君たちは大学受験において、自分が受けるであろう大学の過去問を見たことはあるだろうか?
そして実際に解いてみたことがある人は何人いるだろうか?
高校1,2年生の人は、まだ問題を見たことがないという人がほとんどだろう。
だが、過去問は大学が提供してくれている最強の参考書である。
どの問題集よりも自分の志望校で出題される試験問題に近い問題集だ。
よって、今まで一度も目にしたことがないというのはかなり損をしていることになる。
とはいっても、過去問というのは、存在する数が限られる貴重な問題であり、使い方や使う時期を間違えてしまうと何の意味もなくなってしまう。
下手をしたら自分の合格へ悪影響を及ぼしてしまう可能性だって十分にありうる。
ここでは、東大生である僕が考えた最強の過去問の使い方をお伝えしよう。これを読めば必ず過去問を有益に使うことができ、合格へ大きく前進するだろう。
過去問は貴重な資源
まず、過去問の最強の使え方を解説する前に、あなたに認識しておいてほしいことがある。
それは、過去問は非常に貴重な資源であるということだ。
過去問というのは、考えれば当然のことだが自分が受ける大学に最も近い問題形式を保った問題である。
色々な大学の過去問を見たことある人なら分かると思うが、大学によって問題の量、難易度、質、クセなどが千差万別である。
また、それらは、君たちがよく受けている、またはよく耳にしている、全統模試、駿台ハイレベル模試、進研模試といった各種の模試とも全く異なるものである。
君たちが普段一生懸命取り組んでいる問題集のものとも異なる。
このように考えれば、問題形式が一番近い過去問という存在がどれほど貴重であるかということがわかるだろう。
また、過去問というのは何年分もあるわけではない。
東大であれば、有名な「東大~27か年」といった27年分の過去問が載っている赤本が存在する。
実際は、それプラス直近の2、3年分は解くので、30年分程度の演習となるが、30年分というものは、意外とすぐに解き終えてしまえるものだ。
それ以外の大学になってくると、レベルが低くなるにつれて手に入れることができる年数も低くなっている。
(レベルの高い大学になればなるほど、受験者も多く難しいのでしっかりと過去問研究しようとする人が増えるので、おのずと需要は上がる。つまり過去問は手に入りやすいのだ。)
一般的な大学で赤本に載っているのはレベルが平均的なもので、3~5年分といったところだ。これは、東大の30年分からしたらかなり少ない。
以上の様に、過去問という問題は、自分の受ける大学に最も近い問題形式を維持しているということと、何年分も簡単に手に入るものではない有限のものである、という二つの観点から考えると非常に貴重な問題なのだ。
この認識は必ず持っておくようにしよう。そして、過去問を解くたびに毎回毎回その貴重さを実感しながら解くようにしよう。
過去問を始める時期
ここでは、過去問を実際に解き始める時期について解説する。
ここを間違えると、過去問を解く意味がなくなってしまうので読んでおこう。
過去問を解くための準備
過去問を解く時期を決めるためには、過去問を解くのに必要な基礎的な学力をいつまでに身に付けることができるかを見極める必要がある。
なぜならば、過去問を解くのに十分な基礎学力がついていないうちに解くのは、過去問のただの無駄使いに過ぎないからだ。
過去問は必ず基礎的な学力がついてから解くようにしなければならない。
では、基礎的な学力とはなんだろうか?
まず、大学受験で使う学習範囲の勉強は終えていないといけない。
また、その学力を使って、ある程度のレベルの入試問題を解き切ることができる力が必要になってくる。
ここで、大学受験に使う学習範囲の勉強は、自分の通う高校の学習進度によって決まってしまう。
この記事の先に書いてあるそれぞれの大学のレベルごとの過去問を始めるべき時期よりもそれが大きく遅れてしまうのであれば独学で学校の学習進度を抜かすしか方法がない。
独学によって勉強しなければならないという人は、以下の記事をあわせて読んでほしい。
以上まとめると、過去問を解き始めるにあたって、大学受験で使う学習範囲の勉強をすべて終えることが必要である。
さらに、それから2ヶ月くらいかけてそれをある程度のレベルの入試問題で使いこなせるようにするという準備が必要だということを認識しよう。
とにかく今すぐ1年分解いてみる
先ほどと言っていることが矛盾するかもしれないが、とにかくまずは1年分解いてみるのが良いだろう。
この際全く理解できなくても構わない。
どのような問題が出て、自分は合格点までにあとどれくらい点数を取らなければいけないのか、合格までの物理的な距離を知っておくことが非常に大切だ。
あと1年、もしくは2年でこの問題を解かなければいけないと想像すると、勉強に火が入りやすくもなる。
さらに、どのような勉強や対策を経ることで最終的にこの問題が解けるようになるのかということもより主体的に考えるようになる。
確かに、今の時代インターネットで検索すれば東大をはじめとする難関大学の対策法は山ほど出てくる。
しかし、過去問という一次情報を元にまずは自分で考えてみるというのも重要なのだ。
ちなみに、先ほど十分な基礎力がないままに過去問を解いても無駄になってしまうと言ったが、この1年分に関してはそこまで心配しなくても良い。
今すぐ大学の過去問を解いたとしても、再度同じ問題を本格的な過去問演習で解くのは半年〜1年ほど後のことになるだろう。
むしろ、基礎力がなく理解できない問題が多い方が問題の内容自体が記憶に残りにくい。
なお、この時点で2年や3年以上問題を解くのは時間も過去問も無駄になるのでやめよう。
ちなみに、東大志望の人の場合は東進などの予備校が実施している、東大入試を1年もしくは2年前の同じ日に解くという「東大同日模試」という模試も存在する。
実際に採点もされて成績表として返却されるので、受験者は少ないもののその中の自分の位置というものを確認することもできる。
中には、高校1・2年生でありながら高得点や合格点を超えてくる点数を取る人もいる。
かなり刺激になるので、機会があれば東大志望者は是非受けてほしい。
大学別の過去問演習を開始すべき時期
ここでは、大学別に過去問演習を開始すべき時期を解説する。
基本的に目安としては、手に入る過去問をすべてセンター試験の勉強が始まる12月頭までに一度は解き切ることができる時期に始めるのが一番よい。
ただし、東大と京大に関しては、過去問が25年~30年分手に入るので相当前から過去問演習に取り掛からないと間に合わない。
12月頭までに終わらせようと思えば、1週間で1年分やるとして4月、1週間に2年分やるとしても8月には過去問を解き始めていないとまにあわないであろう。
他にも、難関大学の医学部を目指す人たちは、医学部志望者は志望校も多いので8月くらいから過去問演習にとりかかったほうがよいであろう。
次に、東大以外の旧7帝大、早慶またはそれと同じレベルの大学を受ける人は、9~10月あたりにはじめるのがよい。
それ以下のレベル、MARCHや地方の中堅レベルの大学は11月から12月頭までの1ヶ月で一通りの過去問を見ておくという程度でよいだろう。
基本的に過去問は、センター試験の勉強を本格化させる12月頭までに一度は解き切っておけるような時期に解き始めよう。
しかし、上記で述べた過去問を解くために必要な基礎学力がついていない段階で解いてしまっては、過去問の無駄使いになってしまうだけである。(今すぐ解く1年分は例外である。)
そちらがどうしても間に合わないという人は、必ずそれを終えてから過去問演習に取り組もう。
過去問演習のやり方(1周目)
過去問演習は必ず同じ問題を2周以上やらなければならない。
そしてそのやり方は1周目と2周目では異なる。
ここでは、1周目の過去問演習のやり方を詳しく解説する。
古い方から順番に
基本的に過去問は古い方から解いていこう。
なぜなら、過去問は新しければ新しいほど、そのスタイルが本番のものと似ている可能性が大きいからだ。
逆に言うと、古ければ古いほど、問題形式が本番のものとかけ離れてしまう可能性が大きくなる。
よって、問題は古い方から順番に解いて、問題形式にどんどん慣れて行くべきである。
ここで、
- 古くて問題形式に慣れるために、時間を測らずに大問別で解く過去問(以下「古い過去問」とする)
- 時間をはかって1年分通しで本格的な演習をするための新しい過去問(以下「新しい過去問」とする)
のように過去問を年代別に半分くらいに分けておこう。
古い過去問の演習方法
古い過去問の演習目的は過去問の形式に慣れるためである。
よって、時間ははからず一問一問時間をかけて丁寧に解いていこう。
また、この段階では、間違いが多く出ることが予想できる。
基本的に20分以上考えてもわからなかったり、間違えていることがわかったりしたら迷わずすぐに答えを見よう。
そして、その解法を完璧に覚えよう。
そして、もう一度何も見ずにしっかりと解答できるかどうか試してから次に進もう。
新しい過去問の演習方法
こちらは本格的な過去問演習である。
しっかりと指定された時間をはかってその範囲内で頭をフル回転して一気に1年分の過去問を解いていこう。
時間をはかると、おそらく時間内に解き切れない問題が出てくるだろう。
その問題を放っておくのはもったいない。
解答時間が終わってしまったら、解き切れなかった問題を、時間をはからなくていいので、十分時間をかけて解いていこう。
こうすることで、時間をかければ解けた問題なのか、そもそもいくら時間をかけても解けない問題なのかの判別がつき、今後の復習に役立つ。
また、考えてもどうしてもわからない問題や、間違えてしまった問題は、古い過去問の演習方法で述べたことと同じように、答えを見て解法を完璧に暗記した後に、何も見ずにやって解けるかどうか確認しよう。
さらに、個々の問題を完璧に復習したあと、もう一度1年分時間を測って問題を解いてみよう。
この時過去問は2回目なので、ほとんど満点に近い点数を取ることを目標にしてほしい。
さらに、元々の制限時間で余裕がある人は、そこから制限時間をあえて短くして解いてみるということも一つの手だ。
1周目の過去問演習で大切なことは、復習である。
1周目なのでどうしてもできない問題が出てくるのは仕方がないが、わからなかった問題は徹底的に復習しよう。
また、繰り返すが過去問は貴重な資源である。
初見で解ける過去問はこれを逃すともう存在しないかもしれない。
よって、過去問の一問一問は丁寧に解いていこう。
過去問演習方法(2周目)
過去問は、基本的に2周目以上は解いてほしい。
というのも、1周だけでは、過去問に完璧に慣れることができないからだ。
そのため、1周目を解いたら、時間を空けて2周目にチャレンジしてほしい。
ちなみに、2周目の過去問演習を行うのは、センター試験が終わってから入試本番までで良い。
センター試験が終わってからというものは、直前期で何をすればよいかよくわからなくなる時だ。
しかし、安心材料にもなりうるので、ひたすら過去問と向き合おう。
では、ここからは具体的な演習方法をについて解説する。
演習方法は、1周目の新しい過去問と同様に、しっかりと時間をはかって限られた時間で行おう。
今度は2周目なので、大学によっては分量がかなり多い大学もあるが、全部解き切るつもりで、頑張ってほしい。
解き切れない問題が発生した場合は1周目同様、解答時間外の時間を使って今度は素早く解き切ってほしい。
また、2周目なので極力わからない問題がないようにしよう。
そして、仮にわからない問題が0でも油断しているとケアレスミスで間違えてしまうといったことが起きる。
よって、ケアレスミスの内容に細心の注意を払って解いていこう。
2周目は極力ミスのないようにしてほしいのだが、どうしても1,2問は多少なりともミスが出てきてしまう。
そういった場合は、その箇所をしっかり復習しておこう。
そして、そういった問題には印をつけておいて、2周目の過去問演習が終わった後で、できなかった問題だけを解きなおそう。(3周目はさすがにミスらないでほしい。)
まとめ
以上が、東大生による最強の過去問演習法である。
このやり方に従えば、必ず過去問を無駄にすることなく、自分の合格へかなり前進するはずである。
是非この方法を実践して合格をつかみ取ろう。
また、再三の繰り返しになるが過去問は非常に貴重な資源である。
一問でも適当に考えずに解いてしまうとそれが無駄になってしまう。
過去問演習をする際は、必ず緊張感をもって、一問一問丁寧に解いていくようにしよう。
(celly 東京大学理科二類在学)