現代の高校生は、学校だけでなく学習塾にも通っている生徒の割合が極めて高い。
この記事を読んでいる君も塾に通っている、あるいは入塾を検討しているはずだ。
では君はどうして塾に通うのか?
本来、大学入試には学校で習う内容しか出題されないはずだ。
なのに、どうしてお金を払ってまで学習時間を増やし、学校とは違う場所にわざわざ通うのか。
親に言われたから、周りの友達も塾に行っているから、などとなんとなく目的のない状態で塾に通っているならば、それは非常に危険な状態だ。
塾と学校の違いを完全に理解し、それぞれの長所と短所を知ってそれぞれが互いの短所をまかないあう存在だとわかって初めて学校に加えて塾に通う意味が見えてくるのではないだろうか。
学校と塾の違い、それは、端的に言うと得られるものが違うのだ。
それぞれの得られるものとは一体なんなのか。
ここでは、しっかりと塾と学校が両立できるような、学校と塾の3つの違いを解説する。
この記事を読み終わった時、君は完全に塾と学校の違いを理解し、違う特徴を持つそれぞれに通い続ける意味を見いだすことができるだろう。
学習内容の違い
塾と学校、一番の違いは、学習する内容だろう。
一つの学年の生徒には全く同じ授業をする高校がほとんどである一方で、そのような塾はほとんど存在しない。
ここでは両者で教わる内容がどのように異なっているのかについて見てみよう。
学校の学習内容
学校、と一括りに言っても公立高校、私立高校、進学校などによってカリキュラムは全く異なる。
そのため学校の授業形態はどのようである、などと一概には言えない。
しかし、根本的に学校とはいかなる場所であるか、ということを考えると、それぞれの学校での学習内容に共通点が見えてくるのではないだろうか。
そもそも学校とは、生徒に受験勉強をさせるために存在するのではないのだ。
学校とは、学校卒業後に生徒が自立して働くないしは大学でさらに高度な学問を行なっていくための土台となる知識や社会性を身につけさせる場だ。
であるからこそ、学習内容は一般的な素養として身につけさせられる。
だから体育や家庭科も勉強するし、校外研修もある。
第一志望校の入試では世界史も数学ⅠAもいらないのに、授業を受けて定期テストを受けないといけないという人もいる。
受験云々ではなく、高等教育を受ける学生であるならば、高校を卒業するまでに知っておかねばならないことを提供し、全ての生徒に同様のカリキュラムで学習させていくのが学校なのだ。
すなわち、学校の学習のゴールは「文科省が定めた高校卒業程度の知識と社会性を備えた状態であること」ということだ。
自分でそんなことを目指している学生はいないだろう。
学校は、ある意味一方的に知っておくべき知識を与えていく。
それを定期的に確認するために定期テストを行う。
生徒の意思は関係なく、必要だと判断された内容のカリキュラムが組まれるため、不満も抱くことだろう。
しかし、学校に通い、与えられる学習を続けているだけで自立した人間として最低限のものを身につけられると思えば、学校での学習は人生を通して有用なものであるといえる。
塾の学習内容
塾とは、相応の金額と引き換えに、生徒の希望する到達点まで学力を引き揚げさせるためにサービスを提供する場である。
つまり、結論から言うと学習塾のゴールは生徒自身が思う学習のゴールそのものである。
検定への合格や内申を得るために定期テストの点数を伸ばすことなどいろいろあるだろうが、多くの学生はゴールとして大学入試での成功を掲げる。
つまり、生徒の目標(仮に第一志望合格としよう)を理解し、目標達成のためだけに必要な能力を伸ばすために尽力してくれるのが塾だ。
だから志望校の入試で出題されない科目は塾で勉強しなくても良い。
これも塾の形態によるのでなんとも言えないが、担当の講師が定期的に生徒と面談をして学力や意欲の確認を行うという塾も多いのではないだろうか。
学校とは違って体育やロング・ホームルームなど息抜きになる時間が組まれていないし、学力を伸ばすことだけが目的であるので塾に通いつつけることに息苦しさを感じる生徒もいることだろう。
しかし、塾で組んでもらった志望校合格のための君専用のカリキュラムに基づいて学習を続けることが、君の目標である第一志望校への一番の近道であるとい得るのだ。
先生の違い
上記を読んで、学校と塾とでは学習の目的が違うことが分かっただろう。
では、先生についてはどうだろうか?
「なんでかはわからないけど、塾と学校の先生はなんだか違う気がする…。」
そう思っている人は多いはずだ。
塾の先生と学校の先生はどのように違っているのだろうか。
学習の相談相手として適切なのはどちらなのだろう。
この章では、先生に特化して両者の違いを見ていきたい。
学校の先生
高校では基本的に、ホームルーム担任の先生と各教科の先生、その他に生徒指導や進路指導の先生などもいる。
彼らは基本的に、君達と同じように学校で1日を過ごし、同じように行事に参加する。
授業ももちろん大切ではあるが、学級全体を取りまとめたり、生徒に深い共感を示してくれるような教師が人気を集めるのではないだろうか。
学校における先生というのは、生徒と近い距離で、かつ生徒が高校生活を過ごしていく上での鏡となるような人材が求められる。
学校の先生、とくに担任の先生は一年を通して家族と同じくらい君と長い時間を共にしているはずだ。
理解を示してくれる最も身近な大人の一人として、思うことがあれば担任の先生に相談するのが良いだろう。
塾の先生
塾の先生は、正式のその塾の社員となっている講師の先生と、アルバイトとして働いている先生がいる。
多くの場合、事務のみを行う先生と生徒に勉強を教える先生に分岐している。
学校ほど長い時間を過ごしていないのに、なぜか塾の先生と距離感が近いと感じたことはないだろうか。
その大きな原因としてあげられるのが、塾の先生の平均年齢の若さにある。
先ほども述べたように、塾ではアルバイトの先生を雇っていることが多い。
地元の大学生がアルバイトとして塾で働いているならば、親近感を覚え、勉強を教えてくれる先輩に近い形でかかわることもあるだろう。
また、大学生のアルバイトに限らず、塾の先生たちの目的は生徒の学力を本人が目指す目標まで引き上げることである。
学校とは違って明確な目的のために塾に通っているのだから、勉強法や今の学力に関して話す機会が多いかもしれない。
自分にはどのような勉強法があっているか相談をすることや学習計画を一緒に考えてもらうこともできるし、年齢の近いアルバイトの先生には先生自身の学生時代の受験経験について聞いてみることもできる。
このように、塾と学校には先生について違いがある。
学習をしていくにあたり、教えてくれる人というのは非常に重要であり、出会った先生によって自分の人生が変わることもあるのだ。
よって、この違いを意識しておくことは非常に重要である。
生徒の違い
一緒に学習する仲間によって、学習へのモチベーションが半減することもあれば倍増することもある。
学校の生徒と塾の生徒は、何が根本的に違うのか?
ここでは、学校と塾にいる生徒の違いを解説しよう。
学校の生徒
学校の生徒は、その学校を受験して合格して入学した生徒である。
多くの場合、塾よりも一学年の人数が多いが、同じメンバーで入学から卒業までの高校生活を共にするため、卒業までにある程度の人と面識があるようになっている。
たとえ苦手だと感じる生徒でも同じクラスや部活動に所属していればともに時間を過ごして関わりあっていかねばならないし、深いつながりが要求される。
学校では授業以外にさまざまな行事があるため、一致団結する機会が設けられており、生徒どうしで関わり合うことに一定の強制力が働く。
これが原因となってトラブルが起こることもあろうが、さまざまな人間とコミュニケーションをとっていくことで人間的に成長することができる。
ともに人として成長できる友人は、多くの場合学校で手に入れられる。
塾の生徒
塾の生徒どうしでは、少なくとも関わり合うために一定の強制力が働くということはないだろう。
自分が一人で勉強したいのであれば、一人することもでき、一緒にご飯を食べる友達が欲しのであれば、そんな友達を見つけることができるだろう。
しかし、塾に行くのが学力を上げるためであるならば、共通の目的のために塾に通っている同士と言えるのだ。
おなじフィールドでのライバルを見つけることで、学習への意欲は増すことだろう。
勉強を一緒に頑張り、争い合える仲間が欲しいなら、おなじ塾の生徒を探してみるのが良い。
まとめ
いかがであっただろうか。
以上がさまざまな観点から見た塾と学校の違いだ。
そもそもそれぞれの存在目的が違うからこそ、そこでの学習内容や巡り会う人も違うということがわかる。
これらの相違点を完全に理解することによって、学校と塾に明確な目的を持って通うことができる。
両立する生活にメリハリが生まれ、君は受験勉強のみに凝り固まった人間になることもなければ青春を謳歌したのみでなんだか物足りない学生生活を送ることになることもないだろう。
さあ、塾と学校の違いを知った上で、自分の生活を見つめ直してみよう。
きっとそれぞれに通いつづける意味が見出せるはずだ。
(celly 東京大学理科二類在学)