志望大学、志望学部と言われても、大学ではどの学部が具体的にどのような学問を行いどんな授業が存在するのかピンとこないという高校生は多い。
学部に関する正しい知識がなければ、どうしても進路を考える際にモヤモヤとした気持ちが抜けない。
ここでは、どのように志望する学部を選んで行けば良いのかを説明する。
「文」学部というからには、とにかく本を読みまくるのだろう?
「法」学部というからには、みんな弁護士志望なのだろう?
これらの安直な先入観によって進路選択の幅を狭めてしまっていないだろうか?。
ぜひこの記事を読んで、学部に関する正しい知識を身につけ、それに基づいて自分自身が納得出来る志望学部を決めていこう。
行きたい学部を先に考える選び方
学部の選定の仕方は大きく分けて二つある。
その一つとして、まず行きたい学部を先に決めてしまう選び方がある。
さまざまな学部について知り、その上で自分が興味のある学問分野や欲しい資格が取れる学部を選ぶのだ。
どんな学部があるのかを知る
法学部や経済学部といった、オーソドックスな名前の学部のことしか知らないという高校生は多くいることだろう。
しかし、日本のさまざまな大学には数え切れないほどの学部が存在するのだ。
例として、「医療系」ではどのような学部があるのかを見ていこう。
- 医学部
- 医用工学部 (桐蔭横浜大学/鈴鹿医療科学大学)
- 医療衛生学部 (北里大学)
- 医療科学部 (大阪行岡医療大学/京都医療科学大学/帝京科学大学/藤田保健衛生大学)
- 医療学部 (新潟リハビリテーション大学院大学)
- 医療看護学部 (順天堂大学)
- 医療技術学部 (帝京大学)
- 医療経営学部 (広島国際大学)
- 医療経営管理学部 (新潟医療福祉大学)
- 医療健康科学部 (駒澤大学)
- 医療工学部
- 医療情報学部 (北海道情報大学)
- 医療福祉学部
- 医療福祉工学部
- 医療福祉マネジメント学部 (川崎医療福祉大学)
- 医療保健学部 (東京工科大学/姫路独協大学)
- 看護医療学部 (慶應義塾大学)
- 看護栄養学部 (長崎県立大学/山口県立大学)
- 看護学部 (福岡県立大学/北里大学)
- 看護福祉学部 (福井県立大学)
- 看護福祉心理学部 (新潟青陵大学)
- 看護リハビリテーション学部
- 獣医学部
- 獣医畜産学部
- 鍼灸学部 (鈴鹿医療科学大学/明治国際医療大学)
- 診療放射線学部
- 総合リハビリテーション学部 (大阪府立大学/神戸学院大学)
- 福岡医療技術学部 (帝京大学)
- 福岡看護学部 (国際医療福祉大学)
- 福岡保健医療学部 (国際医療福祉大学)
- 保健医療学部
- 保健医療技術学部 (佛教大学/文京学院大学)
- 保健医療経営学部 (保健医療経営大学)
- 保健医療福祉学部
- 保健衛生学部
- 保健科学部
- 保健学部
- 保健看護学部 (関西医療大学)
- 保健福祉学部
- リハビリテーション科学部 (北翔大学)
以上の学部の中に、知っている学部はいくつあっただろうか?
大学によって非常に多様な学部が存在していることがわかる。
医療系という、一つだけのカテゴリの中でも以上のように大量に学部があることを理解しよう。
名前を知っている学部の中で興味のある分野のものをよりすぐるのではなく、興味のある分野を学ぶことができそうな学部を調べていくべきなのだ。
学部の名前から大体このようなことを学ぶ学部なのだろうと自分一人で憶測をして行くことは、自分に合った学部選定のチャンスを自ら潰してしまうことを意味するのである。
興味のある学部をみつけだす
現代はInternet環境がととのっており、自力で面白そうな学部を見つけ出すことは十分に可能だ。
しかし、ネット上にはそれこそ先入観や偏見にまみれた意見が多く流れている。
やはり大学について知り尽くしている人間に意見を仰ぐことが必要となってくる。
大学について知り尽くしている人間は、高校生の周りにいくらでもいる。
担任の先生、進路指導の先生、塾の先生、場合によっては兄弟姉妹や親もそうである。
彼らに自分の興味のある分野を話し、この分野を学べる大学の学部にはどのようなものがあるのかを聞いてみると良い。
また、自分のことをよく知っている人間に聞くならば、自分ならどの大学のどの学部が向いていると思うか尋ねてみるのも良い。
自分の興味のある分野を自分の主観的な視点と周りの客観的な視点の両面から見ていくことで、より正しい選択ができるのだ。
このようにして自分の気をひく学部を選定して絞る方法がある。
興味のある学部について詳しく調べる
興味を持った学部を洗い出すことができたなら、次にもっと詳しくその学部について調べていくことが必要だ。
その情報源として、
- 赤本
- その学部を設置している大学の公式サイト
を参考とすることをお勧めとする。
どちらも間違った情報が載っている可能性がゼロであるからだ。
赤本には学部の特色やその学部に実際に通っている学生のQ&Aなど学生生活に焦点を置いた情報が載っている。
大学の公式サイトには、実際のカリキュラムやどんな教授がいるか、その教授の研究や論文など、学問にかんしてかなり詳しく知ることが出来る。
これらを熟読し、
「本当に自分のやりたい学問が行えるのか」
ということや、
「自分の望む環境の中で生活を送ることができるか」
ということをしっかりと考え、めざす学部を決めていくとよい。
このようにして学部を選定すれば、大学に入ったあと
「授業の雰囲気が思っていたより違う」
「意外と自分の興味のあるゼミがない」
などと思い悩んでしまうこともないのだ。
行きたい大学を先に考える選び方
学部選定方法のふたつ目として、行きたい大学を先に決め、そこから学部を決めてしまう方法が挙げられる。
では、どのようにして行きたい大学を明確にした後受験する学部を選定していけば良いのか?
どうしてもこの大学に合格できるならどの学部であっても構わないという考えがあるならば、合格できそうな学部を受験するのを最優先にしたほうがよい。
自分が行きたい学部の入試過去問や入試難易度データを片っ端から集めてみよう。
そして自分の学力でなんとか高3の2月までに合格できる状態にできそうな学部を選び出すのだ。
それは複数でも構わない。
また、チャレンジ受験としてその大学の最難関の看板学部を受験してみてもよい。
とにかく行きたい大学で絞り込み、その大学に設置してある学部についてのみ調べていけばいいので、受験する学部を選ぶ手順は明快だ。
とくに私立大学は、学部によって入試問題が全くと言っていいほど異なっている。
試験科目も違えば問われる思考も違う。
難易度だけでなく、自分が得意な問題を出題している学部に照準をあわせてみるのも一つの策だ。
また、「ローラー作戦」という言葉をご存知だろうか。
これは、ローラーをかけるようにしらみつぶしに当たるやり方を意味し、大学受験に置いてローラー作戦を行う受験生は多く見受けられる。
しかしこれは複数学部の受験が可能な私立大学でのみ許される選び方である。
このローラー作戦こそが行きたい大学を先に考えた学部の選び方の究極形態である。
とにかく志望大学の学部を試験日程が許す限り大量に受験をし、合格できた学部に行くのだ。
「そのような学部の選び方では本当に自分に向いた学問が大学に入った後行えないのではないか」
と意義を唱える者もいることだろう。
しかし、大学というものに対する考え方は人によって違う。
自分で学びたいことが明確で、その分野のプロフェッショナルになりたいと考えているものはまず先に学部を考慮する必要がある。
だが、「大学生活」を重視し、充実した生活を送る舞台としての大学を考えているのであれば、志望大学を先に確固たるものにしてから学部を選ぶという方法を取っても全く大丈夫なのだ。
志望大学を先に決めてから考えるという学部の選び方を実践すると、自分の理想の大学生活を実現できる可能性が高まるのだ。
まとめ
以上が、大学の学部を選ぶ方法である。
いかがだっただろうか。
学部を選ぶには、先に自分の興味のある学部を調べて決める方法と自分が行きたい大学を決めてから学部を選定する方法があることがお分かりいただけたことだろう。
学部を選ぶという行為は、自分の将来を選択するワンステップである。
自分の人生を自分で決めることができる。
その決め方にたいして他人がとやかくいうことはできない。
上記の二つのうち、どちらの方法を実践して学部を決めていくかは読者自身に他ならないのである。
さあ、ぜひ今回紹介した選定方法を実践して、自分に最適な学部選びをしよう。
そうすれば自ずとどのように受験勉強をすすめていけばいいかも考えることができ、早い段階で学習を進めて他の生徒よりも一足早く合格に近づくことが可能となるのだ。
(celly 東京大学理科二類在学)