将来希望の職業につくために、好きなことを勉強するために、憧れの人に近づくために――。
理由は人それぞれでも、希望の大学に行きたい!行かなきゃ!という人にとって避けては通れないのが、大学受験とそのための受験勉強です。
それでもせっかくの高校生活、受験勉強だけで3年間を終えてしまうのはとてももったいないですよね。
部活や行事、恋愛や友達との遊びなど、高校生でしかできないことはほかにもたくさんあります。
中でも部活に高校生活の時間の多くを使っている人は多いと思います。
でも部活をすれば自由に使える時間が減ってしまうのは事実。
「部活をよく頑張る人ほど集中力がつき、受験でも成功できる」とはよく言われることですか、特にハードな部活に所属している人の中には、本当にこのまま部活を続けていいのかと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今回はそんな方のために、受験勉強と部活の両立は本当に可能なのか?可能だとしたらどんな方法を取ればいいのか?をまとめてみました。
「難関大合格者ほど部活を頑張る」は本当?アンケートからみる受験勉強と部活の関係
「難関大合格者ほど部活を頑張っている」
ネットで受験勉強と部活の両立について調べると、必ずと言っていいほど出てくる言葉です。
先生や先輩に部活と受験勉強をどう両立すべきか相談した時に、こう言われたことがある人も多いのではないでしょうか?
それでは実際に、いわゆる難関大合格者は高校時代にいつまで部活をしていたのでしょうか?
2012年に東進予備校が難関大現役合格者を対象に行ったアンケートの結果を見てみましょう。
Q.部活動の引退時期はいつでしたか?
・高3の夏以降 9.0%
・高3の1学期 41.0%
・高2 47%
・高1 3%
半分が高3まで部活動を続けていたことがわかります。
それでは、彼らが受験勉強を始めたのはいつなのでしょうか?
Q.受験勉強開始時期はいつでしたか?
・高1まで 29.1%
・高2まで 40.8%
・高3の1学期 21.8%
・高3の夏以降 8.3%
およそ70%の人が、高校3年生になるまでに受験勉強を始めていることがわかります。
つまり多くの人が部活を続けたまま受験勉強を始め、その両立を成功させて難関大学合格を勝ち取っているのです。
頑張った分だけ返ってくる!部活と受験勉強を両立させることのメリット
よく言われる、部活と受験勉強を両立させることのメリットには次のようなものがあります。
- 集中力・精神力・体力が身につく
- 時間の効率の良い使い方が身につきやすい
- 高校生活に後悔が残らない
具体的に見ていきましょう。
集中力・精神力が身につく
集中力は普段の勉強の時にももちろんですが、テストや本番の入試の時にも非常に役立ちます。
また入試の会場ではとてつもなく大きなプレッシャーがかかるため、緊張してしまい持っている力が発揮できなかった……というのもよくある話。
しかし部活動に全力で取り組んでいた人は大会や発表会などプレッシャーのかかる場面を多く経験していることが多いため、自分の能力を最大限発揮しやすいのです。
時間の効率の良い使い方が身につきやすい
部活に一生懸命取り組むほど、受験勉強に使える時間は必然的に少なくなります。
その中で効率よく勉強するにはどうしたらよいか? どうすれば時間を無駄なく使えるか? ということを考えざるを得ないため、部活をしている人はそうでない人に比べ時間の使い方が上手くなりやすいのです。
高校生活に後悔が残らない
多少なりとも自分が好き・興味があるからその部活を選んでいるはず。
受験勉強と両立できないから…という理由で部活を途中で諦めてしまえば、後悔が残るのは必然です。
引退まで続ける同期が練習に励む中受験勉強をしても身が入らず、結局部活をやめても期待していたほどに勉強時間は増えなかった……というのは悲しすぎますし、せっかくの1度きりの高校生活に大きな悔いが残ってしまいます。これはとてももったいないことです。
以上のような文章だけを見れば、部活と受験勉強の両立はメリットしかないように見えます。
しかし本当にそうなのでしょうか?
次の項では、意外と語られない「部活と受験勉強の両立で陥りがちなワナ」について書いてみたいと思います。
部活と受験勉強の両立で陥りがちなワナ!
部活と受験勉強の両立で多くの人が陥りがちなワナ。それは、
「部活と受験勉強を両立した人のたくさんの成功談に安心してしまい、必要な努力をしなくなること」
です。
『高3の夏まで部活動に取り組み、引退後に一気に追い上げて国立大に逆転現役合格』
『ハードな運動部をこなしながら受験勉強を進め、見事難関私大に合格』
そんな合格体験記はネットや予備校のパンフレットでいくらでも見つけられますし、もしかしたら身近な先輩にそんな人がいるかもしれません。
それらに触れて希望を持ったり奮起したりすることはもちろん良いことなのですが、危険なのはこういった体験談を読んで自分も大丈夫なはずだ、と無根拠に思ってしまうことです。
例えば、いわゆる進学校の中には、部活の時間に制限があり、運動部でも週2,3回しか練習がないという高校もざらにあります。高3の夏まで部活をしていたといっても、その人が所属していたのはそういった高校の「ゆるい」部活かもしれません。
また身近な先輩の話であっても、その人と自分の部活をしている時点における志望校との距離がどれくらい違うかはわかりません。
当然のことですが、こういった体験談の表面だけを見てそのやり方だけをまねしようとしても、うまくいくはずはありません。
繰り返すようですが部活をすれば勉強に使える時間が減る、というのは紛れもない事実でハンデにもなりえます。
この事実を把握したうえで、それでも部活を続ける! という「覚悟」、そしてそのハンデを乗り越えるにはどんな工夫が必要か? もしくはハンデにしないためにできることはないか? を考え、実行していくことが、部活と受験勉強の両立には不可欠なのです。
これはごくごく当たり前のことに見えますが、部活生に関していえば部活と受験勉強の両立を勧める意見があまりに多いせいか、見失ってしまいがちです。
まとめ
せっかくの一度きりの高校生活。
受験勉強のために部活を諦めるのはきっと後悔のもとになりますが、逆に部活は続けたものの受験勉強との両立に失敗して志望校に合格できなかった……というのも大きな公開になってしまいますし、楽しい部活の思い出にまで傷をつけてしまうことになります。
あなたが部活と受験勉強の上手な両立方法を考えるうえで、この記事が少しでも参考になればうれしいです。
(senri 東京大学法学部在学)