物理は、実際に問題を解くということに学生が一番苦労する教科である。
物理は暗記をすれば点が取れる社会科や化学、生物の問題とは違う。
どんな簡単な問題でも物事を正確に把握し、解析しなければ物理の問題は正解とはならない。
力学の問題では、力の図示をし忘れればその時点で間違いとなるうえ、エネルギーが保存されないのに保存則を使って間違える、ということもしばしばである。
(これは現役東大生の私が高校生の時に実際にしたミスの一例である。)
しかしながら、物理は入試では点が取りやすい科目ともいわれる。
これは、問題を解くのに慣れてしまえば、いわゆる典型的な問題と言われる箇所で得点をとっていくことが容易になるためである。
そのため、「物理を選択し、入試に使用していく」、という受験生は問題集などで実際の問題を多く解き、問題に慣れていくことが大切な勉強となっていく。
今回はこのような役割を持つ物理の問題集の中でも学校で指定される人もいるであろう、「物理重要問題集(数研出版)」の問題の分量、レベルについて解説していく。
この記事を読んで物理の問題を解くのに慣れ、物理を入試の得点源にし、大学合格に近づこう。
物理重要問題集の特徴
まずは、物理重要問題集がどのような問題集なのか、構成、問題のレベルなどについて特徴を書いていく。
分量、難易度などの参考にしてもらいたい。
なお、物理重要問題集は毎年改定が行われるため、現在の最新版は、「2017 [実戦] 物理 重要問題集 ―物理基礎・物理」である。
しかし、もし最新版を持っていないという人でも、毎年の改定によって、問題構成が大きく変化するということはないので、安心して読み進めてほしい。
物理重要問題集の構成と問題のレベル
物理重要問題集は単元ごとに内容が分かれていて、そこに「要項」、「A問題」、「B問題」がある。
「要項」は主に、その単元で必要となる最低減の知識がコンパクトにまとまっている。
「要項」の内容程度のことがマスターされていない人は、この問題集をやるレベルに達していないので、先に別の参考書をやることをお勧めする。(そのレベルなどについては後述する。)
問題については、標準的なA問題と発展的なB問題に分かれている。
しかし、B問題と呼ばれる発展問題は量が少ないので、実際にはほぼすべての問題について差異はないとみてよい。
問題として扱われているのは、いずれも中堅から難関と呼ばれる大学で実際に出た入試問題である。
分量は全部で170題程度とやや少なめである。
物理重要問題集の問題の特徴は、とにかく典型的な問題が多いことである。
計算や解析が複雑すぎるものは聞かず、物理の入試問題で問われやすいことをまとめて問題として聞いている。
これは物理重要問題集の大きな利点であるといえる。
この問題集をマスターすれば、受験で聞かれやすい問題は飛躍的に点をあげることができる。
このことを念頭において、この問題集に取り組む人はじっくりと問題に取り組んでもらいたい。
物理重要問題集に取り組むのに最適な学力は?
先の項で、「物理重要問題集は要項の内容をマスターしている人が取り組むべきである。」と書いた。
要項の内容をマスターしている、とは
習った範囲であれば、定期試験で聞かれる程度の問題であればしっかりと解ける
ということである。
これは、実際に物理重要問題集を見たことがある人にとっては、ややレベル的に早いのではないかと思われるかもしれない。
しかし、物理の問題を解くうえで、必要な知識は実は多くない。
どんなに複雑そうな問題でも、扱われている知識の1つ1つは決して簡単な問題の場合を大きくは逸脱しないのである。
特に、物理重要問題集は、こうした問題を解くテクニックを身につけるのに有利な参考書であるから、基本がおさえられているならば、どんどん使い始めて構わない。
逆に、まだここまでの知識がおさえられているという自信がない人は、この問題集に取り組む前に、「セミナー物理(第一学習社)」や「物理のエッセンス(河合出版)」で、基礎的な知識を定着させてから、この問題集に取り組もう。
物理重要問題集は、問題数自体多くないので、実は1周するのに多くの時間はかからない。
まだ、基礎的な事項を抑えられていないという人でも焦らず、基本知識の定着に取り組んでほしい。
それから、物理重要問題集に取り組み始めても遅すぎるということはないのだ。
他の参考書との併用
物理重要問題集は、分量、レベルともに標準的な参考書である。
この参考書を使用している、または使用したという受験生の中には、さらに難しい問題集に取り組みたいと思っている人もいるだろう。
おそらく、発展的な学習として有名な参考書としては、「名問の森(河合出版)」や「難問題の系統とその解き方(ニュートンプレス)」などがある。
どちらも、東大や京大などの難関大学を目指す人向けのトップレベルの参考書である。
これらの問題集の問題は、問題の設定条件がかなり複雑であったり、テクニックを使わないと計算が煩雑になったりする。
そのため物理に対して相当に慣れていないとまともに取り組むのは難しい。
こうした問題集の併用を考えている人はまず、物理重要問題集で標準的な問題の時方に十分に慣れてから使い始めるようにしよう。
こうした意味で、物理重要問題集はより難しい問題集へのステップアップのための足掛かりとして最適な参考書といえるのだ。
物理重要問題集のおすすめ勉強法
ここからは、物理重要問題集のおすすめの使い方を解説していく。
標準的な問題の解法をしっかり身につけるためにも、これからおすすめする使い方を参考に、しっかり力をつけてもらいたい。
問題は2回解こう
物理重要問題集は先述したとおり、問題数が多くない。
そのため、どの問題の解き方もしっかりマスターできるよう、問題が解けた、解けなかったに関わらず少なくとも2回は取り組むことをお勧めしたい。
こうすることによって、問題をより素早く、正確に解くことが出来るようになる。
また間違えた問題についてもそのミスが、単なる計算ミスだったのか、それとも根本的な考え方が誤っていたのかを判別しやすくなる。
解答、解説の理解は徹底的に
考え方を間違えた問題は、解答を赤ペンなどで図や法則名を含めて写し、理解に努めよう。
ただし、これは物理重要問題集の欠点とも言えるのだが、この問題集は詳しい解説が載っていない。
式などにも多少の省略が散見される。
そのため、解答を写しても何をしているのかがはっきりと掴めない、ということもある。
その場合は、学校の先生などに積極的に質問して、自分のものとなるよう吸収していこう。
物理重要問題集には良問が揃っているだけに、解答を理解できない、ということは非常にもったいないので、ぜひ納得のいくまで他の人に聞いてみることをおすすめする。
間違えた問題は2週間以内にフィードバック
間違えた問題の復習は2週間以内にしよう。
これは、せっかく納得のいくまで理解した解き方を忘れないように定着させるためである。
解き直しをするときは、解けている小問も含めて、その大問の全ての解き直しをすることをお勧めしたい。
こうすることによって、物理の問題の流れを掴むことが出来るからだ。
また解答を書くときは、実際の答案を書くように、法則名等もしっかり書こう。
解き直しを利用して、実際の答案作成の要領も掴むことが出来るのでまさに一石二鳥である。
まとめ
以上が物理重要問題集のレベル、および解き方の解説である。
繰り返しになるが、物理重要問題集は(解説がやや不親切なものの、)物理の標準的な問題が詰まった良い問題集である。
問題の取り組み方は、
- 2周し
- 解説を納得のいくまで理解し
- 素早く復習に入る
というものであった。
このやり方で1つ1つの問題にじっくり取り組み、解法を身につけることによって、物理の問題の得点源を増やし、模試での点数をどんどん上げていこう。