主に難関大学の受験生のみなさんの中には、
教科書はちゃんと勉強して、基本的・標準的な問題は解けるようにはなったけど、実際の大学入試の数学の問題になるとどういう風に問題を解いていけばいいか分からない…
と入試数学の問題の難しさに頭を悩ませて、模試での点数が伸びないという人も多いと思う。
しかし、こうした「教科書の数学」と「受験の数学」の間にある難易度のギャップを超えて、見事に橋渡しをしてくれる参考書がある。
それが今回紹介する「やさしい理系数学(通称:やさ理)」(河合出版)なのである。
ここではやさしい理系数学(やさ理)の特徴、おすすめの勉強法を紹介していく。
やさしい理系数学(やさ理)をちゃんとマスターすれば、ゆくゆくは受験数学の問題に対するアプローチの仕方が身につくうえ、模試でも数学の点が大きく上がることは間違いない。
この記事を読んでやさしい理系数学(やさ理)をマスターし、数学を武器に志望校合格へ近づこう。
やさしい理系数学(やさ理)のポイント
ここではやさしい理系数学(やさ理)の難易度、問題の特徴と、取り組むべき受験生のレベルを紹介する。
決して楽なレベル設定ではないが、数学が好き、自信があるという諸君にも積極的にチャレンジしてもらいたい。
やさしい理系数学(やさ理)の問題の難易度
この本の存在を知った人の中には、タイトルに“やさしい”とついているのだから、そんなに大した難易度ではない、と思う人がいるはずだ。
しかし、これは大きな間違いである。
やさしい理系数学(やさ理)で扱われている問題はほぼ難関大レベルであり、まれに東大・京大・阪大といった超難関大レベルの問題も混ざっている。
決して“やさしい”問題は入っていないので、基礎固めがちゃんとされていて、標準的な問題の解法も身につけていないと太刀打ちできるものではないと言える。
やさしい理系数学(やさ理)に取り組むレベルは?
上で述べた理由から、やさしい理系数学(やさ理)をやるのにふさわしい数学の学力は大体、全国模試でいえば偏差値60以上だ。
最低でも55は欲しいところだ。
もし受験期に入ったばかり、などの理由でこれくらいの学力が身についていないという人はやさしい理系数学(やさ理)をやる前に、青チャート(数研出版)や1対1対応の演習(東京出版)などで、標準的な力をつけてから取り組むのが効果的だ。
青チャートについては以下の記事で詳しく解説しているので合わせて、見ておいて欲しい。
数学のおすすめ参考書!チャート式を使った偏差値爆上げの勉強法
また、途中までの単元しか勉強していないという人でも、その単元までなら標準的な問題は解ける、という人であればやさしい理系数学(やさ理)をお勧めしたい。
これは、(後述するが)やさしい理系数学(やさ理)も他の問題集と同様に単元ごとに問題が分かれているからだ。
自分が取り組める範囲を絞って、難しい問題にとりかかり始めても十分に力をつけることができる。
ただし、解法の中には習ってない範囲を用いた解き方も存在するのでその点は注意しよう。
やさしい理系数学(やさ理)の問題の特徴―難問だが良問
やさしい理系数学(やさ理)は問題数が、例題50題、演習問題150題という構成になっていて、問題は単元ごとに固まって配置されている。
どの問題にも考える時間をとって、解答を作っていくのが望ましいが、先述した理由から、やさしい理系数学(やさ理)に取り組めるようになるのに受験期の後半までかかってしまう、という人も多い。
そういう人は、例題50題をやるだけでも手軽に全範囲の学力をつけられるので、先に例題に取り組んで、その後力をつけたい単元に絞って演習問題に取り組むということも可能だ。
しかしながら、どの問題も、難問でありながら、その分考えることで数学の力がアップする良問ぞろいであるので、これから紹介する学習法を参考に、焦ることなく1問1問に取り組んでもらいたい。
やさしい理系数学(やさ理)の解答の特徴―別解が充実
やさしい理系数学(やさ理)の解答は、例題の解答は問題編の方に載っていて、演習問題の解答は別冊となって問題とは切り離されている。
ここで特筆すべきは、この解答が非常に充実しているということだ。
別冊の解答は、問題編とほぼ同じ分厚さであり、例題の解答も充実している。
しかし、注意してほしいのは、解答が充実しているのは例えばチャート式のように、途中式などを逐一示しているからという理由ではない。
これは、やさしい理系数学(やさ理)の最大の特徴ともいえるが、1つの問題に対して複数の別解を示しているためなのである。
例えば平面図形の問ならば、座標、ベクトル、初等幾何的解法など、3つ4つの解答が示されている問題もある。
これは、すべての解答を覚えなければならないということではない。
解答から1つの問題に対してアプローチをすることを学ぶことで、単元ごとの学習からは得られない、総合的な数学の力を得ることが可能となるのだ。
これがやさしい理系数学(やさ理)の最大のメリットと言える。
やさしい理系数学(やさ理)のおすすめ勉強法
ここまで、やさしい理系数学(やさ理)の特徴の項で、1問1問にじっくり取り組むべきであって、別解が豊富ということを述べた。
ここからは具体的に問題に取り組んでいくときのやさしい理系数学のおすすめの勉強法を紹介していく。
ぜひ参考にして勉強することで成績を上げて、他の受験生のライバルに差をつけていってもらいたい。
まずは時間をかけて解いてみる
初めてこの本に取り組む人はまず例題に取り組んでみよう。
ただし問題のすぐ下に解答が載っているのでそれは決して見ないようにする。
取り組むときにまず大切なことは、問題を見てすぐには分からなかったとしても、あきらめて解答を見るのではなく、粘って15分くらいは手を動かすなどして考えるということだ。
これは実際の入試を考えてみれば当然だが、入試での数学は、一見すると難しそうな問題を何分か考えて、解答を出していく。
典型的な基礎問題・標準問題は、解法を覚えてマスターすることが大切になるが、実際の入試問題はそうではない。
時間をとって悩むことで数学的に考える力があるかを大学は見ている。
そのための訓練のためにも、分からなくても考える、ということを大切にしてもらいたい。
解答はじっくり読み、写して理解
このようにして考えて、もし解答が思いついたら実際に採点してもらうものと同様に答案を作成する。
これも実際の入試の訓練になる。
そして、解けても解けなくても必ず解答を見る。
この時別解があるものは、受験生が思いつきやすいと思われる順に解答を掲載しているので、特に解けなかった問いについては、少なくとも正式な解答はおさらいし、赤ペンなどで、理解しながらノートに写していこう。
別解についても余裕があれば、理解しておくと効果的だ。
おそらく、この流れをちゃんとやると、1つの問いに30分以上かかるということもあるだろう。
しかし先述したとおり、やさしい理系数学(やさ理)の問題はどれも、これだけ時間をかける価値がある。
決してすらすら進めるということはできないが、必ず1つ1つの問題に重きを置いて少しずつ理解を深めていってもらいたい。
解けなかった問題はチェックをつけて復習
このようにして問題を解き終わったときに、解けなかった問題にはチェックをつけてまた後日もう一度解いて復習するようにする。
ここで、問題に対するミスによってチェックの種類を変えておくと効果的である。
例えば、まったく解答が思い浮かばなかった問題には赤チェック、解法は思いついたが、計算処理などで間違えた問題には青チェックと決めておくと、復習、解きなおしの時に便利だ。
例えば、青チェックが多ければ、計算ミスが多いと分かるので、その点に気をつける、といったことが心掛けられる。
こうして何回か解きなおしをしていって、少なくとも2回自力で解答を作成することができるようになれば、その問題をマスターしたことになる。
これは、その問題に対して解法を思いつけるように、数学的に考える力が完成したといえるからだ。
仮に例題のみに取り組むとしても、このようになるまでには相当努力をしなければならないが、マスターした時には必ず周りの受験生に差をつけることができるので焦らず取り組もう。
まとめ
以上が、やさしい理系数学(やさ理)の問題のレベル、対象となる受験生のレベル、問題への取り組み方である。
やさしい理系数学(やさ理)は決してやさしくはないが、標準的な問題を解ける学力がある受験生が1問1問を真剣にじっくり取り組み、復習すれば、どんな問題でもアプローチを試みることができる力が身につく。
今回紹介した勉強法を使って、数学で他の受験生に差をつけ、今の偏差値をさらに10上げて合格をつかもう。