高校に入ると理科の選択科目のうちで化学があるが、理系の難関大学志望者は、ほぼ大学受験に向けて勉強する必要がある。
化学という科目はセンター試験レベルではものすごく簡単で100点満点も余裕でとれてしまう科目である。
しかし、これが難関大学の二次試験となると一気に難易度はあがる。
ここでは、そんな化学選択の受験生のための、難関の大学受験にも対応できる化学の勉強法を3つ紹介する。
もちろんセンターレベルや学習初期の段階でも通用する話なので、化学選択者の人は是非読んでほしい。
暗記onlyは、化学が苦手な受験生がやりがちな悪い勉強法
よく化学ができない受験生は、化学が化学的現象の暗記がすべてだと思っている。
しかし、これはあまりよくない考え方だ。
確かに、学習し始めた初期の段階として、まずは化学的な知識をひたすらインプットしていかなければならないのは確かだ。
そして、それだけでも学校の期末テストやセンターレベルには十分通用する。
しかし、難関大学の二次試験以上のレベルになってくると、それだけでは通用しなくなってくる。
二次試験では、単なる化学的な知識を聞くだけではないからだ。
二次試験では、様々な化学的な現象がどのようなメカニズムになっているのか、また、化学的現象と別の現象にどのような関連性があるのか考察させて答えを導きだすような問題が、大学のレベルが上がれば上がるほど出題されるようになる。
つまり、単なる知識を持っているだけでは、難関大学の化学の問題は、到底太刀打ちできないのだ。
そのため、ただ反応式を覚えるだけ、物質の特徴を覚えるだけ、モル計算ができるだけ、などのような学習方法では、大学のレベルが上がれば上がるほど入試問題を対処しきれなくなってしまう。
つまり、大学受験における化学の勉強で、暗記onlyで考えるのは適切と言えない。
化学のおすすめの3つの勉強法
では、単なる暗記がだめなら、化学の勉強はどうすればよいのだろうか?
ここでは、どのように勉強していけばよいかわからなに人のために化学のおすすめの勉強法を3つ紹介する。
「なぜ?」を理解する。
一つの方法は化学的現象のメカニズムやそれが起こる理由などの要因となるものを知って理解するという方法だ。
難関大学の二次試験の入試問題では、どうしてこの現象が起きるのか、この実験操作を行うのはなぜかなど理由を問う問題が頻出だ。
これは、一つ一つの知識に対してその裏側のメカニズムがしっかりと理解できていないと解けない。
また、メカニズムを一緒に覚えておけば、その現象を単体で覚えるよりもなぜそれが起こるのか理解できるので、覚えやすくなるのだ。
例えば、有機化学の反応は非常に複雑で多様である。
また、反応条件も細かいので非常に覚えにくい。
しかし、これを反応機構とともに覚えると、「この官能基とこの官能基は、このように作用しあるから、こう変化する」といったメカニズムがわかるので、たとえ忘れてしまったとしても思い出せるくらい記憶の定着率があがるのだ。
具体的にすることとしては、メカニズムをいったん理解したら、何も書いていない紙の上に何も見ずに、そのメカニズムを図や絵などをもちいて再構築できるかどうか確認するということがある。
これをやっておけばしっかりとみにつく。
まだ、単なる知識の暗記しか行っていない人は是非この方法を実践してみよう。
(反応機構など詳しい化学現象のメカニズムは教科書に載っていないことが多いので、詳し目の参考書を買うことをおすすめする。(化学の新研究(著者:卜部吉庸 理系大学受験 )など)
知識と知識の関連性を考える
ある知識に対して、そのメカニズムをしっかり理解していく作業をしたら、今度は、自分の持っている化学的知識の関連性を考えていこう。
最近の難関大学の二次試験でよく見かけるのが、二つ以上の分野が絡んだ問題だ。
化学という教科の枠組みのなかにある情報である以上、それらはお互いに少なくとも何らかの関連性がある。
例えば、無機化学の反応には酸塩基の知識や、酸化還元反応の知識も必要になってくる。
また、有機化合物の反応速度を議論させる問題もしばしばみる。
このように、関連性がみられるものや、特に強いものはそのかかわりが入試問題で実際に問われることも少なくない。
さらに、一つ一つの知識の関連性がしっかりと頭のなかで整理されていて、系統化されて覚えている人と、そうでない人とでは、その知識の定着率も大きくなるし、忘れにくくもなる。
このように、化学的知識の関連性を意識しながら勉強していくことは、入試におけるメリットが大きく非常に大切である。
これも、まだやったことない人はやっておこう。
幅広いレベルの問題演習を行う。
多くの人は(特に化学の苦手な人は)、問題集のうち基本問題や標準問題だけ解いて、応用問題を解かない。
しかし、これは非常に勿体ない。
基本問題などは単なる知識を聞くような問題だが、応用問題は化学的現象の考察、つまり「頭を使う問題」がメインになってくる。
応用問題は、入試で問われるような化学的思考力が直に訓練できるいい問題なのだ。
難しい問題ばかりというのは良くないし、最初から難しい問題を解くのがよいわけではない。
しかし、ある程度化学的な知識が身に付き、基本問題レベルが解き切れるようになったら、そこで終わらず応用問題にチャレンジすることも非常に重要なのだ。
(補足)大学化学の範囲の学習について
どうしても、化学の勉強を上で示したように、しっかりと行っていると、高校化学の範囲を逸脱してしまうことがよくある。(有機化学の反応機構などはだいたい高校範囲外である。)
少し難しい参考書を読んでいれば、だいたい高校の教科書に書いていないことが多くみられる。
ここで、これは高校範囲外だから覚えないなど、枠組みを作ってそこから先はやらないというやり方はあまり好ましくない。
というのも、化学的な思考力というのは新しく化学的な知識を取り入れてそれを整理するときにも養われる。
よって、高校の範囲外の化学でも理解できる範囲でよいので、勉強しておくと化学的な思考力がつきやすい。
また、最近の入試問題では(特に東大・京大)大学の範囲の化学を高校生にもわかるように問題文で説明しておいて、それを題材とした問題を解かせることが多い。
これを解く際に化学的な思考はもちろん必要なのだが、高校生が理解できる大学の化学の分野には限りがあるので、先に知っておくともちろん問題が解きやすくなる。
よって、知らなくてもよいが知っておくとあたるかもしれないという気持ちで学習しておくことは、重要である。
このように、高校の範囲外の内容を学習しておくことにはメリットが多く存在する。
余裕のある人は、高校範囲外の内容から逃げないで、是非これも一緒に学習していってほしい。
まとめ
以上が、大学受験の二次試験にもしっかりと対応できるおすすめの化学の3つの勉強法である。
化学はただの化学的現象や知識を暗記していくだけの科目ではないのだ。
しっかりと、現象の理由を考えて、知識同士をお互いに関連付けながら、問題演習をこなしていると必ず成績は伸びてくる。
この記事を読んだ受験生は是非ともこの勉強法を実践して化学を得意科目にしてしまおう。
(celly 東京大学理科二類在学)