歴史科目がどうしても苦手……っ!!
そう感じているあなたはまず間違いなく暗記でつまずいているはずです。
歴史科目、日本史や世界史は暗記が非常に大きな割合を占めます。
しかし、あの分厚い教科書を始めから終わりまで全部覚えるなんてとてもとても無理……。
あなただけではなく、多くの受験生がみんな思っていることです。わたしも同じでした。
でもね、暗記というのはコツなんです。「いかに覚えないか」で決まる、コツです。暗記するためにはできるだけたくさんのことを覚えないで覚えることが必要なんです!!
……なんて言葉遊びのようなことを書いてみましたが、本当のことです。
今回は覚えないで覚える暗記の極意、お教えします。
歴史科目で覚えるものは三種類です。
1年表
2出来事
3固有名詞
1つ1つの覚え方、解説していきますね!
年表は「覚えない」
センター試験でよくある問題に、「以下の選択肢を年代順に並べ直しなさい」というものがあります。
受験生たちは思うわけです。
「ええっ!? こんな細かい年号覚えてないよっ」
そう思ったとしたら、大不正解です。
センター試験で聞かれる並べ替えの問題で年号の記憶が必要なものはほとんどありません。センター試験に限らず、受験で覚えている必要のある年号なんてごくごくごく、わずかなんです。
年号は2つに分類できます。
①覚えるもの
②覚えないもの
そしてほとんどの年号は②なのです。
①の覚えるものは、本屋で一番薄い年号の語呂合わせの本を買って、「一番重要!」と書かれているものだけ覚えてしまいましょう。これは繰り返して覚えるしかないですが、少しだけなのでなんとかなると思います。
②の覚えないもの。これが重要です。
「覚えないでどうやって問題解くの?」
こんな疑問がありそうですが、簡単なことです。流れを「理解」すればいい。歴史は流れだとよく言いますが、その通りなのです。
武士が生まれたのにも、戦争が起きたのにも必ず背景があります。文化にしても、金閣が豪華で銀閣がなんだかしょぼいのにはちゃんと理由があるんです。
その理由をちゃんと理解すれば金閣と銀閣の順番がわからなくなる、なんてことはないわけです。
そして実は、センター試験で聞かれる並べ替えの多くは「ちゃんと流れを理解してますか?」という問題なのです。意味のない年号暗記を求めているわけではありません。
対策も簡単です。教科書を読むときに、ただぼんやりと文章を追うのではなくて、「Aということがあって、そのせいでBになって、最後にはCになったのか」ということを常に意識しながら読むようにしてください。
あとは、細かい年号は無視して、重要な出来事については何世紀のことだったか、は大まかに覚えておくとさらにいいでしょう。
意識するだけで点数はぐんと伸びますよ。
出来事は内容を見る
歴史を勉強していると、様々な事件や出来事が書いてあります。
織田信長の戦いにしても、たくさんありすぎてどれがどれだったか頭がこんがらがります。
でも、実はこの出来事も、上の年表と同じような考え方をすれば覚えるのがずっと楽になるんです。
まず、出来事というのは2つの要素があります。内容と、名前、です。名前というのは出来事の名前という意味でもありますし、登場人物の名前、という意味でもあります。つまりは固有名詞ですね。
固有名詞については後で書くので、ここでは内容について考えてみましょう。
……歴史の勉強をするとき、多くの人は一問一答のような勉強法をします。
長篠の戦いは何年に誰と誰が戦って、誰が勝ったのか。
姉川の戦いは……
というように、知識を整理しようとします。でも、これでは覚えることが何倍にもなってしまい大変です。
年表の時のお話を思い出してみてください。「流れ」が大事だと書いていたはずです。
出来事についても同じことです。表面的な説明ではなく、その出来事の意味に注目してください。
例えば長篠の戦いは織田信長が火縄銃による集団戦法を世界で初めて用いた戦いで、その結果最強と言われていた武田の騎馬隊に圧勝しました。
戦国武将の最強の一角を落とした織田信長はここから天下人として名を轟かせていくことになります。また、織田信長と手を結んでいた徳川家康も三河を手中にし、徳川幕府の下地が作られていきます。
このうち、注目するべきは、「織田信長が世界初の戦法で最強の武将を倒したことで天下人として名を轟かせた。」というところです。これをわかっていれば、「火縄銃」「武田」「騎馬隊」などといった言葉は後からすんなり思い出せるようになります。
教科書で出来事の説明があったら、それがどんな意味を持っている出来事なのか、に注意してみてください。
固有名詞は最後に確認する
固有名詞は覚えるしかないものです。ですが、そのタイミングによって、大変さが全く違います。
ここまで年表と出来事について解説をしてきましたが、実はこれこそが固有名詞は暗記の極意でもあるのです。
新しいクラスメイトの名前を覚えるときのことを想像してみてください。
最初に名前を覚えるのはどんな人ですか?
見た目が特徴的な人、自己紹介ですごく面白いことを言っていた人、最初にたくさん喋った人。
こういう人ではないですか?
人はある人を他の人と区別できていないと名前を覚えるのが苦手なんです。顔をみて「あ、この人〜な人だ!」と思い出し「えっと名前は……」となり「〇〇さんだ!」となる。例え名前を思い出せなくても、もう一度聞けば覚えられるでしょう。
逆にたくさんが自己紹介する中で名前だけ聞いた人は「あれこんなひといたっけ?」となり、存在も思い出せない。こういう相手は何度名前を聞いても、覚えられなかったりします。
歴史の固有名詞も同じです。どういう出来事があったかをちゃんと知っていれば、その出来事がなんという名前だったか思い出すのはそれほど難しくはありません。逆にどんな出来事かもあいまいであれば、名前を思い出すのなんて到底無理なのです。
そういうわけで、固有名詞は覚える前にまず流れと出来事の内容をしっかりと「理解」しましょう。
そうすることが暗記の一番の近道なのです。
終わりに
今回は歴史科目を覚えないで覚える方法を説明してみました。
いろいろなことを書きましたが、結局言いたかったのは「理解ができれば暗記はついてくる」ということです。
無理に覚えようとしないで「どうしてそうなったのか」「それはなんの意味があったのか」そういうことに注目して勉強をしていれば、気づかないうちに重要なことはだいたい覚えられているのです。
点数も驚くほど上がります。
しかも、素晴らしいのはこうやってっ勉強していると知識問題だけではなく、論述問題もラクラクとけるようになる点です。
ついでに言うと、これこそが受験で本来求められていることであり、「将来に役立つ受験勉強」でもあります。関係ないですが、これをやっているかどうかで、同じ大学に入れてもその後についてはけっこう差が開いたりもしますよ。
ぜひ、意識してみてくださいね!
(白黒熊 東京大学法学部)