漢文というと、漢字がずらりとならび、その横にはよくわからない再読文字なんてものもついている理解不能なものだと思っている生徒も多いのではないだろうか。
このように漢文がただの漢字の羅列のように見えてしまうのは、漢文について押さえておくべきテクニックが身に着けられていないからだ。
漢文は、「句法」というものを習得してしまうと恐ろしいほど簡単に理解して読めるようになってしまうのだ。
じつは、漢文は入試全科目においてもっとも満点が取りやすいといわれている。
なぜなら、漢文は読み方のコツさえつかめば簡単に読めるようになるからだ。
そして、「句法」の知識はその読み方のコツに直結する。
漢文の学習の初めに、どの学校においても必ず句法を習うことだろう。
しかし、句法の知識は覚えにくく、完璧にするには正しい暗記法に従ってトレーニングをすることが必要である。
今回は、漢文の句法の正しい覚え方3ステップを徹底解説する。
ぜひ、この記事の覚え方を実践して、漢文の句法を完璧にして、漢文を入試の得点源にしよう。
漢文の例文を音読する
たとえば、禁止の「莫れ」という句法を覚えたいとする。
その時に、これは「なかれ」と読み、「してはいけない」という意味で、「禁止」だといちいちバラバラに暗記する行為は非常に骨の折れる作業である。
ほとんどの生徒は、このように漢文の参考書にある「莫れ」だけを見ている。
だから漢文ができるようにならないのだ。
漢文の句法は、ひたすら暗唱するのではなく、理解して覚えることが必要なのだ。
古典文法も英文法も、まず例文を読んで、文脈の中で文法を理解するほうが学習効率は高いことだろう。
そのため、漢文も同様に句法の用いられた文を音読して覚えたほうが数倍頭に入りやすくなるのだ。
では、ここで具体的な音読方法を紹介する。
再読文字を意識して読む
まずは、再読文字のついた段階で漢文を読み上げる。
その際にレ点などを意識し、正しい順序で漢字を読めるように確認しながら読もう。
文章の内容も理解しながら、ゆっくりでいいので数回声に出してみる。
そうすると、返り点で詰まったりすることなく読み進めることができるようになる。
白文を読む
前の章では再読文字のついた状態での音読の方法について記した。
では、再読文字ありならば滞りなくある文章を読み進めることができるようになった次のステップとして、白文での音読方法を紹介する。
まず、返り点有りの状態での音読を完璧にした文章を漢字のみほかの紙に書き写す。
ここで、実際に手を使って漢文を書いてみることが重要だ。
書くという作業と音読を同じタイミングで行うことで、暗記効率が上がる。
そして、自分で書いた白文の文章を、句法を意識し、意味を理解しながら読み上げよう。
読み上げる漢字の順序が分からなくなってしまえば、書き下し文を見てもよい。
しかし、白文で漢文を読もうと挑むことで句法や文法だけでなく、漢文独特のリズムを体で覚えることができ、読解力をも高めることができるのだ。
漢文の練習問題を解く
ここまで、音読によって漢文の句法を身に着ける方法を紹介した。
ある程度どのような句法があるのかわかったら、次はドリル形式の問題をどんどん解いていこう。
ここで、漢文句法の演習方法を徹底解説する。
句法に特化した問題を解く
まずは句法問題といわれるジャンルの問題をしらみつぶしに解いていこう。
一周解いては答え合わせをし、自分が覚えられていない句法を洗い出す。
そしてそれらを音読によって頭に入れ、二周目を解く。
このようなステップを踏んだ繰り返し学習によって、ほとんど漢文句法の知識を完成させることができるのだ。
句法を使用した読解問題を解く
では、次に句法の知識を直接問うのではなく、文章の長い読解問題を解いて自分の応用力を試してみよう。
おそらく漢文句法が身についていれば、文章のどこで句法が使われているのか、出題者は自分にどの知識を問いたくてこの問題を出題したのかが手に取るようにわかってくることだろう。
採点を通して本文中で使用されているが自分で気付けなかった句法にチェックを入れる。
こうして順に自分の苦手な句法や絶対に間違えない句法を区分けしていき、学習効率を上げるのだ。
まとめ
以上が、入試の漢文問題において確実に満点が取れるようになるための句法学習方法である。
いかがだっただろうか。
音読による暗記作業は非常に地道なもので、途中で嫌になってしまうこともあるかもしれない。
しかし、音読をするごとに自分の知識量が増えていくことをモチベーションにして、句法の暗記を何とかやりきろう。
そして、今回の記事の中で紹介した演習方法を実践し、句法の知識を定着させ、それと同時に効率よく読解力もつけてしまう意気込みで学習に取り組もう。
確実に句法の知識を習得できたとき、君は「漢文で入試の得点を稼ぐ」といえるようになっているのだ。
(celly 東京大学理科二類在学)