東大英語の入試問題を詳しく分析すると他の大学の入試問題に比べてはるかに多くの能力が要求されていることがわかる。
これを以下に示す。
1. 英語の文章を論理的に読む能力…第一問
2. 自由英作の能力…第二問
3. リスニング(ディクテーション能力も含む)の能力…第三問
4. 細かい文法的知識…第四問A
5. 英語独特の表現…すべてに通じるが特に第四問、第五問
6. 文章に適した意訳を含んだ和訳の能力…第四問B、第五問
7. 小説読解能力…第五問
(まだ、東大英語の入試問題をじっくり分析したことのない受験生はこの記事を読んでほしい。→「東大英語の特徴が問題を解かずに10分でわかる解説」)
では、実際にどの力からとのように身に着けていけばよいのだろうか。
ここでは、東大英語の入試問題対策を始めるのに、最初に身に着けておくべき基礎的な能力を四つ紹介する。
受験生諸君はこれを読めば、最初にすべき対策の方向性がより明確になる。
四つの基礎力とは?
まずは、上で述べた、最初に身に着けておくべき四つの基礎力を紹介する。
それらは、以下の四つである。
- 文法的知識
- 単語力
- 英文の論理的読解力
- 英語の独特な表現への対応力
この四つをみると1と2は一般的な大学入試で必要とされる基礎力である。
しかし、3と4はあまり見慣れないものである。
まずは、この四つをしっかり頭に叩き込んでほしい。
どの入試問題にも必要な「文法」と「単語」
上で述べた四つの基礎力のうち1の「文法」、2の「単語」はどの大学の英語の入試にも必要と言われている。
それは、文単位以上の言語を理解するうえでこの二つが必要不可欠だからだ。
この二つなしでは、母国語以外の言語を理解することは不可能である。
よって、四つのうち最初に身に着けるべきはこの二つである。
まずは、この二つについて説明していく。
文法
文法とは何だろうか?
それは、「言語を構成する要素間に見られる法則性」である。
つまり、文法がわかっていないと言語を理解することが難しくさらに全く構築することができない。
文法が全く分からない場合、東大英語においては具体的に、
- 要約、小説読解などの大量の長文の読解が困難になる。
- リスニングの理解も遅くなる。よって聞き取れない。
- そもそも、正しい英文が書けず、自由英作が不可能となる。
という弊害が起きる。
つまり大変致命的である。
よって文法は、最初に身に着けるべき基礎力である。
特に東大を目指すのであれば、最低限センター試験レベルの文法力は早急につけるべきだ。
単語
単語も文法と並んで言語を理解するのには必要不可欠だ。
そしてある程度の文法を習得してしまったあとでは、実は単語のほうがより重要になってくる。
なぜならば、単語の意味がすべてわかるが、文法が少し複雑な文よりも、文法構造は明確であるが単語の意味がほとんどわからない文のほうが、理解しにくい場合が多いからだ。
また、文法と違って単語の難しい所は、
ということころだ。
東大英語の文章は単語のレベルは標準的であるが、難しい単語が出ないわけではない。
意味の分からない単語がより少ない方が文章の理解度も高まるので、単語の学習も、文法と同時に早急にはじめ、受験が終わるまでは常に新しい単語を覚え続けるよう。
この二つの力は東大だけでなく、どの大学の英語の試験にも要求される能力である。
東大志望であるならば、この二つがかけている人は早急に学習すべきである。
東大英語に特有な二つの基礎力
次に、東大英語にだけ要求される
- 英文の論理的読解力
- 英語の独特な表現への対応力
について説明しよう。
実は、この二つは、東大受験だけに役立つものではない。
本当に英語を使えるようにするのに必要不可欠な力であり、他の大学入試の英語にも十分役立つ。
しかし、この二つの力を東大は露骨に多くの問題において要求してくる分、他の大学では、「十分条件」に過ぎなかったものが、「必要条件」となるのだ。
文法がある程度学習し終えており、単語力もMARCHレベルに達しているのであれば、次はこの二つの基礎力を付けていこう。
英文の論理的読解力とは
文章を作成する人は、文章を作る際まず相手に伝えたいメッセージを一つあるいは二つ決める。
そして、そのメッセージの説得力がより増すように、因果関係、対比、例示などの論理あるいはその組み合わせの中に伝えたいメッセージを入れて文章にする。
つまり、英文を順番に和訳していくだけでは、本当に英語の長文の内容を理解できているとは言わない。
文章を作った人の最も伝えたいメッセージをその周りの論理構造とともに見分けなければ本当に文章を理解しているとは言わない。
よって、英語の長文を本当に理解するためには、
「論理的読解力」…英文を訳すことに終始せず、文章の一番伝えたいメッセージとともにその文章がどのような論理構造で成り立っているのかを理解して、実際に文章の要点をまとめる(要約)することができる力
が必要不可欠である。
この力は、第一問で直接問われるので、必須の基礎力である。
また、そればかりでなく、東大英語において以下のようなメリットがある。
- どの英語の長文においても、文章を一つ一つ英訳するよりはるかに早く理解できる。→英文の読解スピードが上がる。
- リスニングにもこの力は応用でき、リスニングの理解度が上がる。
- 第四問Aの不適語の抜き出しにおいて、文脈(つまり文の論理構造)に合わないもの発見が容易に発見できるようになる。
- 第四問Bにおいても、文の論理構造の把握によって、それに合った意訳をすることができる。
- 意味の分からに単語、および難解な英語の表現(3.2で解説)の意味が想像しやすくなる。
英文の論理的読解力は第一問で直接的に求められるばかりでなく、身に着ければ東大英語において様々な利点があるので、必須の基礎力だということがわかるだろう。
必ず身に着けよう。
英語の独特な表現による対応力とは
英語には様々な表現がある。よって、英語の表現に対応し、理解するために必要な力も様々である。
例えば、受験生の皆が最初に思い浮かぶのが「単語力」と「熟語力」である。これは単語帳などを用いて暗記すれば容易に身につく力である。
しかし、東大英語の単語のレベルは標準的で早稲田などで見られる専門性の高い単語はあまり見られない。
しかし、東大英語の文章は読解が難しい。
その理由に「単語や熟語」以外の難しい英語の表現があるからだ。
よって、東大英語の難解な英語の表現に対応するためには、以下の力が必要である。
- 意味の簡単な単語(基本語)の多種多様な表現への対応力
- 比喩、特に暗喩(metaphor)への対応力
- 小説や会話独特の表現への対応力
- ことわざやidiomへの対応力
特に1は身に着けるのが難しい上に、どの問題にも必要な力である。
これらの基礎力は四つの中で一番身に着けるのに時間がかかるものである。
しかし、東大英語において必須な力であることは間違いないので、根気強く付き合っていくことが必要である。
是非頑張って身に着けよう。
これら二つの基礎力の習得順序
論理的読解力は英語の表現の対応力は、東大英語特有の基礎力であり、どちらも必須である。
では、受験生はどちらを先に習得すべきか迷うだろう。
結論からいうと、論理的読解力の習得が先である。
なぜならば、英語の表現の対応力は、習得に時間が掛かるうえ、英語の表現は無限にあるので、単語力と同じように終わりがないからだ。
それに比べて論理的読解力は、すぐ身に付き、身に付けばそこで終了である。
また、論理的読解力によって、文章の論理的構造が把握できれば、単語と同じように、難解な表現に遭遇してもある程度意味は想像できるようになる。
特に比喩の指すものは、文章によって異なるため、このように対応していくしかない。
つまり、論理的読解力は、英語の表現への対応力の一部であり、直接的に活かせるのだ。
以上のような理由から、論理的読解力の習得を優先させ、終わったら英語の表現への対応力を高めていこう。
まとめ
以上が東大英語に必要な四つの基礎力とその説明である。
いかがであっただろうか?
この記事によって、東大英語で要求されている能力のうち、どれを軸に習得していけばよいのかがわかり、対策法の方向性がより明確になった。
是非これらを早急に身に着け、問題別対策をする土台を整えよう。