この記事に目が止まった、高校1、2年生の人たちは、自分の志望校をどこまできめているだろうか?
具体的に自分の学びたい学部学科をしっかり決めている人もいれば、まだ、大学のみで学部学科までは決めていないという人も多い。
なんとなく、名大にいけたらいいなと思っている人もいるだろう。
しかし、目標が具体的であればあるほど、日々の勉強もはかどるものだ。
また、いい加減な気持ちで学部や学科を決めてしまうとたとえ合格したとしても、入学してから後悔することになる。
この記事では名大の理系学部の紹介に引き続き、文系学部について紹介したいと思う。
文系を志望することは決まっているが、どの学部にしようかイメージがわかない名大志望者はこの記事を是非とも参考にしてほしい。
また、理系の学部については、以下の記事にまとめられているので、合わせて見ておいてほしい。
名大ってどんな大学?
名古屋大学は愛知県の名古屋市にある国立大学である。
少し歴史に触れると日本がまだ大日本帝国であった戦前からあった大学が現在の東大、京大、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大の7つの大学で、これらの大学がいまでは旧帝大と呼ばれ、難関大学として毎年多くの志望者が受験している。
名大は旧帝大のなかでも最後に創られた大学である。
キャンパスは、医学部医学科が設置されている鶴舞キャンパス、医学部保健学科が設置されている大幸キャンパス、それ以外の学部が設置されている東山キャンパスの3つのキャンパスを持っている。
学部の枠を超えた全学部の共通科目を設け、高度な専門性を身につけるだけでなく、総合的かつ自主的な判断力をもつ豊かな人間性を有する人材の育成を目指している大学である。
また近くには南山大学や名城大学、椙山女学園大学があり、サークル活動などを通した交流も多いのが特徴である。
どんな学部があるの?
名大の文系学部には文学部、教育学部、法学部、経済学部、情報学部(一部)の5つの学部で構成されている。
ひとつひとつ、学部・学科について細かく説明したいが、分量が膨大になってしまうので簡単に紹介していく。
これを読んで少しでも興味をもった学部や学科があればご自分で詳しく調べてもらえればと思う。
では、見てみよう。
文学部
文学部は「人間が生み出した文化」や「人間そのものとしての在り方」についての教育や研究を行っている学部である。
名大の場合、文芸言語学コース、哲学倫理学コース、歴史学・人類学コース、環境行動学コースの4つのコースのもと、さらに21分野・専門で構成されている。
また、「来るべき時代と歴史に対する深い洞察力を持ち、言葉による論理的表現と研究推進を行う創造的能力によって、人文学の伝統を継承し発展させる意欲的人材の育成」を理念としている。
ほかの大学において文学部ではなく、人文学部が設置されていることがあるが、学ぶ内容は文学部と同じである。
名大の場合、1年生のときに人文学入門を履修して人文学とはどういう学問か、また先ほどの4つのコースがどのような特色をもっているのかなどについて理解できるようになっている。
また2年生になると、各分野・専門に所属してコース、分野・専門の課程によって定められたカリキュラムのなかで自由に授業を組み合わせて学んでいく。
文芸言語学コース
文芸言語学コースには、言語学、日本語学、日本文学、英語学、英米文学、ドイツ語ドイツ文学、フランス語フランス文学、中国語中国文学の8つの専門があり、各国の語学や文学について学ぶことができるコースである。
哲学倫理学コース
哲学倫理学コースには、哲学、西洋古典学、中国哲学、インド哲学の4つの分野・専門がある。
西洋の哲学者たちが著した原典をもとに彼らが精魂を傾けて切り開いた思想の道を現代の課題と照らし合わせて問題解決を提起することや、中国やインドのアジア圏の古来の思想について理解をしていくコースである。
歴史学・人類学コース
歴史学・人類学コースには、日本史学、東洋史学、西洋史学、美学美術史学、考古学・文化人類学の4つの分野・専門があり、日本、東洋、西洋のそれぞれの学術史や、美術史などについて学ぶことができるコースである。
東洋史はいままでは中国史が研究対象として中心であったが、近年では東南アジアなどにも重きが置かれている。
西洋史については古典考古学や古代ギリシャ・中世ヨーロッパ、植民地であった時代のアメリカ合衆国の歴史など、時代・地域ともに多様な時代が研究対象として学ぶことができる分野である。
また古代史・中世史・近世史・近現代史に分かれて学ぶことができる分野もある。
環境行動学コース
環境行動学コースには社会学、心理学、地理学の3つの分野・専門がある。
家族・教育・産業・福祉・政治など多岐にわたる分野における人々のあいだの「関係」に着目して社会現象や社会問題を解明しようとする学問である社会学、
人間の意識や行動を決定する条件やその仕組みを科学的に分析する学問である心理学、
身近な地域からグローバルな問題まで、空間・地域・場所といった考え方を通じて体系的に捉える学問である地理学を学ぶことができるコースである。
教育学部
教育学部は人間の発達・学習・社会化などの「人間形成」にかかわる様々な問題をあらゆる観点から、理論的・実践的に学ぶことを目的とした学部である。
小学校から大学にいたる教育の諸問題から、家庭におけるこどもの養育・しつけ、人間関係、国際化と教育・文化の諸問題など人間社会の全般にわたっている課題を個人的視野から国際的な視野までいろいろな角度から取り組み、実践していくことを目標としており、教育学系と心理学系の2つの系に分かれている。
そのなかでもさらに、教育学系は生涯教育開発コース、学校教育情報コース、国際社会文化コースの3つに、心理学系は心理社会行動コース、発達教育臨床コースの2つのコースに分けられている。
生涯教育開発コース
生涯教育開発コースでは、教育社会史、教育行政史、社会教育学、技術教育学、職業・キャリア教育学などの人間形成と発達の過程を規定するさまざまな文化的・社会的要因について歴史・制度・地域社会・労働・技術などの観点から考えていくコースである。
学校教育情報コース
学校教育情報コースでは、教育情報学、教育経営学、教育方法学、カリキュラム学など、現代の情報化社会における学校教育の過程や構造について、また実際の学校生活や学校文化について参与観察やフィールドスタディを行いながら人が成長し、その過程で意味を求めていく姿について考えていくコースである。
国際社会文化コース
国際社会文化コースでは、人間形成学、教育社会学、比較教育学、教育人類学などを学び、異文化や異文化のひとと交流して相互理解を深め、グローバルなレベルでの人間や教育の問題を解決していくことを目的としたコースである。
心理社会行動コース
心理社会行動コースでは、心理計量学、学習行動学、パーソナリティ発達学、社会行動学、応用行動学などを学び、人間の認知や機能や人格特性について・社会的・文化的文脈のなかで科学的もしくは数量的に解明していくことを目的としたコースである。
発達教育臨床
発達教育臨床コースでは、生涯発見心理学、発達援助臨床学、家族発達臨床学、学校臨床心理学、医療臨床心理学などを学び、人間の成長と発達について一方では、誕生から老人にいたるまでの過程から、他方では家族・学校・地域・職場といった生活空間の広がりのなかから探求していくコースである。
法学部
法学部は単に専門的法律家を養成する教育だけでなく、広く一般教育機関として将来多様な職業に就く学生に対して法学・政治学についての幅広い教育を行うことを目的とした学部である。
履修科目の特徴としては、専門科目の必修が一切なく、4年一貫のカリキュラムに基づいた体系的な学修プログラムのなかで、充実した幅広い科目のなかから自主的に授業を選択できることがあげられる。
ほかの学部と異なり、専門科目の履修が一切ないためコース配属などもないのも特徴である。
経済学部
経済学部は家計や企業の行動とその市場への影響を分析するミクロ経済学、個々の家計や企業の行動を集計し、地域や国とより大きな単位でその変化を分析するマクロ経済学、経済の歴史的発展の過程などを分析する経済史学など、さまざまな分野において経済のメカニズムを解明するための学部である。
また経済学部には経済学科と経営学科の2つの学科が設置されており、2年生になるときにそれぞれの学科に配属される。
経済学科
経済学科は個々の経済活動の論理や一国あるいは国際レベルで展開する経済動態を分析する各種の経済理論、それを応用した経済政策研究、またその動態の基盤やひとびとの経済活動の背景を分析する経済史、社会思想史などを学ぶ学科である。
履修する科目としてはミクロ経済学、マクロ経済学に加えて、財政、金融、農業政策、現代資本主義などが挙げられる。
経営学科
経営学科は企業活動を対象に戦略組織、マーケティングなどを考究する経営学の諸分野、企業活動の良否を測定、伝達したり、それを経営管理に役立てたりする会計学の諸分野などから構成される学科である。
履修する科目としては、ミクロ経済学、マクロ経済学に加えて、経営戦略、経営組織、ファイナンスや財務会計などが挙げられる。
情報学部
最後に情報学部について紹介する。
情報学部は2017年に情報文化学部が改組されて誕生した新しい学部であり、文理融合型の学部である。
情報学部は20世後半に始まる情報革命がもたらした情報科学技術に関する基礎知識や能力と、自然や社会をシステムとして理解する能力を涵養することにより、人類の直面する課題を解決し、新しい価値を生み出すことを目標とした学部である。
また、情報学部には文系、理系両方の学科が設置されており、自然情報学科、人間社会・情報学科、コンピュータ科学科の3つの学科のうち、自然情報学科と人間社会・情報学科が文系の学部である。
自然情報学科
自然情報学科では、数理情報系、複雑システム系のふたつの教育系で構成されており、3年生からどちらかに分かれる。
数理情報系では、主に数理科学、数理論理学、最適化理論、量子情報学などについて学び、論理的思考力、情報学の基礎的な知識、情報リテラシー、プログラミング、データ分析などの情報科学技術の基礎とそれらを自然科学の分野に応用するための能力を育成する系である。
また、複雑システム系では、主に計算科学、複雑系科学、物質情報学、生命情報学、データ・サイエンスやシステム科学などについて学び、情報学の基礎的な知識やプログラミング、情報リテラシー、データ分析などの情報科学技術の基礎とそれらを自然科学の分野に応用するための能力を育成する系である。
人間・社会情報学科
人間・社会情報学科では、社会情報系、心理・認知科学系のふたつの教育系で構成されており、3年生からいずれかに分かれる。
社会情報系では、情報学と情報創造についての基礎的な知識、情報リテラシーと情報倫理、プログラミング、社会調査技術の基礎、メディアコミュニケーションの基礎およびそれらを人文学分野や社会デザインで応用する能力を育成する系である。
また、心理・認知科学系では、心理・認知科学の基盤である、「個・社会/文化・進化・脳計算モデル」など多様な階層や観点から人間の特性をとらえる概念枠組みおよび、実験・調査、データ解析やシミュレーションなどによって人間の認知や心理を定量的に理解・解明・予測する能力を育成する系である。
以上が名大の文系の学部紹介であった。
卒業後はどんな進路があるの?
では、名大の文系学部を卒業したひとたちはどのような進路に進むのかを紹介する。
文学部
民間企業等
江崎グリコ、大垣共立銀行、中日新聞社、中部電力、東海旅客鉄道、名古屋鉄道、パナソニックなどの中部地方で強い銀行やインフラ、、メーカーに就職する学生が多いことが分かる。
公務員等
愛知県教員、愛知県職員、環境省、名古屋市職員や防衛省など名古屋市や愛知県の地方自治体に加えて官公庁に就職する学生もいることが分かる。
教育学部
民間企業等
アイシン精機、アシックス、キリン、スズキ、損保ジャパン日本興亜、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、楽天など、中部地方で強いメーカーや金融、保険会社に就職する学生が多いことが分かる。
公務員等
愛知県教員、愛知県職員、静岡県職員、津島市教員、名古屋市職員など東海地方の自治体に就職する学生が多いことが分かる。
法学部
民間企業等
IHI、NTTドコモ、鹿島建設、サントリーホールディングス、デンソー、東海旅客鉄道、中日本高速道路、西日本電信電話、三井物産、みずほフィナンシャルグループなどインフラや通信、商社などに就職する学生が多いことがわかる。
公務員等
愛知県職員、岐阜県職員、東海財務局、東京都職員、名古屋市職員などの都道府県職員に進む学生が多いことが分かる。
経済学部
民間企業等
損保ジャパン日本興亜、デンソー、トヨタ自動車、パナソニック、みずほフィナンシャルグループ、三井住友信託銀行、三菱電機、三菱東京UFJ銀行などのトヨタ系列の企業や金融、保険会社に就職する学生が多いことが分かる。
公務員等
愛知県職員、岐阜県警察、名古屋国税局、名古屋市職員、名古屋入国管理局など、東海地方の公務員に進む学生が多いことが分かる。
情報学部
情報学部は2017年に情報文化学部が改組された学部であり、まだ卒業生がいないため、情報文化学部の卒業生の就職先を紹介する。
民間企業等
東邦ガス、日産自動車、日本生命保険、日本放送協会、野村総合研究所、日立製作所、富士フィルム、三菱商事、明治安田生命保険、ワークスアプリケーションズなどさまざまな分野の有名な企業に就職していることが分かる。
公務員等
愛知県教員、愛知県警察、稲沢市職員、中部地方整備局、三重県職員など東海地方の公務員に進む学生が多いことが分かる。
以上のように様々な分野の企業や国・自治体に就職しているが、傾向としては中部圏や東海地方で有名な企業や中部地区の公務員に進む志向が強いということが分かる。
名大は愛知・岐阜・三重・静岡県出身の学生が全体の7割程度を占めており、地元志向が強いのが要因としてあげられるかもしれない。
まとめ
以上、名大の文系学部の概要や、卒業後の進路先などについて紹介してきた。
この記事を読んで、名大の文系学部で何をしているか、イメージが湧いただろうか?
名大に興味があるひともないひとも自分が「どんなことを学びたいか」、「将来どんな職業に就きたいか」などを一度考え直す機会となれば幸いである。