東大を志望する人の中でも、現代文でどう点数をとればいいのか分かっていない人は多い。
確かに、現代文は知識を暗記すればある程度点数が確実に取れる古典漢文や地理歴史とは性質が異なるので厄介ではある。
しかし、現代文で得点できるかどうかはセンスがあるかないかではない。
現代文の問題を解くノウハウは確実に存在するのだ。
この記事では東大現代文を徹底分析し、3つの対策法と確実に点数が上がる参考書6選をご紹介する。
東大現代文・徹底分析
まずは敵を知るために、東京大学二次試験の現代文の問題を徹底分析する。
どのような問題が出されるかを知り、目標を具体的に設定することで、どのように勉強すればよいか逆算して考えよう。
東大の現代文の実態
東大の現代文の問題はシンプルであるが故に難しい。
例えば、平成二十八年度の第一問(文系理系共通)には以下のような設問があった。
設問
(一)「そのような身体反応を以てさしあたり理非の判断に代えることができる人」(傍線部ア)とはどういう人のことか、説明せよ。
(二)「この人はあらゆることについて正解をすでに知っている」(傍線部イ)とはどういうことか、説明せよ。
(中略)
(四)「この基準を適用して人物鑑定を過ったことはない」(傍線部オ)とはどういうことか、本文全体の趣旨を踏まえた上で一〇〇字以上一二〇字以内で説明せよ(句読点も一字と数える)。
引用元:http://www.u-tokyo.ac.jp/content/400041378.pdf
設問の語末に注目すると、「どういうこと(人)か、説明せよ」という簡素で一見つかみどころがない。
そして極めつけが、記述式問題の最後にある「本文全体の趣旨を踏まえた上で」解く問題である。
範囲が広いうえに、いかに趣旨をつかまえ、ある程度まとまった字数の中に収めるかという壁がある。
しかしこの壁も、以下に紹介する問題集を解くことで簡単に乗り越えられるようになるのだ。
現代文で何点取ればいいの?
問題集の紹介に移る前に、現代文でどれだけ得点を稼げばいいのか具体的な目標を立てよう。
東大の合格点の最低点は平成二十八年度で、
センター試験+二次試験の点数(得点率)
- 文一 352/550 (64.0%)
- 文二 349/550 (63.5%)
- 文三 344/550 (62.5%)
- 理一 328/550 (59.6%)
- 理二 315/550 (57.3%)
- 理三 389/550 (70.7%)
引用元:http://todai.kawai-juku.ac.jp/exam/average.php
である。得点率は6~7割が合格の一つの目安となることが分かるだろう。
東大国語の第一問は小問が4問と漢字の書き取り問題が出題される。
文系であっても、理系であっても、このうち少なくとも2問は完答、残りの2問も部分点が取れるようにするのが具体的なゴールのイメージだ。
現代文対策のための3つのポイント
東大現代文の問題を知り、目標が定まったところで、実力をつけるためのおすすめの3つの対策ポイントを紹介する。
「読解力」をつけ、確実に点数が上がる問題集や、頻出キーワードを抑えるための問題集、そして過去問をどう解くべきかを説明する。
「読解力」をUPさせる問題集
まずは、正しい問題の読み方と、正しい問題の解き方を知る方法がある。
この「正攻法」の解説と、豊富な問題量で「正攻法」の実践ができる問題集が下記の二冊である。
- 『船口の現代文〈読〉と〈解〉のストラテジー―代々木ゼミ方式』
- 『船口のゼロから読み解く 最強の現代文』
『船口の現代文〈読〉と〈解〉のストラテジー―代々木ゼミ方式』は、東大の問題に似ており、レベルが高いのが特徴だ。
特に、二次試験直前の3年生の秋から冬の時期であっても最終調整に使える。
まだ力が及ばないと思う人は、『船口のゼロから読み解く 最強の現代文』のほうから始めよう。
これらの二冊は、試験会場で読んだことのない文章が出てきた際にどのように読めば問題が解けるか、という「読み方」を一から解説している。
そして、「読み方」だけでなく、どう解けばいいのかという「解き方」まで教えてくれるのだ。
「読み方」と「解き方」を習得することによって、読解力の基礎が固められるので、二次試験での点数が上がるだけでなく、センター試験の点数も上がるようになるのだ。
さらに、問題集の後半には豊富な問題が収録されている。
数をこなすことによって、「読み方」が体に定着し、実践の場で使えるところまで読解力が高まる。
「読解力」をUPさせる問題集としてもう一つおすすめなのが、
- 『得点奪取現代文記述・論述対策 (河合塾シリーズ) 』
である。
この問題集では、問題文全体の仕組みをどのように正確にとらえるかという「論述の基本」や、設問パターンごとの解説がなされている。
特に、第一問(四)で問われるような「本文全体の趣旨を踏まえた上で」答えなければならない問題の対策に有効だ。
また、典型問題篇と練習問題篇で構成されており、問題演習の量を稼ぎたい人におすすめである。
頻出キーワードを抑える
現代文は予備知識も必要になる。
一見覚えるべき知識などほとんどないと思われがちであるが、頻出キーワードの意味を正確に理解できているか否かで明暗が分かれるのだ。
現代文の問題でよく出てくるキーワードを抑えるなら下記の二冊を推薦する。
- 『現代文キーワード読解』
- 『読解を深める 現代文単語』
最良の問題集:過去問をやりこむ
東大の現代文の対策として、最も最良の問題集はなんといっても過去問である。
出題傾向を把握することや、本番と同じ形式で何度も演習することが得点につながるのだ。
過去問を解くにあたって、まずはいわゆる赤本の下記の本を使用しよう。
- 『東大の現代文25カ年〔第3版〕 (難関校過去問シリーズ)』
ただし、この赤本にかかれた答えや採点基準のみを信用するのは危ない。
東大は模範解答などを一切公開していない。
予備校や参考書が提示している解答はあくまで憶測であると割り切って、複数の参考書の解答を照らし合わせることが必要だ。
また、自分で一度何も見ないで解答を作り、高校や塾の先生に見てもらうことも有効だ。
まとめ
以上、東大現代文の問題を徹底分析し、3つの対策法と確実に点数が上がる問題集6選をご紹介した。
現代文を感覚で解くことから卒業して、読解力を高め、得点源にしよう。
問題の読み方・解き方をマスターし、頻出キーワードをおさえること。
そして問題演習の量をこなし、過去問をきちんと解くことによって、現代文の点数は劇的に変わるのだ。
なお、この記事で紹介した参考書は以下のリンクから購入することができる。
・『船口の現代文〈読〉と〈解〉のストラテジー―代々木ゼミ方式』
・『船口のゼロから読み解く 最強の現代文』
・『得点奪取現代文記述・論述対策 (河合塾シリーズ) 』
・ 『現代文キーワード読解』
・『読解を深める 現代文単語』
・『東大の現代文25カ年〔第3版〕 (難関校過去問シリーズ)』