東大英語には様々な問題形式が存在するが、その中で一般的に難しいといわれていて他の大学で全くみない問題が、第一問Bである。
この1Bではこれまでに、段落整序、文の補充、不適切文の排除、長文のタイトル決定などの問題形式が出題されてきた。
近年では、5年連続で文の補充が出題されている。
そんな1Bの問題であるが、対策法がわからない問題形式の一つでもある。
ここでは、大学入試であまり出題されにくい東大英語第一問Bの段落整序、文の補充、不適文の排除、などの長文問題に特化した対策法を示す。
この記事で第一問Bの本質を知り、対策法を素直に実践すれば、第一問Bの段落整序問題などが、上達すること間違いなしだ。
東大志望の人は是非最後まで読んでみてほしい。
<解説動画>
事前準備
東大英語の入試問題は他大と違って英語の様々な能力を要求してくる。
よって、過去問を解くにあたって、たくさんの能力を身に付けることが必要となってくる。
過去問に特化した対策をする前に以下の四つの基礎力
- 文法的知識
- 単語力
- 英文の論理的読解力
- 英語の独特な表現への対応力
を身に着けておく必要がある。
第一問対策に当たっては、最低限1~3までの基礎力がついていることが必要だ。
まずは、第一問Bに特化した対策をする前にこの基礎力を身に着けておこう。
1、 2が身に付いていない受験生
東大英語の対策を始めるにはまだ早すぎる。
まずは、大学入試で一般的に必要とされている1,2を早急に身に着けよう。↓
英語の単語を本当の意味で覚える、最強の覚え方の3つのステップ
英語の単語を本当の意味で覚える、最強の覚え方の3つのステップ
3が身に付いていない人
下の記事の方法を使えばすぐに身に付くので身に付けてから過去問対策をしよう。↓
東大英語に必須の基礎力、論理的読解力の習得方法
また、第一問Aの要約問題対策がある程度終わっていない人はまずそちらを先に対策しよう。
というのも、1Aが3の力を短い文章で試すのに対し、1Bはこれを比較的長い長文で試す問題だ。
つまり、1Aの要約ができないと、1Bもできるわけがないのだ。
この1Aの要約の問題についての対策法は以下の記事でも紹介しているので、是非そちらも合わせてみておいてほしい。
<解説動画>
どのようにして対策していくか
事前準備が完璧であるなら、次に第一問Bの具体的な解説とともにその対策法を詳しく解説する。
この問題で何をみているのか
第一問Aでは要約できるか、つまり、
- 筆者の伝えたいメッセージ
- そのメッセージをとりまく論理構造
の二つを把握できるかとういう論理的読解力を求めていた。
第一問Bでも、同じ大問に入っているだけあって、見ている力は変わらない。
この力が、二ページ以上ある長文にも応用できるか、
つまり、より広い視野で論理展開をつかめるかということをみている。
よって、第一問BはAに比べてやはり難しくなる。
しかし、難しいからと言って、やるべきことはほとんど同じであることを意識しておこう。
長文の基本構造
第一問Bでは、Aの二倍以上の長文を取り扱うためここでは、長文の基本構造について触れておく。
長文は基本的に、
主題(topic)を明らかにする部分(1~2段落程度)
↓
2. 本文 (Discussion / Body)
主題を論じる部分
ここの段落内や段落間に、5つの論理構造がみられる。
(3段落以上の複数の段落で構成されている。)
↓
3. 結論 (Conclusion)
まとめの部分(1~2段落程度)
という構造をとっている。
また、序論と結論は密に関係しており、
- 序論=結論
- 問題提起→答え
の主に二つの関係となっている。
序論=結論
序論と結論を同じ主張でまとめて、サンドイッチ構造にしている。
つまり、文章全体を通しての主張が序論と結論の両方で書かれている主張と同じになる。
問題提起→答え
序論で問題提起をし、結論の部分でそれに対する答えをだす。
つまり、文章全体を通しての主張が結論の答えの部分に当たる。
これを長文の基本構造という。
第一問Bの文章は2ページ以上に及ぶ長文となっているため、このような構造がはっきりしていないと、非常に難解になってしまう。
よって、基本構造がはっきりしている文章が出題されやすい。
逆に言うと、この構造が見えれば、問題が解きやすくなる。
この基本構造を対策する前におさえておこう。
具体的な解き方
第一問Bでは、段落整序、文の挿入、不適文の排除などの様々な形態の問題が出題されるが、見ている能力は大まかに同じなので、まずは、第一問Bに共通した解き方、長文の読み方を解説する。
1.論理的読解をする!
まず、要約問題と同じように論理的読解は絶対にやることが大前提だ。
つまり、筆者の主張とそれにおける論理構造を把握しながら読んでいこう。(読む順番は、最初、上から下でよい。段落整序の場合は、最初は、問題の本文→選択肢の順番)
2.序論と結論の把握
読んでいる中で、序論と結論はどこなのかということを把握しよう。
なぜならば、序論と結論を把握すれば、文章の主張がつかめるため、問題を解きやすくなるからだ。
段落整序では、ほとんど本文の位置にあたる段落が抜けているが、序論と結論は最初から本文に入っているケースが多い。
特に序論は必ず順番通りに最初から本文に入っているので、必ずみつけるように。
そして、序論の中にある文章全体の主題を抑えよう。
結論がわかれば、結論の中にある、文章全体の主張も読み取ろう。
これだけすれば、相当読みやすくなる。
3. 段落ごとの主張をつかもう。
要約問題に比べて、ここでは、より広い視野で論理的読解を行う必要がある。
よって段落内に特定の問題がない段落は、その段落内の論理構造は無視して、段落ごとの主張のみを読み取ろう。
そして、できるかぎり(→段落整序があると難しいが)段落間の論理構造を再現しよう。
通常は本文の順番通りで構わないが、段落整序の場合は問題の本文→選択肢という順番がよい。
以上がどの問題に対しても行う共通の解き方である。
1Bでどんな形式の文章が出てもこれは必ず行うこと。
問題ごとの解き方
次に問題ごとの具体的な解き方を解説する。
段落整序
まず、上記のことを行えば、長文の主題、(主張)、各段落の主張、再現できる限りの論理構造、がわかるはずである。
これができたら、これらの構造と内容に一番適したものを一番適した位置にあてはめよう。
一度にすべての段落は埋まることはあまりないので、まず位置がはっきりしている段落をいれよう。
段落を順番に埋めていく中で、再現できる論理構造が増えてくるので、それらにパズル式に埋めていこう。
また、結論が選択肢の中に入っている場合がたまにある。
この場合は、文章の主張がわからないので、多少難解になる。
しかし、結論の段落は特徴的で、”as a conclusion”などの結論と知らせるものがあるので、これを見つけたら、内容が結論として、適するか十分判断して入れよう。(後述のダミー段落の可能性もあるので内容の吟味は必須である。)
さらに、選択肢にはほとんどの場合ダミーの段落が1,2個含まれている。
たいてい、すべての段落を入れた後でダミーが浮かび上がるが、ダミーと判断できる場合がいくつかある。
- 明らかに内容が真逆になっているなど、おかしいものがある場合。
- 結論などの同じ役割を果たす段落が二つあり、どちらか一方(内容が適さない物)がダミー と判断される場合
このダミー段落が最初から炙り出せそうな場合は、早急に排除しよう。
ちなみに、文章の内容や論理構造、主張以外にいくつかの判断要素がある。
それが、
- 段落のつながり
- 指示語
- 固有名詞の呼称の変化
の3つだ。
内容以外でまず最初に考えたほうがいいのが、段落のつながりである。
2つ例を2つの段落で並べる場合、これらは並列構造なので、どういう順番であってもいいはずだ。
しかし、段落の順番を決めなければ答えにならないので、どっちを先に持ってくるか悩むことがある。
この場合、段落のつなぎ目を見て、ある段落の終わりと、他の段落の始めのつながりが自然なものになるか確認すると順番が決まる。
このように、段落の「尻尾」と「頭」をよく見てパズルのピースのごとくしっかりとはまるかどうか確認しよう。
さらに、指示語が出てきた時は、当然それを指しているものを考える必要がある。
そして、指示語の表しているものが先に来るようになっていないといけない。
また、thisやthe ___の場合は指示語の指す内容は近くにあるが、thatの場合は遠くにあることなどもおさえておこう。
最後に考えたいのが、固有名詞、特に人の呼称の変化である。
例えば、最初にある人の名前を使う場合、フルネーム+その人の説明がつく。
しかし、二回目以降はフルネームで亡くなったり、代名詞にかわったりする。
つまり、ふたつの段落に同じ名前がフルネームで書かれているということは、どちらかがダミーであるということもわかるのだ。
このように、固有名詞の呼称は有効に働く場合が多いので、注目してみるのもよい。
このようにすれば、段落整序問題は解けるようになる。
文の補充問題
この文の補充問題に関しては、先ほど説明したように文の内容と論理構造、各段落の主張はまず必ず理解しながら読むことは大前提である。
その上で、空欄が出てきたら、その段落までの内容を踏まえて、何がそこに当てはまるのか選択肢を見る前に推測しよう。
よく真っ先に選択肢を見てしまいがいちになるが、選択肢を見てしまうことで選択肢同士の比較に走り、間違えてしまう可能性を増やしてしまう。
さらに、選択肢の中には根拠は存在せず、むしろ根拠は文章中にのみ存在するので、選択肢ばかり眺めるのはナンセンスだ。
先に、ある程度の予想をつけた上で、それに当てはまる選択肢を選ぶようにしてほしい。
また、問題は基本的に空欄が出てきたら、その空欄がある段落まで読み終えて、一旦そこで問題を解いてから読み進めよう。
というのも、大抵の場合空欄というのはその段落の内容理解を問うために付けられている。
例えば、段落の冒頭に空欄があり、その後具体的な内容が続いているというのがよく見る問題の形式だ。
であれば、その具体的な内容を一般化したものが空欄に入ると予測できる。
つまり、根拠はその段落の中にしかない。
よって、空欄の存在する段落でその都度止まって問題を解くほうが効率的なのだ。
その他
その他の問題形式として考えられるのが、不適切文の排除、文の並び替え、タイトルの決定などが考えられる。
このうち、文の並び替えとタイトルの決定は、先ほどの文の補充と同様に選択肢を見る前の予測がとても大切になってくる。
これは、なにも1Bに限った話ではなく、5の小説や、もっというと現代文の共通テストにも同じことが言える。
不適切文の排除については、その段落を精読していくのが一番だ。
その段落の文同士の論理関係をよくたどり、その中に明らかに矛盾を生じるものを探していくのが良い。
不適切文排除問題は他の問題形式と比べて割とわかりやすい問題が多いので、しっかりと精読すれば簡単に見つかるはずだ。
練習につかうもの
他の問題と同じようにこれも慣れが必要である。
たくさん練習しよう。
使うべき問題としては、他の問題と同じように
- 東大の過去問
- 東大型模試の過去問
- 「東大英語総講義」 宮崎尊 東進ブックス 第三章 2 文章の構造
などがあげられる。
これらをうまく活用していくことが大切だ。
まず、過去問を解く前に、宮崎先生の「東大英語総講義」で1Bの概要を掴んでおこう。
問題の仕組みや対策法などが載っている。
その後いよいよ過去問に入っていくわけだが、1Bの過去問をやる前に1Aの要約の過去問を10~15年分程度はしっかりと演習しておいてほしい。
さらに、1Bの過去問は2000年度の問題から徐々に新しいものをやっていこう。
1999年以前の問題は問題形式が異なるので使い物にならない。
さらに、2010年以降の過去問は他の問題と一緒に時間を測って1年分を一気に解くようにしよう。
東大英語は、時間もかなりきつい設定になっている。
個別の問題1個1個をしっかり解くことができたとしても、全体で解いた時にどこかに躓いてしまうと、ドミノのように調子がどんどん崩れていく。
時間配分の設定などをしっかりと検討しておくことも大切だ。
東大英語の時間配分については以下の記事を参考にしてほしい。
まとめ
以上が対策のしにくい東大英語第一問B の長文問題対策である。
いかがだっただろうか?
確かに、東大英語の1Bは分量も多く一見どのように解いていけばよいのかわからない。
しかし、今回は1Bの解き方から対策まで、全問題形式分解説した。
この解き方をここで紹介した対策で何度も練習していけば、必ず1Bは上達する。
英語の問題としてはまれで、かなり難しい東大英語の第一問Bがサクサク解けるようになってしまうのだ。
是非とも実践して東大英語全体の得点アップにつなげてほしい。