東大英語には、様々な問題形式が存在する。
他大にはない問題形式が多い中、この第四問Bの和訳はほとんどの大学で出題されて、受験生ならだれもが経験したことのある、問題形式だ。
しかし、東大の和訳は普通の和訳よりも難しく、やってみても意外と点が取れない。
そんな受験生でも、しっかりとしたステップを守って和訳の練習をしていけば、必ず得点を伸ばすことができる。
そして、この3つのステップにはそれぞれ独自の対策法が存在する。
ここでは、和訳で8割以上とるための、「3つのCのステップ」とこれを使いこなすために対策法を解説する。
この記事を読んで、東大英語で少しでも点数を上げたい人は是非とも参考にしてほしい。
事前準備
東大英語の入試問題は他大と違って英語の様々な能力を要求してくる。
従って、過去問を解くにあたって、たくさんの能力を身に付けることが必要となってくる。
よって、過去問に特化した対策をする前に以下の四つの基礎力
2. 単語力
3. 英文の論理的読解力
4. 英語の独特な表現への対応力
を身に着けておく必要がある。
第四問Bの対策においては、1,2の力は必ず必要だ。
また、3,4の基礎力もあった方がはやく上達する。
1, 2が身に付いていない受験生
東大英語の対策を始めるにはまだ早すぎる。
まずは、大学入試で一般的に必要とされている1,2を早急に身に着けよう。↓
英語の単語を本当の意味で覚える、最強の覚え方の3つのステップ
3、4が身に付いていない人
下の記事の方法を使えばすぐに身に付く。この記事が読み終わってからでもいいので、読んでみにつけておこう。↓
現役東大生が語る東大英語に必須の4つの基礎力とは?
3つのCのステップとは?
事前準備が完璧であるなら、和訳の3つのCのステップ
2. Context(文脈)
3. Collocation(連語)
を紹介する。
次からはこのステップを踏んで和訳に取り組もう。
Construction(構造)
このステップでは、今までの文法的知識を生かして、和訳する部分の文法的な構造を明らかにしていく和訳の基本作業だ。
基本作業であるがゆえに、この作業だけでも、和訳の点数は半分ほど確保できる。
逆に構造をつかめていないままでは、どんなに訳しても0点になってしまう。
まずは、文法的な構造を明らかにしていこう。
Context(文脈)
東大英語の和訳の特徴は文章で出てくることだ。
では、どうして文章中の一部分を和訳させるのだろうか?
それは、
文章の内容、文脈にあった訳し方をしてほしいからだ。
例えば、 “The concert drew a large crowd.” という文に対して、drawは絵を描く、crowdは群衆であるから、「コンサートは大きな群衆を描いた。」とするのは、この文をみるなかでも、文脈からずれているのはまるわかりだ。
これは、「コンサートは大勢の聴衆を集めた。」とするのが一番文脈にあう。
このように、いくら構造がつかめていても、文脈を考慮していないただの直訳では、減点されてしまう。
必ず、文章全体の文脈にあった、訳語を選ぶようにしよう。
Collocation(連語)
Co (together) + location (place) で一緒におかれるものということで、「複数の単語が一緒に並べられている」ことをいう。
たとえば、give an explanationとは言うがsay an explanationとは言わない。
これを和訳する際に、「説明を与える」や「説明を言う」というのはナンセンスだ。
このように、英語には英語独自のコロケーションがあるし、日本語にも日本語独自のコロケーションがある。
よって、直訳ではなく、英語のコロケーションを日本語に移す作業が必要となってくる。
先ほどの例だと、単に「説明する」としたほうが自然である。
構造と文脈を把握したら、英語のコロケーションを自然な日本語になおしていこう。
以上が和訳で8割以上とるための「3つのCのステップ」だ。
このステップを踏んで和訳の練習をしていけば、8割以上必ずとれ、満点も夢ではない。
また、context とcollocationを考えることで、わからない単語が出てきたときそれらを推測することができる。
例えば、 “This movie meant to provoke out tears.”では、provokeがわからなくとも、「この映画は我々の涙を(動詞)するよう意図している。」と考えれば、「そそる」か「誘う」と推測できるだろう。
このように「3つのCのステップ」は単語がわからない時にも助けてくれるのだ。
3つのCのステップをマスターするための対策方法
それでは、次にこの3つのステップをマスターするための対策法について解説していく。
Construction(構造)のための対策方法
Constructionというのは文法構造のことである。
実は、この文法構造をしっかりと把握できるかどうかという能力は、過去問対策をやる以前に習得していなければならない。
なぜならば、これは東大英語特有の能力ではなく、全ての和訳に必要な能力だからだ。
具体的には、共通テストのリーディングで安定して8割以上得点できるようになってから対策するのがよいだろう。
そのためには、ポレポレという参考書を使うと良い。
ポレポレという参考書は、共通テストがある程度スラスラ読めるようになったが、それより上のレベルの難関大学の英文になると、途端に読めなくなってしまうと言った人のための英文解釈の参考書である。
共通テストの一段階上の難関大学の英文では、文法構造がより複雑になり、主語や動詞などの位置などが途中でわからなくなってしまい、読めなくなってしまう。
読みながらスラスラと文法構造を把握する練習をするためにはちょうど良い参考書なのだ。
このポレポレの50個の例題を、文法構造を把握した上で、音読し、口頭で和訳するというのを繰り返してみよう。
この時に、音読すると同時に文法構造が把握しながら読むことである。
そして、そのチェックのために口頭で和訳をする。
口頭で和訳をする際に、もう一度文章を読み返してしまったり、訳の途中で次どこを訳そうか迷ってしまうのであれば、音読の段階で文法構造を把握できていないという証拠になる。
よって、音読とその後の口頭での和訳をしっかりと繰り返すことによって、初見でもある程度の文の文法構造を無意識に把握できるようになるのだ。
ポレポレの使用方法については、以下の記事で解説されている。
英文の文法構造に不安のある人は合わせてみておいてほしい。
長文弱者必見!ポレポレ英文読解で偏差値を10爆上げする勉強法
また、これと並行して同程度の長文問題集も使って、同じように音読と口頭での和訳の練習をしておくと良いだろう。
同時が厳しくても、ポレポレを終えた後にやれば、さらに英文解釈力が定着していく。
このレベルに最適な問題集が「ハイパートレーニングlv.3」と「東進英語長文レベル別問題集lv.5, 6」である。
以下のサイトに長文問題集の演習の仕方とそれを利用した音読方法が解説されている。
こちらも合わせて勉強しておくと良いだろう。
Context(文脈)のための対策方法
文脈を掴みながら読むということとは、つまり文章の要旨や論理構造を的確に把握しながら読むということである。
普通の難関大学などの長文では、そこまで論理構造が複雑なものが出題されないので、意識せずともなんとなく文脈を掴んで読めている。
あるいは、文脈を問うている問題が少ないので、仮に文脈を正しく把握できなくとも、高得点をこれまで取ることだできていたのだ。
しかし、東大英語では、全ての問題において、論理構造が複雑なものが多く、正確に文脈がつかめていないと、大きな減点につながってしまう。
よって、この対策は東大英語の過去問演習を始める際に特化して行う必要がある。
この対策を始める前に、先ほど紹介したポレポレやハイパートレーニングlv.3などで十分音読の練習をして、東大以外の難関大学の長文がスラスラ読めるようにしておこう。
その上で、文脈を把握できるようになるためにちょうど良い問題が東大英語の中にある。
それは、1A要約問題や1Bの段落整序、文の穴埋め問題である。
よって、東大英語の和訳問題を対策する際は、その前に要約などの第一問の対策をするか、同時に行うようにしよう。
そうすることによって、要約などで身につけた、論理構造を捉える力が和訳にも生かされるようになる。
要約や、段落整序などの対策方法については以下の記事も合わせて見ておこう。
Collocation(連語)の対策方法
Collocation(連語)は3つのCのステップの中で習得が一番難しい。
普段、我々は英語長文では論説文などを読むことが多い。
よって、知らぬ間にに論理的かつ機械的な文を多く読んだり和訳したりしているのだ。
このような文章は、直訳すると自動的に日本語としても自然に近いものが出来上がる。
このような文章では、普段の和訳では日本語として自然かどうかということをあまり考えなくてもある程度の点数を取れてしまう。
しかし、東大英語では、これができないと全く点数にならない問題も存在する。
つまり、こちらも東大英語の過去問演習をする際に対策する。
ただ、この連語に関しては、自分だけで独学するのはかなり難しい。
できれば、東大英語をしっかりと添削できる人に添削してもらいつつ、書いてある英語に対して、どのような日本語の表現を使うことができるのか習得していくことが大切だ。
赤本などの過去問での日本語の和訳なども参考になるので、模範解答もしっかりと勉強しておこう。
また、日本語として自然になるかどうかを考える上で、あえて直訳してみるとわかりやすい。
直訳することによって、まずどこが日本語として不自然なのかその場所を自分で認識することができる。
その直訳をヒントにどういうことをこの文が言いたいのかかんがえることができる。
要するに和訳問題だとは思わずに、現代文のように自分の直訳の言い換え問題だと思えば良いのだ。
そして、言い換えをする際は、直訳したもの自体だけでなく、周りの文から読み取ることができる文脈もヒントになる。
Collocation(連語)と聞くと、みんないきなり意訳しようとするが、あえて先に直訳を挟んでその訳を言い換えることによって、意訳が完成するのである。
問題演習の中で意訳に困ったらまずは直訳をしてみるということを心がけてみよう。
まとめ
以上が東大英語の和訳で8割以上とるための「3つのCのステップ」の説明だ。
東大英語の和訳において、短時間で高得点を取るためには、
- Construction(構造):文の文法構造を正しく把握する力
- Context(文脈):下線部以外の部分から文章全体の要旨や論理構造を読み解く力
- Collocation(連語):訳が日本語として自然になるように、意訳する力
この3つのステップが非常に大切になる。
そして、それぞれのステップができるようになるためには、独自の対策が必要となってくる。
特に3つ目のステップは対策が難しいが、先ほど記した対策法によってしっかりと身につけることができるようになる。
この記事を参考に東大英語の和訳対策をしっかりと行い、試験中に短時間で満点近く点数を取ることができるようになろう。