東大の入試問題は難しく、とても高いレベルの思考力が要求される。
これは、国語においても例外ではない。
特に国語の入試は大学ごとに問題形式が非常に異なりゆえに、過去問演習が本試で高得点を狙うのに必要不可欠になってくる。
ここでは、東大国語の過去問の性質と最も効率の良い過去問演習の方法を紹介する。
過去問といえども、有限個しかないので、非効率的なやり方で時間も過去問も無駄にしないようにしよう。
東大国語の過去問の特徴
ここでは、東大国語の過去問の問題の特徴を大問別に説明していく。
東大国語の配点と時間は以下のようになっている。
配点 | 時間 | |
文系 | 120点 | 150分 |
理系 | 80点 | 100分 |
以下に示すのは、2000年から東大国語の問題形式が激変して以降全く変わっていない問題形式についての説明である。
まずは、これを読んで東大国語の特徴をつかんでいこう。
第一問(現代文、文理共通)
第一問は現代文で論説文が出題される。
配点は40点で、文章の長さは、平均して3ページ程度とセンターに比べて非常に短い。
問題は、傍線部についての記述式問題が5問、漢字の書き取りが3~5問だ。
傍線部についての記述式問題だが、最初の四問は共通して、文字数の指定はないが、解答用紙の決められた枠内に解答する問題だ。
枠の大きさからすると、60~80字程度が適切に思われるが、文字指定がないぶんそれ以上書いても解答が読むことができさえすれば全く減点されない。
一部の東大型の模試では60か80字以上書きすぎると減点されてしまうことがある。しかし、本番では読める限り絶対に文字数で減点されることはない。文字数の指定があれば別であるが、それがわざわざ書いていないのに減点するのは非常に非合理的だ。東大教授がそのような非合理的な採点をするはずがないので安心してほしい。
また、この問題は基本的に、
「『傍線部』とあるがどういうことか。」
「『傍線部』とあるがなぜか。」
の二つの種類の問題がある。(たまに付帯条件がつくことがあるがそれに従えば問題ない。)
最後の記述問題についても基本的に「どういうことか」「なぜか」の問題である。
しかし、2点ほど他の問題と違う点がある。
それは、
・100字以上120字以内の字数制限がある。
・ほとんどの場合「本文全体の論旨を踏まえて」という付帯条件がついている。
という点だ。
これはおそらく作業も他の問題よりも大変で配点が非常に大きいことが予想される極めて重要な問題である。
(詳しくは下の大問別演習の記事で説明する。)
第二問、第三問(古典、文理共通)
第二問は古文、第三問は漢文で配点は文系がそれぞれ30点、理系がそれぞれ20点である。
基本的に文章は文系と理系で同じであるが、文系は理系にはない問題が1~2問程度追加されている。
問題は現代語訳が中心だが、他の問題形式も見られる。
この問題も解答用紙の決められた枠内に書くことが重要である。
文章は比較的簡単で、センター試験レベルかそれ以下である。
古典の基礎ができている人は読解するのにあまり苦労しないだろう。
しかし、採点自体は非常に厳しいので、和訳に関してはできるだけ省略されているところを補ったり、聞かれたことを必要十分に答えたりする必要がある。
第四問(現代文、文系専用)
第四問も同じく現代文であるが、文系のみに出題される。
配点は20点である。
基本的に第一問の傍線部問題の最初の4問と同じものが4問出題されるだけだ。
しかし、文系に解かせるだけあって、文章は難しいことが多い。
さらに、がちがちの評論であることもあれば、少し砕けた随筆も出題される。
しかし、ここは第一問とさほど変わらないのでしっかり現代文の基礎ができていれば大丈夫だ。
以上が大問別に見た東大国語の過去問の特徴である。
問題を見たことのないという人は、まずはこの特徴をおさえておこう。
東大国語の最も効率的な過去問演習法
次に東大国語全体としてどのように過去問演習をこなしていけばよいかを紹介する。
これを読んで決して過去問を間違った方法で使って無駄にしないようにしよう。
使うべき過去問は16年分
数学や理科、社会などは問題形式の劇的な変化がないので25年分をやることを推奨している。
しかし、東大の国語は2000年から大問が7個ある形式から大問が4つしかない現在の形式へ変化した。
ゆえに、東大の過去問の中で、形式になれるという意味で本当に使えるのは16年分しかない。
16年分しかないといえどもこれで正しいやり方を使えばかなりの実力がつくのでこの16年分の一つ一つを大切にし、問題演習をしていこう。
過去問演習は大問別に
東大の入試問題は時間的に厳しい教科が非常に多い。
よって、過去問演習は時間をまとめてはかる教科を一セットで解くように薦めている。
例えば、理科、社会の場合は、問題演習は、10年分は2科目一気に1年分セットで演習した方がよい。
しかし国語の場合そこまで時間に厳しいことはあまりない。
むしろ普通のスピードで読めていれば余るほうだ。
よって、東大国語を一年分セットで解く必要はあまりない。
むしろ一つの大問をじっくり研究できるので、大問別に解くことをおすすめする。
(もちろん、1,2年分は一緒に解く問題を作っておいた方がよい。)
各大問の制限時間
各大問の制限時間はあまり設定する必要はないが、直前期になったらやはり設定した方がよい。
しかし、過去問を一回も解いたことない人はそれぞれ何分で時間を決めればいいのかわからないだろう。
よって、以下におよその目安として大問ごとに何分で解けばよいのか紹介する。
第一問:50分
第二問:30分
第三問:30分
第四問:40分
理系
第一問:50分
第二問:20分
第三問:20分
これは、およその目安なので、個人的に得意不得意があれば、足して制限時間内に入るのであれば、変えてもかまわない。
補足
解く順番については、古典の基礎がしっかりできている人については、古典→現代文という順番をおすすめする。
なぜならば、古典はできる人ほど時間の短縮が可能で、現代文は時間をかければかけるほど基本的に得点は上がりやすいからだ。
しかし、古典の基礎が全くできていない人にとっては、効果はあまりないのでこの順番でなくてもよい。
自分の古典の能力に応じて、解く順番を変えていこう。
まとめ
以上が、東大国語の全体としての過去問の特徴とその演習方法だ。
東大国語は時間にそこまで厳しくないため、少々他教科と過去問演習方法が異なってくる。
この記事に書いてあったことと、大問別の対策方法も一緒に読んで、16年分しっかり無駄にすることのないよう、過去問演習していこう。