よく、「受験期には1日15時間以上の勉強が当たり前」などという言葉を耳にする。
確かに受験のことだけを考え、食事やお風呂など、生活上必要な行為以外の時間を全て勉強に当てれば1日に15時間の勉強時間を確保することは可能である。
しかし、15時間も毎日勉強していたらストレスが溜まってかえって逆効果だと考える受験生も多く存在しているのではなかろうか。
では、理想の1日あたりの勉強時間とはどれくらいの長さなのだろうか。
たしかに、勉強時間はどれくらいが適切なのかは人によって異なる。
それでは、どのような性格や実力のひとがどのくらいの勉強時間を確保すると効率よく学力を伸ばすことができるのだろう。
こんかいは、効率のよい理想の勉強時間の長さについて、受験生のタイプ別に徹底的に説明を行っていくこととする。
ぜひともここでの解説を参考に、自分の勉強の仕方を見直してみてはいかがだろうか。
正しい勉強法こそが持続可能な受験勉強の土台となり、長い長い受験戦争を勝ち抜くために必要なものを得ることができるはずだ。
1日5時間以下の勉強型
じつは、1日に5時間以上勉強をせずにあの東京大学に合格してしまったというものもいる。
そんなの一部の飛び抜けた天才の成せるわざだと考える受験生も多いことだろう。
しかし、ひとによっては本当に1日5時間程度の勉強が適しているということもありうるのだ。
もちろん、勉強時間は長ければ長いほどよいとうわけではないということは薄々気づいているかもしれない。
ではここで、1日5時間以下の勉強をすることはどのようにメリットやデメリットがあるのかを見ていくこととしよう。
1日5時間以下の勉強をすることのメリット
まず、短時間の勉強時間を確実に確保しながら受験の対策を行っていくということは、持続可能であるというメリットがある。
だれか特別な根気や根性がある人間だけではなくどんな高校生にとっても1日たった2、3時間の勉強を行うということは継続しやすい。
さらに、受験まで残り半年を切るまでは生活を受験勉強一色とすることが難しい者が多いはずだ。
受験勉強と同時に学校のイベントの準備をしたり、部活動に勤しんだり…。
やりたいこととやらねばならない勉強の両立、それを計ることができるのが1日5時間以下程度の勉強だ。
受験勉強初期段階の者には、まずは1日5時間以内の勉強で受験勉強という行為に体を慣らしていくとよい。
さらに、冒頭で述べたように受験本番までずっと1日5時間以内の勉強時間を確保するのみでも受験に成功することができる者もいる。
そういった者の特徴は以下の通りである。
- 締め切りが設けられているほうが心に緊張感を持つことができる
- 自分の実力に自信があり、周りの人間に流されて焦ることがすくない
- 人よりも記憶力や理解力が優れており、短時間で学習を効率的に行える
つまり、勉強を短時間で効率的に行う実力とキャパシティを持っているということに加えて、自分のペースを保ち、他人に流されないタイプの人間が短時間の学習をすることに向いていると言える。
受験直前になり、周りのクラスメイトや塾の仲間が1日に10時間以上勉強をしていても、1日5時間以下の勉強こそが自分のスタイルだと自信を持って貫くのは並大抵の人間にできることではない。
いい意味での図太さを持ち合わせた人間こそがこの短時間での学習スタイルに適しているのではなかろうか。
1日5時間以下の勉強をすることのデメリット
ここまで、1日5時間以下の勉強をすることのメリットを述べてきた。
以上の説明で、このタイプの学習方法はメリットこそたくさん存在するものの、特定の性格や能力面での特性を持った人間にしか適していないということがお分かりいただけたことと思う。
そこで、ここでは逆に1日5時間以下しか勉強をしないということのデメリットついて説明をしていきたい。
短時間学習こそ効率的だが、自分には向いていないのではないかと不安に感じてしまっている受験生にこそ一読してもらいたい。
そもそも、受験生一般にとって1日5時間以下の勉強時間を確保するということは最も容易いことで、誰もが実践できることである。
つまり、実力以外で他の人間と差をつけようと思えば誰もが勉強量で勝負するしかない。
勉強時間を短くして勉強の内容を濃いものにするよりも、勉強時間を長くして勉強の内容を薄くしたほうが簡単なのだ。
そして、多くの受験生は勉強時間を長くすることで安心しようとする。
受験直前期において、勉強以外のことをしている時間というのは焦りにつながってしまう。
そのため、勉強の内容だけではなく「勉強をしている」という事実自体が精神安定剤になる。
いくら内容が効率的で濃い学習をしていても、時間が短くては他の受験生よりも劣った学習をしているのではないかと感じてしまう危険性があるのだ。
よって、以下のタイプの人間にとっては1日5時間以下の学習は向いていないといえる。
- 周囲の人間に流されやすい
- 自分なりの学習方法を確固たるものにできていない
- 学習量を増やすことにより、漠然とした受験への不安を癒している
もちろん、受験本番まで1年以上あり、たくさんの時間勉強をすることに慣れていない高校生のみんなは初めは1日5時間以下の受験勉強でも十分すぎるくらいだ。
しかし、短時間で効率的な勉強をすることが向いていないと感じたら、少し勉強量を増やしてみよう。
受験本番が近づいて来るたびに、自分の1日あたりの勉強量を見直すことも大切になってくるのだ。
5時間以上10時間以内の勉強型
短時間の勉強を行うことについて解説をしてきたが、では、1日に5時間以上10時間以内というほどほどに多い勉強量を確保することはどうだろうか。
受験生に最も多いのがこの学習量である。
5時間以上勉強をするが10時間は上まわらない学習量。
その勉強時間のメリットとデメリットはいかなるものなのであろうか。
以下で説明していこう。
5時間以上10時間以内の勉強をすることのメリット
少なすぎず多すぎないこの学習量は、毎日継続することができればそれなりの達成感と満足感を得ることができる。
さらに、10時間ほどの勉強時間なら途中で1~2時間の長い昼休憩などを確保することができ、人によっては学校の部活動や趣味などの時間をとることもギリギリ可能なラインである。
そのため、勉強をがっつりしたいけれど休憩や息抜きにもある程度は時間を残しておきたいという人間にこの「5時間以上10時間以内の勉強法」はおすすめなのである。
5~10時間の学習は勉強への達成感が得られる。
達成感などたかが気持ちの問題だろうと感じる高校生も多いことだろう。
しかし、受験勉強において精神面はかなり重要だ。
精神的に安定していれば、人よりも勉強効率は上がり、集中して学習をすることが可能となる。
そのため、「勉強した感」が得られるというメリットは重視したほうが良いのだ。
5時間以上10時間以内の勉強をすることのデメリット
5~10時間の学習を1日におこなうということにもデメリットは存在する。
例えば、超直前期になってくると5~10時間程度の勉強は決して多いと言えず、不安を覚えてしまう可能性が少なからずあるということだ。
さらには、1日に5時間以上学習をして、他の時間で趣味や部活動を行おうと考えてもどうしてもそれなりに勉強をしたことにより疲れが蓄積され、結局両立できないということが起こりうるということ。
この2点が主な5~10時間学習のデメリットと考えられる。
つまり、5~10時間の勉強を実施し、他にも自分のやりたいことがある場合、両立をさせられるのは自分のもとより持っているキャパシティや体力に頼らざるを得ないところがある。
受験勉強を頑張ると決めたら一点集中型で勉強以外のことに気が回らないという人間にはこの学習法は向いていない。
かといって、勉強以外のことと両立をさせず、一日中勉強時間と休憩時間にしか時間を割かないという人間にとっては、5~10時間程度の勉強時間はいささか少ないものとなってしまう。
「ほどよい」からこそ、「どっちつかず」で「中途半端」な量となってしまう。
その事実を不満に感じる人間には、5~10時間の学習は向いていない。
10時間以上の勉強型
とにかく量を学習する。
それが、一日10時間以上の勉強時間を確保するタイプといえよう。
一日24時間、そのうち睡眠時間を7時間とすると自由に使える時間は17時間だ。
食事、風呂などを差し引いてもなお14時間程度は自由時間として君に与えられている。
そう考えていくと、本気になれば10時間以上の勉強を行うことは以外と簡単にできるように感じる。
では、そのように長時間の勉強を行うことにはどのようなメリットとデメリットが存在しているのか。
また、どのような人間は長時間の学習が向いていて、どのような人間は長時間の学習を避けたほうが良いのだろうか。
以下で説明していくこととしよう。
1日10時間以上の勉強をすることのメリット
非常に短絡的で当然のことであるが、長時間勉強時間を割けば一気に多くの知識を頭に詰め込むことができる。
そのため、短期間で逆転をすることが可能なのだ。
さらに、一日という短いスパンの中で何度も何度も同じ内容を反芻して繰り返し学習を行えば、記憶が定着しやすく持続しやすい。
つまり、頭に入ったら忘れにくい知識を確立することができるのだ。
つまり、長時間集中して学習をすることが苦でない人間にとっては勉強時間は長ければ長いほど良い。
1日10時間以上の勉強をすることのデメリット
今まで長時間学習になれば多くの知識を頭に入れることができるということ一日10時間以上の勉強を行うことのメリットを述べてきたが、長時間勉強をしすぎることによるデメリットも確かに存在している。
以下では、一日10時間以上勉強をすることにより生じるデメリットについて解説を行っていく。
まず、食事、風呂、睡眠時間以外を全て勉強にあてることによりかなりストレスがたまる。
他のことに時間を割けず、ストレス発散の場を設けることができないのだ。
つまり、勉強すること自体が苦痛な人間にとっては長時間学習は効率が良いと言っても精神的によろしくないのだ。
逆に言えば、勉強をして成績が上がり、合格に一歩ずつ近づいていくことに対して喜びを感じる人間は長時間学習をしても苦に感じないことが多い。
勉強すること自体が目的となっているタイプの人間以外、すなわち志望校に合格するため、将来の夢を叶えるために辛い勉強を
やっているのだという考え方の人間にとっては一日に長時間勉強をすることは向いていないといえる。
長時間勉強をしなければ受験本番までに学力を伸ばしきれないと感じている者は、数日毎に自分でオフを設けてはいかがだろうか。
心身ともに疲れ切った状態を癒すことで、目のくらむような長時間の勉強にも耐えることができるのだ。
まとめ
ここまで、理想の一日あたりの勉強時間について、5時間以内の勉強、5~10時間の勉強、10時間以上の勉強と3つのタイプに分けて解説を行ってきた。
いかがだっただろうか。
3つのタイプにそれぞれメリットとデメリットがあり、人によって向き不向きがあるということがお分かりいただけただろうか。
さらには最適な勉強時間の長さというのは時期にもよる。
受験本番まで一年以上あれば、一日あたりの受験勉強を少なくして勉強という行為に体を慣らしていくということもできるが、超直前になってしまえば嫌がおうでも長時間の勉強時間の確保が必要となってくる。
ぜひともこの記事を参考に、自分の中でデフォルトとなる勉強時間を探ってみてはいかがだろうか。
初めは手探りでも、じぶんにとって最も良い勉強量という者がだんだんとわかってくるはずだ。
疲れてしまった時は思い切って勉強をやめるオフを作っても良い。
周りの人間に頼らず、じぶんで最適な勉強量を見つけることが受験にとって肝要となる。
正しく適した理想の勉強量を見つけることができれば、毎日効率的な勉強を行い、徐々に成績を伸ばすことができるはずだ。
そして、最終的な目標である志望校合格に照準を合わせて勉強量を調整するという行為は、骨が折れるかもしれないがきっと君
の学力の伸びに直接的に貢献してくれる。