秋に入って肌寒い日も多くなってきたが、勉強は計画通り進んでいるであろうか?
計画通り進んでいないひとはいま一度見直して、軌道修正をおこなおう。
また、みなさんは志望校は決まっているだろうか?
受験生は決まっているひとが多いかもしれないが、高校1,2年生のひとたちは決まっていないひとも多いだろう。
そこで今回は、名古屋大学(以後名大と呼ぶ)について、学部やそこで何を学ぶことができるかを中心に紹介していきたいと思う。
名大を志望していないひとでも学部や学科で学べることや将来どんな職業や進路先に進めるかなどが理解できると思うのでぜひ読んで自分の将来について考えてもらえたら幸いである。
また今回の記事では理系学部について説明する。
文系学部はこちらの記事で紹介しているので合わせて読んでもらいたい。
名大ってどんな大学?
名古屋大学は愛知県の名古屋市にある国立大学である。
少し歴史に触れると日本がまだ大日本帝国であった戦前からあった大学が現在の東大、京大、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大の7つの大学で、これらの大学がいまでは旧帝大と呼ばれ、難関大学として毎年多くの志望者が受験している。
名大は旧帝大のなかでも最後に創られた大学である。
キャンパスは、医学部医学科が設置されている鶴舞キャンパス、医学部保健学科が設置されている大幸キャンパス、それ以外の学部が設置されている東山キャンパスの3つのキャンパスを持っている。
学部の枠を超えた全学部の共通科目を設け、高度な専門性を身につけるだけでなく、総合的かつ自主的な判断力をもつ豊かな人間性を有する人材の育成を目指している大学である。
また近くには南山大学や名城大学、椙山女学園大学があり、サークル活動などを通した交流も多いのが特徴である。
どんな学部があるの?
名大の理系学部は医学部、理学部、農学部、工学部、情報学部(一部)がある。
ひとつひとつ、学部・学科について細かく説明したいが、分量が膨大になってしまうので簡単に紹介していく。
これを読んで少しでも興味をもった学部や学科があればご自分で詳しく調べてもらえればと思う。
では、見てみよう。
医学部
医学部は医学、医療に関する学問を専攻する学部であり、医学科、保健学科と2つの学科に分かれている。
医学科
医学科はおもに医者や医学研究者を目指すひとたちが通う学科で、基礎的・一般的教養の修得と専門科目の学習が合理的・効果的に行なうことができるようにほかの学部や学科と異なり6年制である。
1,2年生のときは全学教養科目を履修するためにほかの学部が設置されている東山キャンパスに通うことが多く、2年生になると教養科目と並行して鶴舞キャンパスにおいて医学専門科目の講義が本格的に始まる。
3,4年になると基礎医学、社会医学、臨床医学の講義を受けて5年生になると実際の患者と接して臨床医学を学ぶ実習が始まる、というの医学科の大きな流れである。
また2018年医師国家試験の合格率は97.3%と非常に高い合格率を誇っているのも名大・医学部医学科の強みでもある。
おそらくみなさんが想像している通り、将来医者になりたいひとが多く通う学科である。
保健学科
保健学科はさらに看護学専攻、放射線技術科学専攻、検査技術科学専攻、理学療法学専攻、作業療法学専攻の5つの専攻に分かれており、大学を受験する段階でどの専攻にするのかを決定する必要がある。
看護学専攻では、人間・環境・健康・看護について学び、看護を学問的な観点からみて追及していく専攻であり、看護士になりたい学生はこの専攻を選択する。
放射線技術科学専攻では、急速に進歩する画像診断・放射線治療の現状に対応できる診療放射線技師の養成を行なうとともに、この分野の研究者を育成していくことを目指した専攻である。
検査技術科学専攻では、豊かな人間性や感性を備えた臨床検査技師の養成とこの分野での教育者や研究者を育成することを目指した専攻である。
理学療法学専攻では、理学療法の科学性について追究し、リハビリ医療の最前線に立つ理学療法士や教育者・研究者の育成を目指した専攻である。
作業療法学専攻では、作業療法を科学的に分析しながら障がいをもつ人々を支援するための方法を探究していく専攻である。
以上が保健学科の5つの専攻の学ぶ内容である。
保健学科は1年生のときは、教養科目を履修するために東山キャンパスに通うことがおおが、2年生になると大幸キャンパスにて学ぶことが中心になってくる。
また医学部全体の男女比率は看護学専攻や理学療法学専攻の影響を受けてか、男41%、女59%(2018年度入学生)と女性のほうが割合が少し多くなっている。
理学部
次は理学部について説明する。
理学部は現代自然科学のあらゆる分野を網羅し、自然界の根本的な法則の解明を目指している学部である。
言葉が難しいが、物理や化学、天文学といった科学の基礎研究を行うための学部であるといえる。
具体的に、数理学科、物理学科、化学科、生命理学科、地球惑星科学科の4つの学科に分かれて学ぶ。
1年生のときはどの学科にも属さず、教養科目を中心に履修し、2年生から各学科に配属されて勉強する。
数理学科
数理学科は高校までの数学を土台として数理科学的な能力と、体系的・論理的思考力を養うことを目指した教育が行われている。
集合と写像、代数学要論や幾何学要論など、より数学の核心をつくような勉強を行うことができる。
物理学科
物理学科は自然界で起きている単純で普遍的な真理の追究や、素粒子・宇宙や物質、生物などすべての世界の理解を目指している学科である。
理論と実験の両面を深く理解できるように配慮されたカリキュラムに沿って学ぶことができ、主要な科目として、解析力学、電磁気学、量子力学、統計物理学、数理物理学などが挙げられる。
物理について深く追究したい、と思っているひとは一度どんなことが学べるか詳しく調べてみよう。
化学科
化学科は、あらゆる物質を実験的かつ理論的に調べ、新しい物質の創造を目指した学科である。
分析化学、無機・有機化学、量子化学や生物的、または物理的な化学まで、幅広い領域の化学を学ぶとともに研究成果を分かりやすく解説して社会に還元する力を養うことも目標とした学科である。
物理学科同様に、化学について深く追求したい、というひとは一度調べてみると良いだろう。
生命理学科
生命理学科は、複雑な生命現象をDNAやたんぱく質などのはたらきから理解することを目指した学科である。
動物や植物、微生物などさまざまな生物について細胞レベルのミクロな現象から個体形成や環境適応などの高次な生命現象まで普遍的な原理を幅広く学びながら生命科学に必要な技術や論理的思考力を養うためのカリキュラムが用意されている。
地球惑星科学科
地球惑星科学科は、地球や惑星の過去・現在・未来の状態を解明することを目指した学科である。
地球や惑星に関する講義のみならず、それらを学んでいくうえで必要な物理学的、化学的、生物学的、数学的な方法について講義や実験を通して学んでいく。
地球惑星化学や物理学のほかに気象学や地質調査なども学んでいく。
以上が理学部の学科であるが、2018年度の新入生は男79%、女21%と男性の割合が大きい学部であるのが特徴である。
農学部
農学部は広くいえば農業に関する学問を勉強するための学部である。
農業といっても第一次産業を意味する農業だけでなく、より幅広い分野のことを指しており、生態系の仕組みの理解やバイオマスなどの生物資源、また動植物、微生物の多様性や生き方などの大きな規模だけでなく、分子レベルといった小さな規模のさまざまな観点から生命現象や食について学んでいくことができる学部である。
具体的に生物環境科学科、資源生物化学科、応用生命科学科の3つの学科に分かれている。
生物環境科学科
生物環境科学科は、自然生態系の仕組みの理解や環境と調和した生物資源の持続的な利用のための研究を行っている学科である。
生態学や木質環境学、バイオマス科学などを学んでいくうえで生物と環境の両方を見つめ、社会に活かすことのできる人材の育成を目指している。
資源生物化学科
資源生物化学科は、地球上の動植物や微生物の生存戦略や多様性を理解することを目標とし、植物生理学、細胞工学、動物繁殖学、農業・資源経済学を学んでいくうえで、安全な食糧確保について理解を深め、世界の食を支えることのできる人材の育成を目指した学科である。
応用生命科学科
応用生命科学科は、バイオの力を利用して人類の食と健康に貢献するための研究を行い、生命現象を分子レベルで科学することができる人材を育成することを目標としている学科である。
履修する主な科目としては、分子細胞生物学、有機化学、微生物学、食品機能化学などが挙げられる。
以上が農学部に属する学科である。
また男女の比に関して生物選択者でも受験できるからか、なぜかはわからないが2018年度の新入生は男51%、女49%と理系学部にしては珍しく男女比がほぼ1 : 1の比率であった。
工学部
工学部は基礎科学を工業生産に応用するための学問を学ぶ学部であり、工学を拓くための学力および資質・能力を備え、科学に対する強い興味を基に社会に貢献できる人材の育成を目標としている。
工学部は、化学生命工学科、機械・航空宇宙工学科、電気電子情報工学科、物理工学科、マテリアル工学科、環境土木・建築学科の6つの学科が設置されている。
化学生命工学科
化学生命工学科は、物質の構造や性質、反応について新規物質の開発だけでなく生命現象の分子レベルでの解明から生物の工学的応用に至るまで、化学と生物に関しての幅広い学問を工学的に学ぶことのできる学科である。
工学部の学科では一般的に物理学や化学が学問の中心になることが多いが、この学科は唯一、生物学を使う学科であるので「物理も得意だけど生物も勉強したい!」というひとにはぴったりかもしれない。
機械・航空宇宙工学科
機械・航空宇宙工学科は、数学や力学の基礎的な力を養い、さらには機械工学や航空宇宙工学、マイクロ・ナノ工学に関する専門的な知識と能力を身につけることができる学科である。
具体的には自動車や航空機・ロケットなどの産業に将来進みたいと考えているひとはこの学科を志望することが多い。
工学部といえば機械関係をイメージするひとも多いと思うが、そのイメージ通りの学科である。
電気電子情報工学科
電気電子情報工学科は、エネルギーや先端エレクトロニクス、情報通信技術など、ICT社会を構築して持続可能かつ効率的な未来型社会を実現するための基盤となる学問を勉強することができる学科である。
難しい言葉が多いが、情報通信や電気に関する学問を勉強することができる学科で、プログラミングやIT関連の産業に興味があるひとはここをより詳しく調べてみると良いと思う。
物理工学科
物理工学科では、物理学や物理科学を基礎として新しい機能をもつ物質の性質や現象、また新しい電子デバイスを対象とした広範囲な工学的分野を学ぶことができる学科。
名前から何を勉強できるのか想像しにくいが、とっても簡単に言えば「物理の基礎と先端技術が身につく」学科である。
理学部に物理学科があると先ほど紹介したが、こちらは理学部の物理学科と比べてより産業的な要素を多く含んでいると考えてもらえばよい。
マテリアル工学科
マテリアル工学科は2016年に新たに創設された学科で、「マテリアル(材料)」というテーマのもとで「何をつくるか(デザイン)」、「どのようにつくるか(プロセス)」、「いかにして社会に送りだすか(システム)」を考える学科である。
材料工学と化学工学を融合させることで物質の開発から社会での実際に使用するにいたるまでをダイナミックな「ものづくり」として革新していくことを目的としている。
新しい材料やそれらがどのように社会に役立てられるか、などの材料と社会のシステムに興味があるひとは詳しく調べてみるとよいかもしれない。
環境土木・建築学科
工学部で唯一、名前からなにを勉強できるかイメージしやすい学科であると思う。
環境土木・建築学科では、ひとが生活するうえで必要な道路、橋、堤防などのインフラや社会資本、ひとが住むための住宅や建築物など、良好な社会を創造するための工学が学べる学科である。
2年生から環境土木工学コースと建築学コースに分かれるが、建築学コースではデザインの講義や演習があるのが工学部のほかの学科と異なる点である。
より簡単に言うと鉄道や橋などのインフラ整備や建物の設計や構造などを考え、ひとがより住みやすい街や建物をつくっていくことを目的とした学科である。
情報学部
最後に情報学部について紹介する。
情報学部は20世後半に始まる情報革命がもたらした情報科学技術に関する基礎知識や能力と、自然や社会をシステムとして理解する能力を涵養することにより、人類の直面する課題を解決し、新しい価値を生み出すことを目標とした学部である。
また、情報学部には文系、理系両方の学科が設置されており、自然情報学科、人間社会・情報学科、コンピュータ科学科の3つの学科のうち、コンピュータ科学科が理系の学科である。
コンピュータ科学科
コンピュータ科学科では、コンピュータやネットワーク、人工知能などの情報科学技術を学び、さらには社会や自然についての理解も深めることにより新しい社会基盤や情報サービスの提供などを創出することを目標とした学科である。
理学部と工学部って何が違うの?
高校生のひとの中には、理学部か工学部かで迷っているひと、さらには理学部と工学部の違いがイマイチ分からない、というひとがいるかもしれない。
そこで理学部と工学部の違いについてあくまでも個人的な意見になってしまうが説明しようと思う。
理学と工学は、学問の最終的な目標が異なっているのである。
理学は物理や化学、天文学といった自然科学の心理を追究することに学問を見出しているのに対し、工学はひとの生活を豊かにする、役に立てることに学問を見出している。
そのため、理学部と工学部で同じような名前の学科があるが、学んでいる内容が違うのはそのためである。
どっちが難しい、どっちが正解というものでは当然ないので、自分のやりたいこと、学びたいことがどちらの学部に近いのかを考えると答えが出せるかもしれない。
受験に必要な科目は?
ここまで各学部・学科についての特徴や学べる内容について紹介してきたので、この章では受験に必要な科目について説明する。
センター試験
センター試験ではどの学部も国数英に理科2科目と社会1科目を加えた5教科7科目が必要である。
しかし、農学部、理学部、情報学部コンピュータ科学科は理科は物理、生物、化学、地学の4科目から2つ選択できるのに対して、医学部と工学部は物理、生物、化学の3科目から2つを選択しなければならないため、注意が必要である。
また、社会に関してはどの学部も世界史B、日本史B、地理B、倫理・政経から1つ選択すればよい。
2次試験
2次試験は学部によって必要な科目が大きく変わってくるため注意が必要である。
まず医学部医学科は、数学、英語、理科(物・生・化から2科目)のほかに国語の記述試験がある。
国語は配点が150点(数学などは500点)とほかの教科に比べてウェイトは小さいものの、国語総合、現代文B、古典Bの範囲から出題されるため、国語の記述対策をしっかり行う必要がある。
保健学科と工学部、情報学部コンピュータ科学科は数学、英語、理科2科目が必要で保健学科と工学部は物・生・化のうち2科目、コンピュータ科学科は地学を加えた4科目のうち2科目選択する必要がある。
理学部については数学、英語、理科(物・生・化・地のうち2科目)に加えて現代文の記述試験が行われるという少し変わった受験方式である。
また、医学部医学科以外の学部・学科は募集が前期のみ、すなわち中期や後期試験は行わないため、名大を志望する場合は前期試験を受験する必要があることも覚えておいていただきたい。
まとめ
以上、名大の理系学部についての紹介である。
実際には学科からさらに細かく専攻が分かれたりもして、学ぶ内容がひとによって若干異なる場合はあるが、もし興味をもっていただけたのであれば、名大の公式HPにより細かく研究している内容が記載されているからそちらを見てもらえたらと思う。
さまざまな大学や学部を調べていくことを通して、自分はなにを勉強したいのか、どんな分野が自分には合っているのか、あるいは、この職業に就くためにはどんな学部・学科に行く必要があるのかを考えて志望大学・学部を決めていってもらえたらと思う。