共通テストにおける数学はマークテストであるが、意外に難しい。
その理由の一つとして、共通テスト数学の解答時間が非常に短いことが挙げられる。
特に数学2(数学ⅡBの範囲)は数列やベクトルの計算などがややこしく、分量も多いため数学1に比べてより時間が足りないということが起きやすい。
また、2021年度入試からセンター試験が廃止されて新たに共通テストとなったことにより、難易度がかなり上がっている。
特に2022年度入試は過去最低の平均点を叩き出し、批判を浴びるほどの難易度であったといえよう。
しかし、共通テストでさらに難しくなった数学2(数学ⅡB)で圧倒的に時間短縮する裏ワザが存在する!
それは、確率分布の分野を解くことだ。
ここでは、共通テスト数学2(数学ⅡB)で時間を短縮する裏ワザ、選択問題で確率分布を選ぶということについて詳しく解説する。
この記事を読んで君たちも数学2(数学ⅡB)で他の人よりも早く解き切ってしまおう。
<解説動画>
共通テスト数学2(数学ⅡB)の選択問題
共通テスト数学2(数学ⅡB)では、選択問題が存在する。
第一問と第二問は解くことが必須とされている問題である。
しかし、第三問、第四問、第五問はそのうちどれか2つを選んで解答するだけでよいのだ。
それぞれの選択問題の大問が担当している分野を以下の様になっている。
- 第三問=>確率分布と統計的な推測
- 第四問=>数列
- 第五問=>ベクトル
通常に進学校では、確率分布の授業は実施されないため、ほとんどの受験生はここで、数列の第四問とベクトルの第五問を選択する。
しかし、数列とベクトルはどちらもややこしい計算が絡むうえに、問題数も多くかなり解きにくい。
ゆえに時間が足りない人が続出してしまう。
ここで、これを解消するための裏ワザが二つのうち一つを確率分布の第五問を選ぶことだ。
確率分布の分野は後程詳しく説明するが、その分野の特性上、難しい計算を必要としない。
ゆえに一つの問題あたりの処理時間がベクトルや数列よりも断然早くなってしまうことがあるのだ。
よって、選択問として、確率分布の第三問を選ぶと時間がかなり短縮でき、人によっては時間内には余裕で終わるくらいまでいってしまう。
こんなおいしい手は使わないわけにはいかないだろう。
確率分布を共通テスト数学2(数学ⅡB)で選ぶメリット
時間が短縮されることはわかったかもしれないが、わざわざ学校で習わない分野を、時間を割いて独学するほどのものなのかと疑問に思う人もいるだろう。
よって、ここではそこまでして共通テスト数学2(数学ⅡB)で確率分布を選ぶメリットを解説する。
確率分布は本当に時間の短縮になる。
確率分布という分野はやってみると非常に簡単な分野であることがわかる。
高校で習った数学をこの分野で使うことは非常にまれで、しいて言うなら確率と積分の二つだけだ。
また、積分する関数も高校生が高校数学の範囲を使って積分できるような関数ではないため、積分を計算した結果があらかじめ表になって問題と一緒に出てくる。
(詳しく言及しておくと、この積分はガウス積分というもので、高校の数3でも学習しない積分である。正規分布で主に使用する。)
また、その他の積分も出てくる可能性というのは十分にあるが、おそらくグラフの面積が積分になるということを知っていれば解ける問題ばかりだ。
よってこの分野で実質的に使う高校数学は確率だけなのだ。
また、確率も確率分布で確率の力を見ているわけではないので、問題として簡単な確率ばかり出題されやすく、数学Aの確率が苦手な人でも余裕で解ける。
このように、分野自体が簡単な計算しか必要としないのだ。
そのため、問題の計算ミスも起こりにくいし、答えもベクトルや数列に比べてぱっと計算して出てしまうため、ベクトルや数列にかかる時間に比べて半分以下の時間で大問が一個解き終わってしまうのだ。
よって、確率分布を選択問題で選ぶとかなり時間が短縮されるのだ。
確率分布は独学も簡単
先ほど言及したように、確率分布は高校数学で出てくる簡単な確率計算以外の高校数学は使わない。
また、概念的にも数学Ⅰでやったデータと全く同じで、データの扱う対象が確率になっただけなので、非常に簡単だ。
この分野は学校で授業として行っている進学校はとても少ない。
しかし、確率分布という分野は本当に簡単なので、独学も十分可能なのだ。
目安として一週間あれば簡単にマスターできてしまう。
確率分布は学校で習わないので、それを独学でやることは難しいのではないか、わざわざ忙しい受験期間に共通テストでしか使わない確率分布に時間を割くことは賢い選択なのか、など色々新しい分野を独学することに対し、不安に思う人もいるかもしれない。
しかし、確率分布は独学でも十分一週間でマスターできるくらい簡単なのだ。
計算ミスも少なく見直しもできるなど二重効果
確率分布の問題を選択することは、単に解き終わる時間が短くなるだけではない。
ベクトルや数列に比べて複雑な計算がないことは、計算ミスの可能性を減らすという効果もある。
全体の得点アップにつながる可能性が大きいのだ。
また、早く解き終わるとその分見直しの時間が増える。
見直しの時間が増えると、点数が見直しの時間がない時に比べて、高くなりやすいのは当然のことだろう。
このように、単に解き終わる時間が短くなるだけではなく、計算ミスもしにくくなり、見直しの時間も増えるという、二重三重の効果がこの裏ワザには存在するのだ。
このように、わざわざ新しい分野を独学することに対してかなり多くのメリットが存在することがわかるだろう。
こんなにメリットが多いと新しい分野だからと確率分布を学習しないのは損である。
確率分布の問題を選択することは、本当に効果的な裏ワザなのだ。
数学における独学方法
確率分布を独学で学習しろと言われても、独学で数学を学習したことない人が大半だと想像されるので、その人たちにとってはどうすればよいのかわからなくなってしまうだろう。
その人たちのために、数学の独学方法をここでは解説する。
この方法を実践して、確率分布をマスターしてしまおう。
まずは教科書から
新しい数学の分野を学習する際はまずは教科書から入るのが一番だ。
教科書はわかりやすいよう丁寧に使われているので、意外とどの参考書よりも大雑把な概念をつかむのは簡単だ。
まずは、教科書はざっとでいいので読んでみよう。
その際気を付けるのは、細かいことなどはあまり記憶しておかなくていいので、大まかな概念だけはしっかりと理解しながら読み進めていこう。
最初にすべてをマスターするのは難しいのでまずは本質のみの理解に努めるのだ。
また、もし教科書を読むのが苦手だという人は、初学者のための参考書を読むと良い。
例えば、マセマの「初めから始める数学」などが有名である。
図や絵などが多く活字が苦手という人は教科書を読むよりもハードルが低いだろう。
二回目に教科書を読んで細かいところまで理解しよう
一回大雑把に教科書を読んでしまったら、そこで終わってはいけない。
まだ、100%その分野について理解できてなかったり、時間がたつと理解していたところも忘れたりしてしまっている。
よって、新しい分野を独学する際は教科書を二回以上読むことがオススメだ。
しっかりと二回以上読んで、一回目では暗記できなかった細かい事項や、忘れてしまっていたところなどを理解して、内容を完璧に暗記してしまおう。
1回目に教科書ではなく参考書を読んだ人の場合は、無理に教科書を読まずとも同じ参考書を2回読めば良い。
問題演習でマスターする
教科書の内容が100%理解できたと思ったら、次は問題演習でアウトプットしていこう。
新しい能力を人間が身に着ける際に、アウトプットをしないとその能力が定着しにくくなってしまう。
逆に問題演習でその分野の考え方や公式を使っていくうちに、それを一生忘れないくらい自分の頭に定着してくるのだ。
問題演習の際にもちろんわからないところが出てくるだろう。
そのようなときには、教科書やその問題の答えをみてしまってもかまわない。
しかし、このように自力で解き切れなかった問題にしていては、自力で解けるようになるまで二回以上解きなおそう。
具体的に取り組む問題集についてだが、いきなりセンター試験や共通テスト系の問題集に移っても良い。
センター試験の過去問や予想問題集の方が少し簡単なので最初はこちらから解くと良いだろう。
慣れてきたら、少し難易度が高く文量も多い共通テストの過去問や予想問題集に移ると良いだろう。
共通テストの問題を5~10回ほど単独で解いたら、いよいよ数学2(数IIB)の問題全体を一気に解く練習をすると良い。
この時点で、圧倒的に時間に余裕ができ、今までよりも簡単に高得点を取ることができるということがわかるだろう。
このようにして、教科書を読むだけで終わらずしっかりとアウトプットの問題演習も行っていこう。
確率分布を学習する時期
もし、確率分布を共通テストの数学で使おうと決断した時に、その学習はいつするのが良いだろうか?
確率分布は二次試験ではまず出題されないので、記述メインの勉強が必要な人は早めに取り組んでしまうと忘れてしまうという危険性がある。
今回は大学ごとに分けて解説していく。
共通テスト重視の大学
二次試験よりも共通テストの配点の方が高く、どうしても共通テストで高得点が必要になる大学を志望している人の場合について解説する。
このような場合は、できるだけ早くから始めて自分の共通テストの点数を早く伸ばした方が良い。
理想は高校3年生に入る前に終えていると良い。
そこまで勉強が思うように早く進まない人の場合、夏休みの間には勉強を終えていたいところだ。
早いうちから共通テストの数学の点数が安定していると、心に余裕が生まれるので、今後の他の教科の勉強もスムーズに進みやすい。
さらに、このような人は日頃から共通テストの演習をする必要があるため、途中で確率分布の内容を忘れてしまうといったことはないのだ。
共通テストの配点が重視される大学やどうしても共通テストで高得点を取らないといけない人は早めに確率分布の勉強に取り掛かろう。
二次試験重視の大学
共通テストよりも二次試験重視の場合は事情が異なってくる。
例えば、東京大学は、共通テストと二次試験の配点は 1 : 4となっており、共通テストで失敗したとしても足切りさえ通って仕舞えば、余裕で逆転合格することができる。
このような難関大学を目指す場合は、数学の普段の勉強が二次試験に合わせた記述型の勉強となる。
そのためあまり早くに取り組んでも確率分布の内容を忘れてしまう可能性がある。
目安として、それでも早めに取り組んでおきたいという人は夏休みに1日1時間程度気分転換に勉強するくらいのつもりでよい。
これが例えば本格的に共通テストの勉強を始める12月でも十分に間に合わせることができる。
筆者の場合は、1月にふと思い立って勉強したが、それでも十分間に合った。
独学のペースは人それぞれなので、心配な人は、遅くとも12月からコツコツ取り組んでいくのが良いだろう。
まとめ
以上が、共通テスト数学2(数学ⅡB)の時間短縮の裏ワザ「確率分布の問題を選択する」についてのメリットと独学で数学を学ぶときに学習法だ。
この記事を読んで、共通テスト数学2(数学ⅡB)で確率分布を選ぶと本当に時間短縮が図れて、そのうえ確率分布が簡単にマスターできることが分かっただろう。
これを見て、数学2(数学ⅡB)の時間について悩みのある人は是非この方法を実践してほしい。
きっと点数もあがってきて、共通テスト本番での結果にも出てくるはずだ。
(celly 東京大学理科二類在学)