この記事を書いている頃はちょうど、受験生が秋の駿台の東大模試を受けている頃だ。
どうしてこの時期にこの記事を書いているかというと、模試の直後や模試の結果が返却された直後に、判定の悪さにメンタルを崩してしまう人があまりにも多いからだ。
しかし、実際今まで受験生を見て来た中で、AやB判定を取っていたにもかかわらず本番落ちてしまった人やE判定を取ったことがあっても合格してしまう人など様々いるのだ。
では、実際東大模試の判定はどこまで当てにして良いのか、どのように捉えていけば良いのかわからないという人も多いだろう。
そこで、東大模試の結果や判定をメンタルを崩すことなく最大限に活かすための解説とその方法をこの記事では解説していく。
この記事を読んで必要以上にメンタルを崩すことなく、必要なところを対策して上手に合格を勝ち取ろう。
<解説動画>
ぶっちゃけ判定の決め方はものすごく雑!
受験生の皆さんは、合格判定というのはかなり厳密に過去のデータを元に計算されていると持っているかもしれない。
しかし、これは大きな間違いである。
判定は偏差値をある階級(例えば60以上はA、55~60はB、50~55はCと言った具合だ。)に区分して、その区分に属しているものにその判定を与えているに過ぎない。
つまり、判定は合格確率とは全く依存していないのだ。
判定のベースとなっている偏差値は、簡単にいうと平均を50とした時に、そこからどれだけ離れているかという数値を表す。
なので、判定は合格確率とはあまり関係のないかなり大雑把な指標なのだ。
例えば、ある模試を例にE判定の人数を実際に計算した人がいる。(->参考:https://ameblo.jp/pipinee/entry-12194446137.html)
この記事によるとおよそ受験生の半分がE判定という驚きの数字がでている。
東大模試に関しては、駿台、河合の模試では、A, B, C, Dの4段階の判定が使われる。
だいたいC判定が偏差値50以上となっているので、約半数はD判定であるということがわかる。
つまりD判定でも上位の方にいれば合格する可能性は十分にあるのだ。
それくらい判定は大雑把に決められているのである。
合格確率を表すのは難しい
では、そもそもどうしてこのような大雑把な指標を使っているのかというと、合格確率というのをかなり正確に算出するのはかなりむずかしいのだ。
例えば、同じ模試の点数でも、英語と数学で多くの点を取っているのか、理科や社会などの選択科目で多くの点を取っているのかでは合格確率が違ってくる。
というのも、英数を得点源としていた場合、あとは本番までに理科社会などの選択科目を詰めればよいということになる。
理科や社会は比較的短期間で仕上がり伸び代もまだあるので合格確率は高いと言えよう。
しかし、この逆で理科や社会を得点源としていた場合、短い時間で英数を伸ばさなくてはならない。
英数は勉強量がかなり多く短期間で伸びるような科目ではないので、前者の方が合格確率は高いということになる。
また、数学なども必ず得点しないといけない問題を落とし、難しい整数の問題でたまたま閃いて問題が解けたのか、それとも得点すべき問題を取れていたのかでも合格確率は大きく変わってくる。
なぜならば、得点すべき問題が取れなていないと、難しい問題の閃き頼りになってしまい、本番安定して点が取れるとは限らないからだ。
通常我々が生徒の合格確率を判断する場合、模試の結果だけでなく、その答案も見て、どの科目でどこが取れているのか、本番は取れなかったが、後で見返せば取れそうだった問題はどれくらいあるかなど、非常に様々な要素から判断していく。
なので、合格確率を数字で理論的に表していくのはかなり難しいのだ。
そもそも東大模試は東大入試を模倣できているのか?
もう一つ抑えておいて欲しい点としては、東大模試はしっかりと東大入試を模倣できているのかというところである。
正直これは、各予備校のその教科ごとに結構バラバラなので、総合的に見てしっかりと模倣されている東大入試はない。
総合的に見ると一番似ている問題は河合の東大オープンだろう。
英語や国語でたまに、ん?これは?という問題はあるものの、総合的な難易度は一番似ているのでしっかりと実力がついていれば安定して点が取れるだろう。
駿台の東大実践は、受験者が一番多いという点ではある程度参考になるのだが、一番問題の作問が微妙である。
特に英語と国語はひどく、理系学生が普通は持っていないような社会学の知識が要求される問題なども平気で出してくる。
その割に論理構成は簡単な問題が多い。
これは、知識がなくともしっかりと論理的に考えられるかということが主旨の東大入試からみると本末転倒である。
ただ、理系の問題は難易度にばらつきはあるものの、よくできていると思われる。
東進の東大本番レベル模試は、英語に関しては河合や駿台と比べるとかなり上手にできている。
昨年度の問題形式だけでなく、想定される問題形式も計4回の中に豊富に取り入れているので、英語は信頼してよい。
国語もあの林修先生が作問していた、2015年第一回まではかなりよい出来だったのだが、それ以降は駿台同様あまりよくない問題がでている。
一番の問題は理系科目で、明らかに東大入試より難易度が高いというのが特徴で、かなり勉強が進んでいる人は取れるが、それ以外はボロボロになるだろう。
このように、予備校によって、この教科はよくできていたり、あの教科はひどかったりと完璧に模倣できているわけではないということを抑えておいて欲しい。
とはいえ、180度あてにならないというわけではないのでその点だけ注意が必要だ。
実際に何判定までなら受かるのか?
皆さんが気になるところとしては、実際にどの判定が取れていれば受かるのかどうかということである。
これは正直難しい。
先ほど述べたように、同じ得点、同じ偏差値でもどこを得点しているかによって変わってくるからだ。
また、筆者の知人にも実際に夏にE判定偏差値35を叩き出したが、現役で合格した人(->合格体験記:東大志望者必見!夏の東大模試偏差値35・E判定から大逆転合格体験記)や、オールA判定を取っていたのにもかかわらず本番失敗してしまい、0.04点差で落ちてしまった人などがいる。
基本的な目安として、まだC判定の人そしてD判定でも英数でしっかり得点できている人に関しては、まだ可能性があると思って大丈夫だ。
ただ、B判定以下の人は本番失敗する可能性を考えるとまだまだ安心できる領域ではない。
特にB判定の人は油断せず次はAを取る勢いで頑張って欲しい。
模試の後に一番大切なこと
結局のところ模試の後に一番気にすべき大切なことは点数や偏差値、判定ではないということである。
それよりも、どの問題で得点できて、どの問題を落としたのか、解く順番は妥当なものだったかなど、その点数に至った過程を分析することの方が100倍重要である。
まず、各問題を以下の4つに分類することが重要だ。
- 得点できた問題
- いつもなら得点できたが、問題の読み間違いや本番の急から得点できなかった問題
- 読み返せば得点できたが時間がなく解けなかった問題
- どう頑張っても解けない問題
この段階で、2, 3が少なく4が多くてCやD判定であれば今年の入試はかなり絶望的になる。
しかし、2, 3が多い場合はD判定でも本来の実力を発揮すれば得点することができるということになる。
秋の模試の時点で2, 3が得点できた場合の点数が合格最低点の-20点であればまだまだ可能性があるので十分頑張って欲しい。
そして、そのような人たちに取って一番大切なのがどうしたら2や3の問題を得点することができるのか考えてその対策を打つことである。
例えば数学や英語などは、難しい問題に時間を割いてしまうと、簡単な問題が解けなくなってしまい結果的に点数が低くなってしまうケースがある。
また、普段はない模試独特の緊張や焦りから問題を読み間違えたり普段ならわかる問題が解けなくなるといったケースもある。
このような問題が多くある場合は、そのための対策をするだけで本番の点数が大きく違ってくる。
必ず対策を行おう。
2, 3の問題を取るための対策法
先ほど説明した、時間がなかったり、緊張や焦りから普段なら解ける問題が解けないという問題をなくすための対策法をここでは解説する。
このための対策法は個別のケースによって適切な対策法が異なったり、人によっても向き不向きがある。
ここでは今まで筆者やその知人、生徒などが行ってきた対策法の一例を紹介するので、これらを参考に自分似合った対策法を決めて欲しい!
日頃の演習でプレッシャーをかける
2, 3の問題が多くなってしまった人の中には、「日頃は数学などは過去問を演習していると3問ほど完答するのに…」といったような思いがあるだろう。
程度の差はあるものの実際に模試になると緊張や焦りから実力が発揮されない生徒や受験生は非常に多い。
その人たちにオススメしたい勉強法は、日頃の演習でプレッシャーをかけるということだ。
例えば過去問を解く時に親御さんの目の前で解いてみるや、制限時間を10分短くするなどだ。
特に人が見えている目の前で解くのは普段よりはかなり緊張するので良い対策になる。
この時にの緊張度は普段よりはないものの、その1/4~1/2は緊張する。
この半分程度の緊張感のとき、自分が普段はしないどのような行動を取っていないか確認することのが重要だ。
例えば、文を読み飛ばしやすい、ペンを強く握りしめている、猫背になって視野が狭くなっているなどだ。
そして、その異常行動に気づいたら、できるだけそれを普段通りのものに直してみよう。
とにかくなんでもいいので、普段の過去問演習の時に平常時よりプレッシャーがかかる状態で取り組むというのが、秋以降重要になってくる。
ただし、この対策法はもう過去問演習が進んでいて、少なくとも10年分以上は過去問を解いてしまった人にのみ当てはまる。
まだ過去問に手をつけたばかりの人は、まずは普段通り解いて、問題の難易度に慣れよう。
体の力みを取る
心理学や身体科学の専門家ではないが、筆者は楽器の演奏もやっているので、緊張するとどうなるかというのは、一般的な人よりは感覚としてわかっている。
その中で意外と緊張するときに普段は力まない筋肉が力んだり、普段はできている姿勢がすぐ取れなかったりする。
つまりそれだけ心の状態が体の状態に与える影響は大きいのだ。
それとは逆に体の状態を変えることによって心の状態もかわることがある。
つまりどこの筋肉が力んでいるか、感覚的に気付きそれを緩めることで、緊張も幾分かほぐれたりする。
これは、模試や本番の入試にも当てはまる。
意外と模試でパフォーマンスが発揮できない人は、ペンを強く握っていたり、極端に猫背になっていたりと、普段とは違う状態に体がなっている。
ペンを強く握ると、文字がいつもよりも楽にかけなくなるので、自分の字の読み間違いや計算ミスにつながりやすい。
また、猫背になると視野が狭くなるので、必然的に文章も視野を広く持って読むことができなくなる。
なので、このような異常行動に気づいて、それを直してあげることで、身体的に問題が読みやすくなったり字が書きやすくなり幾分か緊張が軽減されるのだ。
また、呼吸が浅くなったり止まったりする人も多い。
よく深呼吸すると良いと言われているが、このときは息を吸うよりも息を吐く方を意識するとよい。
読み間違い防止対策法
よく模試になると問題を大量に読み間違えて惜しい減点が多くなる人がいる。
ただ、たいてい問題を大量に読み間違える人は普段から少なくとも数学の数年分に一度は読み間違えたりと、読み間違える癖のある人だ。
緊張はこのような普段の癖を何倍にも膨れ上がらせる。
なので、その癖を0にしておく必要があるのだ。
ここで意外と、問題に下線を弾いて聞かれていることに印をつけるよう癖づけるなどの泥臭い対策が聞いてくる。
筆者の場合は数学の問題の読み間違いが酷かった。
なので、自分で過去問を解く際は、問題を一度紙に清書してから解くようにしたら読み間違いが一気に減った。
書き写すことで、問題を丁寧に読む癖が着いたのだろう。
また、筆者の生徒の中に自分の字を読み間違えて計算ミスを起こす人がいた。
その子には、数学の答案を復習時に丁寧に清書するように伝えた。
そうすると、字を丁寧に書く感覚が染み付いて計算ミスも減っていった。
計算ミス防止対策法
計算ミスも模試になると多発するミスの一つだ。
ここで大切になってくるのが、検算である。
例えば方程式の解などは、代入し直して等式が成立しなければすぐに間違いだとわかる。
そのほかに関数に具体値を当てはめて妥当であるか検証したり、物理の場合だと次元が揃っているか確認するなどだ。
これを普段の演習から心がけ、どの場面でどういう検算をすれば答えが妥当かわかるのか常に考えながら演習している。
実は、成績上位に名前が乗るような人は、「答えが出た。」で終わるのではなく「答えが出たし、その答えは妥当だ。」と必ず答えの妥当性をチェックすることが癖づいているのだ。
このように、検算できるところは検算し尽くすなど、自分で答えの妥当性を確かめるチェックポイントを普段の演習で見つけ、癖づけておくようにしよう。
模試に近い環境で普段から演習する
結局のところ、模試に近い環境で普段から演習を重ねておくということに尽きる。
例えば普段の演習から数学の記述をきっちりと書いていない人は絶対模試で記述を正確にかけない。
化学の大きな桁の計算を電卓を使いながら演習しているようだと模試ではやはり計算ミスをしてしまう。
数学においても、検算をしたり、英作文でも必ず見直したりという泥臭い癖をしっかりつけておかないと、模試では決してできない。
なので、普段から模試で最高のパフォーマンスを出すためにやるべきことをやっているか必ずチェックしよう。
まとめ
以上が、東大模試の結果や判定をメンタルを崩すことなく最大限に活かすための解説とその方法についてだ。
結局のところ点数や偏差値、判定はそこまであてにしなくて良い。
体調などが極端に悪く、かなり酷い点数を取ってしまってもそれが実力というわけではない。
大事なことは、どの問題が取れてどれが取れなかったのか、取れなかった問題はどうして取れなかったのか、分析することである。
そして、その分析をもとにそれを克服するための、対策をとっていくことが必要だ。
まだまだ本番までは時間があるのでこの記事を見た受験生は是非とも頑張って欲しい。