東大の本試や東大型の模試を受けたことがある人は誰しも、東大の入試は分量のわりに時間が厳しいと思うだろう。
この特徴が最も顕著に表れているのが東大英語である。
合格者でも、ギリギリ終わるか、5分程度余るくらいで見直しの時間もほとんどない。
よって、多くの人は東大英語の時間配分について非常に頭を悩ませているだろう。
しかし、東大英語の問題形式の特徴をうまく活かして、解く順番とその時間配分を工夫すれば、なんとか時間内に終わらせられるようになることは可能である。
ここでは、東大英語の時間配分をどのように工夫して、解いていけばよいのか、対策していけばよいのか徹底解説する。
この記事の方法に沿って時間配分を組み立てていけば、必ず東大英語において時間配分で困ることはなくなる。
年度別で解く前に、個別で問題を解く対策を
東大英語、全体での解答時間の配分を気にする前に、そもそも東大英語の各問題を個別でしっかりと対策しているだろうか?
この、問題別の対策がまだ不十分な人は、全体での時間配分を考える前に是非個別の対策を行ってほしい。
東大英語には、以下のように様々な問題形式が存在する。
- 第一問A:要約
- 第一問B:段落整序、空欄補充
- 第二問A:自由英作文
- 第二問B:和文英訳
- 第三問A, B, C:リスニング
- 第四問A:文法、精読問題
- 第四問B:和訳問題
- 第五問:小説、随筆読解
このように、他の大学では類を見ないほど問題の種類が多い。
そして、特に、第一問AやBの文章を論理的に読ませる問題であったり、第五問のような小説読解など、他大学ではそもそも出題されないような問題形式のものもある。
これら一つ一つの対策が十分できていないと、各問題の解答時間が長くなってしまい、結果的に時間が足りないということになってしまうのは当然である。
この各問題個別の対策は、最近の過去問でやらないことが重要である。
英語は、数学などとは違い、問題形式が毎年少しずつ変化している。
よって、過去問が新しければ新しいほど、自分が受験する年度の問題形式に似ているのだ。
比較的新しい過去問は、全体で時間を測って解くためのものとして残しておくべきである。
筆者のおすすめとしては、2009年度以前の問題を個別で演習する際に使うことである。
2009年度以前の問題は、あまり最近の問題形式と似ていないので、全体で解く意味はあまりない。
2009年度以前の問題をどれだけ時間が掛かってもいいので、とりあえず正しいプロセスのもと正しい解答が出せるようにまずは対策してみよう。
そして、一度解いた問題を復習することによって、解答に至るまでのプロセスを短時間で辿れるようにしていこう。
なお、各問題別の対策は以下の記事を参考にしてほしい。
(なお、英作文、リスニングの勉強法に関しては以下の項目で紹介する。)
リスニングが東大英語のカギを握る
東大英語の時間配分で頭を悩ませる原因の一つとして、リスニングが挙げられる。
よって、リスニングをどう攻略するかがポイントとなってくる。
逆に言えば、リスニングさえ制してしまえば勝ちなのだ。
ここでは、その理由と時間的なリスニングの対策法を説明する。
リスニングの時間
東大英語の試験では、試験時間120分中、試験開始後45分後に約30分間放送される。
つまり、他のリスニング以外の時間は、どんな問題を解いてもいいが、逆にリスニングは、皆が決まった時間に解かされる。
しかも、そのリスニングは、45分後とちょうど試験時間の真ん中に来るように設定されている。
このような時間的なリスニングの拘束は、リスニングが時間配分の大きなカギとなる理由の一つだ。
得点効率が決まっているリスニング
試験時間120分中の30分に対し、リスニングの配点は120点中30点だ。
つまり、他のところは、いくらでも得点の時間的効率はあげられるが、ここだけは、1点/minは変わらない。
この事実も全体に対する得点から見たときの時間配分というものを大きく作用するリスニングの特徴の一つだ。
これら二つの特徴を併せ持つのが東大英語のリスニングだ。
この二つの事実から以下の非常に重要な事実がわかるだろう。
リスニングが得意な人は、時間的に厳しくても必然と点数は上がるが、リスニングが苦手な人は、いくら時間配分や解くスピードを上げても得点がそもそも伸びない。
これは、非常に恐ろしいことだ。
リスニングはゆえに東大英語のカギとなる分野なのだ。
いくら時間配分を考えてもリスニングで落としてしまうと点数が伸びない、という面でリスニングは東大英語の時間配分を考える上で最重要課題となる。
リスニングが苦手な人は至急以下の記事を読んで、リスニング対策をしてほしい。↓
英語のリスニング弱者がリスニングマスターになるための2つの勉強法
自由英作文とリスニングをうまく利用した時間配分
次に、東大英語の詳しい時間配分の解説を行う。
ここで、リスニングと自由英作文をうまく利用していくことが、時間配分のポイントだ。
リスニングの対策が十分できていれば、全体の時間配分について考えていこう。
リスニングを利用する
リスニングを解く際、絶対にあらかじめ5分は時間をとり、問題文と選択肢を読んでほしい。
そう考えると、リスニングが始まるまで、他の問題を解ける時間は40分である。
しかも、リスニングがその後30分間続くと考えると、問題を解きかけでリスニングに移るのは、あまり望ましくない。
よって、リスニングの準備をし始めるまでの40分間で、いかに多くの問題をこなし、きりよく切り上げるかが、東大英語の時間配分における重要なポイントの一つだ。
自由英作文を利用する
自由英作文は問題文に対して、ある程度考えてからでないと書き始めることができない。
ここで、何を書こうかすぐに思い付かず、その場でだらだらと考えて時間を無駄にするのは、非常にもったいない。
自由英作文で書くことに詰まったら、飛ばして、他の問題を解きながら考えよう。
問題を解きながら、「あ、これで書こう!」と思い付く場合もある。
このため、自由英作文に取り掛かるのは、最初でなくてはならない。
自由英作文は最初に解き、書くことが思いつかない場合は飛ばして、後回しにしよう。
ちなみに、和文英訳についても自由英作文のあとに取り組んだ方がよいだろう。
東大の和文英訳はかなり意訳が必要とされるので、こちらもどのような英語で表現するのか思いつかないと書けなくなる。
こちらも、長文を読みながら、「あ!」と思いつく瞬間があるかもしれないので、早めに取り組むことをおすすめする。
解ける問題から解くという原則
どの試験も原則は解ける問題から解いていくということだ。
以上の二つを踏まえたうえで、残りの時間配分はこの原則に従い、一番得意で解けそうなものから順番に解いていこう。
時間配分は臨機応変に変更しよう
一応、どれから解くのかは先に決めておく必要がある。
しかし、いつもそれ通りにいくとは限らない。
そもそも、英作文の書く内容が詰まれば、時間配分は変えなければならない。
そのうえ、自分が得意とし、解きやすいと想定していた問題が案外難しく解けないことも起こる。
この時も、解けるものから解いていくという原則にしたがい、時間配分を変更せざるを得なくなる。
よって、その時々で時間配分は、柔軟に変更していくべきである。
時間配分の一例
実際に僕が入試の時の行った時間配分の計画を一例として紹介する。
↓
第一問A 要約(10分)
↓
第一問B 長文(20分)
↓
第三問 リスニング(35分)
↓
第五問 小説 (20分)
↓
第四問A 不適語除去、並べ替え問題 (5分)
↓
第四問B 和訳(10分)
↓
見直し(5分)
まず、自由英作文、和文英訳は、最初に原則としてもっていき、その次に得意だった第一問をやり、丁度リスニングの時間に合わせる。
リスニング終了後は、得意だが時間のかかり小説を先に解き、苦手な第四問を解いて5分間見直しの時間をつくる計画だ。
実際の入試では、リスニングの前に10分あまり、丁度キリがよく終わりそうな、第四問Aをリスニングの前に解き、10分間リスニングの問題を眺めた。
また、第一問Bの最後の問題が解けず後回しにしていたので、最後にこれを解いた。
よって、結果的に15分も見直しの時間ができた。
このように、計画を立て、その時々に柔軟に対応し、時間配分を変えることが重要だ。
具体的な勉強法
最後に、以上紹介した理想通りの時間配分で本番しっかりと解くことができるようにするには、どのような勉強法をすればよいのか解説する。
冒頭に、個別の問題の対策がまず大切であると述べた。
この個別の問題を対策する際の復習をしっかりとやっているかどうかで、全体の過去問時間配分がうまくいくかどうかが決まるのだ。
最初は、どれだけ時間をかかって解いても構わないが、復習をして、解き直しをする中で、最終的には各問題上記で提示したような、時間で解けるようにしていくことが大切である。
この際、正しい思考プロセスを経た結果、時間内に解答できるようになっていることが大切である。
解答を丸暗記してしまえば、どんなに賢くない人でも、各問題が、ものの数分で解き終わってしまうだろう。
しかし、これでは意味がないのだ。
正しい思考プロセスの元、解答時間をできるだけ短くするよう、復習で何度も解き直そう。
また、2010年度以降の問題で行う、全体での問題演習の際に上記で説明したように時間配分ができるか検証していこう。
この時大切なのが、本番の試験と同様に時間をとってやるということだ。
中には、リスニングだけ、別の時間で行ったり、120分一気に解くのではなく、休憩しながら解いてしまったりと、本番と違うことをしてしまう人もいる。
これは、他の教科の過去問も同じだ。
特に直前期は、自分で2日間とって、東大の試験と同じ時間に各教科解いてみるということを何度かすることが大切になる。
最後に、模試を上手に活用することも大切だ。
どうしても、自分の家や自習室などで問題を測って解くよりも模試の方が緊張する人が多い。
そして、模試よりもさらに緊張するのが本試験の会場だ。
よって、模試が1番本番に近い環境になるのだ。
予備校によっては、英語の問題が全然似ていなかったり、悪問が出題されることもありますが、それも含めて、理想的な時間配分で問題を解くことができているのか、しっかりと検証していこう。
模試は、それほど数がないので、一つ一つを大切にしていきこう。
ちなみに、英語に関しては、東進のものと河合のものが比較的本試験に近い。
まとめ
以上が、時間に厳しい東大英語の得点を20点以上あがる時間配分とそれを実現させるための対策法だ。
まずは、何よりも各問題を個別で解いた時に、ある程度目標時間内に解けるようになっていないといけない。
2009年度以前の問題を活用し、何度も解き直して、自分の解答時間を少なくしていこう。
また、東大英語の時間のカギを握るのはリスニングだということがわかっただろう。
よって、リスニングの強化は必須である。
そのうえで、しっかりと自分の解く順番を決め、あとは臨機応変に対応できる力を模試などで補おう。
このように対策していけば必ず20点以上あがり、東大英語において時間に困ることはなくなるのだ。