし、これをみなさんはつかっているだろうか?
使っていない人は非常に勿体ないことをしている。
これは、文以上の単位で文章の流れのリズムなどの「音」の貴重な情報を持っている。
つまり、ここでも「文字」と「音」のマッチングをしかも、文章という単位で一気に行える。
以下にはそのCDの使い方を示す。
まずは、普通に長文読解
CDを使う前に、まずは普通に長文読解の問題集として、読解し、問題を解くことから始めよう。
文章の内容がわからないのに、いきなりCDを用いても意味がない。
CDを用いる前には、しっかりと読解し、長文全体を理解しよう。
長文読解を終えたらCDを聞こう
読解を終え、問題も答え合わせまでしっかり行ったら、CDを使って、文章を「音」に合わせて黙読していこう。
ここで、注意しなければならないのは、すべての「音」に対して、今この単語を指して言っているということを把握することだ。
今CDが実際どこを読んでいるかわからないまま聞いていいても「文字」と「音」のマッチングができず、意味がない。
どこを読んでいるか注意深く見ながら、CDと一緒に黙読しよう。
CDと一緒に音読
次は、CDと一緒に音読していこう。
最初は、日本人なのでCDのスピードについていくのは難しいだろう。
しかし、最終的にそのスピードについていかなければ、リスニングはできない。
しっかり同じスピードで、正しい発音、正しいリズムで読めるようになるまで、何回もCDと一緒に音読しよう。
仕上げはCDなしでの音読
CDと同じスピードで完璧に発音をできていれば、次は仕上げとして、CDなしの音読をしよう。
ここまでできれば、かなりのマッチングを行える。
是非、単語帳と長文読解のCDをうまく活用して、リスニングを克服しよう。
まとめ
以上が、リスニング弱者がどうして苦手なのかの原因を分析したうえでの、それを克服するための2つの勉強法だ。
この勉強法は、リスニングの力がつくだけでなく、単語と長文読解の定着率も一緒に上がってくる。
是非実践して、リスニングを得意にするだけでなく、英語全般的に成績を向上させていこう。
(celly 東京大学理科二類在学)