皆さんは物理の公式をどのようにおぼえているだろうか?
中には語呂合わせなどをつかって覚えている人もいるようだ。
しかし、公式をただ暗記したからといって物理の問題が解けるようになるとは限らない。
実際に受験生の中には、公式は覚えているがテストなどにでてくる問題がどうしても解けないといった現象があるだろう。
これは、その人の覚え方に問題があるといえよう。
公式の覚え方次第でしっかりと物理の問題を解答できるかが決まるのだ。
ここでは、公式は覚えているけど問題が解けないといった受験生のために、本当に物理ができるようになる公式の覚え方を3つのステップにわけて紹介する。
これを実践すればみんなは物理が得意になるはずだ。
公式を自然に覚えよう。
本当に物理ができる人は公式を能動的に覚えようとはしない。
彼らが何をやっているかというと、物理問題を解くなどしているうちに自然に覚えているのだ。
ここでは、物理ができる人たちがしている、「自然に公式を覚える」ための3つのステップを解説する。
公式の導き方を覚えよう。
公式を覚える際物理ができる人は必ず公式がなぜ成り立つのかをしっかりと理解して覚えている。
なぜ成り立つのかも合わせて覚えておくことで、より記憶が強化され忘れにくくなるうえに、導出過程が実際理解できていれば、公式を忘れたときにもその場で導出してしまうことができるのだ。
また、なぜ成り立つかを理解することは、その公式の仕組み全体を理解するのに役立ち、どんな時にその公式が有効なのか理解しやすくなる。
このように、公式を初めてみたり覚えたりするときは、なぜそれが成り立つのかという導出過程を導き出したり理解しておくことには多くのメリットが存在する。
是非一緒にやっておこう。
問題演習をしまくろう。
よく帰国子女の例を出すが、彼らはもちろん大学受験において英語が有利である。
では、どうして英語が帰国子女はできるのだろうか?
それは、当然英語圏に住み英語を四六時中生活の一部として使っていて、「自然に」何千単語もの英語とその文法を覚えてしまったからだ。
つまり、使いまくれば使いまくるほど「自然に」覚えやすくなるのだ。
これは、物理の公式においても全く違わない。
物理の公式を「自然に」覚えたいのであれば、問題演習をたくさんこなし公式を使いまくることが一番である。
この際にいきなり応用問題などのような難しい問題へ行ってはならない。
これはあくまでも公式を「自然に」覚えるための問題演習である。
応用問題なると公式の使い方にも工夫がいり、普通に公式をあてはめるだけでは解くことができない問題が多い。
つまり使いたくても使えないというようなことが起きる。
これを、公式を覚えずに、しっかりと理解できていない段階でやると、余計に混乱を招くだけである。
よって基礎的で簡単な問題の演習を公式が「自然に」覚えられるまでやるのがオススメだ。
このように、問題演習をこなせば「自然に」公式を覚えることができる。
必ず公式を新しく覚える際には問題演習も合わせてやっておこう。
公式を使う意図を考えよう
問題演習を続けていくと、だんだん難しい問題にぶち当たってくだろう。
簡単な問題だと、その公式を使うのがみえみえで何も考えずにその公式を使うと思う。
しかし、だんだん問題が難しくなるにつれて、「どの公式を使えばいいのか?」また、「どのように公式を使えばいいのか?」といった疑問にぶち当たりなかなか問題が解けないということが起きてしまう。
また、「いろんな公式が適用できるが、どれが一番はやくとけるのだろうか?」といった問題にぶちあたることも珍しくない。
そんな時に考えてほしいのが「いまどうしてこの公式をこの問題に適用するのか」という公式を使う意図だ。
これをすることによって、問題の条件に一番適した公式を使うことができるようになるのだ。
これをやらないと入試レベルなど難しい問題になっていくとどんな手順で問題を解いていけばいいのかわからなくなってしまう。
是非、やっている問題ごとに公式を適用する意図を考えるクセをつけよう。
そうすることによって、難しい問題でもしっかりと条件にあった公式を使うことができるのだ。
運動量保存とエネルギー保存測による例
上の章で、どのような手順で勉強していけば公式を「自然に」覚えることができるのかがわかっただろう。
しかし、例があった方がわかりやすいと思うのでここでは、運動量保存則とエネルギー保存則を覚える際の一例を説明しよう。
なぜ成り立つか考えよう。
まず、最初にすべきは運動量保存則とエネルギー保存則がなぜ成り立つのか考える又は調べることである。
ここでは、その理由について簡単に説明しておく。
まず、高校生が学習する力学はニュートンの3つの運動の法則によって成り立っている。
これを証明するものは実験結果しかなく、理論的な裏付けがない法則である。
そのうちの第二法則で運動方程式がある。
ここで、運動方程式における加速度は速度の時間微分であるので運動方程式は時間による微分方程式であることがわかる。
これを両辺時間によって積分すると運動量保存則が得られる。
また、距離によって積分することでエネルギー保存則が得られる。
よって、この二つの法則は運動方程式と同値であるためゆえに成り立つということがわかる。
この計算過程をしっかり理解しておけば、この法則をしっかり理解することができ、忘れたときに導くこともできる。
なおこれは簡単な説明なので、詳しい計算は以下の参考URLからみておこう。
(参考→http://mathtrain.jp/hozonsoku)
問題演習をしよう。
次に、問題演習をたくさんこなそう。
力学的エネルギー保存の法則と運動量保存の法則は簡単な問題ではそれぞれ単体で出てくるかもしれないが、そこそこのレベルになるとたいてい一緒になって出てくることが多い。
たいてい2物体の運動(通称:二体問題)についての運動前後の速度について二つの保存則から連立することが多い。
これをたくさん繰り返せば、自然と法則自体を覚えていくだろう。
公式を使う意図を考えよう。
問題演習をたくさんこなしたら次はどうして、その問題においてその公式を適用するのかということを考えなければならない。
ここでは、2物体の運動前後での速度を求める問題についてどうして力学的エネルギー保存の法則と運動エネルギー保存則を利用するのかということをかんがえていこう。
簡単のため問題を一次元空間において速度vで移動している質量mの質点が静止している質量Mの質点に衝突した場合その後の二つの質点の速度はいくつかという問題について議論したい。
十分演習を積んでいれば、当然のごとく力学的エネルギー保存の法則と運動量保存の法則をつかうのである。
ここで、2物体についての運動方程式をたるなどということもできそうだが、それだとうまくいかない。
なぜならば、衝突する間の微小な時間とその間にはたらく内力が具体的にわかっていないのだ。
逆に物体の衝突などに生じる内力や具体的な時間が全く分かっていなくとも適用できるのが力学的エネルギー保存の法則と運動量保存の法則なのだ。
つまり、間の運動(この場合衝突時の運動)の詳細がわかっていない時にその前後における速度を求めるのが最も得意な法則がこの二つなのである。
このように間の運動の詳細がわかっていなくてもこの法則により速度を求めることができるということをしっかりわかっていると、どんなに難しい問題が出てもこの法則を適用しようという判断をくだすことができるのである。
問題演習を十分こなしたのちは、絶対に公式を適用する意図をかんがえるようにしよう。
まとめ
以上が、物理が本当にできるようになるための公式暗記の3つのステップだ。
誰しも、必ず
- 公式がなぜ成り立つか考える。
- 問題演習を十分こなす。
- どうしてその問題でその公式を適用するのかを考える。
という3つのステップをしっかりこなせば、初めて見た問題や入試問題も十分対応することができる。
是非、この3つをまもっていこう。
(celly 東京大学理科二類在学)