新学期が始まっていよいよ受験生になった新高校3年生のひとたちは、もう志望校は決まっただろうか?

すでに決まっているひとたちもいるだろうが決まっていない人もいるだろう。

自身の経験から、志望校は早めに決めておいたほうが良いと筆者は思う。

なぜかというと、共通の試験を受験するセンター試験は志望校関係なく対策ができるから今のうちから対策できるのだが、2次試験は大学によって出題傾向や特徴が異なってくる。

そのため過去問や予備校の大学別の模試を受けながらそれらの傾向や特徴を研究しながら受験勉強をしなければならないのである。

今回の記事では愛知県にある国立大学、名古屋大学の2次試験数学(理系)の特徴と学習法について紹介する。

これを読んで、数少ない名大数学の過去問をしっかりと有効に活用していこう。

名大数学のおおまかな特徴を配点、試験時間と問題数、問題の特徴に分けて解説していく。

まずは配点について説明する。

名大には理系学部が理学部、医学部、工学部、農学部、情報学部の一部の学科(自然情報学科、コンピュータ科学科)の5つの学部があり、(数学の配点/2次試験の合計点数)で表すと、

  • 理学部:500/1450
  • 医学部:500/1650
  • 工学部:500/1300
  • 農学部:400/1400
  • 情報学部:400/1100 (自然情報科学科)、500/1300(コンピュータ科学科)

と当然理系のどの学部も数学の比重は大きくなっている

いかにミスせず確実に得点をとれるかによって合否が大きく左右されるのだ。

試験時間と問題数

試験時間は150分間で、大問4題で構成されている。

東大や阪大などと比べると試験時間は同じであるが、問題数が他の旧帝大と比べて少ないのが特徴だ

1題あたり37.5分と40分近くかけることができる。

このことからじっくりと考えて確実に答えを出すことができる学生を求めているという出題者側の意図が読めるであろう。

しかし、解いてみると分かるが、計算量がかなり多い問題も出題されているからそこまで余裕があるわけではないため、じっくり考えすぎるのも注意しなければならない。

また問題用紙の末尾になぜか公式集が付いており、高校で習う公式がひと通り掲載されている。

この公式集はもちろん試験中に参考にしてもらって構わない。

しかし合格者にきいてみると公式集を試験中に使用したという人はほとんどおらず、むしろこれらの公式は理解し暗記していることが前提である

よって、できるだけ使用するのは避けたいところである。

2018年度入試の問題

2018年度入試も例年通り4題構成で出題された。

出題範囲は以下でも詳しく説明していくが、1⃣積分、極限/2⃣論証、微分/3⃣整数/4⃣確率、数列であった。

分量は昨年2017年度入試とあまり変わらず、難易度に関しては昨年の第4問がやや難問だったのに対して今年は全体的に取り組みやすい難易度であったため、易化したといえるだろう。

内容についてもほぼ例年通りで微積分、論証、整数、確率という名大が好んで出題してくる範囲で2年ぶりに確率漸化式が出題された。

また例年に比べて論証問題の数が多く出題されたように感じる。

では、各大問ごとに詳しく出題内容や特徴について説明していく。

第1問 (難易度:標準)

大問1は定積分の漸化式を用いる無限級数の問題であった。

これらのパターンの問題は他大学や予備校の模擬試験でもよく出題されるため、一度類題を解いたことのあるひとであればあまり抵抗感なく取り組めたと思う。

また小問4題構成であったため誘導にしたがって取り組めば最後の答えまでたどり着くだろう

(1)与えられた定積分の漸化式を証明する問題で、問題にしたがってnにn, n+2を代入して計算すれば被積分関数がきれいな形になることに容易に気づくだろう。

(2)与えられたxの範囲から関数の範囲を算出し命題を証明するという参考書などでもよく見かけるパターンの問題であった。

(3)数Ⅲ履修者ならだれもが想像のつくはさみうちの原理を使う問題。

(1)と(2)を使わなければならないが、必ずどこかで一回は解いたことがあるはず、確実にとっておきたい問題である。

(4)大問1最後の問題は与えられた和の極限を求める問題であった。

(1)の与式のnの代わりに2k-1を代入して解いていく。

また(3)と同様にはさみうちの原理を使う問題であったため、(3)が解ければ容易に想像つくことが望ましい。

大問1に関しては先ほども少し説明したが、出題内容としてはよくあるパターンであるため、一度解いたことがあればそこまで苦労することなく解けるような問題であった。

逆に言えば、ほかの受験生も得点してくる問題であるから、必ずとっておきたい問題であるだろう。

第2問 (難易度:標準)

大問2は曲線の共有点の個数に関する微分と論証の問題であった。

この大問に関しては、(1)の証明問題が意外と難易度が高かったといえるだろう。

(2)で(1)の結果を用いるが、先に(2)から解いていくというのもひとつの手だろう。

入試問題だけに限った話ではないが、数学の問題において、ある箇所でつまずいてしまったとき、必ずしも順番通りに解かなければいけない、というわけではない

今回の第2問では、(1)が解けていなくても(1)の結果を認めて(2)から解答することも可能であるということだ。

では、大問1と同様に少し詳しく見ていこう。

(1)先ほども述べたがこの論証問題が意外と難易度が高い。

y ≠ xと仮定したうえでx, yの大小関係を設定し、与式の差をとることで矛盾を指摘することで題意を証明できる。

(2)グラフの共有点の個数に関する論証問題。

(1)で示したy = xを与式のどちらかに代入して両方の自然対数をとり、関数を設定したうえでそれを微分してグラフを求めるというよくある問題である。

(3)(2)と同様に共有点の個数に関する問題。

前問が解ければこの問題もスムーズに解くことができただろう。

第3問 (難易度:標準)

第3問は二項定理を用いる整数に関する出題であった。

整数問題は難問が出されることがしばしばだが、今回の問題は比較的解きやすい印象であった。

2012, 2013年にも整数問題が出題されており、名大を志望している高校生は演習を積んで整数問題に耐性をつけておこう。

では今まで同様、小問ごとに見ていきたい。

(1)「与式がpで割り切れる」ということを証明する問題。

言い換えれば、「与式がpの倍数である」ということを証明すればよい

まず括弧内を二項定理を用いて展開し、そのあとにpCk がpの倍数であることを示せば題意を示すことができる。

(1)は必ずとっておきたい問題である。

(2)(1)と同様で、二項定理を用いる証明問題である。

まず括弧内を二項定理を使って展開すると、2で括ることができることに気づくだろう。

そして、p ≥ 2 であることから与式は偶数となることを示す。

(1)が解けていれば同様の解法で解けたであろう。

(3)与式が2pで割ったときの余りを求める問題。

(1)にb = 2 を代入して与式はpの倍数、また(2)より2の倍数であることがいえる。

今回の問題では場合分けが大きなポイントである。

pと2が素数であることに着目して(ⅰ) p = 2と(ⅱ) p ≥ 3に分けることに気づければ解けるであろう。

第4問 (難易度:標準~やや難)

第4問は名大が大好物の確率漸化式からの出題であった。

名大数学の最大の特徴といっても過言ではないくらいによく出題される。

2018年は2年ぶりの出題となった。

今回は2つの正方形の頂点移動に関する問題

名大を志望している高校生であるなら、確率漸化式の範囲は避けては通れない道であるから、本質を理解して演習を積んでほしい

(1)時刻1においてあり得る点の配置を図時する問題。

(2), (3) a₁, b1を求めた後に漸化式を立てて、一般項を求める。

確率漸化式は前後の事象の関係を正確に把握することが非常に大切であるから、演習を積んでコツを掴んでいってほしい。

(4)最後の問題は数学的帰納法を用いた論証問題であった。

pn (= a+ b) ≤ (3/4)n を示す問題で、nが整数である点から帰納法の論証であることに気付けるとよいだろう。

(3)がきちんと正解していれば、しっかりと得点できる問題であった。

以上で2018年度の問題の内容や特徴について説明した。

名大数学の解き方と対策

ここまでで名大数学の特徴や傾向についてある程度お分かりいただけたであろうか。

では次に、名大数学の解き方と対策について説明していく。

入試問題の解き方

入試問題というのは学校の定期試験とは違って、満点をとらなければならないというものではない。

合格点さえとることができれば、志望校に合格できるのである。

では、どのようにすればより高い得点をとることができるであろうか。

ひとつ言えることは、「解けない問題を切り捨てる勇気をもつ」ということである。

もし仮に1題解くことができなくても、他の3題で得点すればよい、という心構えで臨んでもらえればよいと思う。

解けない1題をずっと睨んでいても他の3題が解けるわけでないし、その1題を考えている時間で他の問題は解けるかもしれない。

一旦後回しにして残った時間で解けるところまで解き、書けるところまで解答を書くことが限られた時間のなかでより多く得点を稼ぐ方法なのである。

ただし、数学の勉強には2種類必要で、例えば過去問を1年分解くとき、制限時間を設けて演習する方法と、時間を無制限にして解けるところまで解いてみるという方法がある。

前者のときは先に述べたように、解ける・解けない問題を見極める力をつけるために後回しにする方法を用いるのは有効だと思う。

しかし、後者の勉強法で演習するときは、後回しにすることはあまりしないほうがよい。

自分がなんの力をつける目的で勉強しているのかを考えながら適宜自分にあった勉強法でおこなってもらえたらと思う。

また、すべての問題を切り捨て、もしくは後回しにしてよい、というわけではない。

他の受験生が解ける問題は必ず取らなければならない

すなわちやや易~標準レベルの問題は点をとっていきたいのだ。

そのうえで差がつくであろう問題でできるだけ稼いで他の受験生と差をつけることが合格に近づく方法である。

対策について

では、どのように勉強していけばよいのだろうか。

先ほども述べたがまずひとつは「解ける・解けない問題を選別して、取捨選択する力」をつけることがあげられる。

その他には以下のような対策が必要である。

基礎力をしっかりとつける!

名大の場合、特殊な解法を必要とする捻った問題よりは、標準的な解法を組み合わせた問題が出題されることが多いから、まずは典型的な問題の解法を網羅することが重要である。

そのためにはまず、Focus Goldやチャート式などのいわゆる辞書型の問題集で公式や解法の穴を埋めていこう。

しかしこの問題集は問題数が多いため、自分は基礎力がある程度ついていると判断した人は解けなさそうな問題を探して解くというスタンスでよいだろう。

4STEPのような教科書傍用問題集と併用した使い方もオススメである。

また、名大はときどき有名問題有名関数に関する問題を出題してくることがある。

したがって、頻出である微分積分法と数列に関しては有名関数(例えばサイクロイドやカテナリー曲線)、有名数列(例えばフィボナッチ数列)などの導出過程や知識には一度は触れておくとよいだろう。

レベルの高い問題集で応用力をつける

基礎がしっかり定着したら、次はスタンダードやオリジナルスタンダードといった、大問1つに対して小問が数問で誘導されている問題集を使って演習を積もう。

大問の中でそれぞれの小問をどのように活用するのか、どういった位置づけで出題されているのかということを意識しながら解答するよう心がけるようにしよう。

加えて、この手の問題を解くときは細かい計算だけでなく、全体の方針を立てながら解くとより効率的に名大数学の対策を行うことができるのである。

部分点をとりに行く練習にもなるため、この演習は必ず行おう。

過去問にチャレンジしてみる

ここまで演習を積むことができたら、あとは過去問対策を行う。

特に頻出分野の確率漸化式は他の問題集で徹底的に演習を積むことは難しいので、必ず過去問を解いて力をつけよう。

最低でも最近過去10年分は用意しよう。

実際に時計を用意して150分計ってできるだけ本番に近い状況をつくるとよい。

これは単に数学力を伸ばすことだけでなく、150分という時間の感覚や、どのような順序で大問4題を解いていくかなど本番力をつけることも目的としている。

先ほど述べた問題を見極める力もこの過去問演習で補おう。

名大模試を必ず受験しよう

河合塾や駿台などの有名予備校では定期的に名大模試が実施されている。

これらを受験することで緊張感を持った中で問題を解く訓練になるほか、他の受験生に比べて自分が現在どの位置にいるのか現状を把握することもできる。

 

受験において情報は非常に重要になってくるため、名大に特化した模試を受験委自分の現状を把握して、どのような力をつけていかなければならないか、逆算的に学習を進めるようにするのが良いだろう。

まとめ

今回は一般的な数学の入試対策から名大に限定した細かい話までしてきた。

この記事を参考にして、ぜひ志望校合格に近づいていってもらえたら幸いである。

また、2017年度以前の名大の数学についてはこちらの記事を参照してもらえたらと思う。

これで合格確実!名古屋大学2次試験数学(理系)の対策法