京大英語でネックになってくるのが、第三問、第四問に出題される和文英訳、自由英作文だ。
特に和文英訳は東大をもしのいで日本の大学の中で一番難しい問題を毎年出題している。
長文読解は得意だが、この京大の英作文がどうしても苦手、なかなか上達しないという人が多いのではないだろうか?
この記事では、京大の和文英訳、自由英作文の対策をお勧めの参考書だけでなく、その使い方まで一気に解説する。
この対策法で、英語を得点源にして、京大英語を乗り切って行こう!
<解説動画>
英作文の対策を始める前に
まず、英作文の勉強は受験英語の中でも一番難易度の高い分野にあたる。
なので、そもそもの長文読解力や語彙力などの総合的な英語力がないと帰国子女や英会話を昔からやっていた人をのぞいて対策をしたところで効果はでない。
なので、まずは総合的な英語力をあげてから英作文の勉強をはじめよう。
具体的に述べると、まずセンターもしくは共通テストレベルの英語が安定して8割以上得点できないと話にならない。
欲をいえば、March以上の大学の長文問題が余裕で理解できるレベルにいるとなお良い。
参考書などでいうと、ハイパートレーニングlv3、ポレポレ、東進レベル別問題集lv5, 6などが読んで理解できるレベルだ。
京大に限らずだが、難関大学の英作文を始める前に必ず総合的な英語力をあげておこう。
英作文の鉄則は「1から文を作らない!」
まず、和文英訳だろうが自由英作文だろうが、1から文を作らないということが初心者にとっては非常に大切になる。
よく英作文が苦手な人がやりがちなのが、単語レベルで1から文を作ってしまうということだ。
書きたい日本語を思い浮かべて、それぞれの単語をそのまま機械的に英語に置き換えて英語の文型の語順に並び替えるといった具合だ。
これは中学生レベルの和文英訳であれば通用する。
なぜならば中学生レベルの人が解く和文英訳の日本語は英訳しやすいように作られているからだ。
中には日本語としてそもそも不自然なくらい機械的な日本語も問題にはある。
これらは、単語レベルで機械的に英語に置き換えてもまともな英語になるように日本語自体にも配慮がなされているのだ。
ただ、自由英作文を書くときに我々が考える日本語や京大が出題するようなゴリゴリに自然な日本語はどうだろうか?
日本語というのは非常に難しい言語なので、英語の和訳のように機械的に単語レベルで置き換えて訳せないのだ。
より自然な日本語になればなるほど機械的に訳した英語は不自然になる。
なので、まず1から文を作らないということが非常に重要である。
今まで聞いたことのある英語を利用する。
1から文を作らないのであればどのように英語を書くのかというと、今まで聞いたことのある英語を利用するということだ。
書きたい日本語を思い浮かべるのではなく、書きたい内容をイメージするのだ。
そして、そのイメージを表現するのに近い英語で今まで聞いたことのあるものを思い浮かべる。
最後にそのイメージにぴったり合うように単語を少しいじるのだ。
少し奇妙に思うかもしれないが、実はこれはアメリカ人が普通に英語を書くときや、日本人が皆日本語の文章を書くときに実は無意識のうちに行っていることなのだ。
要するに、アメリカ人が英語を書くように英語の文章を書けるようになるということが必要なのだ。
まずは、構文暗記
今まで聞いたことのある英語を英作文で使うには、そもそも聞いたことがあって実際にすぐに引き出せる英語が頭の中にストックされていないと話にならない。
なので、まずは英作文の練習よりも構文暗記が非常に大切になる。
この構文暗記に使うのがドラゴンイングリッシュという参考書だ。
このドラゴンイングリッシュには100個の構文が載っている。
この100個の構文を実際に一語一句紙に何も見ずに書けるようにするのだ。
暗唱できるだけではだめだ。
暗唱できても実際に書いてみると綴りが違ったり、ピリオッドやカンマの位置が違ったりということが起こる。
なので、100個全部紙に再現できるように構文を暗記しよう。
また、冒頭で述べた英作文を始める前にまずは総合的な英語力をあげようという内容もこの表現のストックにつながる。
上記で述べたレベルに達するほど英語を勉強して多くの表現に触れていないとそもそもストックがないので、たとえ100個の構文を覚えたとしても、英作文が書けるようにはならない。
100個と聞くと多いように見えるが、一言語から文章を自分で構築するにはとても少なすぎる。
なので、総合的な英語力があった上で100個の構文を暗記するということをしないと効果がないのだ。
構文の次は自由英作文の対策
普通に人は和文英訳の方が自由英作文よりも簡単だと思うかもしれない。
しかし、これは中学レベルの和文英訳の話だ。
京大レベルのゴリゴリの日本語の和文英訳はどんな自由英作文よりも難しい。
自由英作文は文字通り自由で、題材に縛りはあるもののどんな英語を書いても基本的に問題の条件にあっていれば問題ない。
しかし、和文英訳では、ゴリゴリの日本語を表現するのにぴったりの英語の表現を探し当てないといけないので、表現のストックがかなり必要だ。
なので、まず最初に自由英作文の対策から始めていく。
自由英作文が何不自由なく書けるようになってから和文英訳の対策を始めていく方が良い。
この自由英作文の対策に使う問題集は基本的になんでも良いが、オススメがキムタツライティング&グラマーである。
これはもともと、東大英語の英作文と文法問題で、前半部分が英作文、後半が文法問題となっている。
この問題集の前半部分を使って自由英作文対策を行っていく。
この問題集の良いところは一つの問題に、複数個模範解答が載っているということだ。
英作文の対策で重要になってくるところは自分の答案の添削と模範解答の暗記である。
この模範解答の暗記は、自分の表現のストックを増やす上で重要な役割を担う。
模範解答が複数個あるということはそれだけ一つの問題から得られる表現が多いのである。
キムタツライティング&グラマーは一つの問題につき必ず3つ以上は模範解答が載っているので大変参考になるのだ。
また、添削はしてもらうものの模範解答の暗記をしない人たちが多いのではないだろうか?
先ほども述べたとおり英作文は、自分が実際に文字にできる英語の表現がいかに多いかによって出来不出来が決まってくる。
このストックなしにそもそも自分で文を作るとまず自然な英語には絶対にならない。
ストックが少なすぎても、様々な題材が出題される大学入試の英作文にも対応できない。
なので、英作文の問題に触れる際は必ずプロの書いた模範解答を暗記しよう。
また、英作文の対策をする上でもう一つ重要なことがある。
それは、必ずプロの講師に添削してもらうことだ。
プロの講師とはネイティブと同等の英語力を持つ人で海外での生活経験がある人が望ましい。
学校の英語の先生でもよい。
自分で書いた英語がどこまで正しいのかというのは最初のうちはなかなか判断がつかない。
なので英作文の対策は独学では行えないのだ。
学校の先生や塾の先生でもよいので必ず誰かプロの英語の講師に添削してもらうことを強くお勧めする。
いよいよ過去問で和文英訳の練習
自由英作文がある程度書けるようになり、致命的な文法エラーがなくなったら、いよいよ和文英訳の練習を始める準備が整った。
京大の和文英訳の対策で使うのは京大の過去問そのものだ。
京大英語25カ年という問題集があり、京大の過去問が25年分収録されている。
京大を受けるのであれば是非とも全ての問題を制覇しておいきたいところである。
この問題集を使って京大の25年分の和文英訳をマスターしていく。
対策方法は自由英作文のときと変わらず自分で解いた答案の添削と模範解答の暗記である。
また、自分で解く時に注意してほしいのが、先ほども述べたかもしらないが決して日本語を機械的に英訳しないことである。
京大の和文英訳の問題文(日本語)はゴリゴリの日本語なので、機械的に訳したところで変な英語しかできない。
しっかり一つ一つの日本語の文が何を意味するのか、具体的にイメージして、そのイメージを表現するのに適切な英語の構文などのフレーズを選ぶようにしよう。
さらなる自由英作文の対策
京大では、2015年までは英作文の問題は和文英訳二問で自由英作文は一切出題されなかった。
しかし、2016年以降、和文英訳一問と自由英作文一問というスタイルに切り替わった。
なので、自由英作文もしっかりと対策しなければならない。
先ほど紹介したキムタツライティングだけでは少しもの足りないと感じる人も多いだろう。
そんな人にお勧めなのが東大の英作文の問題である。
東大の英作文の問題はバリエーションも多く、自由度もかなり広く語数の指定も近い。
なので、京大の自由英作文の対策をするにはもってこいなのだ。
東大も京大と同様東大英語27カ年という過去問を27年分収録した問題集が販売されているので、こちらを使っていくと良い。
英作文の模範解答も必ず2つは載っているのでしっかり暗記して自分の表現に付け加えよう。
間違いを減らすために
最後に英作文でネックになるのが間違いである。
どうしても時間を計っているというプレッシャーの中で文章を書くので誰しも最初はうっかりミスなどの間違いが多発してしまう。
そのために間違いを減らす対策方法と皆が間違えやすいポイントを紹介しておく。
間違い防止の対策法
間違いを防止するために一番良いのは自分の文章を書き終えたら必ず見直しをするということだ。
長文を読むというよりは、長文中の下線部の和訳問題を読むくらい丁寧にゆっくり音を頭の中に思い浮かべて読むことが一番重要だ。
しっかりと表現のストックがありある程度長文などで音読の練習をしている人であれば、英語の発音でまず間違いに対して違和感を感じることができる。
違和感を感じる部分さえわかればあとは文法的知識からどうして間違っているのか考えたり、直し方がわからなければそれ以上に自信のある表現に変えてしまえば良い。
英作文においてはとにかく減点リスクを下げることが最優先なので、少しでも自信のない表現や見直しで違和感を感じた表現は100%間違っているという確証がなくとも変えてしまうのが良いだろう。
また、見直しは時間の無駄になる、試験時間がなくなってしまうという生徒も中にはいる。
しかし、改めて考えてみるとたかが50~100語程度の英文を読むなど少し遅めに読んだとしても1分もかからない。
なので、必ず自分の英作文を書き終えたらもう一度自分で見直しをしよう。
皆が間違えやすいポイント①動詞
最後に長年受験生をみてきてみんなが間違いやすいポイントを一挙紹介していく。
一番多いのが動詞周りの間違いだ。
例えば三単現のsを忘れるというのもかなり多い。
これは中学生で学ぶような知識だが、いざ自分で文章を書くとどうしても書き忘れてしまう。
これも僕などは読めば一発で違和感を感じる。
普段の英文の音読で細かいsの発音なども気をつけて音読しておけば僕のように三単現にsがついていないとすぐに違和感を感じることができる。
また、その動詞にあった使い方がされていない場合も多い。
例えば自動詞なのに目的語をつけたり、exciteやremindなどの原形が日本語の使役形になる動詞の主語が不適切だったりという間違いが多い。
動詞は多種多様で単語によって機能が異なる。
このようなミスを防ぐには、ミスをするたびに必ず辞書を引いて一つ一つの単語の意味や使い方をチェックしておくことが重要である。
皆が間違えやすいポイント②aやtheの使い方
この冠詞の使い方も日本人が英語のライティングにおいて苦労するポイントの一つである。
冠詞の使い方も多くのルールがあり、これらを全て意識してライティングするのは難しい。
なので以下の二つのルールをしっかり抑えておいて、あとはその都度使い方を覚えていけば良い。
そのルールは以下の通りだ。
- 可算名詞の単数形には必ずaかtheの定冠詞をつけること。
- 具体的に一つに決まっているものはtheをつけて、決まっていないものはaをつけるということ。
2は少しわかりにくいと思うので、説明すると、例えば絵を見てその絵を表現する英語を書くという問題がある。
その中に母親の絵が書いてあればその母親は、その絵の中の母親一つに決まるのでthe motherとする。
一般的に母親という人について議論する場合は誰でもいいがある一人の母親ということになる。
よってa motherとなる。
この二つのルールを抑えておいてあとはケースバイケースで間違って添削される度に、用法を覚えていけば良い。
例えばインターネットの前には必ずthe をつけてthe Internetとしなければならないなどだ。
皆が間違えやすいポイント③時制
時制も英作文においては非常に難しいポイントだ。
日本語で「~した」と書かれていたら、過去形にするのが良いのか、現在完了形にするのがよいのか、はたまた過去完了形にするのが良いのか、最初のうちは迷うだろう。
自由英作文では、それぞれの問題の形ごとに使い分けがあるので、演習を積み重ねる過程でなれていけばよい。
問題は和文英訳だ。
通常、現在完了形や過去完了形の和文英訳はその用法を使うように明示してある日本語になっている。
その代わり少し不自然な日本語になっていることが多い。
だが、京大の和文英訳の場合ごく自然な文章となっている。
なので、同じ日本語でもどのように英語で表現するかによって、時制も異なってくる場合が多い。
これも先ほど和文英訳対策で述べた通り、その日本語が表していることはどういうことなのかよくイメージして、そのイメージを英語に置き換えた時に自然な時制を選ぶのが良い。
まとめ
以上が、京大英作文、和文英訳の対策法である。
まずは、英語を自分で勝手に作るのではなく、聞いたことのある英語を自分の中から選んで書くということができるようになるのが必須である。
このラインがある程度クリアーできたら問題演習の模範解答を覚える過程で様々な表現を自分の中に蓄積していけば良い。
この2点を徹底して、25年ほど過去問演習をすれば必ず和文英訳で点数を獲得することができる。