授業中のノートをパソコンでとるのってよくないのかな……
パソコンやスマートフォン、タブレット端末の普及で、学生の勉強の仕方も大きく変わりつつあります。
中学や高校で授業用のタブレット端末を導入して話題になったり、小学校でSNSの使い方を教えるようになったり。
わたしの同級生でも、授業中のノートは全部パソコン、という人や、そもそも手書きのノートなんて使わないよ、なんて人もいます。一方で、絶対手書き派! と頑固に大学ノートを使い続ける人もいます。
電子書籍か紙の本か、という議論と非常に似た部分のある問題だと思います。
最近は手で書いたものを自動でデータ化してくれる機械などもありますから、手書きとパソコンの間の壁そのものも低くなってきているとは思いますが、キーボードを打つのかペンで書くのか、という違いは残り続けます。
でも、実際のところ、「どっちの方が優れている」と決めるのは無理だと思います。手書きには手書きの良さがあり、パソコンにはパソコンの良さがあります。短所についても同じことです。
先日、手書きのノートを使うことのメリットとデメリットについて記事を書きました。(勉強をまとめるのは手書きノートにするべき?? 手書きのメリット・デメリット!)
今回はパソコンでノートをとることのメリット・デメリットを考えてみたいと思います。(※ここで言うパソコンにはタブレット端末なども含みます)
パソコンのノートは速いけど機械的。共有できるけど覚えにくい。
パソコンのメリット1:とにかく速い。ラクしてノートをとれる
パソコンでノートをとる人に「どうしてパソコンなの?」と聞くと、たいてい「楽だから」という答えが返ってきます。
そう。パソコンのノートは楽なのです。
キーボードで文字を打つスピードは手書きの数倍でしょう。予測変換などもしてくれるので、それも含めればもっとかもしれません。しかも、いくら速くなっても汚くて読めない! なんてことはありません。手書きと違って、疲れにくいという利点もあります。
授業中、先生の言葉を一語一句書き留めようと思ったらパソコンでなければ無理でしょう。
パソコンさえあればいいので、紙がなくなった! とか、シャープペンシルの芯がない!なんてなることもない。
先生が何かの文章を引用しているときはネットで探してコピペすることだって出来てしまう。ウィンドウを複数開いてマインスウィーパーをしながらノートもとる、なんてことも可能。株の値動きを確かめながら授業を受けるツワモノまでいます。いいことづくしです(笑)。
パソコンのメリット2:共有できる
パソコンにできて手書きノートでは不可能なこと。
いろいろありますが、「共有」というのが一番大きいでしょう。(上で書いた、データ化できるノートとかを除けば……)
手書きノートは必ず持ち歩かなくてはなりません。授業を受けるときも、勉強をするときも、必要なことが書いてあるノートがあれば、全部カバンに詰め込むしかありません。
でもパソコンならそうはならない。
EvernoteなりGoogle Driveなりに突っ込んでおけば、いつも持ち歩いているスマートフォンでもタブレットでも、学校に置いてあるパソコンでも、見ることができてしまいます。
「ノートちょうだい!!」と試験前言い寄ってくる知り合い以上友達未満のやつにはパパッとPDF化したデータを送りつければ、ノートを汚されたりなくされたりする心配もない。
共有してどこでも確認できること。これはパソコンノートの非常に大きな利点でしょう。
パソコンのデメリット1:どうしても機械的で量が増える
パソコンのノートはメリット1で書いたように、速くて手軽です。
でもその一方で機械的になりやすいので、そのままでは勉強に使いにくいのです。
例えば、授業中先生の話を片端から記録するとします。文字装飾をして重要そうなところだけ色を変えたり太くしたり、くらいはできるかもしれませんが、基本的には言われたことをそのまま記録すると作業になりがちです。
「その場でまとめながら書くこともできるじゃないか」と言う人もいます。もちろんそのはずなんですが、そうはならない。
人間というのは基本的に面倒臭がりな生き物です。必要がないことをわざわざがんばろう、とはなかなかできません。パソコンの場合、わざわざまとめるという作業をしなくても全部記録してしまうことができてしまうので、「考えてまとめる」という面倒くさい作業はしなくなる人が多いのです。
機械的に記録しますから、ノートはどうしても長くなります。余計なことや重要じゃないこともたくさん書いてあるので、後から勉強するときには改めてまとめたり重要なところを抽出したりする作業が必要になります。
パソコンのノートはそのままでは勉強に使いにくいのです。
パソコンのデメリット2:印刷しないと覚えにくい
パソコンのノートは長くてまとまってないから勉強しにくい、と書きました。でも実は、パソコンのノートが勉強しにくい理由は他にもあるんです。
それは、画面上の文章は記憶しにくい、という特徴があるからなのです。
これはなにか研究データがあるわけではないですが、わたしを含め、同じ大学の東大生たちが口を揃えて言っていることです。
東大では授業の資料などをPDFで配られることも多いのですが、そのまま読むのと印刷してから読むのでは頭に残る情報量が全く違うんです。
また、画面上の文章には書き込んだり線を引いたりがしにくい、という難点もあります。もちろんできないことはないですが、紙の上の方がずっと楽です。
覚えたり理解したりする必要のある場面では印刷をした方がよいので、いつでもどこでも確認できる、というパソコンの利点があまり生かされません。
パソコンのノートは授業の記録や大量の文章を書くときに使おう!
今回はパソコンでノートをとることのメリット・デメリットを2つずつ解説しました。
パソコンは速くて手軽なので、話を聞きながら大量にノートを取らなければいけない時などには最適です。また、共有すればスマートフォンやタブレットなど、様々な媒体で確認できるので、資料として使うのも非常に有効です。
ただ、自分で勉強するときのノートとしてはあまりオススメしません。手書きでまとめ直した方がずっと効率がよくなるでしょう。
もちろん紹介したのはあくまでわたしの経験を踏まえた考えですから、スキルや経験によっては違う考えに至る場合もあるでしょう。ですが、その場合でも一つのやり方だけにこだわるのではなく、いろいろ試した上でうまく使い分けるように意識するのがとても大事です。
今後ノートをとるときは、そんなことを考えながらしてみてくださいね!
(白黒熊 東京大学法学部)