東大英語の入試問題を見ると、多種多様な問題形式が存在することがわかる。
そのうえ、これら問題形式はほとんどが他の大学で出題されくいまれなものである。
その一つが第一問Aに当たる要約問題である。
しかし、ほとんどの人は要約の勉強法を習ったことがない。
よって、対策しようにもどのように勉強していけば良いかわからないと悩んでいる人は多い。
ここでは、大学入試であまり出題されにくい東大英語第一問Aの要約問題の解き方と、その対策法を示す。
この記事に書かれていることを実践することで、要約が劇的に伸びること間違いなしだ。
<解説動画>
事前準備
東大英語の入試問題は他大と違って英語の様々な能力を要求してくる。
従って、過去問を解くにあたって、たくさんの能力を身に付けることが必要となってくる。
よって、過去問に特化した対策をする前に以下の四つの基礎力
- 文法的知識
- 単語力
- 長文読解力
- 英文の論理的読解力
- 英語の独特な表現への対応力
を身に着けておく必要がある。
第一問対策に当たっては、最低限1~4までの基礎力がついていることが必要だ。
まずは、第一問Aに特化した対策をする前にこの基礎力を身に着けておこう。
1, 2,3が身に付いていない受験生
東大英語の対策を始めるにはまだ早すぎる。
まずは、大学入試で一般的に必要とされている1,2,3を早急に身に着けよう。
なんと言っても最重要なのが、1,2つまり単語と文法である。
全くやっていないという人でなくても、穴がある場合は以下のサイトを参考に自分で穴を埋めよう。
英語の単語を本当の意味で覚える、最強の覚え方の3つのステップ
また特に、共通テストレベルの問題で、長文読解で苦戦している場合は、そもそも長文読解の練習が足りていない。
このハイパートレーニングlv1や2を使って、音読による復習をしておくと良い。
下記の記事を参考にやってみよう。
また、共通テストで8割以上取れるが、それ以上のレベルになるとなかなか点数が取れず、読むのも遅くなってしまう場合は、ポレポレやハイパートレーニングlv.3に取り組むのがおすすめだ。
長文弱者必見!ポレポレ英文読解で偏差値を10爆上げする勉強法2
4が身に付いていない人
1, 2,3が身についていて、4が身についていない人は、過去問演習をする段階にちょうど到達したころだといってもいい。
下の記事の方法を使えばすぐに身に付くので身に付けてから要約対策をしよう。↓
要約の解き方
事前準備が完璧であるなら、次に要約問題の具体的にどのように解けば良いのかその解法を詳しく解説する。
要約問題で何を見ているのか。
要約とは、文章上で筆者の言いたいこと優先順位を守って、を正しい論理構造を維持して短く文章をまとめることを言う。
つまり要約では、英文を読むうえで以下の二つ
- 筆者の伝えたい情報の優先順位
- その情報をとりまく論理構造
の把握ができるかを見ている。
これは、英文の論理的読解力そのものである。
よって、これが習得できていれば対策の大部分は終了である。
要約の書き方
要約の書き方は、至ってシンプルである。
文章の中から論理的な優先順位の高い情報を論理構造を維持して、字数の許す限り順番に入れていくだけである。
よって、要約の解き方として、
- 文章の情報の優先順位と論理構造をまとめる。
- 優先順にの高いものから順位要約に入れて、とりあえず要約を作る。
- 字数調整
の三つのステップによって成り立っている。
最初のステップでは、わかりやすいように一段落ごとに分けて考えても良いだろう。
筆者も実際段落に分けて考えるが、最終的に段落同士の優先順位も考えることを忘れてはいけない。
また、論理構造を維持していることが大切で、文章に書いていないのに勝手に比較したり、勝手に因果関係を結ぶのは絶対に良くない。
具体的な解答例
東大英語の要約では、入試という形式上字数制限がどうしても存在する。
よって、最後に必要最低限の要素をうまく短い日本語で制限字数内に収めるという能力が必要だ。
では、最後に具体的な解答例を紹介する。
例えば、
東京大学2007年度入試英語第一問A
では、論理的読解力があれば、以下のような論理構造を表すダイアグラムが書ける。
文学作品の意味は筆者によって決められると思われている。(一般論)
↑
しかし(対比)
↓
① 意味を決めるのは読者だ。→様々な解釈が生まれる。 ・第二段落
② ①はある意味では問題である。→好き放題やっていいわけではない。
→(理由)皆が合意できる解釈と独自でもっていよい解釈の境目が曖昧になる。
・第三段落
どちらが、解釈を決める?(問題提起)↓もちろん、読者か筆者かという議論は時には役立つ。
↑
しかし(譲歩)
↓
③ 読書は読者と筆者の相互作用→どちらか一方がという考え方は間違い!(結論)
これによると①と②の対比から問題を提起し、さらに結論(文章全体のメッセージ)を導き出しており、論理構造は「対比と譲歩」がメインに使われている。
そして、このダイアグラムでは、左づめになっていればいるほど優先度が高いものとした。
第一第二段落は、問題提起が具体的に書かれているだけなので、優先順位は結論の次に高いといえるだろう。
当然第三段落の③が結論なので一番優先順技が高い。
また、こちらは要約にも入らないが②の理由などは優先順位が一番低いだろう。
他のも文章に載っているがダイアグラムにはない情報が存在するが、要約にも載らない優先順位の低い具体的な話であったりするので、あくまで要約に入りそうな高いものを考えれば良い。
よって、要約としては
①②の対比→問題提起→③の結論
という流れで書けば要約となる。
しかし、この問題の字数制限は80~100字でそのまま書くと字数オーバーとなる。
よって、少々日本語を短くまとめる必要があり、答えとしては、
となる。
字数削減方法
一番最後にネックになるのが字数の削減方法である。
一番有力なのは、別の文で書かれている要素をうまく修飾して一つの文にまとめるということだ。
例えば、先ほどの要約では、
詩などの文学作品は作者が意味付けすると思われているが、読者も自分の考えや経験に基づいてそれらを解釈するので、
となっていた。
「詩などの文学作品」と「それら」の二つは同じことを指しているのでこの二つを使うのは無駄である。
よって、
作者が意味付けする詩などの文学作品を、読者も自分の考えや経験に基づいて解釈するので
と、冒頭の部分自体を目的語にして、一つの文にすることによって圧縮するのである。
基本的に要素ごとをそのまま和訳して、並べると字数オーバーになることが多いので、このようにまとめて字数を削る必要があるのだ。
あとは、カタカナ語をできるだけ使わないということも有効である。
カタカナ語は字数がどうしても多くなってしまう。
例えばcommunication technologyをそのままコミュニケーション技術と書いてしまうとかなり字数が必要になる。
そうではなく、情報通信技術とすると、半分程度字数を削減することができる。
このような表面的なことでも字数が抑えられる。
後に紹介する対策法で、自分で今後練習していく過程で是非コツを掴んで欲しい。
要約の対策方法
最後に先ほどのように論理的かつ素早く要約が解けるようになるには、具体的にどのように対策をしていけば良いのかについて解説していく。
使用する参考書・問題集
まず最初に東大英語の要約対策に必要な問題集参考書をご紹介する。
基本的に要約問題というのは、東大以外に入試問題では出題されにくく、個別の問題集も東大と同じレベルで良問が揃っているものがない。
よって、東大の過去問を使用する。
ただ、英語は全体で時間内に解くことも難しく、そのための練習にも過去問が必要である。
よって、問題形式が最近のものと似ている、比較的新しい過去問は全体で解くために残しておき、比較的古い要約問題で練習をしよう。
具体的には、2009年以前の入試問題を使うと良い。
また、参考書や問題集として具体的には、
- 東大英語27ヵ年(第9版以前のもの)
- 「東大英語総講義」 宮崎尊 東進ブックス 第三章の1の要約練習問題
この2冊を使うと良い。
特に、東大英語27ヵ年は第10版からは編集者が変わっており、解答解説に間違いもあるので、第9版以前の版の物を購入することをお勧めする。
ダイアグラムの例を見る。
過去問を解く前に、まずは先ほど紹介した東大英語総講義を読んで、ダイアグラムの例を見ておこう。
論理構造を表すダイアグラムを書くことは、今までにやったことがない人が多く、例がないとやり方に戸惑うだろう。
しかし、東大英語総講義にしっかりと例が載っているので、これを参考にする良い。
また、当サイトでも、東大英語の要約問題の解説を行なっている。
その際やはり、論理構造を表すダイアグラムを書いて説明している。
最新の過去問のものになってしまうので扱いは慎重にして欲しいが、是非参考にしてみて欲しい。
時間をかけてダイアグラムを書く
東大英語総講義などをみて、ダイアグラムの例を十分みたら、2009年以前の要約問題に取り組んでみよう。
そして、自分で論理構造を表すダイアグラムを書いて、そのダイアグラムをもとに要約を書いてみよう。
この際どれだけ時間をかけても構わないので、何度も読み返して、丁寧に論理構造を把握していくと良い。
自分の書いたダイアグラムや要約が正しいかどうかは、ある程度東大英語27ヵ年の解説を読めばわかる。
しかし、全てが載っているわけではないので、わからないことがあれば、英語力かつ論理的読解力の両方を併せ持った信頼のできる人に聞いてみよう。
ほとんどの英語の先生は英語力はあっても、論理的読解力に欠けていることが多い。
おすすめとしては、数学が得意な英語の先生であったり、東大英語で高得点を取った東大生などに聞くと良いだろう。
また、過去問の年度に関して質問されることが多いが、自分の生徒には1991~2009年と19年分の要約問題を使って練習をしている。
どこまで、やるかは人それぞれであるが、最初から要約ができる人でない限りはかなり問題数をこなさなければいけないことは確かである。
また、過去問をやり進めていく中で徐々に慣れてくるともうので、ダイアグラムを省略して要約を書いてみたり、時間制限を設けたりと早く要約が書けるように取り組んでみよう。
音読による復習
一度解いた問題は、音読をして復習をしよう。
実際に過去問を全体で解く際は、要約に割く時間は10分ほどしかない。
今まで、時間をかけていた要約問題を素早く解けるようにするには、今まで自分の手で書いていた、ダイアグラムを頭の中で書いて、それをもとに要約を書くことができるようにならなければいけない。
このために、音読による復習をしてほしいのだ。
ただ、お経を唱えるように何も考えずに声を出すのでは効果がない。
音読をしながら、ダイアグラムを頭の中で書いていくのである。
そして、段落などの区切りのあるところで、自分で口に出して、日本語で文章のこれまでの言いたいことをすぐにまとめると良い。
この際、文章を読み返さずに素早くまとめられることが目標である。
この復習方法によって、実際に初見の問題でも頭の中で論理構造を把握しながら、読み進めることができ、読み返すことなく素早く要約を書くことができるようになるのである。
まとめ
以上が第一問Aの要約問題の具体的な解き方とその解き方が素早くできるようになるための対策法である。
いかがだっただろうか?
まずは、自分でやってみることが大切である。
事前準備に書かれている内容ができている人は、すぐに、過去問に取り組んでみよう。
そして、東大英語総講義などを参考に自分でダイアグラムを書いてみよう。
そして、今度はそれを素早くできるようになるために、音読をしながら論理構造を把握する復習も欠かせてはいいけない。
この記事の方法を実践することで、英語の問題としてはまれな、東大英語の要約問題ができるようになるはずである。
是非とも実践してほしい。