君たちはAO入試に対してどんな印象を持っているだろうか?
一発芸入試、勉強しなくても合格できる入試などと誤解している人は意外と多い。
だから実績のある自分は何もしなくても受かるだろう、とたかをくくっている人もいるのだ。
しかしそれは大きな間違えだ。
特に難関大学の推薦・AO入試において、芸があるだけで合格する人間はゼロだ。
なぜだろうか?
大会で賞を獲得している、ボランティア活動で実績を残している‥。
そんな人はAO入試を受験する高校生の中に嫌というほどいるからだ。
もちろんこれらの成果がプラスになるのは間違いない。
しかし、かと言ってこれだけに頼って合格にありつこうとするのは、あまりにも無謀である。
逆に、取り立てて大きな実績があるわけではないにも関わらず、AO入試において合格を勝ち取ってる人間を、筆者は数多く知っている。
つまり、AO入試において大切なのは、その人がもともと持っている条件よりも、受験に向けて何をするかなのである。
今回の記事では、AO入試を受験する君のために、合格への近道となる対策3つを紹介する。
この記事を読み、行動に移せば、君は他の受験生に差をつけて、いち早く大学への切符を得ることができるだろう。
AO入試とは?
そもそも今話題のAO入試とは、どんな入試方法か知っているだろうか。
AOとはアドミッション・オフィスの略で、日本では大学における学生の個性を多様化させる目的で始められた入試である。
すなわち、一般受験のように受験生の点数だけで評価するのでなく、その人間性を見た上で入学を許可するのか否かを判断する。
しかし、一体どのような方法で受験生の人間性を評価するのだろうか。
多くの名門大学のAO入試で課される課題は、大きく分けて次の3つと言える。
- 書類
- 小論やディスカッションなど思考力を問うもの
- 面接試験
よって、この3つの対策をしっかり行っておけば、まずAO受験で失敗することはないのだ。
私立の一般受験においても、大体の大学では3科目が課されるだろう。
しかし、いつまでたっても終わりの見えない歴史や、上には上がいる英語と違い、AOの対策は比較的楽しく、効率良く行うことが可能だと言える。
では具体的にどういった対策をすればよいのか?何に気をつければよいのか?以下に紹介していこう。
また、AO入試の詳しい特徴は以下の記事に乗っているので、合わせて参照しておいてほしい。
書類
書類は一次試験において課されることが多いが、はっきり言ってこの書類選考がAO入試の要であるといっても過言ではない。
実際に面接をして大学側の職員と対話したり、喋っているところを見てもらうことができれば、自分の魅力を最大限伝えることは可能だ。
しかし、書類ではそれが不可能だ。
薄い紙切れの上で、自分の魅力をこれでもかと表現しなければならない。
そしてその壁を突破した受験生のみにしか、実際に顔を見てもらう権利すら与えられないのだ。
つまり、いくら自分磨きをしたところで、書類上でそれが伝わらなければ不合格が待っている。
ここではいかにして自分を魅力的に魅せる書類を完成させるかを伝授する。
自己アピール
書類選考で必ず必要とされるのが、自己推薦書といった類の自分で自分をアピールする書類だ。
よって自分を大学にとって価値ある人間に魅せることができる受験生は、ここで大きくリードできることになる。
このタイプの書類を書くときに最も意識してほしいポイントは、「自分はその活動や経験を通して何を学び、どう成長したのか」ということだ。
自分の実績を並べ立てたところで、「だから何?」という内容では大学側は君に魅力をかんじることはない。
君が様々な活動を積極的に行い、その行動を通じて他の受験生より多くのことを吸収するということが重要なのだ。
よって、他人に比べてそれほど大した輝かしい実績がないとしても、その経験が自分のこれまでの人生にとってどれほど大きなものだったのかを語ることができれば、パッと見の実績の華々しさなど関係なくなるのだ。
そして忘れずにしてほしい仕上げがある。
「これらの活動を通して成長した自分の強み」を3つほどに絞ってアピールすることだ。
これをすることで、読む側に君の長所が何であるかが圧倒的に伝わりやすくなるのだ。
志望理由書
もう一つ、とても大切な書類として、なぜその大学に入りたいのか?を書く、志望理由書などと呼ばれる書類が存在する。
ここでは、自分の目標は志望する大学でしか達成できないのだ、という熱い思いを大学側に伝えなくてはならない。
よってこの書類を書くときには次の3ステップを踏んでほしい。
- 自分がその大学・学部で何を学びたいのか考える
- 卒業後、その学びを社会でどう生かしたいか(将来の志)を考える
- 自分が社会で上記の志を達成することの意義と課題を考える
この3ステップを踏めば、必ずや大学が求める書類を書くことができる。
ただし一つ気をつけてほしいのは、決して短絡的な思考をしないこと。
浅くしか考えていない志望理由は、絶対に大学側に見破られる。
論理的に穴はないか、じっくり考えてから形にしよう。
以上のように、書類はただ闇雲に書くのではなく、「何が求められているか」をきちんと筋道を立てて考えてから作成することが大切だ。
この記事に書いてあることを実践し、大学側がぜひこの受験生に会いたい!と思うような書類を作ろう。
思考力を問う試験
二次試験に進むと、ほとんどのAO入試では小論かディスカッション、もしくはその両方が試験として用意されている。
君たちも、AOにおいて一番不安を感じているのはおそらくこのポイントではないだろうか。
しかしこの試験ほど、事前の対策次第で合格に近づけることができるものはない、と断言できる。
ここでは小論やディスカッションで高得点を獲得するために必ずやっておかなければならない対策を紹介する。
社会系科目の教科書、授業を重宝せよ
学校の授業なんて‥とばかにしている受験生は、正直多いであろうと思う。
しかし、AOの二次試験において問われる問題において重要なのは、高校生が当たり前に知っておくべき社会に関する知識を知っているかどうか、なのだ。
この基礎がなければ、いくら小手先の難しい知識を詰め込んだところで土台がない不安定なものになってしまう。
AO入試の小論やディスカッションのテーマは、ほとんどが社会の仕組みや人間そのものの抱える問題に関することが多い。
よって社会科目である歴史や現社、政経、倫理は非常に参考になるのだ。
例えば国会の仕組み、現代日本社会が抱える問題など、教科書を開けば当たり前にのっていることを知識としてきちんと自分の中に取り込むことを強く勧める。
そうすれば、意見を主張するときに根拠として提示することができ、説得力が出る。
まずは焦らず、基礎固めをしっかりした上で、本や新聞を読むなどしてほしい。
自分の意見を相手にわかりやすく伝える練習をせよ
高校生の多くが苦手とするのが、はっきりした自分の意見を持ち、なおかつそれを他人に論理的に、明快に伝えることだ。
じっくり話を聞き、何が言いたいのかこちらがある程度理解した上でまとめてあげると、意外と考えていること自体はまともな高校生というのは少なくない。
しかし、それを伝えるのが皆恐ろしく下手なのだ。
この原因は、限られた時間や文字数のなかで自分の主張を伝えようとする訓練が足りていないことである。
そこで受験生が毎日行ってほしいトレーニングがある。
ある議題についての小論を400字で書き、誰かに読んでもらうことだ。
これは毎日書くことに意味がある。
間を空けずに繰り返し書いていくことで、次第に自分の文章のどこが伝わりにくいのかがわかってくるからだ。
この対策は、ディスカッションで自分が意見を述べるときにも非常にプラスに働く。
頭の中にある考えをまとめ、他人と共有する練習をぜひ習慣にしてほしい。
このように、二次試験における思考力を問うテストは、頑張り次第で確実に力がつく分野となっている。
コツコツと知識を身につけ、それをもとに自分の意見を持ち、発表する場をもつことで確実にステップアップしていこう。
面接
最後に、面接についてだ。
面接は受験生の人間像を決定づける大切な試験だ。
面接において大切なのは、主に話す内容と態度・印象に分けられる。
ここではその2点について解説し、面接官に「大学に来てほしい!」とおもわせるためにすべき対策を伝授する。
話す内容
面接官の質問に対してどう切り返すかで、その受験生の頭の良さと意欲が図られる。
よって受験生は、急な質問にも適切な対応をすることが求められてくるのだ。
注意してほしいポイントとしては、次の2点がある。
- 道筋立てて話すこと
- 入学したいという熱い思いを伝えること
まず一つ目だが、文章のように目で確認できるものと違い、話し言葉は話者本人も自分がどこまで何を話したか、わからなくなるという事態がおこりがちである。
そうなれば、もちろん聞いている方はもっとわからず、話が食い違っていくことになる。
そこで意識してほしいのは、わかりやすく話をするためにナンバリングを取り入れることだ。
「まず一つ目に‥。二つ目に‥。」
と順序立てて話をすることで、話す方も内容がまとめやすく、聞く方も何の話をしているかがわかりやすい。
2.の入学したいとい熱い思いを伝えることについてだが、面接ではわざと受験生を混乱させたり焦らせようとする意地の悪い質問が飛ぶこともある。
いわゆる圧迫といったものだが、このとき
論理的にまともな返しをしなければ!
と躍起になると、無言で固まってしまったり、意味のわからない発言をする危険がある。
よって、こういった意地の悪い質問には、受験生の「この大学に入りたい、この目標を達成させたい」という熱意で対抗することが必要だ。
そのために重要なのは、志望理由書を書いている段階から、自分がその大学を志望する理由に核となる部分を見つけ、そこは必ずぶらさないようにしておく、ということだ。
その核部分が君の熱意となり、その熱意はどんな頭の良い教授でも否定することはできないのだ。
態度・印象
面接ではもちろん話す内容も大切だが、例えば面接官が疲れていたりすれば、話しているときの態度や印象に注目がいきがちだ。
よって面接対策をするときに押さえておいてほしいポイントは、
- 視線を定め、効果的に面接官を見ること
- ジェスチャーは使いすぎない
の2点だ。
このように話す内容の改善と共に印象も磨いて、面接力を格段にアップさせよう。
また、詳しい面接についての解説は以下の記事にも載っているので合わせて読んでほしい。
まとめ
以上がAO入試で絶対に準備しておくべきこと3選である。
一般より簡単だろう、と軽く見ず、早い段階から対策をして臨むことが必要であることはお分かり頂けただろうか。
逆に実績のない人も、AO入試を敬遠することなく、この記事に書いてあることを実践して積極的にチャレンジしてほしい。
そしてどんな人も、この記事で書かれている合格への近道となる対策を行い、AO 入試での合格を勝ち取ることで、冬までには受験終わらせよう。
(celly 東京大学理科二類在学)