全体の総評

今年の問題は、全体的には昨年と比べてやや難化した。

2017年度がかなり簡単だったため、ここから昨年も合わせて、徐々に昔の難易度に戻りつつあるものと思われる。

昨年の問題は、易しい問題が二問、標準的な問題が二問、難しい問題が二問と均等に難易度が配置されていたが、今年は、易しい問題が昨年に比べて難しいかった。

また、典型的という問題というよりは、第三問などのような、できる人とできない人で大きく差が生まれるような問題が多かった。

各大問の難易度は以下の通りである。

問題 分野 難易度
第一問 積分法 やや易
第二問 微分法 標準
第三問 空間座標 やや難
第四問 整数 標準
第五問 微分法、極限 標準
第六問 複素数平面 やや難

まず、絶対第一問、第二問は落としてはならない。

特に、第一問はただの積分計算で、どう考えてもサービス問題である。

この問題がとけないとなると、数学全体として演習不足と言わざるを得ない。

他の問題も手が出ないのではないかと思われる。

また、第二問も難易度は標準的だが、解法の目処がすぐに立ち、計算ミスさえなければ難なくこなせただろう。

あとは、第四問や第五問で完答は難しくとも、枝問で部分点を稼ぎに行けば、60点という合格に必要な点数はだいたい抑えることができるだろう。

第三問と第六問は、難易度はやや難で数学でかなり演習を積んでいたり、立体問題が得意な人でないと難しかったと思われる。

第六問は、2016年から出題されている複素数平面の問題の中では一番難しい問題であった。

よって、第一問、第二問を完答して、あとは第四問、第五問などで部分点を狙いにいくのが得策だと思われる。

第一問(分野:積分法 難易度:やや易)

東大もとうとう単なる計算問題を出題するほど簡単になってしまったのかというほどのサービス問題である。

この問題を落とすのは、理系の受験生としてはっきりいって勉強不足と言わざるおえない問題だ。

まず、与えられた被積分関数を展開して、各項ごとに積分していくというのが第一ステップでかる。

1〜3項目までの積分は比較的簡単にできよう。

第1項目はそのまま積分するだけだ。

第2、3項目はx^2で置換することができる。

第4項目の計算では、他に比べたら多少難しいかもしれないが、xをtanθに置換する積分である。

このように4種類の積分計算ができれば十分完答できる問題だ。

積分は微分の100倍難しく、微分のように決定的なアルゴリズムがない。

それゆえに、どの形の積分に対してはどの解法を使うか、数多くのパターンを頭の中にインプットしておく必要がある。

この4つの問題は理系の東大受験者であればできて当たり前の問題だ。

青チャート、Focus Goldのような網羅系の問題集で出てくる積分計算は必ず全て押さえておこう。

第二問(分野:微分法 難易度:標準)

第二問は東大数学の極めて標準的な問題と言える。

与えられた条件を綺麗に整理していけば答えを導出するのはそこまで難しくはない。

まず与えられた以下の3つの条件を同値変形していくことが重要である。

  1. △OPQ = 1/3
  2. △PQR = 1/3
  3. 0 <= p, q, r <= 1

まず1、2の条件からqとrをpで表すことができる。

それを条件3に代入すれば、pの取りうる範囲が2/3 <= p <= 1であることがすぐにわかる。

また、DR/AQ = r/qであるが、これは先ほど求めたものを代入すると、pの三次方程式となる。

ここまでくればあとは、微分して、この関数の取りうる値の範囲を導出する。

このように、条件を丁寧に同値変形していけば、簡単に答えにたどり着く。

これも第一問同様解けてほしい問題だ。

第三問(分野:空間座標:難易度:やや難)

この問題は、空間認知能力がある人とない人では大きく出来が別れただろう。

空間座標や空間ベクトルを含め、どれだけ立体図形に慣れてきたかが問われた問題となった。

まず(1)は立体全体の図形がイメージできていれば答えるのは難しくない。

ただ、ここで注意して欲しいのは、場合分けが必要だということだ。

点Pが平面αのどちら側にいるか、または、平面α上にいるかという3つの場合が考えられるため、3つにわけて図示しておくと減点のリスクがなくなると思われる。

次に(2)だが、切り口において辺が構成されるのは、立体の側面の辺から辺までの間である。

3つの場合について、平面αが八面体のどの辺を通過するか考えれば、切り口の図形がわかる。

この時、点Pが平面αに対して、x軸の正方向側にいる時、つまり3 < p < 4の場合において、平面αは、CP, OP, OA, OE, CEと5つの辺を通過し、片面だけで4つの辺ができることがわかる。

この図形はxz平面に対して対象であるため、この場合に限り、八角形となるのだ。

(3)に関しては、平面αとの切り口のyz平面への正射影を求める問題だ。

xz平面上の点に関しては簡単に導出することができるが問題は、辺PBと平面αの交点である。

これは、直線PBの式と平面αの式の連立によって導出することができる。

あとは単なる四角形なので、頂点の座標さえわかれば面積を求めるのは難しくはない。

根本的な立体をイメージする力がない人にとっては難しい問題だったかもしれないが、それがイメージすることさえできれば、完答も難しくない。

立体の切り口の図形などは、中学校の問題であるので、今まで、立体図形の問題にいかに慣れ親しんだかが問われた一問であった。

第四問(分野:整数 難易度:標準)

第四問も標準的な整数問題となった。

近年、数列などと絡めてくるタイプの整数の問題が多かったが、純粋に整数の分野だけからの出題は近年稀である。

まず最初のステップとしては、5n^2 + 9はn^2 + 1で割ることができるので、

5n^2 + 9 = 5(n^2 + 1) + 4

という形に置き換える。

これによ理、ユークリットの互徐法から、5n^2 + 9とn^2 + 1の約数は、n^2 + 1と4の公約数に等しいことがわかる。

ここまでくれば、あとは青チャートにも載っているような問題へと変身する。

まず、n = 1から数個代入すると、どうやら奇数の時には公約数が2、偶数であるときには互いに素であることがわかるので、場合分けをして証明をしていく。

(2)もそこまで難しくはない。

まず偶数の時は互いに素であるので、(5n^2 + 9)(n^2 + 1)が平方数であるためには、5n^2 + 9とn^2 + 1の両方が平方数である必要がある。

なので、どちらかが平方数足り得ないことを証明すればよい。

また、奇数の場合には、整数p, qを用いて、

5n^2 + 9 = 2p^2

n^2 + 1 = 2q^2

となることが必要だ。

つまり両方とも平方数の2倍の数でないといけない。

しかし、実際このように表すと矛盾が生じるので、こちらの証明も難しくはない。

この問題が解けないとなるとおそらく最初のユークリットの互除法でつまってしまった人だろう。

最大公約数の計算には欠かせない解法の一つで、複雑な2数の最大公約数をより小さな数に変換でき、問題が簡単になる。

ユークリットの互除法は最大公約数を求める際に選択肢の一つとして必ず脳裏に浮かぶようにしたい。

第五問(分野:微分法、極限 難易度:標準)

第五問については、難易度は標準としたもののやや難よりの標準というところだ。

(1)と(2)については、図に書いてしまえば一目瞭然なのだが、これをしっかりと数式と言葉を使って説明できるかが肝心である。

xは実数全体を動くのだが、与えられた方程式の解は0〜1の間にしかないことは直観的にわかる。

これをしっかり説明するには、他の範囲に答えが存在し得ないことを示す必要がある。

これをした後に、0〜1の範囲でx^2n – 1が連続で、単調増加、cos xが連続で単調減少であることを述べれば、0〜1にただ一つの解が存在することが証明できる。

(2)については、0 < an < 1であるのは(1)から言えるので、これとcos xが単調減少であることを考えれば、cos an > cos 1が示される。

(3)は(1)と(2)に比べたら難易度は上がるが、a と bだけでも求めてほしいところである。

nが大きくなれば、x^2n – 1のグラフは横に広がるという知識があれば、an はnが十分大きくなれば1に近くということは予想できるが、しっかりと式で示すことが重要だ。

(2)で求めた不等式からanの評価式をつくる。

最左辺の極限が1であれば、はさみうちの原理よりa = 1となる。

また、an^nの極限も、これを用いて簡単に導出できる。

問題は、cである。

cは、√x cos xという関数における、平均値の定理を使って導出する。

形から想像はしやすいが、平均値の定理に関する問題は少ないので、思いつきにくい部分ではある。

この問題は、(1)、(2)までは図で書いて当たり前のことをしっかり数式を使って示せるかにかかっており、それができればある程度の点数はくるだろう。

ただ、最後の極限ができるかどうかで、完答を目指せたかどうかが変わってきた問題だ。

第六問(分野:複素数 難易度:やや難)

この問題は、他の問題と比べて少し難しい。

複素数の問題が2016年から毎年出題されているが、今回のものが一番難しい問題となる。

まず、(1)については、4時方程式の解は、

  1. 全て実数。
  2. 2つ実数で、2つが共役な複素数
  3. 4つとも虚数

のいずれかである。

これが、条件1, 2, 3の全てを満たすか考えれば良い。

ここで、条件1, 2は問題にならないので、条件3をみていこう。

条件3 αβ + γδ = 0

これは4つとも虚数の場合成立しない。

なぜならば、4つのうち2つは共役な複素数となるからだ。

なので、2つが実数で2つが共役な複素数となるのだ。

(2)は(1)で求めた条件を丁寧に整理していけば、あとは、四次方程式の係数を比べてbをaで表すことができる。

(3)では、以上より、与えられた四次方程式の解がaを用いて表される。

a < -1とa > 0で場合わけが必要であるが、いずれの場合でも、α + βは複素数平面状で同じ双曲線を描くことになる。