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東大英語に必須の基礎力、論理的読解力の習得方法

東大英語の入試対策をするうえで必ず必要な四つの基礎力

  1. 文法的知識
  2. 単語力
  3. 英文の論理的読解力
  4. 英語の独特な表現への対応力

がある。
ここでは、

3.英文の論理的読解力

の習得方法について解説する。
(英文の論理的読解力自体の解説は以下の記事で解説している。まだ見ていない人はこの記事を読む前に是非見てほしい)
東大英語に必須の基礎力の一つ論理的読解力とは?
1,2が身に付いている人は、是非とも3の習得にはげもう。これを身に着けてしまえば、東大英語の大部分が解きやすくなるだろう。

目次

してはいけない3つのこと

まず、英文を論理的に読解するにあたって、受験生がしがちなしてはいけないことを取り上げる。

英文を一文一文訳さない。

論理的に読解するにあたって、一文一文訳す必要はない
正しい日本語で頭に入ってこなくても、内容自体を頭の中でイメージできていれば、問題ない。
つまり、英文を一つ一つ日本語に直すという作業が無駄であり、時間のロスとなる。

意味の分からない部分で止まらない。

誰しも、英文を読んでいると意味の分からない単語に出くわすだろう。
しかし、そこでいちいち止まって考える必要はない

このような部分があまり多くなければ(全体の一割程度以下)他の部分や文章全体の論理構造(文脈)から推測できる。
また、文章全体の論理構造と要旨を把握するうえで必要のない部分もある。
わからない部分は迷わず飛ばそう

上から下まで順に読んで終わらない。

英語のできない人は上から下まで読んで結局理解できなかったと判断しがちな人が多い。
しかし、重要なのは、最初に読む過程で、文章のどの部分が理解できていないのか明確化しておくことである

後ろの内容が前の内容の理解を助けてくれるかもしれない。
上から下まで読んで終わらず、わからなかった部分を明確化し、そこに戻り後ろの内容や論理構造(文脈)から推測するなどし、何度か効率よく読み直そう

以上がしてはいけない三つのことである。
この3つ

  1. 英文を一文一文訳さない。
  2. 意味の分からない部分で止まらない。
  3. 上から下まで順に読んで終わらない。

のうち一つでも当てはまるものがあれば、まずは、やめるところからスタートしよう

練習におすすめの3種類の文章

次に、この基礎力を身に付けるのに使えるおすすめの文章を紹介する。

一段階レベルの低い他大のそれほど長くない(1ページくらい)論説文

他大の論説文は論理構造が東大に比べて簡単であり、難しい単語はあっても、難しい英語の表現はあまりない。
つまり、単語さえわかれば、論理構造を意識しなくても微妙に理解できるくらいの文章のことである。

最初の段階では、少し理解できるレベルの文章から論理構造を明確化していこう。
また、1ページほどの長さだと、第一問のAでの80字ほどの要約がしやすい。

10年以上前の東大英語の過去問の第一問Aの文章

東大英語の要約問題にあたる第一問Aの文章は、要約に適した文章が選ばれているため、論理的構造がはっきりしている。
また、長さも80字くらいの要約が書けるような文章が選ばれている。
つまり、論理的読解力を身に付けるには非常に適しているのだ
ここで、10年以上前といったのは、新しい問題を、過去問演習に残しておくためだ。

東大型模試の英語の第一問Aの文章

駿台、河合、東進がそれぞれ東大型の模試を毎年2~3個ほど作っている。東大入試に似せてあるので、本試の第一問Aの問題と全く変わらない。
そのため、この文章も2と同じ理由で使える。
特に河合、東進がよくできていておすすめだ。

以上の三つ

  1. 一段階レベルの低い他大のそれほど長くない(1ページくらい)論説文
  2. 15年以上前の東大英語の過去問の第一問Aの文章
  3. 東大型模試の英語の第一問Aの文章

をこの順番で練習して行こう。

論理的に読解するときにすべきこと

論理的読解で必要なことは

  1. 筆者の伝えたいメッセージ
  2. そのメッセージをとりまく論理構造

の二つを把握することだ。

これをもう少し具体的に説明していく。

まず、ほとんどの場合1段落につき1つのメッセージ(言いたいこと)がある。(One Paragraph One Idea)
まずは、段落ごとのメッセージを読み取ろう。

次に、そのメッセージを成り立たせる段落内の論理構造を把握しよう
これは、場合によっては、メッセージの同義反復をしているだけの段落も存在しない場合もある。

次に、段落ごとのメッセージ間の論理を把握して、文章全体としてのメッセージ(結論)を把握しよう

このような手順で英文を読んでいく。
この際、上記で述べた禁止事項は必ずしないようにしよう。

手順のまとめ↓

  1. 段落ごとのメッセージの把握
  2. 段落内の論理構造の把握
  3. 段落間の論理構造と結論の把握

(1と2は手順が逆になってもよい)

ダイアグラムを書いてみる

文章の論理構造を図式化したものをダイアグラムという。
論理的読解力の習得には、まず上記で述べたことに従い、ダイアグラムを書くのが一番良い

ここで、ダイアグラムと言われても受験生は想像がつかないと思うので東大の過去問の文章のダイアグラムを例として下に示す。

東京大学2007年度入試英語第一問A
第一段落
文学作品の意味は筆者によって決められると思われている。(一般論)

しかし(対比)

① 意味を決めるのは読者だ。→様々な解釈が生まれる。

第二段落
② ①はある意味では問題である。→好き放題やっていいわけではない。
→(理由)皆が合意できる解釈と独自でもっていよい解釈の境目が曖昧になる。

第三段落
どちらが、解釈を決める?(問題提起)

もちろん、読者か筆者かという議論は時には役立つ。

しかし(譲歩)

③ 読書は読者と筆者の相互作用→どちらか一方がという考え方は間違い!(結論)

これを見ると①と②の対比から問題を提起し、さらに結論(文章全体のメッセージ)を導き出しており、論理構造は「対比と譲歩」がメインに使われていることがわかる

まず読解の手順としては、

  1. 第一段落の対比を見抜き①がメッセージであることをおさえる。
  2. 第二段落で②の内容がメッセージであることをつかみ、同時に①と②が対比になっていることを把握
  3. 第三段落で①と②の対比から問題提起がなされ、その答え③が文章全体のメッセージであることを把握。(その際に譲歩が用いられていることもつかめればなお良いが文章の要旨をつかむうえでは必要ない)

このようにして上記の手順にそってダイアグラムを5~10個の文章で書く練習をしよう

これくらいやれば論理的読解力がおのずと身に付くのでこれ以降はダイアグラムを書く必
要はない。
しかし、どの英文を読むときも下記の手順に沿って

  1. 筆者の伝えたいメッセージ
  2. そのメッセージをとりまく論理構造

を把握することを忘れないように!

まとめ

以上が論理的読解力の細かい習得方法である。

いかがであっただろうか。

これを身に付けることによって、東大英語の第一問が解きやすくなるだけでなく、東大英語全体の文章が読みやすくなるはずである。

是非この記事の内容を実践して、東大英語対策を一歩前進させよう

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