小論文と聞くと、苦手意識を持って顔をしかめる受験生は非常に多いのではないかと思う。
しかし、大学受験の内容は刻々と変化しており、答えが一つに決まっている問題ばかりではなくなってきているのが現状だ。
特に推薦入試においては、小論文はいまや対策が必須のものとなっており、一般においても、慶應の文系学部を始め、自分の意見を書くことを求める入試は増えている。
しかし無駄に心配をすることは全くない。
筆者も始めは
こんな引き出しの少ない自分に、小論文なんて書けない
と思っていた受験生の一人だったが、入試本番を迎えるころには得意科目にまでなっていた。
そう、小論文は書き方のコツさえつかめば自分の思い通りにすることができる科目なのだ。
そこで今回は、大学受験で求められる小論文とはどんなものか、そしてその書き方のポイントを伝授しよう。
小論文とはどんなものか?
だいたいの受験生は、おそらく小論文という文言だけで、「なんとなく無理」と判断しているのではないだろうか。
しかし受験において最も重要なのは、敵を熟知することである。
よく知りもしないで苦手といっていては、勝てるものにも負けてまう。
では受験に出てくる小論の問題とは、例えばどんなものがあるか?
ここでは大学受験で最も出題頻度の高い小論3パターンを紹介する。
読解型
まず初めは、主に一般入試でよく見られる形である、読解型だ。
これは、普通の国語の入試のように長文の読解を行った後に、小論文を書けという問題がでる形式だ。
つまり、センター試験などで求められるような国語の読解力にプラスして、小論文として自分の意見を書く力も必要というわけだ。
とてつもなくハードルが高いように思えるが、基本的には筆者が何を言いたいかが重要なので、読解がきちんとできれば問題ない。
よってこの型の受験を考えている人は、まず読解力を鍛えよう。
講義理解型
次に、推薦入試でよく行われる講義理解型の小論文について説明する。
このタイプでは、まず教授が1時間前後の講義を行った後に、それを踏まえた問題が出される場合が多い。
いわば上記で紹介した読解型の、文字が口語に変換されたもの、というイメージだ。
つまりこちらも、まず抑えるべきは、
教授はこの講義を通して何を伝えたいか?
である。
ただ、大抵の受験生が訓練を積んでいる長文読解と違い、ある程度難解な講義を聞きながら噛み砕く作業には慣れない人が多いため、注意が必要だ。
問題そのまま出題型
最後の問題そのまま出題型は、前置きなしに問題文がそのまま出されるタイプだ。
上の二つに比べ、理解しなければいけない課題はなく簡単そうに感じるかもしれない。
しかし、前置きがないということはヒントとなるものが何もない、と言うこともできる。
自分で一から考え、文章を作らなければならないため、案外小論文の力が最も試される問題である。
この型には、グラフや図などの読み取り問題も含まれる。
あるデータを示したグラフ・図をもとに、そこに何が示されているのかを読み取り、原因を推論するというものだ。
通常の小論は意見や考えを書くことがメインだが、こういった知識を問う小論も出題されることがあるので覚えておいてほしい。
このように「小論文」と一口にいっても、形式はずいぶんと異なる。
自身の志望する大学の過去問をよくみて、どのダイプの問題が出されているのかチェックしておこう。
文章構成
どのような問題が受験で出されるのかを理解したところで、では小論文をどう書けばいいのかについて解説していく。
基本的には、
- 主張、序説
- 理由1
- 理由2
- 反駁・再反駁
- 結論
という五段構成で成り立たせると、すっきりとして分かりやすい文章になる。
以下で各段落について詳しく見ていこう。
序説(主張)
小論文において最も大切なことはなんだろうか。
それは、読みやすさ・分かりやすさである。
そこで鍵を握るのが、文章の始まりである序説なのだ。
文章だけでなく、人に分かりやすく伝えるためには、まず結論を述べることが重要だ。
よって、タイトルで序説の隣に主張と記したとおり、「自分はこういう意見を持っている」とまず相手に提示した上で、その内容について書いていくことが分かりやすさにつながるのだ。
例をあげてみよう。
例えば死刑制度の是非について、が問題であったとした場合、書出しはこんな風になる。
「私は死刑制度について賛成である。以下にその理由を述べる。」
少々シンプルすぎるかもしれないが、基本の形はこうだ。
あとは問題の形式によって、教授の考えを要約して書くなど、付け足していくことも可能だ。
ここで重要なのは、とにかく読む人がたとえ流して読んでもすぐに理解できることである。
書出しを上記のようにすれば、一瞬で受験生の主張が理解でき、そのあとに続く文章も伝わりやすい。
くれぐれも長くダラダラと書かないように注意してほしい。
理由
第二、三段落目にあたる理由の部分だが、最低でも2段落には分け、2つ以上の理由を用意しよう。
量が多ければいい、というものではもちろんないが、主張をする際には明確で納得できる根拠があればあるほど、その説得力は増す。
よって小論文を書き始める前に、問題を見たらまず主張とその根拠となる理由を思いつく限り書き出そう。
そしてその中から、より説得力があると思うものを2、3個選び取る方法をお勧めする。
例えば先ほどの死刑制度の例なら、
「理由は2つある。
1つめは、犯罪の抑止力となるからだ。‥
2つめは、遺族の方々を精神的に救済するためだ。‥ 」
という様になる。
反駁・再反駁
小論文において他と差を着けることができるのは、この反駁の段落だろう。
普通の受験生は、自分の考えを述べただけで満足してしまうことが多い。
しかし、それでは独りよがりな文章になってしまう。
そこで重要なのが、反駁なのだ。
まず反駁と何かわからない人も多いだろう。
自分の主張とはあえて真逆の主張をする人の立場になって考えること、それが反駁だ。
死刑制度で自分の主張が「賛成」ならば、あえて「反対」の人の主張も取り上げるのである。
彼らはなぜ反対するのか、それを理解せずにただ賛成の旗を振っていても、説得力に欠けてしまう。
ただ、反駁をすれば自分の立場の主張が弱くなってしまわないか?と心配する人もいるだろう。
しかし、そこでさらに再反駁をすることで、向こう側の主張よりも自らの主張が優れていることを証明できるのだ。
たしかに、反駁・再反駁はなかなか高度な技であるため、経験を積まなければ納得のいくものは書けないかもしれない。
だが、数をこなせば必ずコツはつかめるため、毎回の練習で必ずこの段落を組み込むようにしよう。
結論
最後は必ず、自分の主張をいまいちど提示し、締めくくることが大切だ。
まとめで長々と何かを述べる必要はないが、文章をうまく収めるという意味で、この段落は重要な役割を果たす。
「以上より、私は死刑制度に賛成する。」
この1文があるだけで、文章が引き締まり、読みやすくなる。
このように段落にわけ、各段落で書く内容をあらかじめ決めておけば、本番になっても慌てることなく、内容に集中することができるのだ。
まとめ
以上が小論文において抑えておきたい書き方である。
この型にそって書けば、誰でも素早く分かりやすい文章を習得できる。
小論文に苦手意識がある人も、まず過去の問題をチェックして、この書き方になぞって書いてみよう。
きっとそれほど難なく書くことができるはずだ。
小論に自信をつけて、他の受験生に一歩も二歩もリードし、合格を勝ち取ろう。