大学受験の最高峰と言われている東大では、一般的に数学も難しいと言われている。

しかし、近年東大数学は昔に比べてだんだん難易度が落ちている傾向にある

特に文系の数学ではその傾向が顕著である。

また、問題によっても難易度にばらつきがある年もあれば、全て標準的な難易度の年もある。

受験生はいったい本番でどの問題を落とさずしっかり解答できなければならないのだろうか?

また、駿台、河合、東進、代ゼミの4社が解答速報を出しているが、この解答も予備校によって違うこともある。

よって、この記事では、現役東大生による2021年度の東大数学(文系)の解答速報の比較とここでしかわからない東大生による解説のまとめを発表する。

この記事で、2021年度の東大文系数学の全てがわかる。

特に来年、再来年東大を目指すであろう人は是非とも参考にしてほしい。

全体の総評

まずは、2021年度東大数学(文系)の各問題の難易度比較と総評を行う。

2021年度の文系の東大数学は、2020年度と比べると易化している

ただ、2020年度がかなり難しい方の問題であったので、2021年度の問題は文系の東大数学としては標準的な4問のセットになっていると思われる。

以下の表に各大問ごとの分野と難易度を示した。

問題 分野 難易度
第一問 微分法・図形と方程式 やや易
第二問 確率 標準
第三問 図形と方程式・二次関数 標準
第四問 整数 やや難

まず、第一問は、三次関数と円の共有点の個数に関する問題だ。

あまり見ないタイプの問題ではあるが、青チャートレベルの問題集には必ず放物線と円の共有点の個数の問題という似たような問題が載っている。

この問題の解法を応用することを思いつけば最終的な解答には簡単にたどり着く。

問題としてはかなり簡単な問題だ。

これを落としてしまうようでは、東大に合格することは難しい

他にも第二問、第三問は、比較的東大としては標準的な問題だ。

特に第三問は、東大数学では恒例の通過領域に関する問題なので、しっかり勉強している人であれば、問題を読んだ瞬間に手を動かせるだろう。

100分という制限時間を考えると、第一問、第二問、第三問のうち二問はしっかりと得点していれば、合格点は十分獲得できる

第四問は、少々発想が必要な問題ではあるが、2021年度の第四問整数問題に比べると、難易度はやや劣る

特に四つに枝問が別れているので、数学が得意な人であれば、手を出すことはできるだろう。

このように、しっかりと勉強した人であれば、40点は必ず得点でき、得意な人であれば、60点以上得点することも難しくはない。

ただ、中途半端な勉強しかしてこなかった人にとっては、すぐに手がでる問題が今回は少なかった。

なので、数学苦手な人は、極端に低い点数になり、得意な人と大きく差がつく問題となっている

いずれにしても、文系としては、標準的な問題であったといえよう。

ちなみに、今回の数学の問題は珍しく数Bや数2の積分の範囲からの出題が一切ない。

筆者の勝手な想像であるが、2020年度の猛威を振るい、日本の大学受験にも少なからず影響を与えたコロナウイルスによる休校で、学習範囲が終わらなかった受験生へ配慮をしたものだと考えられる。

第一問(分野:微分法・図形と方程式 難易度:やや易)

2021年度の第一問は、微文法、図形と方程式の分野からの出題で、難易度はやや易となった。

先程も述べたが、正直この問題を落としてしまうようでは、東大合格は難しい

この問題は三次関数のグラフと円の共有点の個数に関して議論させる問題である。

青チャートなどの網羅系参考書には、必ず放物線と円の共有点のグラフの問題が出題されている。

確かに、三次関数のグラフと円の共有点の個数についての問題はあまり見ない問題であるが、この青チャートの例題を応用しようと思うことができれば簡単に解けてしまう。

まず、放物線と円の共有点の問題では、x, yのうちどちらか消去できるものを代入法によって消去する

ここで、一文字に減らして、点の個数に関する条件と同値の解の条件を考える。

この問題も同様だ。

xは消去できないので、まずはyを消去、つまり三次関数の方程式を円の方程式に代入する。

すると、xについての6次方程式になる。

ただ、このときxの項には6次、4次、2次と次数が偶数のものしか存在しない。

なので、t = x^2とおくと、tについての三次方程式に返信する。

t > 0で解があれば、その解に対して、x = ±√tと2つの解が存在するので、三次方程式がt > 0で3つの異なる実数解を持つ条件を導出すれば良いとわかる。

このように、青チャートレベルの問題を少々応用するだけで解けてしまう。

合格したいのであれば、是非とも完答してほしい問題だ。

第二問(分野:場合の数 難易度:標準)

第二問は、標準的な場合の数の問題だ。

このようなシンプルな場合の数の問題は東大では、少なくどちらかというと、確率、特に確率漸化式の問題が多い。

しかし、去年も場合の数を求める問題が出題されたりと、場合の数は最近の流行ではある。

確率漸化式を使用する問題よりは、頭をひねる必要があり、問題のバリエーションも無限に作れるので、苦手な人は苦手だと思われるので、同じ難易度でも、確実に解答できる第三問を優先させるとよいだろう。

ただ、このような問題はN ≧ 5ということだったので、N = 5, 6, 7などの具体的で考えやすい数値でかんがえてみるのが良い

(偶数、奇数で異なったり、N = 5のときだけ違う数え方をする場合もあるので、複数の具体値を考えるのが良い。)

(1)の場合で考えると、仮にN = 5だとすると、集合のあり方として、

(i) 集合の最大値が9のとき

{1, 3, 5, 7, 9}の1通り

(ii) 集合の最大値が10のとき

{1, 4, 6, 8, 10}, {1, 3, 6, 8, 10}, {1, 3, 5, 8, 10}, {1, 3, 5, 7, 10}の4通りだ。

つまり、最大値が9の場合はどんなNでも1通りしかできず、最大値が10のときは、隣の要素同士の差が3になる箇所がN – 1通りあるということで、合計N 通りになるということである。

このように、具体値で考えるとわかりやすいので、場合の数の問題に限らず、確率、整数問題などでは、Nはまず具体値に治そう

(2)については、連続する整数の集合の最小値が1か1でないかで場合分けするとよい。

というのも、1は必ず含まれてしまうので、1が最小値であるときは、その他の数字はN + 1 ~ 2N までの中から2個選べば良い。

しかし、1でない場合は、1は必ず集合に含まれるので、それ以外の数を1個しか選ぶことができない。

このように、1が集合に含まれるか含まれないかで、数え方が異なるので、それさえわかれば、あとは簡単だ。

第三問(分野:図形と方程式・二次関数 難易度:標準)

第三問は、東大数学おなじみの通過領域の問題で、難易度は標準的だ。

ただ、(1)に関しては、数1Aの青チャートで出てくるようなレベルの問題で、この(1)は絶対に落としてはいけない

(1)はペンが止まることなく直ぐに答えを導出できないといけないのだ。

(2)に関しては、通過領域の問題の定石で解くことができる。

通過領域は、パラメータが実数として存在する条件を同値変形していけば導出できる。

今回のパラメータはa, bであるので、

y = x^2 + ax + bと(1)の答えを満たす(a, b)が実数として存在する。

という条件を解けばよい。

これを忠実に守れば、b = – ax – x^2 + yとして、aの関数として見れば (1)を束縛条件として、bが存在する条件を解けばよいということである。

なので、b = – ax – x^2 + yをab平面上の直線と見て、(1)の領域と共有点を持つように動かしていけば簡単に答えにたどり着く

第四問(分野:整式 難易度:やや難)

第四問は昨年同様整数問題である。

また、二項係数も昨年同様含まれており、同じ分野からの出題であるが、問題は圧倒的にこちらのほうが簡単だ

ただ、標準的な問題とまでは言えないので、やや難とした。

(1)は比較的に簡単な問題だ。

特に、合同式を使うことができるとかなり簡単に証明することができる。

合同式は整数問題を解く上ではかなり便利なものなので、文系であろうとしっかりと勉強しておくことが重要だ

また、合同式を使わずとも、商と余りの形に、K, Lをすれば証明もできるだろう。

合同式を使う場合だが、余りが奇数になるということは、K, L ≡ 1, 3 (mod 4)ということになる。

ここで、安易に3を使わずにK, L ≡ 1, 3 ≡ ±1 (mod 4)とすることが大切だ。

また、(2)に関しては、K, Lの存在証明である。

字面だけ読むと難しそうに見えるが、要は、A/B = L/Kを満たす整数L, Kを示せば良い。

A, Bは整数なので、A/Bは有理数になるので、L/Kは必ず整数になる。

なので、適当にこれを満たすL, Kを示せば良い。

あとは(3)と(4)は(2)を用いて簡単に解ける。

また、(4)は(2), (3)を証明しなくても物理的に解くことは簡単だが、(2), (3)を証明せずして、それを用いて解いた場合は点数が0点でも文句は言えないだろう

ただ、(2), (3)を用いずにゴリ押しで解いたのであれば、点数は来るだろう。

各予備校の解答について

ここまで各大問の解説を行ってきた。

実は、毎年駿台、河合、東進、代ゼミが解答速報を行うのであるが、これらの解答が問題によっては違う場合がある。

異なる解法を分析していくのは、数学の勉強に非常に役立つことである

よって、ここでは、駿台、河合、東進に加えて今年は代ゼミの予備校4社の解答速報の比較を行う。

4社の解答速報を見比べて、違う視点を勉強したり、一番妥当な解法はどれか考えてみてほしい。

第一問

形上は、代ゼミとその他三社の解法で大きく分かれるが、代ゼミの答案も本質的にはやっていることは同じである

他の三社の中では、三社ともtの三次方程式が3つの正の実数解を持つことに帰着しているが、このとき、なぜ共有点が6個になるのか、丁寧に説明しているのは、河合と東進だ

駿台は、そこの解説を詳しく書いていない。

時間制限ありの、入試本番であれば、そこまで書く必要はないのかもしれないが、満点答案を目指すのであれば、そこは丁寧に説明すべきところである

代ゼミは、三次関数のグラフが原点対象であることから、x > 0の部分にのみ注目して、原点と三次関数上の点の距離が1になる点がちょうど3つ存在する条件と考えている

形式的には違う議論の仕方であれど、単位円の定義が原点との距離が1の点の集合なので、本質的な中身は変わらない。

難易度は、駿台、東進、代ゼミがやや易としており、河合が標準としている。

第二問

(1)に関してはどの予備校も本質的にやっていることは変わらない

東進と代ゼミは、集合の要素の最大値が2N – 1 か 2Nかで場合分けをしていた。

河合と駿台は、集合に属するものと属さないものにそれぞれ違う印をつけ、属するものの印が隣り合わない並べ方を考えることによって、解答している。

(2)に関しては、場合分けの方法が連続する整数の個数で分類するか、連続する整数に2を含むか含まないかの二種の場合分けの仕方が存在する

代ゼミ、東進、河合の解答2は後者のほうで、場合分けをしている。

河合の解答1と駿台は前者の場合分けだ。

場合分けの問題は基本的に複数の数え方があるので、解答も千差万別であっても問題ない。

数学的に正しく、解答もあっていてきちんと考え方が説明されていれば点数が保証される。

難易度に関しては、4社とも標準としていた。

第三問

第三問は、どの予備校も本質的には同じ解答で解いている

(1)は、先程も述べたとおり、青チャートレベルの問題なので、4社とも全く解答が同じだ。

(2)も4社とも、y = x^2 + ax + bをab平面上の直線とみて、これが(1)の範囲に共有点を持つためのx, yの条件という形で問題を解いている。

(2)に関しては、代ゼミは、y軸との対称性を用いて、x ≦ 0のみ議論しているので、賢い答案といえよう。

また、他の3社は直線の傾きで場合分けをしていたのに対し、駿台はb切片で場合分けをしているという違いがある。

いずれにせよ、典型的な通過領域の問題故に、どの予備校も本質的な解答は変わらない

難易度に関しては、河合のみやや難としているが、他の3社は標準としている。

個人的にもこの問題はそこまで難しい部類ではないと思う。

第四問

まず、(1)については色々な証明方法が考えられるので、当然予備校の解答速報もそれぞれ異なる

代ゼミは、合同式を使わずに式変形を用いて証明している。

他の三社は合同式を用いての証明となっているが、東進、駿台、と河合で手法が少々異なる。

東進と駿台は、法になっている数と互いに素な数であれば、合同式の両辺をその数で割ることができるという法則を用いて証明している。

河合は、4で割って余りが奇数ということは±1と合同であることを用いている。

(2)も4社ともで解答は同じである。

(3), (4)に関しては、(1), (2)の証明を利用して解くのでこちらも解答に相違は見られなかった

難易度に関しては、代ゼミはやや難、河合、駿台、東進はとしているが、2020年度の第四問と比べるとワンランク劣るので、我々はやや難とした。

まとめ

以上が、現役東大生による2021年度の東大数学(文系)の解答速報の比較とここでしかわからない東大生による解説のまとめだ。

今年度の数学は、しっかり勉強してきた人からすると、しっかりと得点できる問題が2問以上は設定されており、高得点が取りやすい問題であった。

しかし、ある一定のレベルまで達っしていない受験生にとっては、全く手がつかずかなり低い点数になっただろう。

文系だからといって数学をしっかり勉強しておかないと、東大には合格できないのである

数学は、受験科目の中でも完成させるまでにかなり時間がかかる科目だ。

長期的な計画でしっかりと勉強しておくことが大切である。