東大英語は、毎年要約、文章の穴埋め、英作文、リスニング、小説読解とかなり多くの種類の問題が出題される。

また、これを120分で解かなければいけないので、難問を短時間で処理する能力が要求される

また、年によっては各問題の難易度もバラバラになる。

それでは2021年度の東大英語はどうだっただろうか?

また、河合、駿台、東進、代ゼミが出している解答速報の解答はそれぞれ適切なのだろうか?

この記事では、2021年度の東大英語の総評を行うとともに、予備校4社の解答速報の比較と解説を行う。

また、記述問題など、詳しく解説が必要な問題に関しては、別の記事で解説をより詳しく行っているので、合わせて見ておいて欲しい。

来年度東大の受験を控えている人は、これを読んで東大英語の対策をしっかり考えておこう

1(A)要約問題(難易度:やや難)

要約問題は、東大英語の肝と言っても過言ではないくらい重要な問題だ。

実際の配点は10点程度と決して多くはないが、この要約力があると他の問題もスムーズに解くことができる。

なので、要約問題が実際にできることは非常に重要なのだ

ただ、今回の要約問題は実際例年のものに比べて難しい

まず、大まかな論理構造は以下のようになる。

  • 第一段落
    10代の若者の好ましくない気質の変化についての固定観念は正しく、それは一時的なもので、大人になれば戻る。
  • 第二段落
    10代の若者の気質の変化は親と子で評価が違い、親の方が評価が厳しい。

    • 第三段落:(第二段落の原因)
      自我の発達に伴った、親子関係の変化
      親と子での評価基準の違い
  • 第四段落
    10代の若者の気質の一時的な変化の一般的なイメージは正しい。

まず、この文章は、第一段落と第四段落でそれぞれ同じことが書かれている

つまり、最初と最後に結論を持ってきているのだ。

なので、上図の下線部分が一番の筆者の主張ということになる。

第二段落の主張よりもどちらかというと重要になるのだ。(ほぼ対等ではあるのだが、)

この優先順位を対等として扱っている答案が多かった。

これはグレーだとしても、完全に逆転させている答案や第二段落の内容しか書かれていない答案も多い

このようなことをしてしまうと、一番言いたいことを捉えられていないという判断が下される。

要約で一番やってはいけないことをしているので、点数はかなり低くなってしまうだろう

この優先順位を捉えることがこの問題は難しいと言えるので難易度はやや難である。

 

また、予備校各社の解答速報は以下のようになっている。

<河合>

10代の若者は好ましい気質が一時的に弱まる。親子の関係の変化や判断基準の違いのためその捉え方は親子で異なることもあるが、一般に10代は葛藤の時期だと言えるだろう。(79字)

出典:https://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/21/t01-11a.pdf

<駿台>

若者の気質の悪い面が目立つのは一過性のことである。この変化に対する若者と親の評価は異なるが、これは親子関係の変化と両者の判断基準の差によるものかもしれない。(78字)

出典:https://www2.sundai.ac.jp/sokuhou/2021/tky1_eig_1.pdf

<東進>

(例1)
10代の若者の気質は一時的に悪化するが,その評価は親と 子供自身で異なる。これは親が大人を基準にするのに対して, 親離れが始まる子供は自分の同年代を基準にするからだ。(80字)
(例2)
十代の気質が一時劣化することは事実だが,その見方が親と 子で異なるのは,自立を求める子供が,大人の指標でなく, 仲間同士の評価を重視するからである。(72字)

出典:http://27.110.35.148/sokuho/data/2021/0l/e01/e0l211101k0.html

<代ゼミ>

若者の気質の一時的な悪化と改善は、親と子の両方が認める。評価の度合いは親の方が厳しい傾向にあるが、それは双方の評価基準の違いと親子関係の変化による。 (74字)

出典:https://www.yomiuri.co.jp/nyushi/sokuho/k_mondaitokaitou/tokyo/kaitou/kaitou/1331513_5410

解答の精度としては、河合 > 駿台 = 代ゼミ > 東進(例1) > 東進(例2)という関係性になる。

先ほど述べた優先順位を正しく反映できているのは、河合の答案だけである。

駿台と代ゼミは対等なものとして扱っているのでまだ良いが、東進にいたっては二つともその優先順位が逆転してしまっている

また、(例2)に関しては、第三段落の対等な2つの根拠のうち、一方にしか触れていない。

なので、東進の解答はかなりひどいもので0点に近いのではないかと思う。

また、この要約問題については以下の記事で詳細に説明しているので合わせて見ておいて欲しい!

2021年度東大英語1(A)要約問題を徹底解説

1(B)空欄補充・並び替え問題(難易度:標準)

次に1(B)の空欄補充・並び替え問題について解説する。

この問題は1(A)と同じように、文章を論理的に読解して、その論理をもとに何が入るのかを当てはめていかなければいけない。

なので、要約問題とほぼ同じ力が試されているが、こちらの文章の方が倍以上長い。

より長い文章において、全体の要旨を掴みながら、求められた部分の論理構造を詳細に分析していく力が必要になる。

この問題を解く際、あまり得意でない人は、選択肢の比較を行って解答する傾向にある

しかし、これは一番やってはいけない解き方だ。

まずは、空欄がある段落の論理構造をしっかりと分析をすることが重要である

その上で、空欄にどのような内容がくるのかある程度予想をするのである。

例えば(1)の場合空欄の前に”camera introduced both challenges and benefits”とある。

また、空欄の後に”Some felt this posed a threat to our jobs”とある。

なので、(1)は空欄後のthisが指している芸術家の仕事の脅威になりうるものと考えられるので、前の文のchallengesを具体化した内容がくる。

この条件に見合う選択肢を探すと、g)一択しかないのである。

このように、空欄周辺の論理構造を十分分析し空欄の内容を予想してから選択肢をみると選択肢を比較せずともすぐに解答は決まる。

また、並び替え問題も同様である

ある程度空欄の部分の内容を周辺の論理構造から予想することが大切だ。

しかし、この並び替え問題は予想できたとしても、それを表現する正しい語順を思いつかなければ解答できない

東大の並び替えは文法問題や小説読解に出てくる際のものと同様に正しい語順をその場で発想するのはかなり難しい。

なので、この1(B)に関しては、選択肢の答案は決して外さないようにして、並べ替えはできたら目付けもんだと思っておくのが良いだろう。

こちらも各問題の解答プロセスを以下の記事で解説しているので、是非参考にしてほしい。

2021年度東大英語1(B)空欄補充・並び替え問題を徹底解説

2(A)自由英作文(難易度:標準)

今年の2(A)の自由英作文は語数、テーマなどを考えても標準的な難易度だろう。

テーマは「自分にとって暮らしやすい街の最も重要の条件とその理由」である。

どうとでも書くことができるテーマであるので、非常に書きやすかったのではないかと思われる。

東大は、問題文の条件をしっかりと守ることを重視するので、語数を守ることであったり、理由の部分をしっかりと書いたりすることが重要だ。

解答速報の解答例は、どの英文も英語としては問題なかった

おそらく、ネイティブの方かしっかりと英語を学ばれた方が直接書かれている、もしくはチェックをしているのだろう。

また、内容としては安全性に言及したものが最も多く、その次に多いのが交通に関するもの、自然が多くあると良いといったものである。

駿台の(解答例2)に関しては、文章としては少し問題がある

最初に街にさまざまなお店があることが重要だと、主張した。

その次に、現在の田舎の街には駅の近くのコンビニが数店舗あり、遠くにショッピングモールがあるのみだが、これは良い街とはいえないと主張してる。

最後に、徒歩圏内にお店があることが重要だと締め括っている。

まず、街にさまざまな店があることと、徒歩圏内にお店があることどちらを主張したいのかわからない

また、今の時代ネットなどで簡単にさまざまなものが帰るので、周りに店がないということが良い街でないと言えるというのは、少々強引だ。

理由をもう少し詳しく書いた方がよいのであるが、そうすると語数が足りなくなるので、主張は一つに絞った方が良いということになる。

自由英作文は何を書いても内容は採点対象にならないとよく言われるものの、東大側は一切そのようなことを言っているわけではない。

よりわかりやすい説得力のある文章を書くことが大切である。

2(B)和文英訳(難易度:標準)

今年の和文英訳も標準的な難易度のものだ。

和文英訳は訳と書かれているので、どうしても訳してしまおうと思いがちである。

しかし、訳してしまうと、たいてい変な英語が出来上がる

英語を和訳する場合、ある程度機械的に訳しても多少まともな日本語ができるのは、英語の構造が論理的なものだからだ。

日本語の場合、そこまでしっかりとした言語でないので、英語同様に訳そうとすると変な英語が出来上がる

訳すのではなく、言い換えると思っておいた方がよい。

この問題では、「なんでもない。」と最後の一文「乗ってさえいればよいのだ。」をどう英語で表現するかという部分がポイントだ。

解答速報の答案はどれも上手に言い換えがされていた。

解答速報で気になるところは、代ゼミと東進の(例3)の答案である。

これらは、始まりがbutになっているが、文頭のbutはライティングのお作法上、ご法度とされているのだ

あまりこれは日本の学校では教えないのだが、アメリカのライティングの授業などでは口酸っぱく文頭の逆接ではbutではなくhoweverを使うと教えられる。

最近では、砕けた文章も増えているので、あまり拘らない人が多くなっているのも事実だ。

しかし、どのような人が採点するかわからない中では、やらない方がよいことはやらない方がよいのだ。

3リスニング(難易度:標準)

実際の録音を聞いているわけではないので、スクリプトだけを見る限りだと標準的な難易度だ。

ただ、受験生などの感想を聞くと、「少々赤本の音源より早かった。」「聞き慣れないアクセントの人がいて聞き取りづらかった。」などと言っていた。

自分の生徒には、リスニングは通常の問題集の録音を1.5倍速再生で聞くように指示している。

本番の様子を毎年聞く限りだと、通常の問題集のスピードでは遅いので、1.5倍速で練習しておくのが良いだろう

また、確かにイギリス人っぽいアクセントが強かったり、ヒスパニック系のアクセント、ロシア系のアクセントなどさまざまなアクセントの人がいる年もある。

実際自分が入試を受けたときには、中東系のアクセントの人がいて、「これみんな流石に聞き取れないだろうな。」と思いながら解いていた。

実際その年のリスニングの受験生の出来はかなり悪かったようだった。

どうしても、市販の問題集のリスニング音源は普通のアクセントの方が喋っているので、アクセント対策の練習はできない。

様々な人の発音を聞いておくためには、リスニングの問題集だけでなく、洋画を英語字幕で見たりと別の対策が必要である

4(A)正誤判定問題(難易度:標準)

今回の第4問の(A)も文法や文脈を踏まえた正誤判定問題である。

他の年度と比べると標準的な難易度である。

ただ、文法や文脈も考慮しなければいけないので、ミスを探すのはかなり大変だ。

予備校の東大模試などから考えた配点も5~10点程度のものなので、ここの問題は例年同様あまり得意でない人は捨てるの良いと思う

ただ、ある程度過去問の演習を積んでおけば、聞かれるところはおよそは決まっているので、真面目に対策する時間と余裕があるのであれば、しっかりと対策してもよいだろう。

4(B)和訳(難易度:標準)

今年の和訳問題も難易度は標準的である。

和訳には主に、2つのタイプの問題がある。

文法構造の理解を問う問題と、文脈の理解や日本語としての表現を問う問題の二つだ。

もちろん、両者入り混じったものもあるが、今年の問題は綺麗に二つに分かれる。

(ア)と(ウ)は、文法的な構造を問う問題だ。

なので、それぞれの文構造をしっかり読み解いて答えることが重要である。

それに対して、(イ)は下線部がかなり短く、省略も多い。

この省略された部分を文脈から補う必要があるのである。

また、(イ)は文法構造にも注意を向けたい。

some things get saidと書かれているので、動詞はget saidである。

つまりsome thingsというのは言われる対象であるということを読み取る必要がある。

この動詞の形と文脈から主語を予想と、後半部分を予想する必要があるのだ

解答速報の答案はどの予備校も内容的には概ね同じ答案であり、問題なく満点の答案である。

和訳は各予備校毎年大差なくほぼ満点の答案を作るので、予備校の答案をしっかりと信用してもらって大丈夫だ。

5小説読解(難易度:やや易)

今回の小説読解の問題は比較的に簡単な問題が多かった

並び替え問題は発想がないと思いつくのに難しい。

とくにitをどこの場所に入れればよいのかということころで迷うのではないだろうか?

ただ、他の問題に関しては比較的簡単で、文章の内容が理解できているのであれば、基本的に正しく解答することができるだろう

記述答案に関しては、予備校4社中で解答の方向性に大きなズレはなかった

しかし、代ゼミだけは特に(A)の問題をかなり詳しく解説していた。

(A)や(B)の問題に関しては、文字や文章の量を制限する条件が何もついていないので、どこまで書けばよいのかについては解答欄の大きさ次第だ

今までの解答欄の大きさの経験上からすると代ゼミほどの情報量を解答欄に収めることは難しいとは思うが、実際の解答欄がどの様になっているかは不明なので、明確な結論はいえないところである。

ただ、解答の方向性は4社とも同じなので、そちらを参考にしてほしい。

ちなみに、今回の文章は小説というよりは随筆文に近い。

毎年小説であることのほうが確率としては多いが、随筆文や普通の論説文も出されたことさえある

なので、随筆文などの読解も経験を積んでおく必要がある。

まとめ

以上が、2021年度東大英語の解説と解答速報の比較のまとめだ。

今年の問題は要約がそこそこ難しいものではあったが、代わりに小説読解はかなり解きやすかったのではないかと思う。

全体として例年どおりの難易度になっていただろう。

東大英語は、短時間で多くの問題を処理しなければいけないので、対策をしっかりとしておくのが重要だ

この記事を含めて、このサイトには多くの東大英語の対策法の記事があるので、是非参考にしてほしい。