高校生、受験生の皆さんは、地方からは東大は合格しにくいという話は一度は聞いたことがあるのではないだろうか?
以下のデータは都道府県別東大合格者数ランキングを最下位から昇順に並べたものだ。
- 47.滋賀県
- 46.沖縄県
- 45.鳥取県
- 44.徳島
- 43.島根
- 42.高知
- 41.青森
- 40.山形
- 39.岩手
- 37佐賀
- 37.秋田
このように、合格者だけでみても最下位にくるのは地方の都道府県だ。
そして合格者数一位はもちろん東京都である。
では、どうしてこのような差が生まれるのだろうか?
地方出身の東大志望者はいったいどのように対策していけばよいのだろうか?
実は、この記事を書いている私も岐阜県出身の東大生で、東大合格者は毎年20人程度と決して多くはない。
しかし、私は岐阜県の中では東大模試では理系1位か2位を取り続け、合格者平均点+20点という高得点で合格している。
実は、地方出身者でも計画的に対策すれば東大合格は十分可能なのである。
この記事では、どうして地方からは東大合格は難しいのか、地方出身の東大志望者はどのように対策していけば合格することができるのかについて解説していく。
地方出身で東大志望の高校1、2年生はぜひともこの記事を読んで今後の対策に役立てよう。
地方からでは東大へ合格しにくい?
先ほどのデータをみていただけたら、いかに地方から東大合格が難しいかということがわかっただろう。
そこで、この章では、地方の高校、塾を経験してきた私が分析した、地方から東大合格者が少ない原因を3つご紹介する。
原因を知ることは対策においては非常に重要なので、ぜひおさえておこう。
地方の進学校のカリキュラムが遅い
東大合格者が地方の都道府県から少なくなってしまう最大の原因がこれだ。
地方の進学校のカリキュラムは東大合格者を数多く出している有名中高一貫校(灘、筑駒、開成、桜蔭など)と比べてカリキュラムが圧倒的に遅いのだ。
以下に示すのは私の通っていた進学校の数学のカリキュラムとと某有名中高一貫校のカリキュラムだ。
私の高校
高1:数1A + 数2の一部
高2:数2B続き + 数3一部
高3:数3が終了するのが7月で夏休み以降入試対策
某有名中高一貫校
中1、2:中学数学を終わらせる
中3:数1A
高1:数2B
高2:数3
高3:丸々入試対策
このように、私の学校はカリキュラムでは、入試対策が半年ほどしかできないのに対して、有名中高一貫校では丸々1年もかけて入試対策を行うことができる。
東大数学で合格ラインギリギリを狙うのに必要な対策期間としては半年できギリギリ足りるか足りないかというところだが、1年もかけられる某有名中高一貫校は場合によっては東大数学でかなり高得点を取ることができる。
また、理科などの他の科目についても、私の学校では11月ごろまで範囲が終わらなかったが、有名中高一貫高校は高2で全ての範囲を終わらせてしまうところが多いようだ。
私の通っていた進学校は地方の中では上位に入る進学校なので、その他のほとんどの地方進学校がこのカリキュラムより遅いことになる。
それでは、到底東大の入試対策を十分行う時間を確保することができない。
実は、地方の進学校にいる東大志望者のほとんどはこの対策遅れが原因で不合格になってしまう。ほとんどの地方進学校の東大志望者は、センターを終えてから本格的な過去問演習を始めてしまう。
そうなると当然、過去問演習を1年前から始めている中高一貫校の高校生の方が有利になる。
このように、地方の進学校のカリキュラムによって本来東大に合格する地頭は持っているにも関わらず、対策遅れになってしまって不合格になってしまうケースが非常に多い。
これが、地方進学校から東大合格者が少なくなってしまう最大の原因だ。
地方の進学校で東大受験のノウハウを持った先生が少ない
地方の進学校では東大受験の専門的なノウハウを持った先生が少ないというのも原因の一つだ。
どうしても、東大受験については東大かもしくはそれと同様のレベルの京都大学出身の先生でないと、適切なアドバイスをすることができない。
私の学校には東大出身の化学の先生が一人と京大出身の数学の先生が一人いるだけだった。
出身大学で教師の実力を決めつけるのはよくないのかもしれないが、そのレベルの入試を経験し、合格したものだからこそ言えるアドバイスというものはかなり有益なのだ。
また、有名中高一貫校は当然過去の合格者も多いので、中高一貫校の教員は多くの合格者のサンプルを持っていることになる。
しかし、地方の高校だと東大合格者が毎年一人出るか出ないかというとこも多く、そのようなところは教員の合格者サンプル自体も少ないのでますます有益なアドバイスがだしにくくなる。
さらに、直前期などで学校の先生に添削を依頼する場合、そもそも学校の先生に東大入試の添削ができる能力があるのかどうかという部分でも大きな差が生まれる。
幸い私の高校の数学と英語の教員はかなり細かく添削してくださったが、そのような能力の高い教員が全ての地方進学校にいるとは限らない。
英作文や数学の記述答案の書き方などを事細かに指導してくれる教員がいるかいないかで大きな違いになる。
このように、しっかりと東大受験のノウハウを持った教員が地方進学校には少ないのである。
その結果適切なアドバイスが受けられなかったり、添削指導が受けられなかったりしてどうしても有名中高一貫校に比べて不利になってしまう。
東大受験のノウハウを持った塾や塾講師が少ない
東大受験のノウハウを持った高校教員も少なければ、当然そのような塾や塾講師も地方では少ないということになる。
東大志望者にとって最良の塾講師となりうるのは、東大に合格した現役東大生自身である。
彼らは、もちろん東京都周辺に住んでいるため東大生から直接指導が受けられる東京都近辺の東大志望者は東大受験にかなり有利であるといえるだろう。
最近では東進やスタディーサプリといった映像の授業が流行っており、地方の人でも気軽にハイレベルな授業を受けることができる。
しかしその授業ではその教科一つのことしか教えていくれない。
たしかに教科一つ一つの指導も重要なのであるが、もっと大事などの時期にどれくらいの割合でどの科目をやるのかという教科のバランスについての指導も同じくらい重要である。
特に東大となると科目数が多く配点、対策にかかる時間、自分の今の力量などを考慮した上でバランスを考えていかなければならない。
そんな時に総合的にコメントをするのは地方中堅クラスの大学のチューターたちである。
さすがに、そのレベルでは東大志望者に適切なアドバイスができるとは到底思えない。
このように、東大受験のノウハウをしっかりと提供できる塾も少ないというのが地方の現状である。
これも東大合格者が地方から少なくなってしまう要因の一つとなっているのだ。
地方進学校の東大志望者がやるべき東大受験の対策法
これで地方の進学校からどうして東大合格者が非常に少なくなってしまうのかということがわかっただろう。
そこで、ここでは地方進学校の東大志望者がすぐにでも取り組むべき、東大受験の勉強対策について解説していく。
自分ができていないことがあればこれを読んだ瞬間すぐに実践しよう。
先取りで有名中高一貫校のカリキュラムに追いつく!
さきほど、地方進学校のカリキュラムの遅さが、東大合格者が少なくなる最大の原因だと述べた。
これは、地方の進学校に入学してしまった宿命で、どうしようもない。
なので、自分で独学で先取りしていくしかないのだ。
特に数学、理科は高2の終わりの時点で全ての範囲が終了していることが望ましい。
学校のペースにつきあっていては、到底この目標はクリアーできない。
なので、高2の終わりまでになんとか数学と理科が全範囲終了することを目標に頑張って欲しい。
このデッドラインがきついという人は最低でも夏休みに入る前の7月には全範囲を終えているべきだ。
先取りの方法としては、主に教科書をしっかり読んだのちに、簡単な問題からどんどん解いて理解を定着させていくことだ。
数学に関しては、学校で配られている4stepや4process、サクシードといった教科書傍用問題集を使うと良い。
これらが良いのは青チャートなどの網羅系の問題集が省略している簡単な問題が豊富に載っていることだ。
初めての分野を学習する際に必要になってくるのはいかに簡単な問題を多くとくかということだ。
簡単な問題をしっかり解いてあげないと理解がなかなか定着せず、難しい問題も定着しにくくなる。
しかし、教科書傍用問題集は解答解説がかなり雑だ。
なので、これらを補うために青チャートなどの問題集を使ってほしい。
わからない問題があったら似たような問題を探し出して、その解放を応用するというやり方だ。
理科に関してもしっかり教科書を読んだのちに、学校で配られているような教科書傍用問題集をしっかりこなせば問題ない。
この記事では、教科別の先取り方法は特に先取りが必要な数学と理科の説明はしたが、他の科目については省略する。
東大受験のノウハウが手に入る環境を作る
先ほどもいった通り、東大受験に関するノウハウが手に入るか入らないかで合格率も大きく変わってくる。
特に地方の方だと周りに東大受験について詳しい先生や塾講師が少ない。
この問題を一つ解決するのが東進だ。
東進の授業、特に東大対策の授業においては、かなり質がよく市販の参考書などでは手に入らないノウハウなどを数多く教えてもらえる。
これは、私が現役時代に東進に通っていたので間違いない。
しかし、東進に入塾する際気をつけて欲しいことは不要な講座を取らないことだ。
東大対策以外の基礎的な学力は十分他の参考書で身につくので、基礎学力を身につけるための講座はとっても時間とお金の無駄になるだけだ。
私も、東進では他の講座の受講も勧められたが、これは自分でできるときっぱりと断って東大対策の講座のみしか受講しなかった。
あくまでも東大の専門的な対策の講座のみにとどめておこう。
また、我々大学受験.netのライターは『東大生が教えるweb塾 赤門アカデミー』という塾の講師が中心となってライターをやっている。
この塾では、現役東大生が主に東大対策に必要な専門的な勉強法や教科のバランス、受験までの受験計画の建て方などを指導している塾だ。
ちょうど地方の東大志望者たちが知りたがっている東大受験のノウハウを我々はwebのサービスを通じて提供している。
なので、手前味噌で恐縮だが東大受験のノウハウを手に入れるのは我々の塾に加入するのも一つの手段である。
もし、対策が遅れていると思っても
東大に合格するためには、最低でも8月から過去問演習ができるような学力をみにつけておかなければとても間に合わない。
しかし、これを見ているのが高3で今からどう頑張っても8月まで高校の範囲を全て終えて、過去問演習を始められる段階まで持っていくのが物理的に不可能だという人もいるだろう。
そのような人たちは、自分はもう東大合格は不可能なのかと諦きらめる必要はない。
東大の試験において一番多く人が分布するのが合格点付近である。
合格点付近の人たちは、もう一度試験を受けたら合否がひっくり返るかもしれないといわれている。
つまり合格点ギリギリのラインはほぼ運できまるといってもよい。
なのでとりあえずなんとかギリギリを攻められれば、合格する可能性が0にはならない。
また、浪人も選択肢のうちの一つに考えて欲しい。
対策遅れが原因で東大に残念ながら不合格になってしまう地方の進学校出身の人たちが明らかに多すぎるのだ。
そのような人たちはせっかく東大に合格する潜在的な能力を持っていながら、対策が遅れてしまったがために、合格できなくなるというのはあまりにも勿体なさすぎる。
もう1年間受験勉強をするのは辛いと思うかもしれないが、人生の中で考えればたった1/80の時間にすぎない。
私も入学してみて、東大はたしかに1年かけて浪人したとしても入る価値が十分ある大学である。
なので、もし対策が遅れていて間に合わず、東大にいくには浪人せざるをえない状況にあったとしても決して諦めないでほしい。
まとめ
以上、地方の進学校出身者はどうして東大に合格しにくいのか、また地方の進学校から東大を目指すにはどのような対策をすればよいのかについて解説した。
確かに、地方の進学校で東大を目指すのはカリキュラムの遅れなどがあり決して簡単なことではない。
しかし、だからといって全く不可能ではなく、しっかりと先取り学習や東大受験のノウハウが手に入る環境にはいれば、東大を目指すことは十分可能である。
対策が遅れていたとしても、最悪浪人して正しい対策をすれば合格の可能性もまだある。
これを読んで、地方の進学校の人たちはぜひ諦めずに東大合格を目指して頑張って欲しい。