中学生から東大を志望している学生、自分の子供を東大に合格させたいと思う親御さんは、少なくありません。
日々問い合わせを返信していますが、東大志望の中学生やその親御さんからの質問もかなりきます。
東大は、中学生のうちからしっかり勉強しておけば、かなり合格率を高くすることができます。
実際、僕も中学生のときにしていた勉強法が東大受験に大きく影響しました。
しかし、特に首都圏以外の周りに東大生がいない環境の人たちは、どのように中学生のうちに勉強すれば、東大の合格率を高めることができるか把握するのは難しいです。
そこで、今回現役東大生の私が中学生のときにしていた勉強法、それがどのように東大受験に影響したかを徹底解説します。
また、東大を志望している中学生、またはそのようなお子さんをお持ちの親御さんへ向けて、今やるべき勉強法をご紹介します。
<解説動画>
私の中学生時代の勉強法
私が、東大に合格できた大きな要因のうちの一つは中学校のときにしていた勉強法です。
より正確にいうと、中学時代に通っていた塾の勉強法が素晴らしかったのです。
まずは、その塾の勉強法について解説していきます。
私の中学時代の塾
私が中学時代に通っていた塾の勉強法が東大合格に大きく寄与しました。
それは、その塾が「自分で勉強する方法」をしっかりと教えてくれた塾だったからです。
この塾は以下のようなサイクルで勉強を行います。
- 次週の授業の予習
- 授業で予習仕切れなかった部分を補給
- 授業の翌週までにその単元の復習
- 翌週にテスト
このサイクルが、東大に合格できる勉強法を私に定着させたのです。
授業は、日曜日のみで全教科一気にやります。
その日曜日までに、1週間かけて、できるだけ予習をしてくるのです。
予習のやり方は、塾専用の問題集と市販の参考書があり、参考書に書かれている情報を元に、ノートにそれをまとめ直し、塾の問題集の問題をできるだけ解いてくるというものです。
この予習では、参考書という情報源から、一度情報を自分の頭の中で整理して、実際に問題を解いてアウトプットをするという一連の勉強のサイクルが体感できます。
さすがに中学生だったので、それで全ての問題を解いてくるのはかなり難しいですが、一人で勉強することにチャレンジできる環境が与えられるのです。
また、予習を、授業を受ける前にやることによって、その単元の大まかな内容を頭に入れて、自分がわかっている部分とわかっていない部分の整理ができます。
人間は人の話を予習なしで100%その場で定着させることはほぼ不可能です。
予習をして授業を受けることによって、わかっていない部分を効率的に吸収できるのです。
そして、次週のテストに向けて復習をします。
授業で理解が100%になった段階でそれを何回も反復して、定着させるよう努力するのです。
そして次週のテストでその努力がどれくらいの点数に繋がるのか、努力と結果の繋がりを体感的に毎週実感することができます。
塾の勉強法が東大受験に与えた影響
この中学時代に通った塾の勉強法のおかげで、「一人で勉強できる」ようになりました。
この「一人で勉強できる」には色々な能力が含まれているわけですが、それらが全て身についたということです。
この章では、この「一人で勉強できる」能力とそれが東大受験に与えた影響について解説していきます。
インプット
まずは、インプットの能力です。
まだ習ったこともない分野を参考書を駆使して予習をしてくることによってこの能力を培うことができました。
ほとんどの人は初めて習う分野は、授業を聞いたり、人に教えてもらったりして習うものだと思っている人が多いと思います。
しかし、実際インプットというのは人ではなく、書物などの文字から読み込んだ方が断然早いです。
そして、理解度が0のことについて初めて授業を聞いても、ほとんど理解ができません。
ある程度予習をして、理解度がある段階で聞いた方が、授業は断然ためになります。
中学時代に未習の分野を毎週参考書で情報を集め、自分なりにまとめて問題をできるだけ解くという作業をたくさんやったおかげで、このインプットが人より早くできるようになりました。
これは、東大入試においてかなり有利になります。
私は、地方の高校に進学したわけですが。中高一貫校に比べて明らかに進度が遅いです。
なので、東大受験をするには学校の進度はかなり遅いのです。
中学時代に、インプットが自分でできたので、学校の進度関係なく、自分で勉強を進めることができ、中高一貫校の進度に追いついて、たっぷり東大対策をする時期を確保することができました。
自分で、参考書などの文字情報から新しい知識を得る能力を中学時代に養えたことは、かなり東大入試において有利に働きました。
情報処理能力、応用力
また、予習では、情報をインプットするだけでなく、自分なりにまとめて、応用していく能力を取得することができました。
予習では、参考書と塾専用問題集は別物なので、参考書の情報は一度自分の頭の中で整理して、どの知識がどの問題に使えるか、見極める必要があります。
問題や分野によって、この作業の難易度は、変わってきますが、異なる情報媒体から情報を引っ張ってきて、それを一旦整理して、どのように使うか考えられる能力というのは東大入試には必ず必要になります。
例えば、東大の理科では、高校では習わない大学の分野を簡単にして、説明を与えて問題を解かせるということをしてくることがあります。
この問題は、初めて見る知識を既存の知識と整理して、どう問題に使うか考えられなければ、解くことができません。
また、東大の社会などでも、既存の知識と与えられた資料の中から読み取れることを組み合わせて問題を解くことがあります。
このように、情報処理能力は直接東大の入試でも問われてくるほど必須なのです。
良い授業を見極める力
中学時代の塾では、毎週ある程度予習をしてから授業を受けました。
先生もみんな予習をしてくるものなので、それを前提とした、授業をしてきます。
なので、参考書に書かれていない、人から聞かないとわからないことをしっかり準備してとても良い授業をしてくださいました。
中には、そんなこと予習段階で知ってるよみたいなことばかり話す先生もいましたが、おかげでどのような授業が良いものなのかということがよくわかりました。
皆さんの中学や高校にも教科書に書いてあることだけをひたすら喋るというひどい先生は一人くらいはいるのではないでしょうか?
はっきり言って、このような授業を聞いていても時間の無駄です。
僕は、高校時代は、このような授業は時間の無駄だと割り切ってほとんど聞いていませんでした。
おかげで、普通の公立校の生徒には確保できない演習量を確保することができました。
また、中学時代の予習をしてから授業を受けるというサイクルのおかげで、自分のわかっているところは自分の演習をして、わかっていないこと、自分の理解していないところ、自分のためになるところだけを聞くという技も身につけました。
このように、自分の理解度に応じて授業をどの程度聞けば良いのか見極められるようになったのです。
結果につながる努力をする能力
最後に紹介するのは、自分の努力がどのように結果につながるか見極める能力です。
中学時代の塾では、上記で紹介したように、毎週先週授業をした分野のテストを行なっていました。
なので、毎週習った分野をどの程度復習すれば、良い点数が取れるのか、自分の感覚としてわかるようになったのです。
これは、東大入試と言いますか、大学受験全般的に必要な能力だと思います。
以下のサイトに東大生の「やりました」と普通の人の「やりました」の違いについて書かれています。
学校の宿題が出されたときに、先生に「宿題はちゃんとやってきましたか?」と聞かれることがあると思います。
たいていの生徒は、その範囲の問題をすべて解いて丸付けまで終わっていたら「やりました」と言うと思います。
しかし、東大生になる生徒の「やりました」はそうではないのです。
東大生になる生徒が「やりました」と言うとき、テストでは見事に全問正解します。その範囲をすべて暗記しているのです。これに対し、普通の生徒では「やりました」とは言いながら、まず満点はとれません。
このように、どのような努力をどの程度すればテストで何点とることができるというのが、東大生は全員感覚として染み付いているのです。
これは、度重なる中学受験や模試などで幼少期から東大生は叩き込まれているのです。
なので、東大生の「やりました」は、単に宿題を一周して答え合わせをしたではなく、テストで100点が取れるようにしたという意味になるのです。
僕も幸運にも毎週の勉強の結果が点数として現れるという環境があり、どのように勉強すればテストで点数がとれるのか、中学生の段階で感覚として染み付いていました。
なので、高校に入ってからも、定期テスト、様々な種類の模試、実力テストなどそれぞれのテストに合わせてどのような勉強をすればよいかわかりました。
さらに、東大に受かるにはどの模試で本気を出せば良いのかということまで分析できるようになったのです。
中学生のあなたがいまから東大を目指すのなら!
もしこれを見ている中学生、もしくは中学生の親さんが、東大を目指している、東大を目指させたいと思うのであれば、どのような勉強を今のうちにしておけばいいか解説します。
一人で勉強できる勉強法
端的にいうと「一人で勉強できる」勉強法を自分の中に中学時代で定着することができれば、高校に入ってからの努力次第で、東大は十分合格することができます。
なので、上記で解説したような能力をじっくり身につけて、自分のものにできる3年間にしてほしいです。
はっきり言って中学の範囲なんて、本気を出せば三ヶ月ほどで全教科習得することができるほど、高校の内容に比べて内容が薄いです。
暗記する分野も少なく、数学もそれほど論理構造が複雑ではありません。
なので、逆に中学の分野が一人で学習できないようでは、東大は間違いなく目指すことができません。
我々の運営している「赤門アカデミー」にも、東大を志望している中学生の生徒はいますが、初めての分野を一から教えることはせず、必ず参考書を使って自分で勉強させています。
生徒の中ではこの勉強法で中2にして、高校1年生の数学を勉強している人もいます。
なので、もし東大を中学生のうちから目指したいという人は、「一人で勉強できる」つまり、
- インプット
- 情報処理能力、応用力
- 授業の見極め方
- 結果へつながる努力をする能力
この4つの能力が養えるような勉強を日頃するよう心がけてください。
中学時代に先取りは必要か
中学時代に先取り学習をする中高一貫校は増えています。
特に、東大合格者を数多く出している、東大専門塾の「鉄緑会」では、基本的に中一からの入塾しか認められておらず、中学校のうちに英数は、高校の範囲を全て終えてしまうといいます。
果たして、中学時代から先取りして、中学校のうちに、高校の範囲まで突入する必要があるのでしょうか?
結論から言いますと、必要ではありません。
中学時代に先取りをせずとも合格している人は大勢いますし、その人たちと、先取りをしていた人たちの間で能力差は現役の東大生の間ではありません。
「鉄緑会」では、1学年1000人ほどいると言われていますが、あの鉄緑会でも東大の合格者は300〜400人です。
つまり、中学校のうちに英数の高校範囲を終わらせているのに東大に合格しなかった人も大勢いるということです。
(それにしてもこの合格率はかなり高いですが…)
なので、先取りが必ずしも良い方向にはたらくとは限りません。
むしろ、先ほど申し上げた通り「一人で勉強できる力」を身につけう方が優先度が高いです。
中学の範囲だけでいいので「一人で勉強できる」能力が中学時代で身につけば、高校に入ってからいくらでも挽回できます。
先取りをするときに注意しなければならないことは、一つ一つが定着しているか必ず確認して次に進むということです。
定着していないうちに先に進めば進むほど理解度が減り、結局何も理解できなくなり、先取りをした意味がなくなるのです。
なので、先取りは決して必要はなく、むしろマイナスに働く可能性すらあります。
まずは、勉強法を定着させることを優先させて、先取りする場合には、定着度合いに十分注意して進めていくようにしてください。
まとめ
以上、現役東大生の私が、中学時代にしていた勉強法、それがどのように東大入試に影響したかについて解説しました。
中学時代に自分の勉強法が確立していれば、高校時代は「一人で勉強」していくことができるので、東大入試に合格しやすくなります。
なので、中学時代はとりあえず特別なことはせず、「一人で勉強できる」ようにあれやこれやと試行錯誤してみてはどうでしょうか?
中学時代のうちに勉強の本質がわかれば、高校時代は努力次第でなんとでもなるので、まずは、ここで紹介した勉強法を実践してみてください。