大学に進学すると必ず1、2年生のうちに英語とそれ以外の第二外国語という言語を履修しなければいけない。
これは、東大も例外ではない。
特に東大では、第二外国語の選択が1、2年生の大学生活に大きく影響してくる。
なぜならば、第二外国語でクラスも決まってしまうからだ。
第二外国語は合格後すぐに決めなければいけないので、東大生の先輩などに会って話を聞く暇もないのだ。
なので、今回は東大でどの第二外国語をとろうか迷っている人にそれぞれの第二外国語の特徴やクラスの雰囲気、第二外国語を選ぶときの注意点などについて、現役東大生が解説していく。
この記事を読んで、自分の理想の東大生としての大学生活をつかもう。
東大の第二外国語
そもそも東大には、どのような第二外国語が選択可能かについて解説していく。
東大では、第二外国語として以下の7つの言語が選択可能である。
- ドイツ語
- 中国語
- フランス語
- スペイン語
- ロシア語
- 韓国朝鮮語
- イタリア語
それぞれの言語の割合としては、
- スペイン語:29%
- 中国語:22%
- フランス語:21%
- ドイツ語:17%
- イタリア語:5%
- ロシア語:5%
- 韓国朝鮮語:1%
となっており、スペイン語、中国語、フランス語、ドイツ語が人気である。
その他のイタリア語、ロシア語、韓国朝鮮語はかなりマイナーな言語だ。
第二外国語はいつ決めるの?
第二外国語の選択は、合格発表の直後にすぐに行われる入学手続きの時点で決める。
というのも、第二外国語によってクラス分けがなされるので、東大側としては、早急に第二外国語を入学者に決めさせてクラス分けしたいのである。
なので、東大の数多くの先輩からアドバイスを聞いたりする時間は全くない。
特に地方出身の合格者は知り合いにそもそも東大の先輩がいないなどでまったくアドバイスがもらえないのだ。
また、第二外国語でクラス分けがされるということは、クラスの雰囲気もそこで決まってしまうのだ。
汚い話しにはなるが、女子率や単位のとりやすさ、優の取りやすさなどが言語によってかなり異なってくる。
なので、合格する前からある程度第二外国語のそれぞれの特徴やどの二外が良いかある程度絞っておくことが必要である。
第二外国語の特徴、クラスの雰囲気
それでは、お待ちかねのそれぞれの第二外国語の特徴やクラスの雰囲気について解説していく。
スペイン語
先ほども紹介した通り一番履修者の多い第二外国語だ。
理由としては、言語の導入が他に比べて簡単である、中国語、英語、ヒンディー語に次いでネイティブスピーカーが多いなどがあげられる。
一番のポイントは導入が簡単であるというところだろう。
これは、まずスペイン語の文字は我々がよく使っているアルファベットがほとんどであるからだ。
チルダーなどがつくものもあるが、基本的に英語のアルファベットを知っていればほとんどこれらで対応できる。
後ほど紹介するが、言語によっては最初に全く馴染みのない文字を覚えることを強いられるものがある。
最もよい例がロシア語である。
筆者は実はスペイン語の履修者だったのだが、仲の良い高校同期がロシア語のキリル文字の暗記に苦しんでいたのをよく覚えている。
それに比べたら、数個新たに覚えるだけで文字がクリアーできてしまうので非常に楽だった。
また、発音が文字の綴りでかなり規則的に決まる(ほとんどローマ字の読みに近い)というのも大きな側面だ。
中国語などは、まず四声という発音を身につけるところから始まる。
中国語選択者は最初にこの四声にかなり苦しめられる。
それに比べたら、綴りで自動的に発音が決まり、英語やローマ字にない発音も数個だけであるのでロシア語や中国語に比べたらかなり導入が楽なのだ。
また、文法も他の言語と比べてそこまで複雑ではない。
このように、スペイン語は他の選択可能な言語に比べて(特に導入が)簡単なのだ。
しかし、そんなに都合の良いことばかりでもない。
導入が楽ということは、進度がかなり早いということだ。
ほんの1ヶ月間で中学校2年生の英語でやるような長文を読まされる。
「中学校2年生の英文って簡単じゃん」とか思うかもしれないが、習得して1ヶ月の言語では想像以上に難しい。
そして、冬学期には普通にスペイン語の映画を見なければいけない。
なので、少しサボると全くついていけなくなる。
また、スペイン語は毎回の授業で小テストを行うのが恒例だ。(進度が早く落ちこぼれを増やさないためなのかもしれない。)
しかも、この小テストかなり成績に響いてくる。
なので、毎回の授業でしっかり予習復習をすることが大切である。
スペイン語のクラスの雰囲気
スペイン語のクラスの雰囲気は、一言で言うとチャラくて、キラキラ系が多い。
悪く言うと不真面目な人が多いということである。
もともと言語の導入が簡単という性質上、そんなに第二外国語に力を入れて勉強したくないという人が集まってくる印象だ。
特に理科二類のスペイン語選択者(通称:理二スペ)はこの特色が色濃く出ている。
また、成績はその授業を一緒に履修している人たちとの相対評価できまるため、その中で頑張れば良い成績が取りやすい。
通常授業はクラス単位または、複数のクラス(同じ二外のクラスであることが多い)で受けることが多いため、不真面目な人が多いスペイン語選択クラスでは、相対的に良い成績が獲得しやすいのだ。
たまたまスペイン語選択者の多い授業を受けることになったロシア語選択者の友達が、その授業だけ特に力を入れたわけでもないのに、やたら成績が良かったと言っていた。
これはあまり有名ではないが、個人的には努力次第では一番良い成績がとりやすい言語だと思っている。
また、女子率も東大のクラスの中では多い方だ。
理科一類のドイツ語や中国語選択のクラスは女子がいて1~3人、下手をすると全く女子のいないクラス(通称:男クラ)もある。
しかし、我々のクラスには女子が7人いた。
これは東大の中では女子が多いクラスになる。
このように、スペイン語は毎回の小テストさえサボらなければかなりオススメの言語である。
中国語
スペイン語に次いで2番目に選択者の多いのが中国語だ。
中国語は現在、世界で最もネイティブスピーカーが多く、その実用性から中国語選ぶ人もいる。
ただ、先ほども紹介したとおり、最初に発音というかなり大きな壁がある。
四声という発音がかなり難しい。
aという発音でも音の高低の変化の種類などで4つのaが存在するのだ。
これらが違うだけで全く別の単語になってしまうので、この四声が綺麗に発音できなおかつ聞き取れなければならない。
だが、基本的に苦しんではいたものの友達などの様子を見る限り真面目に勉強していれば悲惨な成績になるということはないので安心してほしい。
中国語のクラスの雰囲気
中国語のクラスはいたって平均的な東大生が集まるという印象だ。
スペイン語ほどチャラくなく、フランス語ほどキラキラしておらず、かといってロシア語ほど変人や二外ガチ勢が多い分けでもない。
また、女子率も平均するとだいたい1クラス3~4人と、スペイン語、フランス語ほど多くなく、理一のドイツ語ほど少なくはない。
このように、特徴としては至って平均的で真面目な人が多い。
フランス語
フランス語は、おしゃれといった印象がもたれやすい言語だ。
そのせいか、最も女子率が多い言語として有名だ。
なので、おしゃれなフランス語を学びたい、もしくは、女子が多い環境のほうが安心といった女子、女子がたくさんいて恋愛面でも楽しみたいという男子が集まりやすい。
しかし、デメリットとしてはスペイン語ほど文法や活用、発音などが簡単ではないということだ。
とはいえ、中国語やロシア語ほどハードルが高いわけではない。
また、筆者はオーケストラを部活でやっているのだが、楽譜は通常イタリア語でかかれている。
しかし、フランス音楽の楽譜にもなるとフランス語での指示も多くなってくる。
ラヴェルやドビュッシーなどのフランス音楽が好きでフランス語を履修したという真面目な人も少数であるがオーケストラの部員にはいた。
このように、音楽や芸術などの文化的な側面から二外を選択するのも良い方法である。
フランス語のクラスの雰囲気
フランス語のクラスの特徴として一番取り上げられるのはそのキラキラ度だ。
女子が多いため、キラキラ東大女子やイケイケ東大男子たちが多い。
特に文三のフランス語のクラスはそもそも人数が1クラス13人と東大のなかでダントツの女子率をほこっている。
また、その女子たちを見ても圧倒的にキラキラした東大女子が多い。
女子率の少ない東大において、クラスの女子率というものは人によってはかなり大事な側面になってくる。
ちょっと汚い動機だとおもわれるかもしれないが、クラスの女子率によってかなり1、2年の大学生活が左右されるので女子率を動機で二外を選ぶことはある程度良いこと個人的には思う。
ただ、理系などはクラスによってはスペイン語とそう女子率が変わらないクラスもあるので、フランス語とスペイン語で迷っていたら、スペイン語の方がオススメだ。
ドイツ語
ドイツ語は文法規則がかなり厳格に守られる言語だ。
また、様々な分野における古典はドイツ語でかかれていることが多い。
このような点からかなり真面目な人が集まりやすい。
ひとことでいうと「イカ東」の多い言語だ。
ドイツ語の最も難しいところは、文法だ。
英語のように、例外が少なく緻密に文法が守られているため、文法規則がかなり細かいのだ。
また、文の語順などはバラバラで、単語の形でその単語の役割が決められるため、文法規則をしっかり覚えないと文が読めない。
このように、ドイツ語はかなり文法習得のハードルが高い言語になっている。
フランス語でものべたが、自分の周りにいたオーケストラの部員のなかには、ドイツ音楽に興味があるいという理由でドイツ語を選択しているものもいた。
特にドイツの後期ロマン派の作品の楽譜にはドイツ語の指示が多い。(リヒャルト=シュトラウスやマーラーなど)
ドイツ語を選択すれば、これらの楽譜の読解に実際に役に立つのかもしれない。
ドイツ語のクラスの雰囲気
ドイツ語のクラスの雰囲気はフランス語やスペイン語とは対照的である。
先ほども紹介したと通り、キラキラしたフランス語やチャラいスペイン語とは逆に真面目な人が多い。
また、女子率も一番少ない言語といわれている。
特に理科一類のドイツ語クラスは30人クラスで0~2人である。
下手をしたら男子だけのクラス(男クラ)になってしまう可能性もある。
なので、楽をして二外を習得したい、二外にあまり時間を割きたくないという人は、他の言語を選んだ方がよい。
また、スペイン語でも話した通り、成績にも関わってくる。
ドイツ語選択者には、数学や物理のガチ勢が集まりやすい。
なので、ドイツ語の授業を含め相対的に良い成績がとりにくいのではないかと思う。
ロシア語
ロシア語は、先ほど紹介した4つの言語に比べて、圧倒的に選択者が少なくマニアックな第二外国語だ。
なので、東大の中でも一風変わった人やキャラが濃い人が集まり安いのが特徴である。
ロシア語の授業自体は最初はキリル文字という見慣れない形ののロシア語の文字を覚えるところから始まる。
ただでさえ異質な文字が多いのに、英語のアルファベットに似ているが発音が全く違うものも存在して、キリル文字の習得は相当苦労するそうだ。
ロシア語のクラスの雰囲気
ロシア語は他の言語に比べてちょっと変わった人たちが多いといった印象だ。
いわゆるオタクっぽい人たちも多い。
また、文系はロシア語選択で70人くらいの一つのクラスを形勢する。
なので、通称文ロシなどといわれていて結束力が非常に強い。
イタリア語
イタリア語もロシア語と同じく少数派の言語だ。
しかし、雰囲気はロシア語と異なりよく言われているのは、「スペイン語のチャラさが薄れた感じ」だ。
イタリア語の選択者が少ないのは、イタリア語は東大の中で最も新しい第二外国語だからだ。
言語自体も、同じラテン系のスペイン語と非常に似ており、発音に至っては、巻き舌意外ローマ字読みで読めてしまう。
スペイン語同様単位をとるのが簡単だと言われている。
また、音楽への興味からイタリア語を選んだ人が多い。
基本的にイタリア語は楽譜で最も使われる言語だからだ。
イタリア語のクラスの雰囲気
先ほども説明した通り、チャラさを抜いたスペイン語という特徴がある。
なので、クラスメイト同士も仲がよくクラコンやクラス旅行が頻繁にあるそうだ。
また、女子もスペイン語やフランス語には劣るものの、ドイツ語や中国語ほど少なくはない。
ちょっとウェイ系が苦手だが真面目なのも嫌だ、楽に単位はとりたいが、チャラいのは苦手という人にはオススメの言語である。
韓国朝鮮語
韓国朝鮮語は、最初にご紹介した各言語の選択者の割合から見れば分かる通り、一番選択者の少ない言語だ。
正直筆者も韓国朝鮮語の選択者の知り合いを一人も知らない。
文系で20人程度、理系で15人程度しかいないと言われている。
選択理由もあえてこのマイナーな言語を選ぶくらいなので、「親戚が韓国人」、「K-POPが好きで!」といったように、韓国自体への興味というのがほとんどだ。
韓国朝鮮語自体は、ハングル文字という新しい文字を覚えなければいけないというハードルはあるが、語順が日本語と似ており、比較的習得が簡単な言語だと聞いてる。
韓国朝鮮語のクラスの雰囲気
韓国朝鮮語のクラスは、先ほども述べた通り、韓国自体に憧れや興味を持っている人たちが多い。
また、圧倒的少数クラスということもあり、クラスの仲は深まりやすいそうだ。
あまり知られていないことだが、K-POPファンの女子が多く、クラスの1/3が女子という、東大の中ではかなり高い女子率を誇る。
前期教養学部を経験した現役東大生が教える第二外国語の選び方
最後に、前期教養学部をスペイン語選択で学んだ筆者が、第二外国語の選び方、選ぶときに指標にすべきポイントについてアドバイスしていく。
ある言語、国、文化に強い興味がある人
まず、特定の言語、国、やその文化に対して強い興味がある人は迷わずその言語を選ぼう。
例えばフランス文学に強い興味があり、後期も文学部でフランス文学の勉強をしたいと言う人は、もちろんフランス語を選択したほうがよい。
また、ロシアの歴史に興味があるという人も、ロシア語を選択したほうがよい。
純粋な興味は、強いモチベーションとなるので、これに従った方が後々後悔しないで済む。
特に、後期課程で明確な目標、研究対象などがあり、なおかつそこで特定の言語を習得しておくことが、有効であると考えられる場合は、迷わずその言語を選ぶようにしよう。
実際のところ言語間で単位の取りやすさ差はあまり変わらない!
各言語を紹介した際に、それぞれ「◯◯が難しい」「◯◯が簡単だ」と解説した。
確かに、言語間での難易度の差はあるが、これがそのまま単位をとる難易度に必ずしも直結しているとは限らない。
例えば、スペイン語であればロシア語は中国語のように、文字や発音に時間がかからない分、すぐに文法の勉強が始まり、最終的にそこそこ長い長文を読まされるようになる。
このように、難易度が低い言語はおのずと難易度が高い言語に比べて進度が早い。
なので、単位の取りやすさはそこまで変わらないのではないかと思う。
さらに、クラス内での相対評価であること、評価をつける教授が様々であることを考えると、単位の取りやすさは言語できまるというより、周りの人がどれだけ勉強するか、先生がどのように評価をつけるかかかっている。
どの教授に当たるかに関しては、完全に運なので、「ロシア語に興味はあるけど、難しそうで不安」という人はそこまで心配しなくて大丈夫だ。
自分の興味のある言語にいくのが一番なので、安心して自分の興味のある言語を選ぶと良い。
第二外国語の勉強そのものに興味がない人
これは、理系に多いのだが、第二外国語にそもそも興味がなく、他の勉強がしたいので、そこまで時間をとられたくないという人は、クラスの雰囲気で選ぶのがよい。
例えば、筆者はあまり真面目でお堅い雰囲気を好まず楽しくワイワイやっていたい人間なので、スペイン語を選んだ。
実際クラスの雰囲気は、かなり自分に合っており、楽しく前期教養過程をすごせた。
逆の筆者の弟は、スペイン語のようなチャラい集団をあまり好まなかったが、そこまで言語に時間をかけたくないという人だった。
なので、あえてスペイン語と同様に文法も導入も簡単なイタリア語を選んだ。
このように、第二外国語にあまり興味がなく、時間をとられたくないという人は、言語の難易度や、クラスの雰囲気を指標に選ぶとよい。
将来役立つものを選ぼうとおもっている人
将来役立つ言語を…と思っている人は少し考え直した方がよい。
というのも、例えば中国語が将来役立ちそうだからと思って中国語を選ぼうと思っている人は少し考えてみて欲しい。
たかが、1年、1年半くらい中国語を学んだだけで、中国語が将来役人立つレベルまで使えるようになる訳がない。
筆者はもう後期過程の4年になるが、はっきり言って、前期過程の言語など何もしないと半年足らずで忘れてしまう。
なので、前期過程の授業だけで将来使えるレベルには持っていけないということは重々分かってほしい。
本気で将来使おうと思っているのであれば、前期過程の第二外国語の授業が終わってもそれらを勉強し続けることが必要だ。
まとめ
以上が、東大の第二外国語のそれぞれの特徴、クラスの雰囲気と、どのように第二外国語を選べば良いかのアドバイスだ。
もちろん、1東大生の意見なので、参考までに止めてほしいが、特に回りに東大生がいない地方の人などは大いに参考になるだろう。
第二外国語は合格発表後すぐに決めなければいけないので、もし合格してすぐに決めなければいけない人は、ぜひこの記事を参考にしよう。