高校生、受験生のみんなは数学の問題集にどのようなものを使っているだろうか?
中には、学校から渡された数学の問題集、教科書傍用問題集などを使っている人も多いだろう。
そんな中、4step(4ステップ)は数研出版の傍用問題集としてかなり有名で未だに多くの進学校から人気を誇っている。
しかし、この問題集実は向き不向きがはっきりしていて、数学があまりにも苦手な人や独学で数学を勉強したいという人にとってはあっていないのだ。
この記事では、4stepがどんな問題集なのか?どんな人に向いているのか?どういう使い方をすれば最も効率よく書けるのかについて解説していく。
この記事を読んで、自分に4stepはあっていないと感じたのであれば、チャート式などのような問題集に変更することをオススメする。
また、この記事を読むことで4stepの正しい使い方を知り、より効率的に数学の成績を伸ばしていこう。
<解説動画>
4stepの構成
4step(4ステップ)は、数研出版が出版している教科書傍用問題集(教科書を出版している会社が教科書と同じもしくは少し上のレベルの演習を目的として出版した問題集)の一つだ。
4stepの問題構成は以下のようになっている。
- STEP A … 基礎力の養成。教科書の例・例題・問レベル。
- STEP B … 応用力の養成。教科書の応用例題・節末・章末レベル。
- 発展問題 … 発展学習。教科書では取り扱われなかったが重要な問題。
- 演習問題 … 入試対策。A と B の2段階に分け,章末に収録。
【出典】:数研出版 商品案内「新課程 教科書傍用 4STEP 数学I」
ここでは、以上の4つの問題の種類について詳しく見ていくことで4stepの構造を解説する。
まずは、向き不向きや使い方を論じる前に、しっかりと4stepについて理解しよう。
A問題
A問題は、教科書の内容の基礎中の基礎を演習するための問題だ。
4stepの中では一番簡単な問題だと言えよう。
しっかりと教科書の基礎が理解しているか確認するのに良い問題だ。
これが8割以上解けないようであれば、しっかりとその単元の内容を理解していないことになる。
これ以上簡単な入試問題は大学入試では出題されないので確実に正解してほしい問題だ。
B問題
B問題は、教科書のレベルからさらに1段階上のレベルの問題だ。
この問題は、March以上の大学を志望している人は、やることをオススメする。
この問題をしっかり解けないようであれば、March以上を狙うことは厳しい!
また、東大の合格者を毎年数人出すような進学校であれば、このような問題を解けることが要求されるだろう。
A問題をしっかり完璧にこなした上で、さらに上のレベルの理解を目指したければこの問題をしっかり解くべきである。
発展問題、演習問題
発展問題と演習問題はB問題よりさらにレベルアップした問題だ。
実際に入試問題に出題されているものが使用されている。
単元全体の深い理解がないと解けない問題ばかりである。
しっかりとその単元の演習をA,B問題の両方で積んだ上で取り組むべき問題だ。
4stepを使う上での注意点
4stepは非常に優れた教科書傍用問題集で、多くの進学校で使われている問題集だ。
しかし、この4stepには使用する上で注意しておかなければならないことがある。
人によっては、他の問題集を用いたほうが、より効率的に学習を進めることができるのだ。
この章では、4stepを使う上で、どんな人に向いているのか、どんなことに気をつければより効果的な学習ができるのかについて解説する。
この章を読んで、しっかりと4stepの落とし穴について理解しよう。
4stepの落とし穴
4stepは確かに素晴らしい問題集で、進学校からの人気も高い。
しかし、1つだけ問題集としての欠点がある。
それは、解答解説がかなり雑で不親切であるということだ。
また、別冊の解答解説が存在するのであるが、学校の許可がないと買えないのだ。
おそらく、学校側としては授業に合わせて使いたいので先に答えを見られては困るからだろう。
しかし、学校の先生は全ての生徒の質問に対応できるわけではないし、正しい答えが自分で学習していて与えられないのは学習効率がかなり悪い。
その上、別冊の解答解説がめちゃくちゃ詳しいかというとそうではなく、数学が苦手な人にとっては解読に苦戦するだろう。
別冊の解答には、単純に記述答案が載っているだけで、青チャートのようなわかりやすい図や説明、その問題の要点などが整理されているわけではない。
後ろに少しだけついている略解だけではなおさら数学弱者が理解できない。
これが、4stepの落とし穴なのだ。
4stepは数学が苦手な人には不向き
このように、雑な略解しか与えられていないので、4stepは数学弱者にはかなり不親切な問題集となってしまう。
数学弱者は解答解説などで、無駄な式変形が一行省かれてしまっただけで、何が起こったのか全く理解できずお手上げ状態になってしまう。
4stepの後ろの略解は式変形を大幅に省いて、必要最低限に抑えることで短くしているのだが、これでは数学が苦手な人はわからないのだ。
もし、これを読んでいるあなたが、自分の学校が4stepを使用しているが、完全についていけなくなってしまっている人は、同じ数研出版の黄チャートや青チャートとの併用がオススメである。
チャート式は解答がかなり詳しく書かれているので例えば、黄チャートレベルであれば、数学が苦手な人にとってはちょうど良い問題集となるのだ。
ただ、チャート式は簡単な問題の数が少なく、計算練習には不向きなのだ。
後に詳しく説明するが、この4stepの落とし穴をとチャート式のデメリットをお互い補完しながら勉強していくと、最強の勉強法になるのだ。
4stepは独学には工夫が必要
4stepはもともと授業と一緒に問題演習を行うために作られた問題集だ。
そのため、略解も式変形がかなり省かれており、別冊の解答解説も学校の許可がないと買えないのだ。
よって、これを独学で使うには少し工夫していく必要がある。
いくら数学が得意な人であっても、この解答だと「正しい答案の書き方」というものが身につかないという問題点がある。
よって、先ほど紹介した黄チャートや青チャートなどのチャート式の問題集と併用し、それぞれのデメリットを補うように工夫しながら勉強していくことが必要である。
それぞれのメリットとデメリットをまとめると以下のようになる。
<4step>
- メリット:計算問題や簡単な問題の問題数が多く、計算を身につけるのには最適の問題集
- デメリット:解答解説が詳細でない。
<青チャート>
- デメリット:簡単な問題の問題数が少なく、計算練習には不向き
- メリット:解答解説が詳しく、特に難しい問題などの演習に向いている。
これらのメリットとデメリットを補完しあいながら勉強していくのだ。
つまり、学習の初期段階では、4stepを使い、A問題やB問題で計算力をつけ、それ以降は青チャートで難しい問題を学習していき、記述力もつけるという方法だ。
B問題などには難しいものも含まれるので、青チャートに類題がないか自分で探して、その解答を参考にするとつまづくことなく独学で進めることができる。
このように、お互いのメリットとデメリットを補完し合いながら勉強していくと、2つの問題集をかなり有益に一人で使いこなすことができる。
後にやり方は詳しく説明する。
黄チャートや青チャートに関しては以下の記事で解説しているので合わせて見ておいて欲しい。
数学のおすすめ参考書!チャート式を使った偏差値爆上げの勉強法
どうしても別冊の解答解説が欲しい人へ
数研出版 改訂版 4STEP 解答編入手方法について!!
僕の学校は4STEPからそのまま問題が出題されるテストが単元ごとにあります。
しかし解答編は生徒には配られておりません。
学校採択専用商品とのことで入手に困っています。
学校経由での購入は自分の学校では望めません。(というか無理です)
やはりオークションで落とすしかないでしょうか?
できれば書店で購入したいのですが
その方法はあるでしょうか?
【出典】:yahoo知恵袋より
これは、yahoo知恵袋に投稿された質問の引用だ。
確かにテスト対策などには、4stepの回答がないと数学が苦手な人にとっては特に太刀打ちできないのだ。
このように、4stepの解答入手方法を知りたがっている人は非常に多い。
普通の書店に行っては学校の許可がないと販売できないと言われて買えないのだ。
そこで正規の方法ではないやり方で入手するには以下のような4つの方法がある。
- 別冊解答を持っている他の学校の人にコピーさせてもらう。
- 別冊解答を持っている卒業生に譲ってもらう。
- 書店に行って社会人や浪人生だと嘘をついて購入する。(高校生だというと学校の許可が求められる。)
- オークションで出品されているものも多いのでその中から落札する。
以上の他にも方法は色々あるが、入手すること自体は可能である。
僕が通っていた高校では一部の生徒が塾から解答を入手して一気に高校中に広まった。
4stepの解答解説は数学が苦手な人や独学でやっていこうという人には必須のアイテムなのでこのようになんとかして入手しよう。
ネットの解説サイトの紹介
近年4stepをはじめとする教科書傍用問題集の解答解説を親切に作成してくれているサイトが存在する。
それがこちらである。
現在最新の版では、数IIIの物だけがまだアップロードされていないが、それ以外はしっかりと作成されている。
チャート式のように、記述答案以外の考え方や注釈の説明が豊富であるというわけではなく、単純な記述答案の解答という感じになっている。
しかし、これでも別冊の解答と同等の役割を発揮する。
数III以外を勉強する際は、こちらを参考にしてもらえると良い。
4stepの使い方
さて、4stepのについて十分理解してもらったところで最後に4stepをより効果的に使う方法を授業編と独学編に分けて伝授する。
正しいやり方をしないと一生懸命勉強してもせっかくやったのに全く成績が上がってこないということが起こり得る。
そのようなことがないようにここで、正しいやり方を身につけていこう。
授業編
授業と一緒に4stepを使っていきたいという人向けの使用方法だ。
まず、その日にやった授業の問題を順番にA問題から解いていこう。
先ほどもの述べたように、A問題は8割以上絶対に正解しなければならない。
これができなかった人は、今日の授業の内容が全く理解できていないということだ。
しっかりと授業内容を理解してほとんど(欲を言えば全部)正解できるように頑張ろう。
これ以上簡単な問題は入試に出ないので絶対正解しなければならないのだ。
March以上を目指す高校生、受験生はB問題も同時にやってしまおう。
このB問題がMarchなどで差がついてしまう問題なのだ。
しっかりと考え抜いてできる限り解いていこう。
もし、10分以上考えても手が出なかったら、その時は諦めて、略解を見てみよう。
略解を見ても全くわからない場合は、解答解説がないので次の授業などで先生に必ず質問しに行くようにしよう。
あるいは、先ほど紹介したように黄色チャートや青チャートなどから類題を探してきて、参考にするのも良い。
単元の終わりに差し掛かると、発展問題と演習問題が待っている。
特に、早慶以上の私立や難関国公立大学を受ける受験生、高校生は発展問題と演習問題は必ずやっておくようにしよう。
実際の入試問題を試すことができるので、自分の実力がどの程度ついたのか測ることができる。
ここでも、わからない問題があれば先生に質問するかチャート式を活用して自分で解決してみよう。
いつでも先生に質問できるというわけではないと思うので、このように4stepメインで授業と一緒に使う人も、チャート式を解法辞典のような形で利用しながら勉強を進めていけると効果的である。
A問題が解けなかったという人も、それはかなりまずい。
授業の内容の根本が理解できていない可能性があるので次の日に必ず先生に質問しに行くようにしよう。
独学編
次に独学で4stepを使用する方法について述べる。
先ほど、4step単体ではもともと独学に向かず、チャート式と併用して使った方が良いと述べた。
ここでは、そのチャート式と4stepの併用方法について解説していく。
まず、独学で4stepをやるためには、どうしても別冊の解答解説が必要だ。
気軽にわからないことを質問できる環境にいないのであればなおさら必要なのだ。
特にA問題レベルの計算問題はチャート式にはあまり解答解説が載っていない。
その上、純粋な計算問題は類題というよりも今取り組んでいる問題の計算過程を見ることが重要なので、別冊の解答は必須である。
先ほど述べたように、正規でない入手方法もたくさんあるので必ず手に入れた上で独学で勉強していってほしい。
独学でやる場合は、
という順番で問題を解いて言って欲しい。
まずは、4stepのA問題、 B問題で計算問題の練習をする。
B問題あたりになると問題が難しくなるが、別冊の解答解説を見てもわからない部分があれば、青チャートの例題で類題を見つける。
B問題を終えると青チャートの例題と練習問題を解き進める。
B問題に載っていた箇所の類題は復習のためにもう一度解いても良いが、もし時間がない場合は飛ばしてもらって大丈夫だ。
ここまでが、必須の勉強事項だ。
そこからさらに余裕があれば、青チャートのexercise問題や4stepの発展問題、演習問題をさらに解いておくとかなり実力がつくだろう。
授業編と同じように、問題を解く際は、10分以上考えてもわからない場合は解答を少しだけチラ見して、だいたいわかったところでもう一度解き始めよう。
ここで解答を全て見てしまわないことがポイントだ。
まだ考えられる部分は自分の発想に任せて、最小限のヒントだけ得ることによって、思考力がより鍛えられるのだ。
わからないことがあれば、すぐにインターネットなどで調べたり、質問できる人がいるのであれば質問するなりして欲しい。
4Step、青チャートを終えた後にやるべき問題集
学校で配られる教科書傍用問題集の4STEPはあくまでも、教科書のレベルから少し発展的なレベルまでの数学の基礎を養うための問題集だ。
よって、これを完璧にしたからといって入試数学に立ち向かえるというわけではない。
そこで、4Stepと青チャートを一旦完璧にしてしまったら、次は「やさしい理系数学」か、もしくは「新数学スタンダード演習」のいずれかに取り組むべきである。
これら2つの違いは以下のようになっている。
- やさしい理系数学:例題が少ない分解説がかなり丁寧に書かれていて、別解も多数記されている。
- 新数学スタンダード演習:問題数は多いが、解答解説がやさしい理系数学ほど詳しくはない。
よって、どちらか好きな方を自分で選んでこの2つのいずれかを取り組むと良い。
個人的には数学があまり得意でなく、じっくりやりたい人はやさしい理系数学がオススメだ。
この2つの参考書については、以下の記事を参照して欲しい。
やさしい理系数学(やさ理)で入試数学の偏差値を10上げる方法
まとめ
以上が4stepについての落とし穴や正しい使用方法などの説明だ。
4stepは確かに多くの進学校にも評価されている、非常に良い教科書傍用問題集だ。
しかし、授業と一緒にやるという目的で作られている以上、数学弱者に不向きだったり、独学として使うのは向かないということがある。
また、別冊の解答解説も欲しいと思っても学校の許可がないと手に入れられなかったりするのだ。
そこで今回は上記で記したように、解答解説入手方法を記しておいた。
解答解説は絶対に一緒にあったほうがよいのだ。
これを読んで、自分にとって、4stepがあっているのかどうかわかっただろう。
もしあっていないようであれば、チャート式など数研出版は他にも素晴らしい問題集を揃えているので、他への変更を検討しよう。
また、4stepで勉強すると決めた人は、上記の使用法で述べたように勉強を進めて、数学の成績を効率よくあげていこう。